13.脱出
身体はまだ動かなかったがスキルの方は使えていたので何度も何度も試してみた。
しかし何度消えて現れても元いた場所から動く事はなかった。
そのうちに少しだけ身体が動くようになってきた。
チャレンジしてく内に、もう一つ考えついたことがある。
身体を動かした後に存在を消したら、勢いはそのままに外に出られるのではないかという事だ。
馬車に乗っていてスキルを使った時にも馬車は動いていたがちゃんと同じ場所に戻っていた。
幸い水晶の中はスペースに少しだけ余裕があった。
一番端から端まで体当たりするように動き壁に当たる瞬間に存在を消して、壁を通ったら戻ればいけるのではないか?
タイミングミスったら…怖い事は考えないでおこう。
俺のチャレンジは続いた。
でも何度やってもダメだった。
スキルで存在を消してもやはり壁に阻まれて激突してしまうのだ。
このスキルの使い方では存在感を薄くするだけで、存在はしているという事なのだろう。
あと出来ることとしたらひとつだけ…
スキルを最大限で使う事。
本能が怖くて拒否していたあの領域に踏み込む事だった。
あそこはきっと本当に存在がなくなる場所だ。
無事に帰ってこれる保証もない。
でももうやれる事は他になかった。
端まで行って集中する。
どうせ今死ぬか後で死ぬかなだけなんだ。
俺は最後にカインの姿が見たい。
それだけを心に俺はスキルを使った。
ふと気が付いたら何もない空間だった
無だ
どのくらい時間がたったのか
数秒のことなのか
何日なのか
何年なのか
それもわからない
カインの闇とは違って本当に何もない
カイン…?
カインってなんだっけ…だれだっけ…
おれなにしてたんだっけ…
そうだ行かなきゃいけないんだ
どこに?
わからない…
わからないけどカインに会いたい
カインに触れたい
カインの幸せを願って離れたけれど本当はずっと一緒にいたかった。
このままなんて嫌だ
最後くらいもう一度会いたい
俺はカインに会いに行くんだ!!!!!
気が付いたら俺は水晶の外に出ていた。




