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11.黒い闇

暗い

暗い

何も見えない

何もない場所

そう感じれるくらいには意識が浮上してきたようだ

ここはどこだろう?

何が起きたのだろうか?

俺は死んでしまったのか?

恐怖を感じる間はなく、また眠りにつくように意識が沈んだ


それからはふつふつと意識が浮上するようになった

浮上しまた沈み…

その繰り返しだった

どのくらいの時間が経ったのかはわからない

そのうちにぼんやりと周りの景色を感じられるようになっていた

目は開いていないのに不思議な感覚だった

音も少しだけ聞こえる

それを繰り返しているとなんとなく周囲の状況がわかってきた

どこかの空間…とても広くて豪華な場所…な気がする…

そこに俺は存在していた

なにか…膜…いやもっと固い…石のような物体の中にいる気がする…

ガラスかな…外の様子が薄っすら見えるから透明度は高いようだ

身体は動かせない

けれどどうにか頑張っていたらほんの少しだけ目が開いた

これでより多くの情報がつかめるはずだと意気込んだ俺の目に映ったのは

会いたくて会いたくてたまらなかったカインの姿だった…

喜びよりも前に困惑がくる

どうして?

どうしてここにいるの?

そしてその姿は…

目の前にいたのは物語でラスボスとされる魔王の姿をしたカインだったー


カインは魔王に身体を乗っ取られると見た目も変わる

黒かった髪はそのままに腰のあたりまで伸びて

大きな角が生えて目も真っ赤に変わるのだ

そして表情は冷酷で二度と笑わなくなってしまう

当時はそんな姿がカッコ良くて魔王カインにもファンは多くいた

そんな姿を生で見れた喜びよりも衝撃の方が来るのは、俺がファンというよりも一人の人間としてカインを愛してしまったからか。


俺はやはり失敗してしまったのだ。

カインは魔王の受肉体として倒すべき悪になってしまった。

俺のせいだ

俺の…


動かないはずの俺の目からは涙があふれていた





「あぁ…ヴェル…泣かないでくれ…もう少しの辛抱だ。ここは瘴気がとても濃い。ここに順応出来るようにお前の身体を魔族に変えている所なんだ。もう少しでここからお前を出せる。それまで少しだけ我慢してくれ。やっと見つけた我が愛しの弟よー」

とカインはガラス越しにキスをおくる。

それはもう愛おしいものをはぐくむようにー




ーーーーーーーは?

今カインは何て言った?

待ってくれ、記憶があるのか?

いやその前にえ??何が?どうなっている?

俺のパニックとは別にカインの独白は続いた

「長い間待たせてしまってすまない。もっと俺に力があればすぐにお前を見つけられたのに。…まぁ悔やんでも仕方ないか。これからはずっと一緒だ。魔族となり永遠を共に生きよう。」

魔王として俺をたばかっているのか?

希望を持たせて地獄に落とすのは魔族のやり方だ。

目の前の人物をカインと思ってはいけないのに、その表情や喋り方、笑顔…

全てが記憶にあるままのカインだった

「10年前の事件で周りの人間はお前が夫妻と一緒に死んだと言っていたけれど、俺にはどうしてもそれが信じられなかった。受け入れられなかった。お前はどこかに生き延びていると。犯人を捕まえて情報を吐かせても誰一人そんな男の子は知らない、わからないと言っていた。何度拷問しても何の情報も得られなかったから逆に俺にはそれが希望になったんだよ。」

とても良い笑顔で語る。これは本当にカインなのか?わからない

「そこからはお前を探すために頑張ったんだ。途中勇者を名乗るものが現れて魔王を倒すのに協力してくれと言われたけれど、どーでもよかった。」

こんな表情見た事はない。

カインはいつも優しかったから

「でも使えるなと思ったんだ。人間の身体では正直限界があるから」

「魔王の膨大な魔力が欲しかったんだ俺は」

「お前を見つけるために」

「国中に根を張ったんだよ。どこにいてもお前がいたら捕まえれるように」

「でも見つからなかった。この国にはいないようだからと次の国に根を貼ろうとした所でお前の方から戻って来てくれた。」

嘘だろ…そんな…事…あるのか…

魔王は恐ろしい存在で…いや、カインは取り込まれてしまうんだ…

自我などなく魔族の侵略が…

「あ、魔王?心配してくれるんだね。大した事はなかったよ。一度俺の身体に取り込んでから魔力だけもらって殺した」

「だから俺はカインだよ。正真正銘お前の兄だ」

とろけるように言った笑顔は記憶にあるあの頃のままだった

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