10.帰郷
俺は馬車を乗り継いで隣の国にまで来ていた。
来たばかりの時はよくわかっていなかったが、地図が読めるようになってから大体の国の位置は把握できるようになっていた。
孤児院があった場所は二つほど国が離れた場所。
体感ではもう少し離れているかと思っていたが隣国が割と大きい国だったのだ。
今はその大きい国にいる。
国に入るとより噂話が耳に入るようになった。
やはりかの国は魔王が復活し魔物に占領されているらしい。
亡命する人々が日に日に多くなり、この国でも持て余してしまっている程だそうだ。
勇者はどうしているのだろうか
そしてカインは…
考えれば考えるだけ不安が押し寄せてきてしまうのでとりあえず先を急いだ。
大きい国なので数日かかってしまったが、かの国へ一番近い街までやってきた。
国を出る時にも渡った大きな橋がある場所だ。
街全体がどんよりと暗く、以前に立ち寄った時とは大違いだった。
今はもうかの国への馬車は出ていないそうだ。
ここからは徒歩で目指そうと思う。
長い長い橋だ
街から出る時には気配を消していたが、まわりにはもう誰もいないので一息つくためにスキルを解く。
10年程ぶりの帰郷になる。
見つかる事は特に心配していなかった。
ただ物語はどういう道に進んでいるのか確かめたいだけなんだ。
もし万が一また人質に取られても、今度こそはスキルを使って回避するつもりである。
何かしらの力が働いてスキルが使えなかったとしても
カインの邪魔になるくらいであったら自害する事も厭わなかった。
とはいえ10年も前に死んだとされる子供の事なんて誰も覚えてはいないだろうけれど。
長い長い橋を渡る間に、この後の事を考えていた。
まずは侯爵家があった街まで行こうと思う。
そこで一旦情報収集をする。
侯爵邸がどうなっているのかも気になるし。
10年前の事件で焼け落ちてはいるだろうから、違う家が建っているのだろうか。
それとも不吉と言われたりして空き地のままとか…
色々考えているうちに橋の終わりが見えてきた。
今は少し様子が変わってしまったけれど10年ぶりの懐かしい国だ
帰ってきたんだ
とうとう橋を渡りきり、俺は一歩国に足を踏み入れた。
足を踏み入れたはずだった
とぷんー
と足は地面を踏むことはなく、そのまま黒い闇に身体ごと落ちていく。
何が起きたのかわかるはずもなく俺の意識もそのまま闇に飲まれていった。




