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第11話 大焦熱地獄


燃えろ燃えろ燃えろ


寺の中で赤舐の幻藏は火炎放射器の引き金を引いて燃え盛る炎を発射する


狙うのは糸を使い、多数の手下たちを切り刻んだ銀髪の少女あやせ


あやせは身軽に廊下を駆け抜けながら炎をかわしてゆく


木造の寺だ


当然、引火して廊下は炎に包まれる


しかし、幻藏は気にしない


顔の火傷がズキズキと痛む


この痛みが思い出させてくれる


この世は力があるものが暴力をふるい弱者を虐げ従える


俺は所長を刺してその軛から抜け出した


弱者が逆に強者に暴力を振るって、やり返すのはダメだというのか?


弱い立場に生まれたら、黙って虐げられ続けろというのか!?


この世の裏にも表にも弱者の味方はいない


いるのは始末屋連中のような、弱者につけ込んで金をせびる人を殺す術を持つだけの悪党ばかり


ならばよお


誰も俺達の仇を取らないというならば、俺がこの手で自分の仇を討つ


どいつもこいつも有罪!有罪!


全員、火炙りだ


生きて大焦熱地獄を味合わせてやる


首なしの大仏の前にあやせが立った


「もう、逃げられねえぞ。小娘。焼かれて死ねや」


「あなたは可哀想な人ね。自分より弱い人間を傷つけることでしか自分を満たすことができない」


俺は暴力を振るうか、振るわれるかならば、容赦無く振るう側を選ぶ


「弱い奴がみんないい奴なわけがねえ。みんな卑怯で誰かが傷ついても見て見ぬふりをしている。そんな奴らを俺が虐げて何が悪い」


「私も弱いままの人なんて嫌い。けれど自分の弱さを棚に上げて他人を虐げる人は許せない」


「抜かせ!!小娘!!」


あやせに向かって火炎放射器の炎が放たれる


あやせは天井の梁に糸を放った


そのまま、籠手に仕込まれた機械が高速で糸を巻き込んであやせは瞬時にその炎から身をかわし、天井に張り付いた


「この化け蜘蛛が。ちょこまかと逃げやがって。だが、上なら逃げ場はねえぞ」


天井に向かって火炎放射器の狙いをつける


「あなたこそ、逃げ場はないから」


あやせは糸を引っ張った


糸の先には首のない大仏があった


大仏の体に切れ込みが入り崩れだす


その足下には幻藏がいた


「うわああああああああ」


悲鳴をあげて幻藏は大仏の残骸の下敷きになる


そして火炎放射器からあがった炎が幻藏と大仏の残骸を包む


幻藏の悲鳴が寺に木霊した


ーー焼ける、俺の肉が焼けてゆく、俺は生きながらにしていつも焼かれっぱなしだ。やっぱり、この世は地獄さながらじゃあねえか


しかし、そんな今際の際でも幻藏が思い出すのは蒼の顔だった


ーーもう死んだのか。死んだのならばお前も地獄に行くのか?いや、お前は地獄になんか堕ちねえよ。極楽浄土に逝け。もう二度と俺みたいな男と巡り会うんじゃあねえぞ


「幻藏、いい旅を」


あやせは炎に包まれて焼かれて地獄に堕ちる幻藏に向かってそう呟いた


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