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第10話 無常迅速


始末屋


闇に生き、殺しの能力を極めた殺し屋たちの通称である


その多くは組織に属し、掟を重んじて動いている。


そこがただの獣との違いであるが、中には掟を破り、力のあるものにその腕を預ける始末屋崩れも存在する


この男たち『迅雷』と『不動』はそんな逸れの始末屋であった


「俺たちもタチ悪いよな、金を稼ぐのも人を殺すのも好きときた」


と黒い翼を、槍を持った迅雷はいう


歳のころは30歳くらい骨と皮のような痩せすぎの体に革のジャケットで身を包んでいる


「巨神会は元締めの締め付けがきつくて、思うように金が稼げねえ。その点、赤舐一味は最高だ、好きなように殺して、たんまりと稼げるんだからよ」


3メートルを超える身長、人間離れした体格にピンク色の肌をした肥満体の男が下卑た笑みを浮かべながらいう


この二人は殺人能力を高めるために義体化手術を受けた根っからの殺人狂


いや、掟には従わなかっただけで平均的な思想の始末屋たちである



「おい、同心」


「なんだね?」


「剣じゃあ俺には勝てねえ」


迅雷は翼についたスラスターを点火して一気に上空まで駆け上る


「頭上からの攻撃はどんな剣客でも死角となる。頭上からの攻撃こそ、この『疾風の迅雷』の独壇場。戦闘機相手に剣で喧嘩を売る馬鹿はいねえだろ」


迅雷は地上にいる斬一倍に向かって槍を突きつけた


槍の先が開き銃口が飛び出す


銃槍(ガンズランス)である


「旅路の時間だぜ、サンピン!」


銃口から斬一倍に向かって発射される銃弾が地面に降り注ぐ


駆け抜けて銃弾の雨をかわしながら斬一倍は刀を八双に構える


ーー加速開始(acceleration)



「よお、ゴンゲン」


ピンク色の巨人『不動』はゴンゲンに親しげに話しかける


「俺を知ってんのか?」


「ああ、お前とその背に背負った梵天ブラフマーのことは裏で有名だ」


「俺はお前のことは知らんがな」


茶化すようにいうゴンゲン


しかし、不動は顔色ひとつ変えない


「有名だと手の内が知られる事になる。予告するぜ。お前じゃあ、この『寂然の不動』には傷ひとつ、つけられずに敗れる。今日がお前の命日だ」


「そうかい。そりゃあ楽しみなこった!!」


ゴンゲンは背負った四面四臂の梵天の仏像をライフルのように構えた


梵天の仏像が変形し銃口が飛び出す


「鉛の托鉢を腹一杯喰らって億度に渡れ」


ズガガガガガガガ!!


梵天(ブラフマー)から撃ち放たれる銃弾が丸々太ったピンクの巨体に撃ち込まれる


しかし、弾丸はその皮膚を貫くことなく、逆にゴンゲンに向かって弾き返してきた


「ぬっ!」


弾き返された弾丸を梵天ブラフマーで受け止める


「俺の体に銃弾は通らねえ!!終わりだゴンゲン、良い旅をな!!」




「何・・・!?」


疾風の迅雷は驚愕した


上空から撃ち込んだ全ての弾丸を斬一倍は()()()()()()()()かわし切った


「所詮はこんなものかね?」


冷たい微笑を浮かべながら嘲るように言う斬一倍


「て、てめえ!!」


頭に血が上った迅雷はスラスターを点火してさらに上空まで飛び上がる


ーー確かに、弾丸は尽きた


ーーだが俺の最高速度で突くこの槍から逃げられたやつはいねえ


上空で迅雷は槍を構えた


「ドサンピンが!!脳天からけつの穴まで突き刺してやるぜえ!!」


ぎゅいいいいいいんん!!


迅雷は高速で空を走り抜けて斬一倍の脳天目掛けて槍を突き刺した


しかし、槍の穂先が斬一倍の頭をとらえた瞬間、斬一倍の姿が消えた


残像だと!?


「やつはどこへ!?」


「上だ」


頭上から声がした


斬一倍の振り下ろした赤い刀『村正』が振り下ろされて、迅雷の翼が両断された




不動は体を丸くしてゴム鞠のように体を弾ませてゴンゲンを襲う


ゴンゲンはその体当たりをかわしてゆくが次第にスピードが早くなってゆく


すでにそのスピードは目にも止まらないレベルになっている


ゴンゲンはゆっくりと梵天(ブラフマー)を構えた


無駄だ。俺の動きはもう、お前の知覚の外


そして銃弾では決して俺の体は傷付けられねえ


「死ねえ!」


「オン・アニチ・マリシエイ・ソワカ」


梵天ブラフマーが変形して新しい銃口が梵天像から出現する


バチバチ


銃身が青い雷が走る


そして、銃口から光の弾丸が飛び出した


レールガン


それがゴンゲンの切り札である


不動の頭を吹き飛ばす


そして煙を上げるピンク色の体の胸の部分が開き中から小男が飛び出してきた


不動の肉体は人間に似せたパワードスーツであり、この小男が乗り込んで動かしていたのだ


「ま、待ってくれえ。俺の負けだ、命だけは」


と不動の中の小男


「許してくれ、俺たちの負けだ。命だけは助けてくれ」


迅雷も命乞いをする


しかし、そんなことが通用する二人ではなかった


「お前たちも俺たちも始末屋が、命乞いをした標的まとをただの一度でも許したことがあるのか?」



斬一倍は刀を振り下ろし


ゴンゲンは拳銃の引き金を引いた



「良い旅を」


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