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空想列車  作者: 茶々子
1/1

1.窓枠

電車の窓から外を見ると、すごい速さで景色が回る。昔々の汽車からの景色もこんなものだったのだろうか?景色も歴史もグルグル回る。

遠くに見える丘の上に洋館がある。大きい洋館だ。茶色と赤のレンガ造り。その洋館の周りは綺麗なお花畑。こんな時代にあんな綺麗なお花畑があるなんて。どんな人が住んでいるんだろう。きっと妖精みたいに綺麗で華奢な少女が住んでいることだろう。あの丘の方はかなり田舎のようだけど、田んぼがあるような田舎じゃ無くて、西洋風な田舎だ。聞いたことがある、昔あの小高い丘の辺りに大使館があったそうだ。ヨーロッパの方から来た方だったそうだ。大変優しく、お淑やかな方だったそうだ。きっとその大使館なのだろう。


家の窓から外を見つめる。少し遠いところで電車がガタゴト揺れて走ってる。黒いスーツが見える、まだ朝は早いのに、もう仕事に行くのかしら。大変だねぇ。私はといえば、小さい頃にかかった病のせいで走ることもできず、ほぼ寝たきりの生活。いつ良くなるのかしら?この家は立派。おじいさまが建てた立派な洋館。レンガ造りで大きな敷地。周りはお花畑。私は病院に行く以外でこの家を出たことがない。家がどんな広さなのか、どこにどんな部屋があるのか知らない。ただ、いつもこの窓から見える景色はいつも自由。線路が見える。どこまでも続いてる。私はいつまで続くのかしら。


学校の窓から外を見つめる。学校の横にある線路に電車が走ってゆく。僕はどこまで行くのだろう。勉強はたいへん面倒臭い。運動なんて楽しくない。僕に出来ないことを教えてよ。成績はいつも学年一位。親の勧めで入った私立高校も、勉強を競える仲間なんていなかった。なぜ僕はここにいるんだろう。暇だ。誰か僕を救ってくれ。この暇で暇で仕方がない生き地獄から。


「俺は

「私は 出会った。」

「僕は


俺は孤児院生まれだった。体は強かったが、孤児院出身だという理由で友達なんか出来たことなかった。

私は病弱で家から出たことなんて、病院以外無かった。当然学校なんて行けてなかった。友達なんて夢のまた夢の存在だった。

頭が良すぎて、なんでも出来すぎて、きみ悪がられて避けられて、一方通行の友情しかなかった。


だから嬉しかった。仲間が出来た。心を開ける友ができた。みんなで週に一回の工作教室を楽しみにしてきた。


そんな工作教室の仲も終わりが来た。

孤児院生まれの子の孤児院が無くなってしまう。あの子は何も言わなかった。ただ残されたの二人も会うことはなくなっていった。


今も願っている。みんなこの地球のどこかで生きていて、また会える日を楽しみにしていると。

空想列車 1.窓枠

空想列車は不定期投稿です。

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