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少女達はしばらくそこから離れなかったが、追っ手が来た事を悟り、やっとそこから離れ、今度は森の方へ逃げた。
そこで息をひそめていると、追っ手が、恐ろしい事を話していた。
「そういえば、聖女を連れ戻して、どうするんですか?」
「ああ、儀式に使うんだとよ。世界を救う儀式のイケニエにね。というか、もうなっているんだと。」
「どういうことですか?」
「聖女は、現時点では聖力が強すぎて死ねない。だが、聖力の枯れた土地へ行き、そこで死に、聖力をその土地に与えていけば段々普通の女の子になって、死ねる、という事だ。」
それから彼らが話した事は覚えていない。少女は思った。
何で、やっと逃げ出して、自由を手に入れたのに。お父さんもお母さんもいないの?イケニエなんかにされるの?なんで?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!?なんで私達だけが………。
愕然としていると、妹も青褪めていて、思わず妹を抱きしめた。私がそうなるのなら良い。でも、妹はそうさせない。絶対に守りたい。
この願いも、叶わなかった。
何回目か、追っ手から逃げている時、妹とはぐれたのだ。喪失感が襲った。いつも隣にいて、とても大事だったのに。希望や絶望が音を立てて壊れ、後には何も残らなかった。
そうしていると、帝都に辿り着いた。
そういえば、ここには聖力が枯れた土地があるって、“お勉強”したなぁ。あ、誰か殺してくれる人を捜さないと、誰がいいんだろう?考えながら、私は吸いこまれるように、路地裏に入った。
そこで、白銀の髪が少しはね、口元をマフラーで隠して見えなくしている貴方が寝ているのを見た。貴方は絶対的強者の雰囲気がした。貴方の側が心地よくて、私は珍しく熟睡出来た。眠りにつく間に、殺されるなら貴方がいいなぁって思った。
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「……という理由。」