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君か世界を殺す日に  作者: 雪兎
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 周りは漆黒の闇に覆われていて、オレとアイツ以外を映さない。そんな中でアイツは言った。選択の時は来たのだと。この時、オレには2つの選択肢が迫っていた。

 1つはアイツを殺す事。

 もう1つは、世界を殺す事だ。


 どちらかを選ぶのはオレだ。オレにとって、何を変えてでも守りたかったアイツか、この世界に住むアイツの妹や、オレのライバル、ここまで導いてくれたあの人達か。

 オレの中では、既に答えは決まっていた。

 

 オレは最後に聞く。まだ何か選択肢はあるのではないのかと、最後なのに関わらず聞いてしまう。アイツはもう時間はないと言った。

 アイツの最後の最後に笑って言った。

 私を殺して、と。


 オレはふと、アイツと初めて会った日を思い出した。

あれは数年前、路地裏でアイツはニコリともしなかったな、と今になって懐かしくなる。


 オレは短剣を手に持った。オレの髪と同じ白銀の刀身に、アイツの髪と同じ漆黒の鞘を。オレがコレを使うのは今、この時が最初で最後だろう。

 オレは、なぜか手に馴染むソレをそっと構えた。

ソレを勢いよく_____



 







.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○

.。o○.。o○









  −−−−−時は遡る。


 帝都グラドダァートの路地裏、そこで彼は寝ていた。

目を覚ました彼は、今日も何もない1日を過ごす…はずだった。寝ていた彼の側に少女が丸くなって寝ていた。

 彼が警戒し、ナイフを構えた時、少女は目を覚ました。

 その少女の目を見た彼は、驚愕した。

その少女の目の中には、傷がついていた。彼が固まっている隙をついて、少女は彼に言った。

「お願い、私を殺して。」


 いつもの彼なら、普通に、殺していた。だが……

「理由次第だ。」

 と、聞いた。何故なら、その理由は少女の目にあった。少女の目には、何もなかったのだ。絶望も、希望の一筋さえも。だから、気になった。

 そして、少女は言った。

「私、死ねないの。」

 そして少女は語りだした。何故殺して、と言う事になったのか−−−−−−−。





.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○





 少女は、とある王国の特別豊かでもない普通の家庭に生まれた。妹もいて、楽しく暮らせていた。だが、そんな日常が終わるのは、早かった。

 

 王国が、『この王国にいる少女の中に、聖女がいる』といい、王国中の少女達を強制招集させたのだ。

 もちろん、少女も、少女の妹も招集される事になった。

 そして、聖女認定の儀で、選ばれてしまった。少女も、少女の妹も。それから、それまで送っていた日常が送れなくなった。


 少女と少女の妹は、協会へと送られた。その日から、聖女教育が始まった。

 聖女は、人々を癒す存在。故に、癒しの力を身に付けなければいけない。そこで、癒しの力を修得するための特訓という名の絶望が始まった。


 まず、聖書を読み、聖力を高める。高める事が出来なかったら、


「卑しい平民の出の癖に!」


 と、鞭で打たれ、ご飯が貰えない。なので、必死で聖力を高めた。


 次に、常に笑顔でいる様に言われた。少しでも崩れると、鞭で打たれ、あとは同じ。

 

 そんな風にして、少女達は壊れていった。やっと癒しの力が身に付いた時も、何も感じなかった。嬉しさすら。

 

 そして、それからも少女達は、聖女としての活動に駆り出され、休む暇すらなかった。


 そんなある日、王国で内乱が起こった。どうやら、国王や女王などの王族が、かなり好き勝手していた様だ。


 なので、協会の人間も、今は少女達以外誰もいなかった。少女の妹は、少女に言った。


「逃げよう」


 と。


 それから少女二人は手を握りあって、恐ろしい協会を出、逃亡生活が始まった。


 二人共、かなり衣服がボロボロで、見かけた人が、簡素なフード付きのマントをくれた。そして、いつかからか、少女達を追う人達が出てき始めた。


 それらから逃げ、 ずっと住んでいた彼女達の家に、少女達は最後の希望として、向かっていた。


 そして少女達が見たのは、何かが燃えた跡と、二つの墓。

 近くを通った人に聞くと、放火による、殺人事件。

 少女達の希望が、ガラガラと崩れ、失くなった。

 


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