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【祝10000PV感謝】異世界でもギターシリーズ  作者: bbbcat
第3章 異世界でもギターが弾きたい!
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「唯臣・矢倉・ソンギブになった日」

シンフォニア掲示板


 佐倉幸さくらこうの事

・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ

・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】

 幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる。

 さらにこの力は協奏した場合、ライブを通じて他人とも仲良くなる様に、音楽を聴いていた者同士も意思疎通が可能になる。

・ギターの魔力の1つ 【心酔】

 幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。

・ギターの魔力の1つ【協奏】

 幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。



 この世界の事

この世界は6つの国からなる。

【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】

・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?

・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。

 この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。

 そして、楽器は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。

 そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。

 もちろん。自由や平等といった人権はない。

*********************************


 唯臣が異世界に来て、3日目の夕食。

今日も、食卓は非常に豪華なコース料理で振舞われる。

 どれも美味なのだが、メインディッシュとして出てきた、”2又角ウサギの香草詰め”が非常に美味しかった。


 2又角ウサギとは、頭部に非常に硬い2本の角が生えたウサギで、町の周辺ならばどこにでも生息しているポピュラーな動物らしい。

 それの皮を剥ぎ、臀部からちょうどその角の間に串を通し、ぐるぐると回しながら焼く。

 腹部に詰めた香草は、町の一流の薬師が選んだ特上の薬草。

これもこの地域に群生しているヌメリ薬草と言うらしい。

 非常にぬるぬるして踏んだらスリップ間違いないしだそうだ。

ヌメリ部分に回復の効能があるが、これがウサギの体内で丸焼きすることでいぶされて、肉のうまみに効能が溶け込むらしい。

 獣臭さは微塵もなく、噛めば肉汁が溢れる甘い肉だった。


 美味い料理があれば、会話は弾む。

今日も饒舌なリーヘンを中心にワイワイと喋る楽しい食事だ。


「なんですと!!??

 養子の話、前向きに考えてくれる!?

 嬉しいぞぉおお~!!

 こんな嬉しい事は無い!!息子よぉおお!!」

ぼそっと唯臣が呟いた言葉に、リーヘンは感激。ガシッと唯臣の肩を抱いた。


 唯臣は、異世界生活3日目にして、豪商の息子となった。


…………。


……。


 食事も終わり、唯臣はアルモナが、昨晩居た物置部屋を訪ねた。


―――今日も彼女のギターが聞きたい。


 しかし、ドアを開けるとそこにはギターもアルモナも居なかった。


「……唯臣様。

 婿養子のお話、本当にありがとうございます。

 これから幸せな家庭を気づきましょう。」

後ろからそっと肩に手を置き、頬を赤らめて言うオルフィー。


 振り向いた唯臣は、気まずそうに首を横に振る。


「……分かってますわ。

 まずは養子となって近しい中から徐々に愛を育んで行きますのよね。

 もう!うぶな所も可愛いんだから。」

恋は始まったら一直線である。


「それと唯臣様。

 あなたの占有預かりになるアルモナは、もう既に唯臣様のお部屋におりますわ。」


 唯臣はその言葉を聞いて自室に戻った。


 唯臣の自室となっている部屋は、王様でも住んでいるのかという広さだ。


 本革張りのソファーは唯臣が二人縦に重なって寝ても余裕がある程長い。

 それに合わせたサイズの、ガラスと銀で形成された机も、非常に高価そうだ。


 全身鏡は現実世界の唯臣の部屋にあった物の3倍ほどの大きさで、遥かに高価そうな真っ白な大理石で作られている。

 鏡の横にはドレッサーがあり、メイドに身支度をさせる場所だろうか。

 今はそこにアルモナは座っていた。

勿論その太ももにはハミングバードが乗っている。


 唯臣はアルモナの演奏をじっと観察する。

美しい旋律は非常に安定感がありぶれない。

 音程を決める左手の指使いが非常に優しいのだ。


 唯臣は”F”のコード(バレーコードと言って、全ての弦を1本の指で押さえなければならない、初心者がつまずく難しいコード。)を弾くのに、人差し指にこれでもかと言う力を入れて弾いてしまっていた。


 アルモナの弾く”F”のコードは鳥の羽根より軽やかだった。


 アルモナの演奏がひとしきり終わったので、少し借りて弾いてみたいと思った。


 唯臣がお願いしても、アルモナは全く返事をしない。

虚ろな目でこちらを見てくる。


 楽奴は、口を聞けないみたいだ。


 唯臣はそっと膝の上にあるギターの弦に触れてみる。


”キュッ”と弦がなって、この音だけでも甘く優しい音色だと感じる。



        ”どたどたどたどた”



 ”バーン”と扉を開けてリーヘンが顔を出す。


「今音楽が鳴りませんでしたかー!!!」

弦の音よりもはるかに大きな声で叫ぶリーヘン。


 唯臣は、首を横に振る。


「そうでしたか。

 だったらいいのです。」

気のせいだったかと安堵するリーヘン。


「そうじゃ!

 息子よ……。

 ……もう敬語はいりますまい。

 これからは”唯臣・矢倉・ソンギブ”と名乗るんじゃ!

 ソンギブの名を使えば色々融通してもらえる事もあるぞい。

 そして、家族として楽しく暮らしそうな!」

ニコニコして言う。


 唯臣は、会釈した。


 【矢倉唯臣】から、【唯臣・矢倉・ソンギブ】になった日だった。


           ◇◇◇


 そして、その日から唯臣は、何度もギターを弾く挑戦をした。 


 何度やっても”どたどたどたどた”、”バーン!”とリーヘンがやって来て阻止される。


 それは外でも同じことだった。

街のどこぞの変なおっさんが”どたどたどたどた”とやって来る。


 どうすればギターを弾けるのだろうか……。


           ◇◇◇


…………。


……。


*********************************

出会ってくださりありがとうございます!


ブックマークや感想など書いていただいたりしたら、本当に励みになります。

去年の終わり頃から始めてフォワーやブックマークが少しずつ増えてきました!ありがとうございます!

リタイアせず、頑張りたいと思っておりますので、何卒応援よろしくお願いします!

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