「楽々異世界ライフ①」
シンフォニア掲示板
佐倉幸の事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる。
さらにこの力は協奏した場合、ライブを通じて他人とも仲良くなる様に、音楽を聴いていた者同士も意思疎通が可能になる。
・ギターの魔力の1つ 【心酔】
幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。
・ギターの魔力の1つ【協奏】
幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。
この世界の事
この世界は6つの国からなる。
【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】
・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?
・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。
この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。
そして、楽器は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。
そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。
もちろん。自由や平等といった人権はない。
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ライブハウスのむせ返る様な熱気でもなく。
空気すらあるのか怪しかった転生の間の無感覚でもない。
優しい、牧歌的な風が吹いていた。
正午の暖かく柔らかい光の中、矢倉唯臣は目を覚ました。
女神に転移されたのだと言うことは、はっきりと覚えている。
辺りを見渡すと、どうやらここは土手の下らしい。
目の前にはせせらぐ川が流れており、水はとても綺麗であった。
周りも目に優しい緑で彩られており、自然で溢れている。
もともと住んでいた現世の都会とは全く違う。
スマホもパソコンも無い、ファンタジーの世界に来たのだと思い知らされる。
だが、土手の上はしっかりと舗装れているのであろう道が、延々と続いている。
中世ぐらいなのか、文明の手による整地された道であり、未開文化と言う訳では無さそうだ。
{唯臣様~~~!!!
無事で何よりでございます~~~!!
ここが【シンフォニア】でございましょうか?
……右も左も分からない、こんな異世界でお独りになって……。
誰か助けてくだされー!!!}
”キャー!!誰か助けてー!!”
舗装された道を挟んで、反対側の土手の向こうから声がする。
明らかに人間の、女性と思われる声であった。
唯臣は土手を上がり、声のする方へと向かう。
すると土手の向こう側には、道から滑り落ちたのだろう馬車を見つけた。
それは人が乗る客車と言う部位と、それの後ろには荷台が備わる大型の馬車だった。
転落した割には無傷そうで、客車には両サイドに豪華絢爛な装飾が美しく輝いていている。
客車は木製で、頭部に金で装飾された飾りがついていた。
ただ、頭部の装飾の中心が何か台座の様な形になっているが、そこに乗っていただろう、言わばその馬車の象徴となる何かはポッキリと折れて無くなっている。
それに続く荷台は大きなサイズで白い布製の雨よけが着いていた。
そんな豪華な馬車を、3匹の全身緑色で耳がとがった生き物、おそら"ゴブリン"と思われる魔物が、取り囲んでいた。
唯臣はその馬車の元へと走り寄る。
ゴブリン達は、唯臣の高ステータスから来る威圧感に気圧されながらも、せっかく得た獲物を取り逃すまいと、唯臣の前に躍り出る。
そして、焦った一匹のゴブリンが、手に持つ銅の剣で、唯臣に向かい走り、斬りかかった。
すると唯臣の近くまで来ると、”ずぅるるぅん!”と盛大にこけた。
こけた位置的にちょうど走って来る唯臣の膝小僧があった。
あごにクリーンヒットする位置で倒れたゴブリンは、唯臣の膝に脳を揺さぶられ、会心の一撃となり、煙となって消滅した。
あとには魔硝石が転がるだけだった。
”クルクル”と宙を舞う、消滅したゴブリンが持っていた銅の剣が、”すぽっ”と唯臣の手に逆手の状態で納まる。
唯臣は、そのままの勢いで突っ込んで来たゴブリンの前屈みの全力疾走と、逆手に剣を持つ唯臣の腕振りが噛み合い、剣の柄頭がこれまたゴブリンのデコにクリーンヒット。2体目も煙になった。
それを見て、一匹になって逃げ惑うゴブリンに、唯臣がノリで手に持つ銅の剣を投げた。
それは背中からちょうど心臓に突き刺さり、ゴブリンは”シューッ”と消えて行った。
これにより全てのゴブリンが消滅した。
[唯臣は魔物をやっつけた。
レベルが2になった。
力が23上がった。
素早さが23上がった。
体力が12上がった。
賢さが25上がった。
運の良さが58上がった。
最大HPが83上がった。
最大MPが68上がった。]
魔物達を倒した唯臣は、馬車の元へ駆けて行く。
馬車の中には、馬を駆る執事の恰好を若者と、ブロンドのポニーテールを携え、赤色の煌びやかなドレスを纏った、25歳くらいの美しい女性がいた。
「ありがとうございます。
あぁ、あなたは命の恩人です。
すぐそこの町に私の家がありますので、どうかお越しください。
お返しには至りませんが、宴を催させて頂きます。」
女性は、命の危機を救ってくれた王子様に向ける様なキラキラした目で唯臣を見ている。
「ご挨拶が遅れました。
私は、ミグニクトの豪商、ソンギブ家の長女。
オルフィー・ソンギブと申します。」
スカートの先をつまんでお辞儀をしながら女性は言った。
唯臣は会釈した。
{唯臣様~!異世界の初陣!!
お疲れ様でございました!!
ゴブリンをバッタバッタとなぎ倒す雄々しい様、素晴らしかったですぞー!!
助けた女性を見てくだされ!あのキラキラとした目!
きっと唯臣様にメロメロでございましょう~!
これは言われるがままにソンギブ家の豪邸へ向かいましょう!!
早速貴女のご住宅へ!
お邪魔してウハウハしましょうぞ~!!}
唯臣はオルフィーに言われるがままに、オルフィーの家へ赴くことになった。
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