「アンコール」
シンフォニア掲示板
佐倉幸の事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる。
さらにこの力は協奏した場合、ライブを通じて他人とも仲良くなる様に、音楽を聴いていた者同士も意思疎通が可能になる。
・ギターの魔力の1つ 【心酔】
幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。
・ギターの魔力の1つ【協奏】
幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。
この世界の事
この世界は6つの国からなる。
【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】
・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?
・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。
この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。
そして、楽器は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。
そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。
もちろん。自由や平等といった人権はない。
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”タッタッタッ ダン”
フーガスカのカウント(曲の導入の為、リズム隊が正確な曲の速さを伝える単純な打音)から、アンコールが始まる。
アンコールの曲は、Cのコード一つで、みんなでセッションをするイントロだった。
たった1つのコードを全員で丁寧に紡いでいく。
お互いが目配せをしてお互いの立ち位置を知り、最良の音を探して行く。
今回のライブは、序盤フーガスカが演奏に加われず、あわやライブが終了してしまう所だった。
フーガスカがステージに上がれた後は、彼女のリズムの舵取から、みんなの心が一つになり、良い演奏が出来た。
幸がフーガスカを見る。
フーガスカも笑顔で幸を見返す。
【音楽を通じて、フーガスカはもうかけがえのない仲間になっていた。】
アンコールの曲は続く。
1人じゃないと言う安心感と、相乗効果が産む、美しいメロディー。
みんなで空高く舞い上がった先に見つけた物。
それは、個々が各々を発現して奏でた音が、ついに交わり合わさった旋律。
幸達が奏でる音楽は、ひとつひとつの音が色を持って輝く、虹のカーニバルの様だった。
特等席で聞いていたミーナは、ひとしきり泣いた後は羨ましがっている。
こんなステージで、沢山の人の前で自分も音楽を奏でたいと。
幸の音楽により、楽奴と言う束縛から解放されたミーナは心底音楽に飢えているのだった。
「最高ー!!」
「フーガスカちゃん可愛い!!」
「ギターしびれるぅぅ!!」
そして、演奏に感動しているのは、ミーナだけではない。
客席は大盛り上がりだ。
2000人の大合唱。
合わせた声は、大空を飛んで行く。
そして本当に飛んでいるやつもいる。
「ライブって最高じゃねーか!
おらぁ!みんなもっと騒げー!!」
警備兵隊長が通信魔法を使い兵隊に通信しながら飛んでいる。
アンコールが始まって、あっという間に幸のギターの魔力の虜になっていた隊長は、ダイブをして一心不乱に音楽を聴いていた。
ダイブとは音楽フェスやライブで興奮した観客が、他の人の頭上を転がり通過したり、ライブ会場にいる人をめがけてジャンプしたりする行為のことで、隊長は2000人の観客の波の上を縦横無尽に飛んでいるのであった。
…………。
……。
警備兵は全員陥落し、もうこのゲリラライブが止まることはないので、【ケイケス・サオールズの町民会議】は完全に中止となってしまった。
その主であったケイケスは、キヨラという女王様がヴァイオリンに夢中で、相手にしてもらえないので、ステージ上をパンツ1丁で徘徊しながら考えていた。
前領主が去り、ついに領主の座に座れたケイケス。
もちろん当初はより良い町にし、町民に認められる素晴らしい領主になりたかったのだ。
それが、人々の関心はみんなワタークのことばかり。
その結果、もともと性根がひねくれていたケイケスは、どんどん町民を苦しめて従わせる、良くない政治を行ってしまった。
この美しい海の町を、サオールズ家としてたった一人で統治することに固執していたケイケス。
自分の力で町を良くする。それがこの町の為になると。
この町の名はザンスター・サオールズ。
ザンスター家とサオールズ家の名を冠したもの。
【町中に慕われているワターク・ザンスターと、共に政事を行う未来もあったのではないか。】
幸達の音楽を聴きながら、ケイケスはそんな風に思っていた。
…………。
……。
そして楽しかった時間ももう終わる。
幸はフーガスカを見た。フーガスカはニコッと笑い終幕に向かうリズムを叩いた。
それに全員が乗っかりザンスター・サオールズでの最後の一曲が終わった。
”~♪”
「「「「「「うおぉー!!凄かったぁぁぁああ!!!」」」」」
割れんばかりの大歓声と拍手が鳴りやむこと無く響いていた。
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……。
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