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【祝10000PV感謝】異世界でもギターシリーズ  作者: bbbcat
第2章 異世界でもギターしかなかった ~叩く女と2つの塔~
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「それぞれの前日」

シンフォニア掲示板


 佐倉幸さくらこうの事

・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ

・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】

 幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる。

 さらにこの力は協奏した場合、ライブを通じて他人とも仲良くなる様に、音楽を聴いていた者同士も意思疎通が可能になる。

・ギターの魔力の1つ 【心酔】

 幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。

・ギターの魔力の1つ【協奏】

 幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。



 この世界の事

この世界は6つの国からなる。

【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】

・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?

・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。

 この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。

 そして、楽器は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。

 そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。

 もちろん。自由や平等といった人権はない。

**************************************

【ゲリラライブまであと1日】


…………。


……。


          ”ダンダ ダンダンダ ボンダ ボン”


 クラウディアの海にグルーヴの効いた軽快なリズムが響く。

その深い打撃音は波の打ち返しの音と相まって心地よい。


「せやー。

 うちが腹の下の方叩いたら”ウ”の口に窄めんやでー。」

フーガスカは続ける。


「ほんでー。

 この耳のトコ叩く時は”ア”の口して大きくしてやー。

 ほならなー。高い音出て気持ちいいからー。」


「はいぃぃ!!

 女王様ぁ!!」

ミミックは目をハートにしながら叫んだ。


 フーガスカは"ミミック"という打楽器を手にしてからと言うもの、叩くのが楽しくて楽しくて、ご飯と睡眠中以外は、一日中ずっとミミックを打ち込んでいた。

ミミックの前面部の鍵穴の下の方は叩かれ過ぎて白くなっていた。


「強く優しく叩くんやー。

 明日本番やでー。

 楽しみやー!」

黄色の髪を揺らし満面の笑みで言うフーガスカ。


 既に演目の流れも把握し、準備は万端で明日を望む彼女は明日が楽しみでしかない。

緊張は一切なかった。


「はいぃぃい!!

 私も精一杯の喘ぎ声を響かしますー!!」

ミミックが叫ぶ。


「それはいらん。」


                  ”~♪”


…………。


……。


**************************************


            【次の町民会議まで残り1日】


「いよいよ町民会議が明日だぞ……。

 次は誰が犠牲になるんだ………。」

男がため息交じりに言う。


「前回までは、1週間前とかにケイケス様に連れ攫われる奴がやり玉だったから、噂でどこの者か分かったが……。

 今回は何の話も聞かないなぁ……。」

もう一人の男が言う。


 朝のこの時間は、港は絶賛稼働中で、漁師達が荷揚げを行っていた。

町民の関心はやはり町民会議で、働きながらもその話題で持ちきりだった。


「いっそ、今回は不発で誰も裁かれないのならいいのに……。

 それか楽奴の奴らとかな。」


「ははは。

 だったらいいなぁ……。

 誰も迷惑にならねーな。

 ……俺ぁ、やっぱりワターク様に領主になって欲しいぜ。

 こんな毎月毎月びくびく怯えて過ごしたくねぇよ。

 町民会議も以前の様に町の為に行いてえなぁ……。

 ワターク様と一緒に最高の海の町にしたいぜ。」


漁師達のボヤキは続く。


…………。


……。


 漁師達が、ガヤガヤと仕事をしている間、広場に住んでいるチャコ達、楽奴はと言うと……。

 隅っこの方に集まり会議をしていた。


「いよいよ明日だね。

 ゲリラライブ。」

チャーコが言う。


「あぁ。

 この一ヶ月の集大成だ。

 絶対に成功させたい。」

息まくのはウッドベースを持つ男。


「今から緊張で”ゲロ”が出そうだ……。」

スネアの男が蒼白な顔をして言う。


 6人は、自分達のパートの確認を輪になって行いながら、漁師たちの仕事が終わるのを待っている。

人がいなくなってから最後の合わせ練習を行う予定だ。


「キヨラさん大丈夫かな……。

 私のせいで……。

 ミナも無事だろうか……。」

チャーコは二人の事を考えるとすぐに眼がしらに涙が溜まってしまう。


「大丈夫よ。

 キヨラさんならきっと大丈夫。

 ミナは明日みんなで正気に戻しましょう。」

チャーコをぎゅっと抱きしめて落ち着かせるのは鍵盤ハーモニカの女性。

 ふくよかな身体にチャーコの小さな身体はすっぽりと挟まっている。


「ありがとう。

 泣いてられないね。

 みんな明日絶対頑張ろうね!!」


            「「「「「「おう!!!!!!」」」」」」


…………。


……。


**************************************


 幸とピーネは、攻略したはずのシーガーディアンの塔1階のボスの間に来ていた。

正確にはキヨラが攫われて以降、ほぼ毎日来ていたのだが。


「こんにちは!

 コカビエル!

 今日はどうだい?」

幸が毒々しい悪魔に爽やかに言う。


「ああぁ!!

 幸様!!いつもいつもお越し頂きありがとうございます!!」

深くお辞儀をするコカビエル。頭に生えた二本の角が幸を挟み込む。


「今日もあの女は来てないです。」

コカビエルは言う。


「そうかありがとう!

 また来るね。」

幸はそう言ってピーネの脚に掴まる。


 ピーネは翼を広げて勢いよく窓から飛んで出ていく。


…………。


……。


 キヨラは結局、自身が持つダンジョンコア一度も使わなかったようだ。

よほど安全マージンが取れているとしか考えられない。


「キヨラ……。

 大丈夫だよな?

 明日ステージで元気な顔見れるよな?」

ピーネは羽をバタつかせながら足元の幸に向けて呟く。


「あぁ、きっと大丈夫だよ。

 キヨラは賢いから、冷静な判断をして、今ケイケスの所にいると思うんだ。

 だから明日ステージで何かされる前に必ず助けよう。」

幸は続ける。


 「楽曲はしっかり頭に入ってるはずだし演奏もきっと大丈夫。まぁ合わせはちょっと足りないけどね。」


「そうだなぁ……。

 じゃあ俺が!!

 俺が、キヨラの分も頑張ってハープ弾くぞ!!」

ピーネが”えっへん”として言った。


「そうだね!

 俺達で明日のライブ絶対に成功させよう!!」


 2人はそう言いながらいつものベースキャンプ地に向かって飛んで行った。


 いよいよ明日がゲリラライブの当日。

幸達はどんな景色を望むのか。

 

…………。


……。


**************************************

出会ってくださりありがとうございます!


ブックマークや感想など書いていただいたりしたら、本当に励みになります。

去年の終わり頃から始めてフォワーやブックマークが少しずつ増えてきました!ありがとうございます!

リタイアせず、頑張りたいと思っておりますので、何卒応援よろしくお願いします!

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