「種族混合村と大合唱」
シンフォニア掲示板
佐倉幸の事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる
「ついたぞ!!」
ピーネの道案内でたどり着いた村は、
それは、村と言うにはかなりおそまつなものではあった。
森の中の少し開けた空間をおそらく爪や牙であろう、邪魔な位置にある木を雑にへし折り、
太くとがった幹と根が、そのままになっているの所々見受けられる。
家と思われる建物も、
石や鉄などの鋼材も、布等の繊維素材も使わず、
何者かが、ただ木の上を陣地として所有していたり、
鳥の巣の様に木を編んでドーム状にしている様な家ばかりだ。
そして、確かに魔物の村であることは間違いない。
そこまで広くないであろうこの集落を見渡せば、
耳がとがって緑色をしている者や、豚の顔をした巨漢がいたり、水の様な生き物だっている。
まさに日本にはいなかった、ラノベに出てくるような「ザ モンスター」というような生き物ばかりであった。
「ここがピーネの村か……。」
幸はこの世界は、まだこの「迷わずの森」しか知らないので、
元の世界と比べる事は出来ても、
これがこの異世界でのどの程度の文明力なのかは全く図れない。
ただ、何か加工したのであろう道具や工具、皿や壺の様な陶材も見当たらない以上、
ここには人間のような文明人はおらず、
やはりそれが作れる人間の知恵、技術の偉大さを、幸は何となく感じていた。
「幸!待ってろ!俺も家から取ってくる!」
ピーネはそういってバサバサと翼を仰いで幸から離れていく。
「え!?ちょっちょっと待ってよ!」
独りにされた幸は叫ぶ。
「「「ギャオース!!!」」」
幸が叫んだせいか、魔物達がどんどん集まって来た。
先ほどから見えていた者達のほかにも、
身体が馬で人の身体がある者や、自分の身体よりも遥かに大きな蜘蛛も現れた。
さらに後方からは角が生えて一つ目の大男が歩いて来る。
混合村と呼ばれ、はぶれた物共が集まるとピーネが言っていたが、
同じ種族である魔物は、なるほど、1人として見受けられなかった。
「ひぃ~!!」
幸は、先ほどはピーネ、たった一人にすらゲームオーバーを覚悟していたのに、
これほどの数の魔物と対峙するのは恐怖でしかない。
しかもピーネはどこかに飛び去った。
幸は恐れながらも、これしかないとばかりに抱えていた物を見る。
そして緑の相棒を演奏するポジションに構えた。
「B E F# G#m7♪」
奏でられた音はキーの音から始まり綺麗に循環しまたキーに戻る優しいコード進行。
物悲しさはなく元気に、そしてその中に温かな優しさが包まれたメロディー。
幸はそれを巧みなアルペジオで優しくつま弾いた。
「~♪」
「なんだこれは!?」
「美しい!」
「気持ちいい」
魔物の奇声が次々に言語化され、幸の耳に届く。
「~♪♪」
「最高だ!!」
「涙が勝手に溢れてくる」
この規模の村なら、余裕で端から端まで届いていく。
いつしか村の生物全員が、幸の元まで寄って来て音楽を聞き入っていた。
「ピロポン♪パロポン♪」
そんな時、上空から弦楽器が小気味良いリズムを蓄えて鳴る。
幸はギターを弾きながら上空を見る。
ピーネだった。
幸を置いて飛び去ったピーネは、"ハープ"を自分の家から取って戻って来たのだ。
着地したピーネのハープは、ギターに寄り添う様に爪弾かれ、幸のギターの輪郭が強くなっていく。
"文明の力がないこの村に何故ハープが?"
と言うクエスチョンは後述する事になるが、
ハーピーのハープ、その音色も幸のギターと重なり、
キラキラと光を帯びて村中に伝わって行く。
幸はニヤニヤが止まらない。
誰かと演奏を披露するのは、幸にとって人生で2回目だが、
一人で弾くより10倍楽しいのは既に知っている。
村は幸せに包まれていつしか全員肩を組み歌い出す。
「WOWさぁ輪になって踊ろう!!らららららすぐに分かるから!!」
と言わんばかりにゴブリンやオークやスライム達は高らかにみんなで歌い出すのだ。
幸も嬉しくなって、ギターを止めない。
「~♪」
幸とピーネの2重奏は、この村の全ての魔物を虜にした。
幸の笑顔は村中の魔物を笑顔にした。
そして大合唱を巻き起こしたところで、最後の小節も弾き切っていた。
「「「「パチパチパチパチ」」」」
村の魔物達が怒号の様な拍手と共に、
「「「「「お前はもう俺たちの仲間だ!」」」」」
心が一つになった瞬間である。
幸は気持ちよさの中にトリップしていく。
……。
……やっぱりライブって最高。
…………目の前がまだ真っ白に揺らめいて輝いてんだ。
………………。
…………。
……。
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