「シーガーディアンの塔3階攻略」
シンフォニア掲示板
佐倉幸の事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる。
さらにこの力は協奏した場合、ライブを通じて他人とも仲良くなる様に、音楽を聴いていた者同士も意思疎通が可能になる。
・ギターの魔力の1つ 【心酔】
幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。
・ギターの魔力の1つ【協奏】
幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。
この世界の事
この世界は6つの国からなる。
【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】
・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?
・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。
この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。
そして、音楽は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。
そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。
もちろん。自由や平等といった人権はない。
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【ゲリラライブまであと6日】
…………。
……。
「あああっ!!!
まっ、魔物が沸いてる!!!」
歓喜の声を出したのは佐倉幸。
シーガーディアンの塔3階にて、ずっと足止めを食らっていたのが遂に動き始めたのだ。
ダンジョン内の魔物が再び出てくる事を”リスポーン”と呼ぶ。
魔物がリスポーンされる条件はダンジョンによるが、時間経過やダンジョンマスターが再配置を行った時である。
「おお!!
幸!!魔物いっぱい!!
俺が倒して来る!!」
キラキラとした目で言うピーネ。
「ダメダメダメ!!!
今から音楽を聴いてもらって言う事を聞いてもらうんだから!!」
目を離せば一瞬で飛んで行きそうなピーネに後ろからしがみついて幸が言う。
「ちゃんと飛んでてね。」
ピーネに腰辺りを掴んでもらいダンジョン内を滑空しながらギターを弾く。ダンジョン3階の隅々にまでギターの音色が届く様に奏でて行く。
その様はまさにフライングギター(フライングⅤというギターのシリーズがある)であった。
”♪ダダダダダダダダ……↑””♪ダダダダダダダダ……↓”
幸がいつも左手の運指をフレット(目的の音高を出す為にギターに打ち込まれた棒状の金属。)ごとにスムーズに動かす練習を奏でる。
ギターの弦は6本あるのだが、構えると上から6弦が一番太く低い音がし、1弦が細く高い音がする。まず6弦の1フレットから4フレットまで単音弾き。
つまり左手人差し指から順番に小指まで弾くと、次は5弦、4弦と弦を変えて同じことをする。この時音は半音ずつ上がって行く。
そのまま1弦で小指まで弾き切った後に、次はそのまま1弦の2フレットから5フレットに運指をずらし今度は5フレットの左手小指から人差し指の2フレットまでと順番に音を出す。この時は音は半音ずつ下がって行く。
そのようにして人差し指で2フレットまで弾いたら、2弦、3弦と同じことをする。
6弦までたどり着いたら今度は6弦の3フレットから6フレットにかけて人差し指から順に弾いて行く。これを繰り返す。
ギターの初歩の一番オーソドックスな練習法である。
幸はギターを初めて触ってから今日に至るまで、一日と欠かすことなく毎日弾き続けている練習なのである。
「なんだこれ!心がザワザワする。」
「音の粒が見えるみたい。」
「気持ちいい……。」
魔物達は幸のギターを聞き、目がハートになっていた。
”演奏”というより”練習”をしていたのにも関わらず、心を虜に出来る幸のギターの魔力である。
「みんなお願いがあるんだ!
それぞれの近くにある台座に座って欲しいんだ!!」
幸が飛びながら、魔物達に聞こえる様に叫ぶ。
幸の叫びが合図になった。
「「俺だ俺だ!!」」
「「「「俺が座るんだ!!!」」」
10個の台座を巡り魔物達の椅子取り―ゲームが始まった。
恐ろしい体躯の魔物達のガチの身体のぶつかり合いである。
シーガーディアンの塔の3階の魔物、ザッと見て、30匹はいる中で、立った10席を取り合うのだ。
混戦必死の大デットヒートが始まっていた。
それを見た幸はつい”オクラホマ・ミキサー”弾いてしまう。
”♪~~~”
幸が弾き切るか弾き切らないかで、勝者が決まり、10席を勝ち得た魔物が台座に座る。
そうすると、ボスの扉付近の床が”ゴゴゴゴ”とせり上がり、鍵が出てきたのであった。
「「「幸様!また来てください!」」」
「「「「いつでも我々は力になります!」」」」
魔物達はそれぞれに幸に別れを告げる。
「ありがとう!みんな!」
幸がカギを掴みながら叫ぶ。
この階層のギミックは10の台座に座るで合っていたようだ。
出てきた鍵を大きな扉に差してみる。
”カチャリ”
小気味よい音がして扉が開いた。
幸とピーネはその扉の中に入って行く。
すると案の定部屋の中心で佇む強力なオーラを身に纏う魔物と出くわした。
「ゴォオオオ!!!」
その魔物は後ろに反り返った大きな二本の角を頭にはやし、目はギラギラと輝いて、鋭い牙を向き出しにした恐ろしい形相をしていた。
何よりもサイズがデカい。天井に二本の角を”ズリズリ”と引きずり獲物を探していた。
しかし、やはりダンジョンボス。
フロアの中心から動こうとしない。
幸はギターを構え今までの様に弾きながら近づいていく。
「嗚呼、なんであるかこの音は!
天上天下唯音独尊。この音こそ世界の心理である!」
ボスは痙攣しながら金切り声をあげる。
幸はそんなにかなぁ?と思いつつも距離を詰め、ついにボスの目の前まで来た。
すると遠目よりも遥かに大きなサイズであって、首の骨が”ボキボキ”と鳴るほど上を向いて、やっとのことで相手の顔が見える位置にあった。
「我の名はクランプス。
信じがたき天上の音を賜う人間様よ。
名はなんと言う?」
「俺は佐倉幸だ!」
流石に毎度のパターンで違和感も感じずに返答する幸。
「幸様か……。
真に美しい音だ。
我は虜になってしまった。」
クランプスは続ける。
「これはこの階のダンジョンポータルだ。
またここに来てその素晴らしい演奏を聞かせて欲しい。」
頭を垂れて、幸にマジックアイテムを差し出す。
「ありがとう!!
またたぶん来るよ!!」
幸は曖昧な返事と共に、ポータルを受け取り、ピーネと共に、次の階層に駆けあがって行った。
もうのんびりしている時間はあまりない。
3階クリアならばすぐに次の階を目指すべきなのだ。
今日4階をクリア出来たら、3階のポータルは使う事はないであろう……。
シーガーディアンの塔は全部で5階と言われている。
次の階は4階だ。
いよいよ完全攻略にも近づいて来た。
幸とピーネは勇み足で次の階層を駆け上がって行くのだった。
…………。
……。
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