「次の町へ」
シンフォニア掲示板
佐倉幸さくらこうの事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる
・ギターの魔力の1つ 【心酔】
幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。
・ギターの魔力の1つ【協奏】
幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。
この世界の事
この世界は6つの国からなる。
【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】
・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?
・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。
この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。
そして、音楽は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。
そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。
もちろん。自由や平等といった人権はない。
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……。
…………。
「さぁ、混合村も出ちゃったし、いよいよ旅が始まるね。」
キヨラは楽しそうな笑顔を幸に向ける。
「めちゃくちゃ楽しみだぞ!
幸!!どこ行く?どこ行く!?」
ピーネも“ワクワク“が止められない。
「そうだなぁ。
たしか酒場のマスターが、ここから近い町のこと教えてくれてたよね。」
幸が応える。
…………。
……。
“佐倉幸”は、ギターケースを手に入れ、今や楽しめることが可能となった、空中遊泳を楽しみながら次の町を目指していた。
幸は、ギターのたった一本で異世界に飛ばされ、飛ばされた地で様々な出会いがあり、それを己のギターで切り抜けて来た。
幸には転生ボーナスにより、音楽の才能が100倍されている。
聴くものを魅了する事が出来るのだ。
切り抜けた先で始まった、【成すため】の大冒険が今まさにこれだ。
連れ仲間も二人いる。
空を飛んでいるのは、“ピーネ”というハーピーの子。いわゆる魔物。
彼女は女面鳥身の身体を器用に使い、右足で幸を掴んでいる。
扱う楽器は、ハープだ。
そして、もう一人の仲間は左足で掴まれていた。
ヴァイオリン奏者の“キヨラ“だ。
彼女は元楽奴だった。
楽奴とはこの世界特有の音楽をさせられる専門の奴隷である。
自由や、人権も無く、誰も聴いてくれる事もない音楽を奏でさせられ続ける。
3人は世界中の楽奴を解放し、音楽が嫌いで聞こえなくなってしまったすべての人間たちに音楽を取り戻したいと考えている。
それが彼らの【成すため】の旅の目的である。
…………。
……。
「ああ!
確かにマスターが言ってた!
次に行くべき町ね。
確か……、ザンスターサオー?
なんか長い名前だった!」
非常にあやふやな情報をキヨラは告げる。
◇◇◇
【ザンスター・サオルーズ】
それは海に面した漁港を生業にしている《大きな町》だ。
取れる海鮮はとても新鮮で美味しく、この町では、米に生の切り身の魚を乗せて、あるものを付けて食べるらしい。
そして重要なのは、《町》であること。
今度は村ではなく町であるので、人口も桁違いだ。
1000人はゆうにその町で暮らしているだろう。
それとこの世界での《町》の特徴のもうひとつは……。
◇◇◇
「幸。
町だからね。《貴族が》その町を仕切っているんだよ。」
元楽奴でも知っているこの世界の一般常識。
「でね、貴族がいるって事は、バーウの村みたいに、町で演奏させられる楽奴と、《貴族が占有で》演奏させている楽奴がいるって事なの。
【占有預かりの楽奴】って言うんだけどね、まぁよっぽどおっきくて強い貴族とか、稀にいる豪商じゃなければ、1家に一人の楽奴らしいけど。」
これもこの世界では一般常識らしい。
「そっ、そうなんだ。
占有預かりの楽奴……。
なかなか会う事が出来なさそうだね。」
幸は思う。
バーウの村は3人の楽奴で、村の入り口で固まって演奏していたので簡単に見つかった。
しかし、貴族の家にいるとなると相当に難しい。
夜中に忍び込むとか、貴族が外に楽奴を連れていく時を狙うのか。
「まぁ全部ついてからだね。情報を集めないと!
早速向かいましょう!
方角はわかってるのよ。
サザン!!
南の方角よ!」
“ビシッ”と指さしたその方角は、確かに南らしい。
「よし、じゃぁ行こう!!
ピーネあっちの方角だ!」
幸も指さし目指すは南。
「分かった!!」
ピーネの飛行スピードなら、近い町ということもありすぐについてしまうだろう。
「あっ、それと今回の《楽奴解放以外の目的》も言っておきたいかな。」
幸がおもむろに呟く。
「お!
なんだなんだ!
俺何でもするぞ!乳だすか?」
ピーネが下品なことを言う。
「違うよ……。
目的って言うのはさ。
俺達がサーカス団になって行くためのって事なんだ。
一つはそうだなぁ……、馬車?
サーカス団って馬車で移動しているイメージがあるから。」
馬車はむしろ、ファンタジー系のゲームの定番の移動手段だから、幸が“パッ”とイメージしたのではなかろうか。
「馬車ねー。
高いだろうね……。
貴族とかお金持ちの商人が乗っているイメージだもん。
私達が村のみんなから頂いたのは……。
あっ、そういえば中見てないね。」
キヨラはそう言うと、バーウの村から発つときに村のみんなからもらったコイン袋を覗いた。それが3人の全財産である。
「うわぁ!
2000プオンも入ってる!
これだけあれば、10日くらいはお金の心配もないんじゃないかな。」
キヨラの目が“$”になっている。
この世界でのお金の単位は“プオン”らしい。
「それと……、次仲間になってくれる奴がいたらさ。
そいつは《打楽器》がいいよね。
今みんな楽器、上物だから……。」
仲間をもっと増やす想定の幸が言う。
「「むー、もうちょっとこのままでいいのに。」」
ピーネとキヨラはもうちょっと幸をふたりじめしたい。
楽器が上物というのは、ギターや、ヴァイオリンなど本来はメロディを取ったり、コード感を出すものの事である。
アンサンブルには、どっしりと低音で音を支えてくれる役回りの楽器が必要なのだ。
それの代表が、打楽器やベースとなる。
「とっとにかく!
俺が言いたい事は言った!
さぁ行こう!!」
幸は気を取り直し南の方角を指さしていた。
…………。
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去年の終わり頃から始めてフォワーやブックマーク全然ないので、嘆いております。
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