「プロローグ②ークラウディア海岸の夜更け」
シンフォニア掲示板
佐倉幸さくらこうの事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる
・ギターの魔力の1つ 【心酔】
幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。
・ギターの魔力の1つ【協奏】
幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。
この世界の事
この世界は6つの国からなる。
【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】
・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?
・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。
この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。
そして、音楽は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。
そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。
もちろん。自由や平等といった人権はない。
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”ザザーン”
夜のクラウディア海岸は佇む。
遠くに見える灯台を目指して、月明りの道が滔々と橋を架ける。
”ああーっあぁぁー”
波の音の静寂に、耳を傾けると。
女の泣く声がする。
“パシャッ” ”パシャッ”
波が跳ねて弾かれる音もする。
”あぁーっ” ”あぁーっ”
女が泣いているのか、それとも波と岩のこすれの反響なのか、分からない。
でも確かにむせび泣くようにも聞こえるそれは、クラウディアの砂浜にも届いて来る。
「あぁ……。
また泣いてる。
何がそんなに悲しいの……。
……僕にも教えて欲しい。」
男は砂浜から海を眺めて呟く。
“パシャッ” ”パシャッ” “パシャッ” ”パシャッ”
波は弾かれリズミカルに跳ねた。
“ああぁ抱きしめて。私を強く。そして愛して。”
女がこう言っている。
……男は何故かそう思う。
「君は僕の唯一の灯台さ。
君が笑って光り輝くなら、僕は死んでも構わない。
だから……。さぁ僕の事も愛しておくれ。」
男は左手を海に掲げ、“さぁ、この胸に飛び込んでおいで”と言わんばかりの顔をしている。
“パシャッ””パシャッ”“パシャッ””パシャッ”“パシャッ””パシャッ”
波が六連符の様に弾かれた。
クラウディア海岸から見える灯台はもともと一つだった。
それは若干ピンクがかった白色をしていて、とてもキュートなデザインだ。
恋人同士はその灯台の元に小さな花の種をお互い植える。
それが並んで実ったらその恋は《愛》に花開く。
そんな恋のおまじない。
しかし、つい最近、クラウディア海岸から見える灯台が一つ増えた。
突如として“ダンジョンの塔”が現れたのだ。
そちらの塔は若干水色がかっていて、そちらもキュートである。
そう。
灯台は《二つ》ある。
「もう、ワターク!
そんな訳の分からないことばっかり言って!!」
男が付けた砂浜の足跡をたどり、女がやって来た。
「あぁ、ユラーハ!
君こそが僕の唯一の灯台。
さぁ、その美しい唇をこの僕の口と触れさせて!」
ワタークはユラーハを見つけると、ドタドタとユラーハに向かって走って行く。
「さっき、海の女にも言ってた……。
同じ事言ってたじゃない!!
唯一の光って!!
ワタークの事なんてもう知らない!!」
”トン”
女は男を突き飛ばし、拗ねて走り去っていく。
“ドボーン”
「あぁあぁぁぁぁあ!!
ユラーハァ!!
待ってーーー!!」
ワタークは海へ弾き飛ばされた。
女は軽く小突いただけなのに、男は凄い勢いで海へダイブすることとなった。
……そう。
ユラーハは人間ではなかった。
《ウンディーネ》だったのだ。
ウンディーネとは水を司る精霊である。
人間のワタークと、精霊のユラーハ。
相容れない二人の恋のお話が、このクラウディア海岸にはあった。
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