「プロローグ ー関西弁の女」
シンフォニア掲示板
佐倉幸さくらこうの事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる
・ギターの魔力の1つ 【心酔】
幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。
・ギターの魔力の1つ【協奏】
幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。
この世界の事
この世界は6つの国からなる。
【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】
・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?
・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。
この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。
そして、音楽は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。
そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。
もちろん。自由や平等といった人権はない。
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……。
…………。
――シューン――
――シュワーッ――
森を閉めた闇夜のカーテンが、ホワイトの調整を徐々に上げていって、全体が白く見えなくなるような、とても強い発光で、無理やりこじ開けられた。
その発光の根本は、なにやら空間がぱっくりと割れたみたいに、いびつなズレが生じている。
しかし、それらは全て《刹那》に行われた。
一瞬のその光に、その亀裂に、森の生物は誰も気付きはしなかった……。
「はい!きたぁ!
おらきたぁ!!」
下品な関西弁がその亀裂が生じた筈の場所から叫ばれる。
あ、声に驚いて今ハエが一匹、どこかへ飛んでった。
「なんやなんや?
あたしは何になったんや?
おっ、飛んでるやん。あたし飛べるんかいな。
ほんで?ほんでなんなん?
ハエかあたしは?
あっ、あっちに川あるやーん。
とりあえずどんな顔かおがましてもらおかなー。
ひゅーっと飛んでくでー……。
ってめちゃくちゃ遅いやん!なんなんこれー。」
マシンガンの様に打ち出される言葉の多さ。
もしこの関西弁を聞いているのものがいたのなら、耳を塞ぎ、顔をしかめ、これだから関西人は……。
と関西人に対する評価を下げるのであろう。
飛び方初心者であったこともあり、“フーラフラ”ともたついて飛行するその関西が、ようやく川に辿り着いた。
その羽虫は、川の澄んだ水、そして上空から零れてくる月の光で、自らの顔を確認するのだった。
「あっフェアリーか!!
良かったぁー……。うん〇バエやったらどうしようか思たわー。」
きったない言葉。
川ではなく小さな泉で自分の顔を確認したのは、転生の女神【アルメイヤ】だった。
彼女は、幸に転生の呪文を唱えた時に、ルールを破った。
本来《全ての能力を10倍》にするというのが転生のルールだった。
しかし、幸にかけられたその呪文は《ある一つの能力を100倍》にするというものだった。
ルールを破った者には、古今東西あらゆる全てにおいて罰が下されるのが常だ。
転生のルール破りの罰は……。
ルール破りをして転生された者が【成す】まで、転生呪文を唱えた者も、同じ異世界で転生し生きなければならないというものだった。
アルメイヤは当然そのリスクがあることを知った上で、幸に呪文を唱えた。
まるで祝福するかのように呪文を。
彼女は当然、後悔など微塵にもしていない。
「あーっ、まぁフェアリーなら当たりかなー。
ただちょっと弱いねんなーこいつ。
ちっこいし。
狙ってたんはエルフやってんけどなぁ……。
白百合の様な肌、サラッサラの緑髪。
めっちゃしゅっとした体に、ボインボイン。
完璧やん。
あーそっちが良かったわー。
リセマラできひんのこれー。
でも待てよ。もっかい顔みよ。
あー!!!
ええやん!!あたしの顔も!!
いつも通りの顔やーん!
元の顔がいいからなぁ!」
彼女は後悔など微塵にもしていない……、多分。
「まぁええわ。
あたしにはやることがある!!
幸や!!
きっといきなりの異世界で“エンエン”泣いてるで。
あの子“Luck”の能力値も0やもん。
多分、最難関の“迷わずの森”とか飛ばされて詰んでるで。
……ってまぁ、流石にそんな運悪いわけないか。
とにかく、あたしが助けたらな!!」
罰には転生した者に接触してはいけないという規則は無い。
助言も可能らしい。
アルメイヤは、幸と合流し、共に異世界を旅するのが目的なようだ。
ただ、自分の転生した者の行方は、《転生の女神の状態でないと》分からない。
フェアリーになってしまっているアルメイヤは、勘と、幸が【成していった】軌跡を頼りに見つけるしかなかった。
しかも、彼女の身体は今はフェアリーで、人間の手の平サイズ。
つまり、世界の大きさも通常の何倍にもなっている感覚なわけだ。
「なんなん、めっちゃむずいやん!!
どこおるんか分からんねんもん。
……とりあえず、情報が絶対必要や。
まずは、この森から出て自分がどこおるか把握しな。
待っててなー!!幸!!!
あたしが絶対助けたるー!!」
フェアリーは、人が海でするように、泉で叫んだ
そして飛んで行く。
“フーラフラ”
果たしてアルメイヤは、意中の相手、幸と無事に出会うことが出来るのであろうか。
…………。
……。
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