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【祝10000PV感謝】異世界でもギターシリーズ  作者: bbbcat
第1章 異世界でもギターしかなかった ~迷わずの森とチケット大作戦~
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「バーウの村での大打ち上げ」

シンフォニア掲示板


 佐倉幸さくらこうの事

・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ

・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】

 幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる

・ギターの魔力の1つ 【心酔】

 幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。



 この世界の事

この世界は6つの国からなる。

【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】

・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?

・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。

 この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。

 そして、音楽は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。

 そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。

 もちろん。自由や平等といった人権はない。

**************************************


……。


…………。


 村の最奥のステージの周りは村人全員が集まっても大丈夫なほどの、広さが確保されている。

 ステージの照明に加え、ミスリル製の置き型のランタンも地面に大量に設置され、非常に明るい。

 

 幸達のステージが終わったあとが大喝采が鳴りやまなかった。

興奮冷めやらぬ人間が考える事は打ち上げである。

 村人達と幸達、そしてゴブとゴブミ、全員で宴を催す事となった。


 皆々に酒や、食べ物を持ち寄り、テーブルを持ち寄り、村人全員が飲んで食べてしても十分に満足出来るほどの大量の飲食物が集まった。

 

 そして、タックが叫ぶ。

「みんな騒いで飲んで食いまくれー!!!」


 それが、合図となり、大立食大会が始まった。


 幸はすべての力を使い果たして呆けていた。

そこにやって来たのはいかついスキンヘッド。


「おう。

 昨日は本当に悪かった。

 お前が、こんなに凄い奴で、音楽がこんなに凄いものだなんて知らなかったんだ。

 許してくれ。」

スキンヘッドが頭を下げ、ミスリルのランタンから溢れた光を反射して、幸は思わず目の前を手で覆った。


「あの時は、ちょっと辛かったけど……。

 今はあんなに喜んで俺の音楽聞いてくれてとっても嬉しいよ。」

幸は流石に頭をなでるわけには行かないので、下げられた、肩をポンポンと叩く。


「あぁ、お前は心までそんなに優しいのか。

 音楽をやったら俺もお前みたいになれるのかな?」

音楽をプレイする側に興味をもつスキンヘッド。


 幸は音楽を取り戻したことを実感する。


「とりあえず飲んでくれよ。

 うちからは酒をいっぱい持って来たんだ。

 ほら!」

グイっとスキンヘッドが差し出すのは、ビールである。

高校2年生の幸が飲むのは流石に憚られる。


「それ私がもーらい!」

そう言ってスキンヘッドから酒を奪い取ったキヨラ。

“ぐびぐび”っと喉を鳴らし、一気に飲み干した。


「ぷふぁ~!!

 めちゃくちゃ美味しい!!

 ビール飲むのいつぶりだろう!?」

久々の酒に感無量と言ったところだ。


 飲み物が無くてしょんぼりする幸に救世主が……。


「ほら幸!

 村から持ってきたんだ。

 ルーコルアだぞ!」

そう言ってゴブは幸に瓢箪に入った甘い魅惑の飲み物を差し出した。


「おおお!

 ゴブ!!ありがとう!」

幸は《《合法的に飛べる飲み物》》を手にして満足そう。


「おい、幸。

 最高だったぞ!

 ……染みた。

 特に最後の曲。」

彼は思い出し少し目尻を赤くして言う。


「それと言う通りだったろ?

 お前のギターなら大丈夫だって。」

タックは仲間を引き連れて幸に挨拶しに来た。

全員大量の食糧を手に抱えている。


 タックは自分で焼いたピーマンの丸焼きを幸に手渡す。


「おぉ、タック!

 今回は本当にありがとう。

 みんなのおかげで大成功だったよ。」

想像の斜め上の戦法で目的を無理やり達成させた立役者への幸の謝辞。


「ああ、よかったな……。

 それとおい、そこの緑の!

 お前もめちゃくちゃよかったぞ!

 イランディーだったか?

 めちゃくちゃしびれたぜ。」

そう言ってゴブにもピーマンを差し出した。


「なんだこの緑の!

 おらみてーじゃねーか!」

ゴブはそう言いながらタックと肩を抱き合って“ふんふんふん♪”と鼻歌を歌いながら、別の食べ物を探して歩き出した。


「おい!

 今日は本当に良かったよ!

 村が生まれ変わったみたいだった!」

元ミスリルのセットアップの警備兵がやって来た。


「ああ、今日はありがとう!

 ライト本当に助かったんだ。」

最初に灯籠をつけてくれた観客が幸達の心の支えだったのは言うまでもない。


「なんだよ。

 感謝をするのは俺らの方さ。

 あんな素晴らしい演奏聞かせてもらって……。

 無料でライブを見せてもらうには悪いってことでさ、みんなで話し合ったんだ。

 今日の宿も、そして明日、この村の物、なぁーんでも持ってって良いってな。」

おもむろに凄いこと言った警備兵。


「なっなにそれ!?

 そんなの悪いよ!!

 俺達はやりたいことを……んっ……。」

幸の発言を、口を手で蓋して遮ったのはキヨラ。


「やったー!!

 ぜひお言葉に甘えさせてもらうね!!

 あーっ、明日楽しみだなー!」

ご機嫌のキヨラは警備兵の頬をつんつんと差しながら言う。


「あっああ!

 もちろんキヨラも何でも持って行ってくれよ。

 だってお前ら、これから旅立つんだろう?」

頬を真っ赤にした警備兵が言う。


「えっ……。

 あっ、……あぁ。そうだね……。

 楽奴の解放の旅に出る………。」

幸は突然の旅と言うワードに躊躇した。


 【成しなさい】。

 これを達成するには当然、異種混合村や、このバーウの村だけで良いわけがないのだ。

 キヨラが言っていた6つの国、“レナシー共和国”、“ミグニクト”、“ファードナル”、“ソドム”、“ライトメイト”、“シグルド連邦”、全てを回って、すべての楽奴を解放しないといけない。

並大抵のことではないのは明白だ。


 幸の顔が微かに曇っていた。


「……幸。

 そんなに難しく考えなくていいよ。

 演奏旅行よ。

 一緒に楽しんでさ。

 ほら、絶対楽しいよ。」

キヨラが優しく諭す。


 ビールで少し頬を赤らめたキヨラ。

サラサラと夜風に軽くなびくブルーの髪とのコントラストが美しくて、幸は息をのんだ。


「どうした、どうした?

 幸!

 ちゃんと楽しんでるか?

 ルーコルア足してやろうか?」

ピーネがヒューっと飛んできてすぐさま幸のコートになる。


「うん、今日はいっぱい飲もう!

 ピーネ!ルーコルアちょうだい!」

ピーネのおっきな笑顔につられて幸も優しく微笑むのだった。



    _____世界を変える長い長い演奏旅行の最初の村_____



バーウの村でのライブは大成功に終わった。

楽しい楽しい宴の夜が過ぎていく。


………………。


…………。


……。



**************************************

コメントや良いね頂けたら泣きます……。

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