新しい革靴
新人として履いていた革靴は
下っ端として歩くには相性が良かった
すぐに脚と仲良くなり共に歩いた
何度でも磨いて外見だけでも美しく
人前でだけでも誠実な姿を
毎月クリームを塗って浸透させ
磨いてツヤを出し強く育てる
そんな作業も今月が最後らしい
実感は湧かないもので
新品の革靴を開けて出しても
どうにも脚に馴染まないのだ
ましてや外も歩かなくなるのに
俺は歩き回る方が合っていたのか
汗水流して暑い中歩く方が好きだったのか
今の革靴は捨てざるを得ない
相棒が居なくなる感覚だった