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玉砕特攻〈綿毛編〉
急がない帰路の途中。コールタールに固められた地面からタンポポが生えていた。
急がないものだからじっと見つめてみたりする。綿毛がふわふわとしていて、いかにも柔らかそうなもの。
僕は声をかけてみた。
「アメリカじゃあ、君は雑草どころか嫌われものだそうだよ」
タンポポは一度頷いて答えてきた。
「いかにも鬼畜米英らしい考え方」
今どき鬼畜米英などと聞かないもので。成る程、花も枯れ髪を白くすれば花とてボケるものらしい。
僕はいかにも軽そうな頭を一息に吹くと、綿毛がふわふわと旅立った。しかしながらタンポポは。
「天皇陛下万歳!」
などと叫ぶものだから、ブラックジョークに過ぎると綿毛を見送ったのだった。