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お天道様は見ていた
神様を森でたくさん捕まえて、その内の何匹かをポケットに入れて自宅に戻る途上のこと。
お日様が腕を組んで僕を通せんぼしていた。
「あの森の中で何をやってた?」
お日様に聞かれたが、答える義理もないので。
「別に、何も」
とだけ言って脇をすり抜けようとしたのだけれど、お日様の奴、僕の胸ぐらを掴みあげながら迫ってきた。
僕はお日様の足を蹴り飛ばすと、お日様と二人もみ合うように転がり込んだ。
「俺に話せないようなことをするな!」
「君はただ光ってる分にはいじらしいのに、ずいぶんと横柄だな!」
転がりながら殴り合ううちに、うまく僕がお日様に馬乗りとなったので、横っ面に拳を何度か入れて。
気を失い力なく開いたお日様の口に、ポケットから取り出した神様を突っ込んで、僕の勝ちだとニヤリ笑ってとうとう帰宅した。
くたくたな僕は上着を脱いだだけで眠ってしまったけれど、朝方とんでもない音がした。
上着のポケットと東の壁に大きな穴が空いていて、なんと神様が一匹も居なかったのである。
そろそろ日の出の時刻だろう。あの野郎のしてやった笑顔を思い浮かべた。