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魔剣の呪いがスパルタって!  作者: 軒下水滴
アトラス編
4/31

4.依頼を受けてみた 2

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

本日の依頼:ビッグアントの蜜の収集と討伐


ビッグアント(虫):体長1メートルの蟻。女王蟻は30メートル。

 巣の中には、お尻に蜜を20Lくらい溜め込む個体あり


タクマ(人間)

 体力:大

 剣技:普通(剣筋が少しよくなった)

 闘気:大

 闘気の制御:下手(少し使える)

 魔力:大

 魔法:生活魔法を少々 ロックランス(石槍) しみったれ魔法 他

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


【村から遠く離れた砂地】

 ビッグアント発見。

「魔物だよね」

『ただの虫です』

「………」

 今日はただの討伐ではなく、蜜も回収するということだ。


 ビッグアントに斬撃を軽く1発撃つ。

「ギーッ」

 鳴きながら倒れた。死んだっぽい。


……


10秒後:

 巣穴と思われる所からビッグアントがぞろぞろ這い出て、こちらに向かって来た。

 ざっと見、50匹は居るだろうか。


「ギイギイ ギイギイ」

「《ロックランス(岩槍)》」

 地中から岩の槍がビッグアントに向かって突き出す。

 そのまま串刺しかと思ったが、ビッグアントの外骨格は意外に頑丈で、吹っ飛ばされるだけで、すぐに体勢を整えまた向かってくる。


「《ボッグ(泥沼)》」

 地面が泥沼化する。

 足を捕られるかと思ったが、溺れた個体を踏みつけて、次々と突き進んでくる。


「《スリップ(摩擦軽減)》」

 地面がツルツルになる

 ビッグアントが勢いよく滑ってこちらに向かってくる。

 順番に滑ってくるので、斬撃を飛ばし、片っ端から斬っていった。


……


 その後もぞろぞろ這い出てきてはぶった切り、そんな状況がおよそ30分続いた。

 そろそろ打ち止めか?


 巣穴に近づき覗いてみる。

 穴の直径は2メートルってとこか!

「スパルタン、魔剣って明かり灯せるの?」

『可能ですが、剣を振り回すと光源の位置が変わるので、影がチラつき、視界が安定しません』

「そうか、なら左の手のひらにでも灯すか《ライト()》」


 蜜を溜め込んでいる個体を探して、残っていた何匹かのビッグアントを倒しながら、巣穴を突き進んでいく。

 お尻の袋に蜜を溜め込んだ個体を発見。一匹だけ残して周りの個体すべて倒す。

「問題は、このアリをどう生きたままここに留めておくかだ」

 とりあえず魔剣の腹でぶっ叩いて気絶させる。

「ロープを持ってきているので縛ってみるか」


「亀甲縛で大丈夫かなー?でも時間がかるかー」

 背面観音縛りにしてみました。なぜこんな縛り方を知っているかは秘密です。



 一旦巣穴から外に出て、蜜を入れるための樽を持ってまた巣穴に潜る。

 蜜を樽に入れて運び出す。


 あとは殲滅するだけだな。

 巣穴は、深いとこでも50メートル、広さは直径300メートルといったところか。

 おれはまだ殲滅魔法を知らないので、巣穴に潜って一匹一匹倒していった。

 女王蟻、グロかったです。


 依頼成功。サイクロン号に乗って帰る。


………

……


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

本日の依頼:墓地の調査


リッパー(?):大鎌を持つ死神。サイズ2.5メートル。頭からローブを羽織る


タクマ(人間)

 体力:大

 剣技:普通

 闘気:大

 闘気の制御:下手(少し使える)

 魔力:大

 魔法:生活魔法を少々 ファイアボール(火球) 他

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


【村の外れの墓地】

リッパー発見。

「ねえ、あれって死神だよね?」

『さあ?』

「………」


 試しに斬りつけてみる。

「スカッ」

 手応えなし。リッパーが、そのままおれの魔剣や腕をすり抜けて近づいてくる。

 と同時に頭越しに大鎌が振り下ろされる。

 予想外の動きだったため、反応が遅れる。

 体を捩じり辛うじて大鎌を躱す。

「危っねー」


「スパルタン、こういう輩には魔法が有効なのか?」

『少々の魔法ではダメージを与えられません』

「そういわずに、ちょっとお試しで」

 リッパーの顔目がけて火球を出してみる。

「《ファイアボール(火球)》」

「ボファ」

 リッパーの体を素通りした。リッパーの動きは止まらない。

「フードで顔が見えないが、やはり効いてないか!」


 ならば闘気で剣を強化するのみ。闘気を腕から魔剣に流す。

『微々たる闘気を感じます』

「そういうのはいいから…」



「スカッ」

「スカッ」

「バシッ」

 3回振って、1回当たるといったところか!

 斬撃が何回か当たると、リッパーの姿が消えていった。



 ふと墓石の方をみると、白い影が揺れていた。

「もしかして幽霊?」

『そのようです』

 こちらを睨むわけでもなく、どちらかというと物悲しそうに佇んでいる。

「スパルタンを介して意思疎通出来るかなー?」

『可能だと思います』

『「こんばんは、ここで何をしているのですか?」』

「こんばんは、えーと、あなたは?」

 どうやら女性の霊のようだ。

『「仕事の依頼でこの墓地まで来た、タクマという者です。ここで何をしているんですか?」』

「気づいたらここにいました。何かが足に絡みついて動けません」

 見ると彼女の足に黒いモヤが纏わり付いていた。

 それを見た瞬間かなりビビった。

「…この黒いモヤは何だろう?」

『たぶん《亡者の足枷》かと』

「どういった物なの?」

『家族にきちっと埋葬されなかった人の中には、自分が亡くなったことが分からないでいる人がいます。その霊を、亡者と呼ばれるやつらが、仲間にしようと捕まえているのです。亡者とは魂の浄化を拒み、現世にとどまろうとしている者達です』

「どうすれば魂の浄化が出来るんだ?」

『亡者を追い払い、亡くなったことを分からせればいいはずです』

「わかった。なら彼女に状況を話してみるか」


 おれは彼女に現在の状況を説明する。



「そうですか。どこでどのように死んだのかは分かりませんが、ここに居る現状を考えると納得できます」

「では亡者も追い払いますか?」

「はい、もし出来るならお願いします」

 おれは剣先に闘気を纏わせ、彼女の足元の黒いモヤを斬り裂いた。黒いモヤが散って消えていく。

「どうやら追い払うことが出来たみたいです」

「ありがとうございます」


「スパルタン、この後どうすればいい?」

『リッパーが迎えにきます』

「え!リッパーが?さっきおれ倒してしまったよね。えーどうしよう」

『大丈夫です。リッパーはすぐに復活します』


……


 しばらくするとリッパーが現れた。

 おれがビビって魔剣を構えるがリッパーは何事もなかったかのように女性の霊に近づいていく。

 何か女性の霊に話しているのだろうか、女性の霊が何度か頷く。

 すると女性の霊はおれのほうを向き、一礼したと思ったら、リッパーと共に静かに消えていった。


「ふぅー、そういえば依頼は《リッパー退治》じゃなくて《墓場の調査》だったね」


 リッパーって悪い奴じゃなかったんだ。たぶん彼女を亡者から救おうとしていたのだろう。


………

……


後日談。

 一か月ほど前のこと、この村の近くを通った旅人が、亡くなって間もない女性を見つけたらしい。どこか埋められるところはないか探していたところ、この村の墓地をみつけたので埋葬してあげた。




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