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魔剣の呪いがスパルタって!  作者: 軒下水滴
アトラス編
3/31

3.依頼を受けてみた 1

 リハク師匠との特訓の無い日は、生活費を稼ぐために、何か仕事をしてもいいかと魔剣スパルタンに相談してみる。

 闘気や魔力も問題無く上がっているので、いいだろうと言われた。


 何か仕事をしたい、とリハク師匠に相談してみると、アーロンさんが何でも屋のようなことをやっているので、もしかすると仕事がもらえるかもと言っていた。

 さっそくアーロンさんのもとを訪ねる。


………

……


アーロンさん宅:

「タクマ、隣町の冒険者ギルドから、バジリスクの尾肉が欲しいとの依頼を受けている。やってみるか?」

 アーロンさんがおれの能力に合った仕事を紹介してくれた。

「はい、やらせてください」

 ありがたく依頼を受けた。


………

……


 以前キャシーさん達に作ってもらった、サイクロン号を漕いで、現地に向かった。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

本日の依頼:バジリスクの尾肉の調達 1匹分 注意:殺しちゃ駄目


バジリスク(動物)

 体長20メートル(尻尾込み)カメレオンを巨大化させたような動物。

 尻尾が太く、美味しいらしい。


タクマ(人間)

 体力:大

 剣技:かなり下手(剣筋が悪いのでパジリスクを切れない)

 闘気:大

 闘気の制御:下手(少し使える)

 魔力:大

 魔法:生活魔法を少々

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


【山裾の草原】

 パジリスク発見。

「恐竜だよね」

『ただの動物です』

「………」


 とりあえず接近してみた。

 50メートルまで近づく。パジリスクが警戒し始めた。

 20メートルまで近づく。パジリスクが攻撃態勢を取る。

 15メートルまで近づく。パシリスクの斜め後ろに向かって思いっきり飛び込み、そのまま尻尾に切斬りつけた。

「ブニョ」

 魔剣が弾かれた。

「全然切れないなー。闘気が足りないのか?」

『マスター、剣筋がよくありません。ちょうどいいので実践で剣筋を勉強してください』

「斬りまくれということか!」


 バジリスクが回転を始めた。

 尻尾を横なぎに振ってくる。

 体を屈めて躱す。


『マスター、今度攻撃されたら、試しにその身で受けてみてください』

「え、大丈夫なのか?」

 パジリスクの体がまた回転し、尻尾を振り回してきた

 耐えられるのか?………

 右腕を立て、受け止めてみた。

「バシン」

「痛ってー」

 体も飛ばされず、腕も折れることはなかったが皮膚がものすごく痛かった。まるで鞭で打たれたみたいだ。

 ちなみに今までの人生で鞭に打たれたことはまだない。

「痛みで泣きそう」

『大丈夫です。表面的な痛みだけで、ダメージはありません』

 少しミミズ腫れが出来ている。

『今度は攻撃を避けながら斬る練習をしてください』


 尻尾に向かって魔剣を振るう

「シュ」

「ブヨン」

 これでも駄目か、もっと剣筋をこう。

「シュ」

「ブヨン」

 まだ駄目か、ならもっと剣筋をこう。


……


「シュ」

「スザッ」

 お、少し切れた。


「シュ」

「スパッ」

 お、切れた!


「シュ」

「ストン」

 今度は尻尾が綺麗に切れた。


 そのまま尻尾を抱え、全速力でパジリスクの攻撃範囲から離脱する。尻尾はそのうちまた生えるらしい。

 その後、5匹のパジリスクと戦い、多少苦戦するも尻尾を切り落とした。


 切り落とした6本の尻尾をサイクロン号に積んで帰宅し、1本は依頼主に、残りの5本は広場でバーベキューにしてみんなに振舞った。


 パジリスクの尻尾、美味しかったです。


 もっと大量に持ち帰りたいところだが、それほど多く運べない。6匹分が限界だな。

 格納魔法でも在ればなー。

『格納魔法ならあります。それから物を運ぶなら瞬間移動魔法も有効です』

 いろいろやってみたが格納魔法出来ませんでした。


 しかたない、キャシーさんとレイラさんに頼んで、少しリヤカーを大きくしてもらおう。


………

……


数日後:

 リヤカーがキャンピングカー並みに大きくなりました。屋根付きです。


………

……


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

本日の依頼:マンドラゴラの調達 1本


マンドラゴラ(植物):人参を巨大化させたような植物。体長0.5メートル

 土から抜くと叫び声をあげる。


タクマ(人間)

 体力:大

 剣技:普通(刀剣が少しよくなった)

 闘気:大

 闘気の制御:下手(少し使える)

 魔力:大

 魔法:生活魔法を少々

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


【山間の沢】

 マンドラゴラを見つける。


 土から少し根っこが出ているけど、女の子の上半身のようにも見える

「妖精だよね」

『ただの植物です』

「………」


 片耳に詰め物を、もう片耳を手で塞ぎながら一本だけマンドラゴラを抜いてみる。

「「「「「キャー」」」」」

 あっちこっちで叫び声が聞こえる。

「え、抜いたのは一本だけだよね」

『地下茎で繋がっています』

 20体くらいのマンドラゴラが一斉に土から抜け出て叫びながら襲いかかって来た。


「「「「「キャーキャー」」」」」

 うぅ、塞いでても耳が痛い。

 思わず片膝をつく。

 周りの声に負けないようおれも叫ぶ。

「うるさーい」


「………」


「何が《うるさーい》よ。被害者面すんじゃないわよ」

「おっぱい触った。女の敵よ」

「私を殺して食べようっていうの?あなた食人鬼?」

「処女のまま死にたくなーい」

「私たちがあなたに何したってのよ。ただ平和に暮らしていただけなのに」

「今私の下半身ガン見してたー」


(うっ、なんだこの罪悪感は。心が痛い)

 おれはそのまま崩れ落ちた。

『マスター、精神攻撃です』


 マンドラゴラ達の拳と蹴りが襲い掛かってくる。

 おれは何もできない。反撃なんてできないさ。


……


 フルボッコにされました。

「ふん、断りもなしに抜いた罰よ」

「痴漢って気持ち悪い。死ね」

「私たちはもっといい男に食べてもらいたいの」

「キャー男に食べてもらいたいだって」

「さ、寝よう寝よう」

「デバガメがいい気味よ」


 依頼は失敗。打ち拉がれたおれは、サイクロン号を引いて帰るのだった。


………

……


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

本日の依頼:トレントの蔓の採取


トレント(木人):サイズ2メートル。手の蔓に打たれると、大きな音がする。

肉体的なダメージは0だが精神的なダメージを負う。

特殊性癖でもなければ耐えられない。

 魔法抵抗能力大、物理耐性小、移動速度低


タクマ(人間)

 体力:大

 剣技:普通(刀剣が少しよくなった)

 闘気:大

 闘気の制御:下手(少し使える)

 魔力:大

 魔法:生活魔法を少々

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


【山間の沢】

 動く木を発見。

「木が動くんだ!」

『そうですね』


「シュッ」

 トレントが枝の先の蔓を振ってくる。

 かなり早い。躱すだけで精一杯だ。手が出せない。


『マスター、今日は動きが遅いですよ』

「前回の仕事の精神的なダメージがまだ残っているのかも」

『気を付けてください。特殊性癖でもなければ、さらに精神にダメージを負います』


「シュッ」

「ビシッ」

 蔓がおれの左手を打つ。

(《被害者面すんじゃないわよ…》《女の敵よ…》《あなた食人鬼…》…)

 過去に浴びせられた罵声の数々が、次々と蘇る。

「うっ」

『マスター、どうしました?』

「過去の自分の悪行が…」

『精神的ダメージを受けたのですね!?』


「シュッ」

「ビシッ」

 蔓がおれの頬を打つ。

(《痴漢って気持ち悪い…》《もっといい男…》《デバガメがいい気味よ…》…)

「うっ」

『マスター、耐えてください』

「今ちょっと快感が」

『………さっさと蔓を取って帰りますよ』


 依頼は成功。トレントは倒さずに、蔓だけ切り取って帰りました。


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