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第8話 〜急な展開〜

「ザイザル! そっちにゴブリンが行ったぞ!」


「知っていますよ!」


 ————ザァンッッッッッッッッッッッッッ!


 パン、ザイザル、アクイルと第4騎士団の騎士達総勢50人は順調にゴブリンを倒し始めていた。

 第4騎士団の熟年騎士達のおかげでもあり、パン達が何故かゴブリン達の動きを知っているかのように動けるからだ。


「この動きの後には———こうだ!」


 まるで相手の動きを何日も見たように次の行動が分かってしまう。パンに攻撃を仕掛けた試験時よりも強いゴブリンを軽く避け、ゴブリンの後ろから剣を突き刺す。


 ザイザル、アクイルも同じようにゴブリン達を倒し、その討伐数は一緒に行動している第4騎士団の騎士達よりも多い。

 順調……順調すぎる。団長達がゴブリン・ロードを倒し、世界にまた英雄が誕生する瞬間に3人は立ち会えたことに嬉しさを覚えが———


 そこにモンスターが現れる


「きゃはははははははははは! こっちに強い3人組が居るって聞いて来てみたら……きゃは。弱っそ〜」


 ————鳥肌が立ち 全身凍える


 目の前現れた、ボッサボサの赤髪を地面に付きそうで付かない長さの緑色の肌の女の子。肌の色がなければ可愛い少女と思われる彼女は正真正銘の———


 ゴブリン・ロード


「っと思った? ざんねーーーーん! 私はゴブリン・ロードの分身体だよ〜。まっ最高クラスの分身体なんだけどね! きゃはははははははははは!」


 パン達の心境を語る前に———


 騎士達にはランクが存在する。パン達のランク、下級騎士、その上、中級騎士、上級騎士、超上級騎士、最上級騎士、超級騎士、超越騎士


 第7騎士団までの団長達は超級騎士に位置づけられ、パン達が居る率いている1番強い騎士は上級騎士。

 ゴブリン・ロードの最高クラスの分身体を殺すには最上級騎士の存在が不可欠だと言われている。


 ならば答えは簡単だ———


「たいさああああんんんんんんんんんんっっっっっっっっっつつ!」


 1人でも生き残りを残すには逃げるのがベスト。目を付けられた時点で負けは決まっている。

 パン達も目の前の恐怖から3人で一緒に逃げ、後方を見るとゴブリンは居なかった。


 逃げきれた、騎士達の悲鳴も聞こえない。ゴブリンが見逃してくれたんだ———


 っと声も出ず、喋らず走り出していると何故か——


 目の前から先程のゴブリンが現れる


「きゃはははは! やっぱりメインディッシュは最後に残さないといけないよね〜」


 目の前に現れた血まみれのゴブリン。その血が物語っていた……パン達を除く47名の騎士達は全員声も出さずに死んだと。


「アクイル! ザイザル! お前らは逃げろ! 俺が……時間を稼ぐ」


「馬鹿言わないでくださいよ! 私も戦いますよ!?」


「黙って言うことを聞け! 最小限に人を生き残させるにはこれしかねぇんだよ!」


 パンはザイザル達に怒号を放ちながらベルトポーチから赤色の石と、黄色の石を取り出し剣へと嵌める。

 炎を纏い、電気をも纏う剣が完成し、またもやポーチから緑色の玉を取り出し、着ていた胸当ての穴に嵌め込む。


「お前ら2人は生き残る存在だ! 行け! 行けよ! 行けよおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ————スッッッッッッッッッッッッッッッ!


 パンの今までに無いほどの速さでゴブリンに斬り掛かる。ゴブリンはパンの攻撃を腕で防御し、剣がゴブリンの腕に入り込む。

 パンは脚を使い、ゴブリンの横腹に蹴りを入れ体勢が崩れたゴブリンの腕を斬りとる。


「……………アクイル……行きますよ……!」


「っででも!? パンくんが!?」


「漢の覚悟を無駄にする気ですか!?」


 ザイザルがアクイルの腕を握り、走っていく。それを感じ取ったパンは微笑し、腕を切り落としたゴブリンに剣を向ける。


「俺は……お前に勝つぜ」


「きゃはははははははははは! 友情っていいね! 最高だね! でもさ、あんたは必ず死ぬよ?」


「俺は死ぬ気なんてクソほどねぇんだわ!」


 腕が治ったゴブリンにまたもやパンは最高速で斬り掛かり、ゴブリンはまたもや受けるそう思いきや——


「もう慣れちゃった」


 カルイルの時見たく、剣を拳で跳ね返し鋭い爪でパンのお腹を突き刺そうとした。


「俺も学習するんだよ!」


 ————ブウオオオォォォォンッッッッッ!


 パンが空に浮遊し、上手い具合にゴブリンの攻撃を避け、脳天からゴブリンを突き刺し、炎と雷を爆発、放電させる。

 爆発音が響き渡り、爆発と同時に離脱した。


 パンはいつの間にか首に負った傷を手で押えながら———


「死んだか!?」


 手応えは確実にあった。死んだはずだ……が。


「きゃはははは! 痛いな〜痛いよ!」


「ッッッッッ————————!?」


 死んで……ないのかよ。無理だ。的確に首を斬られて血がドバドバと出てんだぞ?

 だけどよ……時間は稼げた。


「きゃははははは。私って心臓刺されないと死なないし、刺されても直ぐに回復するから殆ど不死身なんだよね〜」


「…………はあ……はあ……不死身ってクソかよ」


 ————バタンッッッッッ


「はははは。俺はここまでか」


 意識が遠のいて行く、血が流れすぎた、頭がぼんやりする。痛いとかはどうでもいい、ここで死ぬがクソほど悔しい!


「きゃははははは。人って儚いな〜。私って死んだことないけど、人が死ぬ時って本当に……面白くない」


 ゴブリンは倒れているパンへと近づいていく。死の音が近づいてくる……ゴブリンの足音が。

 なのにパンは涙を流す。自分が死ぬ事が怖いのではない。もう2つ聞きなれた足音が近づいてくるのがとてつもなく何とも言えない気持ちなるからだ。


「逃げられるわけないでしょ!?」


 ————ザァァァンッッッッッッッッッッッッッ!


「きゃはははは。来ちゃったんだ〜。ザイザルくんだっけ? 優しいね……その優しさが……仇になったね」


 ————ザイザルの


 右腕が空中へ飛ぶ


「ザイザル……!? ザイ……ザル……!?」


「そしてどーーーーーん!」


「かはっっっっっっっっ!?」


「アク……イ……ル……?」


 ザイザルの腕が吹き飛び、ゴブリンに後ろから心臓を刺そうとしたアクイルのお腹に穴が開く。

 おい……止めろよ……冗談だよな?


 こんな一瞬で全員が殺られる訳ないだろ?


「うそだと……言ってくれ…………よ」





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