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第7話 〜ゴブリン・ロード討伐〜

「とうとう明日に迫りましたね」


「早いようで短かったな」


「……そ、そうだね」


 この2日間常に団長と戦い、一太刀所どころか最後に関しては一方的に滅多打ちにされた。

 気持ち悪い程に強い団長。そして、ヌルッと入ったこの団と激変した生活。


 全てが不思議な気分にさせる。


 でも、その中で1番不思議な気分にさせるのはこいつらだ。


「…………そういえば。俺ってお前達のこと1ミリも知らねぇな」


「確かに。私も全く知りませんでしたね」


 俺、ザイザル、アクイルと並んでいるベットの上で座って喋っている俺は不思議とそう思ってしまった。


「ちょっとずつでいいからさ。俺達の生い立ち話さねぇか?」


「ありですね。騎士団はどんな条件無しでも入れますからね。入ったら訓練地獄ですけど」


「だからさ。話していこーぜ」


「では、私からでいいですか?」


「おう」


「は、はひ」


 ザイザルの生い立ちはありきたりなものだった。一般家庭で育っていたザイザルだが、8歳の時にシルフィード率いる裏切りの人間軍の幹部


【力の支配者】ゴン・メディッチに村を破壊され、親も村民全員が死んだ。

 その時、ザイザルは剣の指導を受けるため別の街へと1週間滞在していたらしい。ザイザルが別の街に滞在している時に起こった悲劇。ザイザルは親の復讐の為に剣の道を進む事を決意し、騎士団に入ったという。


「なんだ。お前も俺と同じみたいな感じゃねえーか」


「パンくんと同じ? どういうことですか?」


「俺はルイセンス国の生き残りなんだよ」


「え、あ、はあ!? ルイセンス国の生き残り!? 噂程度で聞いたことがありましたが……まさかパンくんだとは」


「だろ? 凄いだろ? だから俺はシルフィードに俺好みのパンツを履かせようとしてるんだよ」


「いや、その思考はマジで馬鹿ですが。……まさかそんな事が」


 ザイザルは驚きを隠せず、アクイルは口が開きっぱだ。それぐらい俺が生き残ったのが凄いことだし、俺のもう1人の生き残りが色付きだっていうのが世間に公開されているからな。


「ならば!? 伝説の色付きを見たことはありますか!?」


「ああ。俺と一緒に暮らしてた奴がそうだったぞ」


「ッッ!?」


「本当ですか!? すげぇ! 凄いですよ!」


「おい、なんで2人ともそんなに興奮してんだよ」


「興奮しますよ!? 色付きなんて英雄の中の英雄ですよ!? これから英雄になる人と一緒に暮らしてたなんて!? 凄すぎる!?」


「そそ、そうだよ!?」


 冷静なザイザルがこんなに声を荒らげて喋ることなんて1度もなかったのに、アクイルがあんなに頷くことなんて1度もなかったのに。


 こいつらは———


「お前らも英雄に憧れてんだな」


「当たり前ですよ! 英雄になりたいですよ!」


「……わ、私も! こんな小心者の私でもなりたい!」


「ぐははははは! 悪いな! シルフィードを倒して英雄になるのは俺だ」


「なっ!? 私がなりますからね!?」


「——わ、わわたしもっっ!?」


 こいつらがこんなに英雄に憧れてなんて……俺も憧れてるし。それよりも何よりも———


「「「…………あはははははは!」」」


 面白いが勝った


 この時間が楽しかったのは今でも——




 覚えてる





 ◇◇◇◇◇



 12:00


 ゴブリン・ロード討伐が始まった。


 第2騎士団、第4騎士団の、第6騎士団、第7騎士団の騎士達総勢2000人。サイミ森林にはゴブリン達が多く徘徊するようになり、ゴブリン・ロードが居ることは確実。


 サイミ森林の全方向から騎士達が攻め入る形となった。サイミ森林の中心部にはゴブリン・ロードがいると思われる為、団長4人が中心部へと走る。


 ————ザァァンッッッッッッッッッッッッ!


 道を邪魔するゴブリン達を的確に一振で葬る4人の団長達。彼等を止められる人は居ない。


 5分間。止まらずに圧倒的な早さで森を進むと中心部に着く。中心部は木が全く無く、真ん中には1人の少女が居た。


「あはははは……あれがゴブリン・ロードかな?」


「……あの風格……間違いないわ」


「……うわ〜やっべ〜。強そ」


「きゅひひひひひひひひ。強そうな人が1人、2人、3人、4人も! わ〜、私嬉しいな〜楽しいな〜。どれくらい遊んでくれるのかな〜?」


「殺されるという感覚はないと……あははは。これが強者の余裕って奴かな」


 ここに来るまでに倒した200体のゴブリンとは規格外の強さ。4人の団長達は気を引き締め、剣を抜く。

 ジリジリと自分達の距離を離し、ゴブリン・ロードを囲うようにする。


 サイミ森に攻め込んで5分。歩く災害と言われるモンスターを倒せるところまで来た。

 後は倒すだけなのに———


 ————スッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!


 ゴブリン・ロードの腕が吹き飛ぶ。次いでに第6騎士団 団長が後方へと———


 50メートル飛ばされる


「きゅひひひひひひひ。うわ〜、腕切れちゃったよ。早かったな〜。でも、私の方が強かったね」


 何をされたか見えたのは全員


 ゴブリン・ロードの腕が伸び、第6騎士団 団長 ニコルの腹を突き刺そうとした。

 それを超反応でゴブリン・ロードの腕を切り落とし、最小限の損傷に抑えた。


 ゴブリン・ロードの腕は徐々に再生しており、畳み掛けるなら今しかない。


「マリン!」


「了解よ!」


 第2騎士団 団長のマリンが長剣を天にかざし、空を斬る。


「スキル『裂空斬』!」


 マリンが空を斬った瞬間、ゴブリン・ロードの胴体が真っ二つになった。そこに第4騎士団 団長のワマイが突撃しゴブリン・ロードの頭を真っ二つにし、更に細々と体を斬っていく。


 ワマイは手応えの無さを感じずには居られなく、一応ゴブリン・ロードから距離をとる。


「きゅはははははは! 強いな〜。さすが団長クラスだね。すごいね〜」


「情報通り……相手は”不死身”と」


「これがモンスターの頂点に居座ってる奴の強さか……。マリンさん、結構キツくね?」


「マーくん……それ言ってはダメよ」


「あはははは、それはマリンのの通りだね」


 ゴブリン・ロード体が元通りとなり、第6騎士団 団長のニコルが戦いに戻ってきた。

 お腹には生々しい傷が浮かび上がっており、戦力には数えてはいけないとカルイル達は認識する。


「きゅはははははは! どうやって私を殺すか……楽しみだな」



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