41.ダンスの後に悲鳴は響く
お読み頂きありがとうございます。
さて不穏なタイトル入りました。
ではお楽しみ下さい!
「お母さま、お父様!ただいま戻りました。」
ミュリエラ様とは正反対にこぼれんばかりの笑顔で戻ってきたのはネイリーンとハリオットだ。
「お疲れ様、二人とも。よくやったわ!とても素晴らしいダンスだったわよ。あの難曲を踊りきるなんて、私は貴方達を誇りに思うわ」
私は両手で二人を優しく抱きしめると、ふふふと胸のあたりでネイリーンが笑い声がこぼした。
「ハリオットは本当によくフォローしてくれたわね。ラストダンスがこうして無事に終われたのは貴方のおかげといっても過言ではないくらいよ。あとでご褒美をあげましょう!」
私は抱きしめていた腕を解いてハリオットの頭を一撫でする。
もう12歳になるハリオットは褒められて嬉しいながらも、公衆の面前で抱きしめられたり撫でられたりすることには抵抗が出てきたようで、すぐに私の手をさらっと払いはしたがその表情は非常に明るかった。
「褒美をいただけるとは頑張った甲斐があります。この前街に降りた時に気になる物があったのでそれをお願いしようかなぁ」
「姉上も兄上もとても楽しそうでした。僕もいつか一緒に踊ってみたいです」
「まあ、マルクスったら。では今度家でダンスの練習に付き合って頂戴ね!」
尊敬の眼差しで兄姉を見つめるマルクスの頭を今度はネイリーンが撫でる。
「さあ、これで夜会もお終いだ。陛下もすぐ退席するだろうから挨拶をして家に戻ることにしよう。さすがに私も疲れた」
ラストダンスが終わった今、残りたいものは別として陛下に挨拶をすれば帰ってもいいことになっている。
といっても陛下は遅くまでに夜会にいるタイプではないのでいつもと変わらなければこの後早々に退席するだろう。
それを見越したギルバートは自分もさっさと家に帰るために陛下の方へと足を運ぼうとした。
「少々お待ちください。少しお時間を宜しいでしょうか?ネイリーン様」
するとそんな私達を引き留めようとする声がネイリ-ンの横から掛かる。
振り返るとそこには顔色の優れないミュリエラ様が一人佇んでいた。
「これはミュリエラ様ではありませんか。私に何か用ですか?」
ネイリーンがきょとんしながらミュリエラ様に対峙する。
「………」
気まずそうな顔のミュリエラ様はすぐには言葉が出ないのか、赤い紅を引いた口を何度か小さく開け閉めすると、少し間を置いておずおずと話し始めた。
「あ、あの…先程のダンスでは、た、いへんご迷惑をおかけし申し訳、ありませんでしたわ。少しとはいえ、ぶつかってしまい、危うくダンスを壊してしまう所でした。ハリオット様も、本当に、ありがとうございました」
そう言葉にするミュリエラ様の表情は、かわいそうなくらい怯えていた。
ベスパーバ達に何かを言われたのだろうか?
それともそんなに私達が怖いのかしら?
「ミスは誰にでもありますし、無事にダンスも済みました。お気になさらずとも大丈夫ですよ」
「いえ、でも、このような場所で…本当に、ごめんなさい」
「……ミュリエラ様のダンスはとても華やかで美しいダンスですわね。私、隣で躍りながらもドキドキしてしまいましたわ。また機会があったら一緒に踊らせてください」
「怒って、おられないのですか?」
「いえ、別に」
「そう、ですか」
「はい」
ミュリエラ様と対照的にネイリーンはにっこりと曇りない笑顔を浮かべる。
ミュリエラ様は少し戸惑っていらしたが、一息つくと今度は真っ直ぐとネイリーンの顔と合わせた。
「わかりました。有難うございます」
ミュリエラ様は深々と頭を下げると、最後に名残惜しそうな、悲しそうな眼をして『では』と去っていった。
ネイリーンも応えるようにその場で腰を折ると、かがめた視線の先でパサリとミュリエラ様から白いレースのハンカチが落ちてきたのに気付く。
「あ、あのっ」
ネイリーンはすかさずそのハンカチを拾い上げると、小走りでミュリエラ様へと駆け寄った。
「ミュリエラ様、ハンカチを落とされましたよ」
「あら、私としたことが。重ね重ね申し訳ありません。ありがとうございますわ」
またしても粗相をしてしまった事を恥じてか、少し引き攣った表情のミュリエラ様はハンカチと同じ白いレースの手袋をした手でハンカチを受け取った。
「??」
すると次の瞬間、つんざくような悲鳴が会場中に響き渡る。
「キャアアアア!!!」
そう声を荒げたのはハンカチを受け取ったミュリエラ様だった。
その悲鳴に私はもちろんのこと、その場にいる全員が驚いてミュリエラ様の方へ視線を向ける。
「くっ、蜘蛛が…」
ミュリエラ様がガクガクと怯えきった目で自分の手元を見据えている。
ブルブルと震えるその手元には先程の挨拶時には見当たらなかった2センチ程の大きさの黒いクモが2匹蠢いていた。
!!!
なんでいきなり蜘蛛が現れるのよ!!
小さなタランチュラのような毛足の長い蜘蛛が手袋の上をのそりのそりと這っていく。
白い手袋に黒い蜘蛛が這う様は寒気がするほど不気味で、対称的なそのコントラストのせいか遠くからでもハッキリと確認できた。
「毒蜘蛛だぁー!!」
煌びやかな夜会にあまりにも似つかわしくない気味の悪い光景を目の当たりにした誰かが大きな声でそう叫ぶと、同じように蜘蛛を目にして凍り付いていた人々が堰を切ったように次々と悲鳴を上げた。
「うわあああぁ!!」
「いやあああぁ!!」
ミュリエラ様の近くにいた人々は一目散にその場から駆け出し、離れた所にいる人ですらその波に押されてどんどんと壁際や出口へと追いやられて行く。
中にはパニック状態になってその場から逃げ出す者もいた。
「どく…このどくぐも…」
誰かが毒蜘蛛と叫んだせいでミュリエラ様の恐怖は一層濃くなってしまったようだ。
その顔色はもはや青を通り越して土気色になっている。
周りは逃げてしまったので今ミュリエラ様の怯えた声を拾えるのは、ミュリエラ様の目の前にいるネイリーンと少し離れた場所で固まって動けずにいる数名しかいなかった。
そうこうしている間にも2匹の蜘蛛はするするとミュリエラ様の腕を登っていき、あっという間に手袋を抜け露わになっている二の腕へと到達する。
「ひぃっ!!」
「ミュ、ミュリエラ様!落ち着いて下さい!!」
ネイリーンはミュリエラ様を宥めつつもジッと蜘蛛を睨み続け、さらに何を思ったのか自分の嵌めている手袋を焦りながら脱ぎ始めた。
しかしその間に更なる悲劇がミュリエラ様に降りかかる。
「キャアアアア!!いたああああぁいーーーー!!」
先程よりも一層甲高い声が再び会場中に響いた。
きっと蜘蛛に噛まれてしまったのだろう。
ミュリエラ様の顔はその痛みで歪み、目から大粒の涙がボロボロと零れ落ちていた。
なんということ!!
早くお助けしなくては!!
ネイリーンのおかげで蜘蛛や蛇に耐性のある私は、他に人達が逃げていく中でその流れとは逆にミュリエラ様のいる方向へと駆け出していた。
しかし数メートル先に捕らえているミュリエラ様の美しいローズピンクの髪は、すでにゆらりゆらりと左右に揺れていて、私が危ないと手を差し伸べるよりも早くその場にバタンと膝から崩れ落ちてしまったのだ。
「「ミュリエラ様!!」」
まだ近くにいた大人達も倒れるミュリエラ様を支えようと手を出しかけたが、自身が毒蜘蛛に噛まれるのを怖がってかその手は虚しく空を切るだけだった。
一番近くにいたネイリーンは手袋を取るのに手間取っていて倒れるミュリエラ様を受け止めることは出来なかったが、直ぐさま介抱の為にミュリエラ様の前に跪く。
「一体どういうことだ!!誰が毒蜘蛛をミュリエラに放った!!医者を!医者を早く呼べ!!」
騒ぎを聞きつけたベスパーバが憤怒の表情を浮かべてミュリエラの元へと駆け寄る。
「おお、ミュリエラよ、かわいそうに。どういうことだ!ファンドール夫人!!よもやネイリーン嬢がミュリエラに毒蜘蛛を放ったわけではあるまいな!!」
倒れているミュリエラ様を見下ろすように立っているベスパーバが怒りに満ちた眼でギリッと私とネイリーンを睨む。
「そ、そんなはずありませんわ!」
何を証拠にいきなりそんなことを言うのか。
ネイリーンの横に膝を突いてた私はその言葉にカッなり、思わずベスパーバを睨み返す。
しかし今はそんなやり取りに時間を割いている場合ではない。
支えもなく倒れたミュリエラ様は頭から倒れた訳ではないといえ、どこか大変な場所をぶつけている可能性だってあるのだ。
しかし不用意に手を出して自分も同じ蜘蛛に刺されては元も子もない。
私は忙しなく目を動かして蜘蛛の位置を把握しようと必死だった。
「捕まえた!!」
横で何かゴソゴソとした動きを見せていたネイリーンが声をあげる。
「お母様!蜘蛛は捕まえましたわ。ご安心なさって!」
私は驚いて横を振り返ると、ネイリーンは先程脱いだ手袋をまるで革袋を持つようにして掴んでいた。
どうやらネイリーンは2つの手袋1つ1つの中に毒蜘蛛を捕まえたらしい。
なるほど。
手袋に捕獲しておけば外に飛び出す心配も噛まれる心配もないわね。
蜘蛛を見てすぐに手袋を脱ぎ始めた理由はこれだったのかと私は感心した。
「お母様。申し訳ないのだけれどこの手袋を2つとも持って頂けないかしら?私がミュリエラ様を介抱致します」
そんな私にネイリーンは早く持ってと言わんばかりにズイッと2つの手袋を私の前に差し出す。
「わ、わかったわ」
正直蜘蛛の入った手袋など持ちたくはないが今は緊急事態だ。
気持ち悪いがしっかりと口を塞いでいれば出て来る心配もないので安全と言えば安全なのだけれども…
私はゴクリと唾を飲み込み、意を決して蜘蛛入り手袋を受け取った。
すると手が空いたネイリーンはすぐに蜘蛛に噛まれたと思われるミュリエラ様の腕を手に取りジッと噛み跡を観察すると、そのまま流れるような手付きで脈や瞳孔のチェックをし始めた。
「ミュリエラから離れてもらえないか、ネイリーン嬢。自分で毒蜘蛛を放ったくせに介抱などと白々しい!ミュリエラに恩でも売るおつもりか!」
再びベスパーバがネイリーンに対して暴言を吐き出す。
今度は疑惑ではなく、すでにネイリーンが放ったと決めつけている言いぐさだった。
「殿下の寵愛を確かなものにしたいのか有力候補者に手を掛けるとは許せませんな!離れなさい!!」
そう怒鳴りつけるとベスパーバは脈を取り続けていたネイリーンの腕をグイッと引っ張った。
「!なにをっ」
介抱している娘に対するあまりにも非道な振る舞いにカッと頭に血が上った私は声をあげる。
「離してくださいっ!!本当に毒蜘蛛に噛まれたのであれば一刻を争います!!私を罵っている暇があるのなら、走って医者を引き摺って来て下さいっ!!それが出来ないならば黙って見てて!」
しかし私が怒鳴るよりも早く、ネイリーンは引っ張られた腕を自分で引き剥がし、顔も向けずにベスパーバに向かって怒鳴りつけた。
「!!」
自分の子どもよりも幼い小娘に怒鳴られた事がよほど衝撃だったのか、ベスパーバの身体がわなわなと震えていた。
ネイリーンはそんなベスパーバなど眼中にないようで、目の前のミュリエラ様の様子だけを見つめている。
「これは…もしかして…」
噛み跡はみるみる赤く腫れ上がり、見ているこちらが思わず顔をしかめてしまう大きさになっていた。
「ネイリーン、何かわかったの?」
手袋を掴んだ状態の私はミュリエラ様に触れられないので詳しい様子がわからない。
ただ酷く腫れている腕を顔を歪ませて見ていることしか出来ないのだ。
「ええ、恐らくですけれど。蜘蛛を捕らえる事に必死で蜘蛛の細部まで確認出来ませんでしたが、この症状と照らし合わせると、その蜘蛛がなんなのか当てはまるものがありますわ」
指で顎をなぞり考えふける様子は、さながらかの有名な探偵の姿のようだった。
きっと蓄えた知識の引き出しを引っ張り出して答えを導こうとしているのだろう。
「ミュリエラ様は助かるのかしら?」
私は聞いていいのか分からないけれど一番重要な事を怖ず怖ずと問う。
「ええ、それは」
「毒にやられた方はどちらですか?!!」
ネイリーンの答えを遮るようにタイミング良いのか悪いのか、医者が看護師を連れて会場へと入ってきた。
「おお、これは!」
大きく開けたスペースに倒れているミュリエラ様を発見すると、医者は脇目も振らず駆け寄る。
「毒蜘蛛に噛まれたと連絡を受けましたが、詳しいことが分かる方はいらっしゃいますか?」
医者はミュリエラ様の様子をあれこれチェックしながら、状況確認をしたいらしく周りを囲んでいる私達に聞いた。
「はい、私が説明致します」
ネイリーンは医者の邪魔にならないように一歩後ろに下がるとつらつらと話し始めた。
「ミュリエラ様は突然現れた2匹の蜘蛛に右上腕の側部をそれぞれ1か所ずつ、計2カ所噛まれております。その衝撃でショック状態になったミュリエラ様はこの場に倒れられましたが、幸い膝から崩れ落ちるようにお倒れになったので、私が見る限り頭部などに大きな外傷はありません。2匹の蜘蛛に関しましては私がすでに確保しております。大きく腫れ上がった噛み跡の状態や早い脈拍、その他の様子から総合的に判断いたしますと、恐らくミュリエラ様を噛んだ蜘蛛は毒性がないヴァスパリアという種だと考えられます。ただこの蜘蛛はよく似ていて毒性のある蜘蛛もおりますので、急いで蜘蛛の確定をすることをお勧め致します」
す、すごいわ、ネイリーン。
10歳にも満たない娘が堂々と医者に向かいこれまでに状況を的確に説明し、さらにこれからの事までも提言している。
しかもこの状況下で確定ではないにしろ蜘蛛の判断までもやってのけたのだ。
常識外れなことばかりやらかすネイリ-ンを見てきているはずの私でさえも、この凛々しい姿には開いた口がふさがらなかった。
それは医者も同じようで、ここにいる誰よりも小さな女の子が自分にここまで提言してくるとはと驚愕しているが一目で分かった。
「これは、驚きましたな。そうですか。わかりやすい説明痛み入ります。私が見る限りも痙攣等は見当たらないので仮に毒性があったとしても緊急的な解毒を要さずに済みそうですな」
「だ、だまされてはなりませんよ。この娘が蜘蛛を放ったのです。症状などわかりきっているに決まっている」
ネイリーンに感心している医者に対してベスパーバが慌てた様子で遮った。
なんなんだろう、本当にこの男は。
ミュリエラ様が心配なら一にも二にも治療を優先させれば良いものを。
何かと言えばネイリ-ンが蜘蛛を放ったとでっち上げてばかりだわ。
大体お前はその場にいなかったし、ネイリーンは近くにいただけじゃない!
証拠もなくよくも憶測だけでここまで言いきれるものだ。
ネイリーンではないが邪魔をする位なら黙っていて欲しいわ。
医者はベスパーバの顔を覗き込んだ後、ネイリーンの方にも顔を向け「ふむ」とこぼすと、
「して蜘蛛はどちらに?」とベスパーバの事は流して一言つぶやいた。
私はハッとなって自分の手にある手袋を医者の前にズイッと差し出す。
「こちらの中におりますわ。それぞれに一匹ずついるそうです」
「ふむ。ではすぐに蜘蛛の特定に入りましょう。ミュリエラ様は医務室にお運びして!」
医者がそう指示すると付いてきていた看護師が担架を用意し、ミュリエラ様を静かに乗せた。
「あのお医者様。蜘蛛の特定には私も力になれます。毒性があるかないかの特徴の判別もわかりますので、宜しければ私も同行させて頂いても宜しいでしょうか?万が一毒であれば血清の準備も行えますので」
医者は一瞬ギョッとした顔をしたが、真剣な表情のネイリーンを見るとうんと頷いた。
「わかりました。手は多い方が良いでしょう。一瞬で見極めた貴方のお力をお借り致します」
「なっ!私は許さんぞ!医者に取り入ってこの場を離れるつもりだな!」
またしてもベスパーバがネイリーンに噛みつく。
すると先程は話を流した医者が今度はベスパーバに向き合ってこう言った。
「ふー、ちょっと落ち着きなされ。今はお嬢様の治療が最優先でしょうに。治療に必要なのは正確な情報の収集です。見立てを確実にしなくてはきちんとした治療はできません。蜘蛛の特定には専門の者でなければ正確な判断ができないので今から来てもらっては時間がかかる。緊急ではないとは思いますが万が一もあるのです。ならば症状だけである程度予測の出来たご令嬢の力を信じお力をお借りするのが一番早いのです」
「しかし…」
「心配なさらなくともここは王宮。仮に犯人だとしても逃げ出されたりはできんでしょう。さらにわざと間違えた答えを出すようであれば、王宮内での不正として即斬首です」
そう言い放つ医者の目は氷のように冷たくて、それは連れていくと決めたネイリーンに対しても牽制しているように思えた。
即斬首……
なんて恐ろしいワードを出してくるのか。
ネイリーンを疑う気持ちはないが、万が一間違えた判断をしてしまったらと思うと寒気がする。
この医者の冷たい気迫にモンスターベスパーバも頷くしかなかった。
「さあ時間がもったいない。早速参りましょう。ではそこのお嬢様…では失礼ですね。お名前は何と言いますかな?」
「!!ネイリーンと申します。宜しくお願いいたしますわ」
「ではネイリーン様。参りましょう」
「ありがとうございます。ではお母様、蜘蛛は私が持っていきますわね」
「ええ。気を付けて行ってらっしゃい」
ネイリーンは私から手袋を受け取ると、真剣な眼差しで私を見つめ「行って参ります」と小さく零し、そのまま医者とミュリエラ様について医務室へと去って行った。
ネイリーン、しっかりやるのよ。
物騒な言葉が出てきたため急に不安に襲われる。
私は思わず空になった両手を握りしめ肩を強張らせたが、そんな私の肩をいつの間にか隣に来ていたギルバートがポンと叩く。
「あの子に任せておけば大丈夫さ。あれでもあのエンナントで毒の天才児と謳われている娘なんだから」
「そうよね。大丈夫よね」
肩に置かれた手に私も手を重ねる。
ギルバートと確かめ合うようにトントンと手を叩き合うと、ギルバートは私の前を歩いて行った。
「よくもぬけぬけといえたものだな。ネイリーン嬢がやったに決まっているのに」
私達の後ろでフンと鼻で笑う憎たらしい声が聞こえる。
ああ、もうダメ。
もう我慢ならないわ!!
もーーーーーー限界よっ!!!!
抑えていた怒りメーターが振り切れた私の頭に、戦いのゴングが盛大に鳴り響いた。
ステフィアさんが激おこです。
次回どうなる?サンドバックか??
夜会編も盛り上がって参りました!
ではまた次回!!




