2 シブヤシティーで出会った女子高生
カイジョウシティーの事件を片付け俺は本島に向う船舶に俺は乗っていた。
この船は日本帝国大陸領カイジョウシティーポートから日本帝国本島ヨコハマシティーポート行きの1日2回出る(荒天順延)のカイジョウシティーポート午後3時発、ジェットホバーシップに乗り本島を目指している。
この世界ではかつて、航空機で世界のあちこちに行けたらしいが、200年以上前におきた戦争前から問題に上がっていた化石燃料が枯渇寸前の状態で戦争なんぞ行ったから僅かしか在庫が無い状態となった。
そのため、オイルマネーで生計を立てていた中東連合は戦争が長期化するほど経済事情がひっ迫してゆき聖戦どころではなくなったと書物にあった。
戦時中にはすでに化石燃料でなく次世代エネルギーとして、水素イオンや、マイクロウェーブシステム等がすでに実用化されていたためエネルギー不足の問題はクリアされていた。
この船も水素イオンエンジンと、かつてのジェットエンジンの技術を応用して製造されたジェットホバーシップであるため、戦前の船舶に比べ格段に早くなり2000㎞以上離れた本島の港からも4時間以内に到着できるのであるそのため高速船舶は荒天時には船が出せないこともよくある話である。
もちろんエンジンこそ水素イオンを使っているが従来どおりのゆったり海上の旅する船舶もある。
では航空機はどうだ?と思うが、これは都市伝説系の電子書籍に掲載されていたことだが、航空機も復興させようとしているらしいが、海と空では技術力が異なるかは不明だがまだ航空機が空を飛んでいることのほうがめずらしい状態である。
ヨコハマシティー到着時間は午後の7時30分を予定しているため、港近くに宿でも探してトウキョウとヨコハマの観光は翌日以降になりそうだが特に気にはしていない。
時刻は本島基準時で午後8:00に俺の乗った船舶はヨコハマシティーに無事到着したけど俺はまだ船舶内にいた。
理由としては汚物にまみれた俺の服が洗濯終わってないからだ。
カイジョウシティーからヨコハマまでは船舶上では全く何もなく至って平和な航海となっていた。
まぁ強いて言うなら、相席していたおじさんが船酔いをしてそれを介抱している時に、そのおじさんが俺にリバースをしたせいで衣服のクリーニングとシャワーを使用せざる状態となり気分はブルーな状態だったぐらいでハンターしての俺は不必要だった。
俺の衣服が汚物まみれになったとき泣きたかったが、怒りにまかせて暴れる訳にも行かず静かに凹んだ。
ちなみに今俺の服装はクルーのひとが貸してくれた作業用のつなぎで、それしかないのでと申し訳なく言われたが、汚物まみれの服よりはマシだ。
船舶がヨコハマシティーに到着して90分が経ちやっと俺の服がクリーニングされて新品同然で帰ってきたので着替え終わりいつもの格好にもどりやっと陸に足を下ろせたので一安心だ。
トウキョウ方面に向うのは少々遅いために近隣のホテルで一泊することにした。
翌日の朝に俺は割りと早く目を覚ました、朝食やチェックアウトにはまだ早いためトレーニングを軽めに開始したランニング5kmほどと近隣の公園で木刀素振りを朝なので30本ワンセットを5回ほどこなしホテルに戻ってきたら、ちょうど朝食の準備が完了していた。
ここのホテルの朝食はいわゆるビュッフェスタイルであるためトレーとお皿をとり自分の好きなおかずとご飯を適量とり適当に席について30分ぐらいで食事を済ませてその後、自室に戻りチェックアウトの時間までに荷物をまとめ、時間になり宿泊代を払いチェックアウトした。
トウキョウと近隣の地図をインストールしてトウキョウ方面にむかうルートを模索しリニアウェイや通常高速を使用しないでも60分ぐらいで都心には行けるみたいだ。
この一帯からトウキョウに向かうのにこの経済特区マチダシティーを通過しなければトウキョウに入れない訳ではない、奥多摩からの山岳ルートで大幅に迂回しなければならないルートが有るがこっちのヨコハマシティーからトウキョウに入った方が良いのである。
トウキョウ方面にバイクを走り出しトウキョウに入ってすぐに経済特区マチダシティーに入ってすぐにこの街の名物エグザムタワーの一つが目に入った。
エグザムタワーとは、この経済特区マチダシティー一帯に設置されているエナジーフィールド発生装置のことで、(ENERGY・FIELD・EXTREME・TERRITORY・GUARD・SYSTEM)のことらしい。
システムはレーザーやビームで線と線を結んででかい四角錐や多角錐でできたバリアを張って街を防衛するシステムだと思ってくれ。
このとき俺は、このエグザムタワーが後に起きる大惨事のきっかけになるとは夢にも思わなかった。
俺は地図を頼りにシブヤシティーに到着してすぐにバイク専用駐輪場に駐車して近隣を歩くことにした。
しばらくウインドショッピングしたあとに、駅前にある忠犬ハチ公の銅像の周辺のあたりにきたときに若い男が女性をナンパしている声が聞こえてきた。
「ねぇお嬢さん。僕と一緒にコーヒーでも飲みながら交流でも深めませんか?」
「こ、困ります友達と待ち合わせています。」
やれやれナンパしている男を見るとあいつを思い出すから。
少々しつこいようなら注意してくるかと、声の聞こえた方に歩みだしたてそのナンパしている輩が、俺の知人とわかりゆっくりの歩行から全力疾走に変わり一気に詰めようとした。
ナオキ・L・ステッドは諸々の理由でトウキョウのシブヤシティーにいた。
この男の特徴は175を越える高身長で、外人の風貌もあるかなりのナイスガイである。
それもそのはず、このナオキ・L・ステッドはイタリー系の父と日本人の母とのハーフであり、髪は褐色ではあるが瞳はエメラルドグリーンである。
この男は重度のナンパ癖はあるが、これでも立派なハンターであり、しかもオールラウンダーである。
オールランダーとは、通常のハンターとは違い億越えの賞金首や国家の汚職役員を捕まえることができる。
普通のハンターより稼げるが、その分ノーマルハンターからの昇格条件がかなり厳しい。
オールラウンダーのライセンスを取得するには、ノーマルライセンス取得後4年以上経過してなおかつ、累積獲得賞金額が2,000万ゲールを獲得してないと受験資格すら与えられないのだ。
さらに言えばオールラウンダーに昇格しないでノーマルランクのまま、15年過ごしているとライセンス期限が抹消されてしまうため、ハンター継続の為には、必ずオールラウンダーに昇格しないといけないのである。
これはハンターライセンス獲得後、自己保身のため致死率の極端に低い小物のみに狙いを絞り、大して稼がなくても生きられるとした考えの大馬鹿物の一掃と、向上心を刺激する二つの理由から施行された。
ただしオールラウンダーといえども規定以下の賞金首を5回以上殺めたらライセンス剥奪されるのである。
以前ケイゴが捕まえたダイ・ヴォルドーバはオールラウンダーでは無かったが、ALIVE ONLY(生け捕りのみ)の賞金首を10人以上殺しているからライセンスは剥奪されていたにも関わらず自称ハンターを称してハンター活動を継続していた。
ナオキは本日もシブヤの街でハンターの仕事を探しつつ女の子のナンパを欠かさなかった、早速見つけた女の子に声をかけた。
その女子は、日本人で背は160前後、髪をオレンジに染めておりポニーテール、スカイブルーのワンピース上にライトオレンジ系のパーカーを着用している。
足元は今流行の茶のニーハイブーツを穿いているため、おしとやかと言うよりアクティブギャル風な格好をした女の子である。
「ねぇお嬢さん。僕と一緒にコーヒーでも飲みながら交流でも深めませんか?」
ナンパされている女の子は少々困惑しつつ
「こ、困ります友達と待ち合わせています。」
ナオキは構わずに
「僕的にはそのお友達とも交流を深めたいけど、君の待っている友達が君の彼氏ならあきらめるけど、女の子同士なら一緒にコーヒーぐらい飲もうよ。」
ナオキはナンパに夢中になっていて左右から猛烈な勢いで接近してくる二人に気付かなかった。
一人は彼の幼なじみで同じハンターのケイゴ・シバハラ、もう一人は女の子で特徴をあげると、身長は見た目160程で染めたオレンジ髪で左前髪の一部を白にしており、ウエーブの掛かったセミロングヘヤーで、ワインピンクのキャミソールの上にライトブラウンのスプリングコートをはおりデニムのショートパンツを穿き、靴底が2Cmほど上がっているショートブーツ正確な身長は158cm程の少女である。
その二人が全力疾走して近づいているのを気にかけずにナオキはそのままナンパを続けていたが、恵吾とその少女はほぼ同時に
「おいっ、ナオキ!なんでこんな所で、なにナンパしているんだよっ!」
「そこのナンパ男っ!あたしの親友に、なにナンパかましてんだよっ!」
言い終わった後に恵吾は左頬に飛び膝蹴りを、少女は右頬にジャンピング左ストレートパンチが、まるで事前に綿密な打ち合わせをしたがごとく、タイミングばっちり2人同時にクリーンヒットした。
「え?」
「え?!」
恵吾もその少女も自分が蹴った(殴った)ナオキ(ナンパ男)にほぼ同時に攻撃した少女(同い年ぐらいの男)がいた事に双方共に驚愕した。
反対からきたギャル系少女が、ナオキを左ストレートで殴ったため本来逃げる衝撃が留まりナオキはその場に仰向けで突っ伏した。
恵吾はナオキを蹴った勢いそのままで後方に下がりながら空中で一回転し着地した。
ナオキをぶん殴った少女は彼女に近づき
「立花、大丈夫か?」
「うん大丈夫よ、真帆。ちょっとナンパされていたけど、彼氏いるから断ろうと思ったら真帆と、そっちの男の人が同時にこの人にニーとグーがヒットしたから言いそびれちゃった。」
彼女たちが恵吾に視線を向けたときに恵吾が近づき
「いやー驚いたよ。俺の知人が見境無くナンパなんぞしていたから鉄槌に蹴り倒そうと思ったら、そっちの白メッシュのお嬢がほぼ同時に左ストレート食らわしてるんだから。」
「あたしだって驚いたよ、このナンパ男をハチ公の花壇あたりまですっ飛ばそうと思ってフルPで殴ったから。」
その後恵吾は軽く頭を下げて
「まぁなにより、俺の知り合いが失礼した。それにあいつはあれぐらいじゃ怪我はしないよ。」
「ふーん。所で、あのナンパ男と知り合いなのかあんた?」
「そのナンパ男は俺の一歳上の幼なじみで、同じ仕事している仲間のナオキ・L・ステッドって言うんだ。」
恵吾は端的にナオキとの関係を言った後、ナオキに近づいて彼の頬を軽めに往復ビンタしながら
「おい、ナオキおまえがこれくらいでのびる柔い鍛え方してないだろ?さっさと起きろ。」
その刹那に、体を起こしナオキ・L・ステッドは恵吾に向かって
「痛てぇーな恵吾ぉ、いきなり殴らんでもいいだろ!」
「俺、膝げりは入れたけど殴ってないぞ。」
「じゃあ僕を殴った野郎は誰だよ?」
「野郎じゃない、おまえがナンパしていた娘の隣にいるオレンジ髪白メッシュの娘だ。」
言い終わる前にナオキはその白メッシュ少女に近づこうとしたが恵吾もそれを見逃さずに彼の上着の襟を持って制止した。
「まて、ナオキ、まだ懲りてないのか?」
「少々声かけてくるだけだ。それに女性に声かけないと失礼だろ?」
「はぁぁぁ、それはおまえの親父さんの田舎での風習だろ、ここ日本本島でそんなことをするなよ。ただでさえおまえのナンパ癖は万病に効く薬湯でも直せないくらい重傷だから。」
「そ、そんな言い方無いだろ恵吾ちゃん。僕ちゃん泣いちゃう」
「はいはい、そこの草場の陰で泣いていろ。」
恵吾はナオキの襟から手を離し軽くあしらったらナオキはハチ公近くで沈んでいった。
ナオキがナンパしていた少女が近づいてきて恵吾に
「あ、あの助かりました。私、青柳立花と申します。でも残念ながら彼氏有りです。ちなみにあっちの白メッシュの娘はわたしの幼なじみで親友の柊真帆って言います。」
「俺は芝原恵吾。改めてあそこで拗ねているのはナオキ・L・ステッド、一応俺の幼馴染みだ。俺はあの馬鹿を制止したかっただけだから、気にしなくていい。」
「経緯はどうあれ助かりました。」
立花は、はっとして
「あっ、そういえばまだ梨奈から連絡がきてない。」
「立花、それ本当か?」
「うん待ち合わせの時間から20分以上経っているのに連絡が全く無いの。」
「珍しいな、優等生の梨奈が待ち合わせに遅れるなんて。」
「さっきまで℡もメールもナンパされて出来なかったから、ちょっと掛けてくる。」
立花が少しはなれて電話を掛けてはいるが、どうもつながらないみたいだが少し離れた所から
「真帆ちゃんー、立花ちゃんー、ごめん、ごめん、遅れちゃった。」
駆け寄ってきた少女は手を振りながら近づいてきた。
その少女は、背は青柳立花と身長は同じぐらいで、ウエーブの掛かった黒髪で星やハートの付いたヘアピンで前髪を留め、耳には模造石の入ったイヤリングをつけている。
服装は一見すればどこかの高校のブレザーとチェックのスカートに見えるが、スカートやブレザーには沢山のバッチが付けており、パンツが見えるギリギリの所までスカートを織り上げている。
足元ものローファーをはいている。
梨奈と呼ばれた少女の姿を確認した真帆が手を振りながら
「遅いぞー梨奈ぁ、遅刻なんて珍しいな。」
「ごめーん、バスにも乗り遅れたし、モバフォンのバッテリーに充電忘れてさ、さっき電池切れになっちゃってメールも℡もできなかった。」
「もー、梨奈がもう少し早くここにきていれば、立花がナンパされなかったのに。」
「へー、立花ちゃんをナンパするなんてよっぽど暇人みたいね。」
「女性に声をかけない方が失礼に値するのでね、どうです?せっかく友達が集まった所で交流も兼ねて近くのムーンウォークでコーヒーでも・・ぶげっ」
いつの間にか復活していたナオキが梨奈と名乗った少女に近づいてきて早速、ナンパをしようとしたが、あっさり恵吾に裏拳を当てていた。
「おーい、ナオキくん。君には甲斐性と言う単語は欠落しているのですか?」
「痛てぇー、いきなり裏拳で殴らんでもいいだろ!」
「彼女たちを巻き込まないようにモーションの少ない裏拳で殴ったからな。」
恵吾とナオキが口論しているときに立花がおもいっきり息を吸い込み大声で
「少しはぁナンパすることを控えてくださいぃー。」
あまりの大声でナオキと恵吾はビクッとして、口論を止めている時に少し離れた所で
「ねぇねぇ、真帆ちゃん。あの男の子たち誰?」
「あたしもさっき会ったばかりだけど、ハーフっぽくて梨奈にナンパしたヤローがナオキで」
「ほうほう」
「ナンパから助けた青メッシュの奴が恵吾だったな。」
「恵吾君か・・・ナンパはされて少しビックリしたけど、結構かっこいいかも。」
「まじで?あんなのがいいのか。」
「助けて貰ったのもあるけど、Sランクのイケメンじゃないけど、かなりかっこいいよ。」
「じゃあアタックしてみるの?」
「うーん少し考えちゃうな~。」
渋谷のハチ公前で真帆と梨奈がガールズトークに花咲かせていて、立花がナンパ男に説教している様子を恵吾は持っていたお茶を飲みながら静観していた。
しかし、平和といえる状態を台無しにする声が
「ふざけんじゃねーぞ。この女ぁー。」
罵声が飛び交っている、どうやら別の所で口論が発生したらしく、恵吾もナオキもハンターだけあり即座に罵声の飛び交っている方向に体ごと視線をそっちに向けた。
「ふざけてんのはどっちよ?(そんな超が付くほどダサダサの格好で、団体でナンパしているあんた達に、引っかかる馬鹿はどこにもいない。)って、指さして笑っただけじゃない。」
口論になっている女性は、この街じゃよく見かける黒ギャル系少女であり、一方団体でナンパしている連中は、頭部は今時流行らないようなカラフルなモヒカンヘッドが4人、スキンヘッドが3人で、リーダー格と思われる奴はソフトリーゼントの計8人で、肩や膝にスパイクの飾りの付いたつなぎに胸部プロテクターと明らかに徒党を組んだ連中である。
「てめー、又いいやがったな!!いいから俺達と一緒に遊ぼうってんだよ。」
「い・や・よ。あんたらとつき合うぐらいならノミとデートした方がましよ。」
「あんだとー俺達をノミ以下だって、そう言いやがったな」
一方でナオキと恵吾はあの連中に聞こえないように
「すごい罵声浴びせているな。彼女、後で袋叩きか集団強姦されなきゃいいけど。」
「恵吾あの連中は僕が引き受けるけど、いいね?」
「別に俺に許可取らなくてもいいって、あの連中ぐらいなら俺達二人で制したらそれこそ、弱い物いじめだぜ?」
「オーケー。んじゃあいつら片づけてくる。」
ナオキは恵吾に左手をパーにして一度手首をふりつなぎの団体の方へ向かい
「はいはい、お兄さん達、団体でナンパなんてナンセンスですよ。せめて2対2ならいいけど、一対多数なのはナンパじゃないよ?」
ゆっくり近づいたナオキは、リーダー格の男に近づきながら諭すように言い
「あぁん、てめっ、誰だ?この子の連れか?だったら帰りな、今からこの娘は俺達とお茶するだけだ。」
ほかの連中が
「そーだ、そーだ、横入りすんな。」
「俺達が先だ」
「邪魔するな」等とモヒカンやスキンヘッドが横やりを入れているが、ナオキはそれらを無視し絡まれた女性からこのチンピラを遠ざけるため僅かに後ろに下がらせた。
一方その後ろでは恵吾の横に立花、真帆、梨奈の順に並び、立花が恵吾に肩を揺さぶりながら
「ねぇ恵吾君、あんなナンパ男一人に任せて大丈夫なのですか?」
「ああ、大丈夫。ナオキだったらあれぐらいの烏合の衆、簡単にKOできるさ。」
「だからといっても、あんな団体にたった一人で、・・・・真帆、お願い、あの人助けて。」
「よーし、あたしの街であんな奴らあたしの能力と拳で簡単にボコボコに。」
恵吾が真帆を手で制止し
「だから大丈夫だって。あいつ、ああ見えて俺と同等に強いし、トンファー格斗術クレイブファルケンの使い手だから。」
「「クレイブファルケンって何?」」
「トンファーを使用した格闘術で打撃系のみで接近戦では敵無し、と言われるほどにね。」
恵吾と真帆の言い合いに立花が
「でもあれじゃ多勢に無勢じゃない。幼馴染みを見捨てるの?」
「まぁまぁ落ち着いて、俺はあいつ一人であれぐらい倒せるからまかせたし、俺が加勢したら、まさに弱い物いじめになるから。」
「で、でもそれじゃあのナンパ男がボコボコに・・・・」
「まぁ、語るより観る方が早いから。」
ほぼ同時刻にナオキは真帆と囲まれていたギャルに向かって
「そこのお嬢さんは後ろに下がって。この連中は女性に声をかけるルールも理解してないみたいだから、きつめのお灸が必要だ。」
いきなり現れたナオキにリーダーの男がついにキレた。
「おいみんな、兄ちゃんが俺達にあの女変わって遊んでくれるってよ。俺達の怖さ教えてやれー。」
うおぉぉぉ―――とつなぎ軍団が鉄パイプや釘バットやらチェーンウイップやらと武器類を一斉に取り出しナオキに襲いかかった。
もちろん、周辺にいた人達は蜘蛛の子を散らす用に逃げ、そいつらから離れた。
「武器の不法所持と集団暴行の罪確定だな。」
ナオキは小さくつぶやくと同時に両手を腰に回しコート内に隠してあったトンファーを回しながら取り出した。
彼の取り出したトンファーは携行性の優れた円柱状の短い棒にグリップを付けたシンプルなトンファーである。
先陣に出てきたモヒカンAの攻撃を左に避けながら右のトンファーで顎にかなりの強打がヒットさせて、地面にはめり込まなかったが一発で気を失わせた。
「まず1人と。」
「ばかな、ビリーが一撃で倒された、連携アタックで行くぞ。」
「「おう」」
次にきたのはチェーンウイップを持ったモヒカンBとスキンヘッドαが、ナオキと間を取りチェーンでナオキのトンファーを絡め取り動きを封じた。
「へぇ、チンピラにしてはいい連携だ。」
言い終わると同時に鉄パイプを持ったスキンヘッドβが近づいてきて
「くらいなぁ――」
ナオキは鎖に絡んだトンファーをうまく持ち替えて利用し鉄棒の動きで宙に半回転して、近づいてきたモヒカンCにかかと落としを脳天直撃させて、失神させたあとに着地した。
その勢いで左側のチェーンが緩み、スキンヘッドαが持っていたチェーンを気合いと共に
「うぉりやぁあぁー」
声を上げこっちに引っ張りバランスを崩して、近づいてきたスキンヘッドαにハイキックを当てて地に伏せさせた。
「3人目撃破。」
もう片方のモヒカンBの鎖をこちらに引っ張り近づけトンファーを顎にヒットさせて失神させた。
「はい、半分撃破。」
「ど、どうなってやがる。このー」
残っていたモヒカンC、D、スキンヘッドΔ(デルタ)が一斉に釘バット構えてラインで近づいてきたが、ナオキは先頭切ってきたスキンヘッドΔに足を前に出し転倒させようとしたが、残りのモヒカンCとDが散会し、ナオキの左後方をCが、右後方にDに回り込みスキンヘッドも急停止してナオキを正面に入り取り囲んだ。
「おっとこれじゃ動けないな。」
ナオキはトンファーを構えながら正面にいたスキンヘッドΔの顔面にトンファーを直撃させて地に伏せさせた。
「後方にはね、なら正面にいる輩を先行して倒すだけ。」
「ああっバリーが、この野郎ォォ。」
激高した残りのモヒカン2人が同時攻撃に接近してきたが、ナオキはすぐに後ろに半回転してモヒカン二人に左右同時にトンファーを顎や頬に直撃させて戦意喪失させた。
「へ、ヘッド・・・・す、すみませんでした。」
「さて、後はあんた一人だ。どうする?まだ抗う?」
「なめやがってバリーやビリー達を全員倒したぐらいで俺を倒せると思うなよ。」
リーダー格の男が懐からガンレットを取り出し装備して左のガンレットを主軸に攻撃を始めて蹴りも飛び出してきた。
最初の一撃をトンファーでガードして次も何とかガードしてから少しチンピラリーダーから距離を空けた。
ナオキは(くっ、一撃一撃がかなり重い、あんなの一撃食らっても問題ないけど、連撃で喰らったらこっちがアウトだ。)と思いながらも息一つ乱してない。
こちらから右トンファーを楯代わりに固定し、左トンファーを回しながら接近し左にトンファーを叩き込もうとしたが、奴が右のガンレットでガードし、そのあとチンピラリーダーからの左足からのハイキックをトンファーでガードした。
「!!」
ナオキはこの戦闘方法に既視感を感じ蹴りとガンレットを振り払い広報に飛び距離を空けて
「あんたの戦闘方法、どこかでみたこと有ると持ったらやはりそうだ。右のガンレットをガードに趣をおいて左拳や足を攻撃するスタイル間違いない。あんた、軍用格闘術レイブントラッカーの使い手だな?」
「別に隠していた訳では無いが、さすがだな。今まで俺に挑んだ奴はソレに気づく前にのされていたがな。」
一方ケイゴ達は
「レイブントラッカー?なんだ、そりゃ?」
と真穂が聞いてきたので啓吾は
「統一連盟加盟国の一つビリーク公国で開発された軍用格闘術でね、前線で一人でも多く敵を倒せる様に片腕と両足を攻撃の中心として残りの片腕を防御のみに特化させた軍用格闘技だよ。」
「うーん判ったような、判らないような。」
「要はとある軍で使う格闘技ってこと。」
「ほぅ、ガードばっかりしていたから逃げているかと思ったが、俺の技を観察していたのか恐れ入るぜ。」
「さて、相手がレイブントラッカーの使い手なら奴の肋の数本は折ってもすぐに戦闘不能にはならないな。」
ナオキはまずは右のガンレットを封じるために、トンファーでの乱撃にでた。
しかし、ナオキの連撃はことごとくガンレットでガードされていたが、防御に専念していたためボディーががら空きなのに気づきガンレットに当てる振りをして左腹部に回転させた一撃をヒットさせた。
リーダー格の男は不敵に笑いまるでダメージを受けてない様だ。
「おしい、蚊に刺されたぐらいは痛てーがな、俺を沈めるには弱いぜ。」
「おーう、あの一撃食らって悶絶しなかった奴はそういないな。ならっ!!」
言い終わると今度はナオキがまずはガンレッドに打撃を集中させてきた。
「はっ!!お前のトンファーじゃ俺のガンレッドは砕けねーよ!!」
「それは、どうかな?」そう言い終わって左に持っていたトンファーを高速回転させてチンピラリーダーのガンレッドのガードにトンファーを当て厚さ5mmあるガード部分をガラスのようにいとも簡単に砕いた。
クレイブファルケン回転打撃技、スマッシュ・デ・ブレイクである。
「なっ!!」
チンピラリーダーがいきなりのことで隙が出来たので、両方のトンファーでボディーブローを数発で当てた。クレイブファルケン打撃技の一つファング・ジ・ブローである。
相手の防御作るほど余裕の無くなったところを同じようにトンファーでボディーブローを連撃で当てていき、チンピラリーダーは有無を言わさずサンドバックとなった。
「うぉるぁぁぁぁ――――」
クレイブファルケンの技の一つラッシュ・ジ・クリムゾンである。
トンファーの乱撃が終了し、ナオキが少し距離を空けてトンファーをホルダーに納めたと同時にリーダー格の男は前のめりで倒れた。
「はいっ一丁上がり。」
「おいおいナオキ、こんなヤツにファングとスマッシュのコンボでノックアウトさせなくてもファング数発でよかったのに。」
「リーダー格のこいつだけは他のモヒカンと比べても別格だったから。それに実際こいつに当てたのはラッシュの最初の数発と締めの2~3発ぐらいで後は当たらない程度に留めてある。」
「すげー。なんて強さだ」
「な、言ったとおりだろ?こいつ一人で充分だって」
ナオキがチンピラを全滅させて数分後、ここにいた誰かが警察に連絡したみたいでパトカーが数台到着した。
「警察だ!!この近辺で暴れているのはお前達か?」
警察官数名がナオキに近づきナオキが
「ああ、ソレこいつらです。僕はそいつらをおとなしくさせただけです。コレ、身分証。」
ナオキはそう言って警察官にハンターライセンスを提示し、1人の警官がパトカーに戻り、各種チェッカーを持ち出し本人とライセンスが本物かどうか確認しだした。
「ソレじゃあ本人確認するからライセンスをスキャンして網膜、指紋、声紋の順で確認させて貰いますよ。」
そう言われ警官が持ってきた認証装置にライセンス、網膜、指紋、声紋の順でチェッククしてナオキに対する警官達の態度が変わった。
「集団暴行の容疑者確保ご協力ありがとうございました。」
と現場に駆けつけた警官で最も階級の高い制服警官が敬礼を受けた。
警官がチンピラ連中を護送車に詰め込み撤収した後にあわや集団暴行されそうになった褐色ギャルがナオキにお礼を言った後に一目散にこの場を離れた。
その後、ナオキがナンパしていたギャル達と別れてナオキと啓吾はシブヤシティー警察署に向かいそこで、暴力行為をした連中はこの界隈では割と名の知れたチンピラだったことがあとで判った。
ナオキは例のチンピラ共を警官に付きだした後にマサキと近隣の喫茶店で合流した。
「で、どうだったあいつらの懸賞金?」
「ハッキリ言って100万行かなかった。トータルで95万3千ゲールだとさ。」
啓吾はその数字を効いて自分のもって居るタブレットでこの近辺のチンピラの懸賞金相場をサーチかけて
「この辺のチンピラにしては相場高くないか?平均でみるとあれぐらいのチンピラグループは30万程度だよ。」
「それでもモヒカンやスキンヘッドは全員会わせても20万ちょいで、あのレイブントラッカー使いの奴が75万前後で、よく調べたらガルム・ノートマンだった。」
「ガルム・ノートマンって、元軍人で上官殺しをしたノートマン?」
「そう、そのノートマンさ。あいつに関しては集団暴行と武器不法所持以上にそっちの方で懸賞金が高かった。」
啓吾はなるほどと一言返した後にナオキが
「僕はある程度この街をブラブラした後、北の方に行こうと思っている。それで、ケイゴこのあとどうする?」
「俺はアリスタシティーとカイジョウシティーで結構稼いだから2~3週間は休暇でこの街に留まろうと思う。」
「アリスタとカイジョウーか。」と言って
「そういえば、500万オーバーの大物が数日間にまとまって捕まったニュース聴いたな。あれ、お前だったか。」
「オフコース。」
「道理で金銭的に余裕の顔している訳だ。」
「それだと俺が万年金銭的に困っている様に聞こえるが。」
「こらこら。僕はそんな意味で言った訳じゃ無いって。」
そう言い終わってナオキは話を逸らすように
「あっ、そういえばさっき僕がナンパした白メッシュしていたお嬢さんさ、どっかで見たことあると思って(柊真穂)でサーチしてみたらこんな雑誌に載っていたよ。」
そう言ってダウンロードした雑誌を俺に見せてきた。
「ナオキ、これってティーン向けファッション誌のバックナンバーだろ?」
「サーチかけたらその雑誌に彼女が載っていたのをダウンロードしただけだよ。」
ソレはいわゆるティーンファッション雑誌で、目を通してみると俺には不必要な10代女の子さっき今流行っている服装や、ネイルの仕方、スイーツ専門店の新作や新規開店した情報などをスルーして読者モデルコーナーに目を通すとさっきの白メッシュのお嬢さんはこの地域じゃ名の通ったカリスマ読者モデルだった。
プロフィールも載っていて、
柊真穂A・W186年4月22日生まれの16歳で身長は158cmで体重は47kg(いいのか?読者モデルはいえ一応素人さんだろ?体重まで公表して)現在高校1年生、自身もサイ能力者であることを証している写真もあった。
その写真を見ると、30kgはある米袋を宙に浮かせている写真である。
コレを見た俺は思わず「えっ!」と声を上げて
「あの子サイ能力者だったのか?」
「らしいな。コーワシティーじゃ僕の知っている限り、ケイゴとケイゴのお袋さん以外無い能力者は見たことないけど、サイメトロジアや流星街周辺の街じゃサイ能力者なんて結構居るからね。」
サイ能力者
100年ほど前に世界の各地7カ所に落石した隕石に付着していた脳覚醒粒子フィオロッソの付着した隕石落下地点周辺にあった街や村の人達は影響下にあったため、住人の大半がサイ能力者に覚醒した。
サイ能力者は脳覚醒粒子フィオロッソが発見される前は一般的に超能力者といわれて、能力に覚醒する人はごく希であった。
もちろんソレに伴い隕石落下に伴った多大な犠牲者も出たがそこから街を新規で起こし、政府主導で作ったサイキック能力開発都市のサイメトロジア、政府主導で開発する前に近隣の住人が作った流星街の2種類のサイキック能力開発都市が作られた。
サイ能力はカテゴリーがあり
・従来からあるテレポートや念動力といった能力をテレキネシス系能力
・火炎放射や放電等の体内部から出て来る能力や身体強化の出来るフィジカル系能力者
・透視、読心、未来予知などといった精神系に傾いている能力をメンタル系能力者
大半がこの3パターンに分かれる。
中には人体の物理法則に全くあてはならない氷雪系能力者を含むスペシャリティーと呼ばれるレア能力者も存在するらしい。
そしてこの世界は、サイキック能力者はこの世界の総人口の約半数が覚醒しており、統一連盟政府も全国民にサイ能力覚醒を努力義務としている。
もちろん、サイ能力で犯罪をするモノもいるが通常のハンターはこいつらには手は出せない。
理由はサイ能力が一切開花しないハンターがサイ能力犯罪者と対峙し返り討ちに遭った過去があったためである。
サイ能力のカテゴリーレベルが4以上なら志願ありで5以上になったら人間は対サイ能力犯罪対策機構に入隊出来る条件となっており、例えサイ能力に覚醒しているハンターであってもカテゴリーレベルが4以下ならサイ能力犯罪者は捕まえることは出来ない
俺もサイ能力者であり、カテゴリーで言えばメンタル能力者でありサイキックレベルは3だが鍛錬をすれば4になる位だが、もう少し練度を積めばサイハンターにはなれるがなる気は無い。
先程までの話をし終えてナオキは宿泊しているホテル方面に向かい、ケイゴは近隣にある両親が日本の関東で仕事をするために使用していたアジトを探すためにそれぞれ別の方向に進んでいった。
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