1 右腕が義手のメタトローハンター
ユージスタ大陸南東の大都市アリスタシティーで俺はとある犯罪者を追跡している。犯罪者を追っているからといっても俺は、警察の人間や探偵の類ではない。
犯罪者を捕まえて警察等の関係役所にそいつを突き出し、そいつの首に掛かった賞金をもらい日々の糧に生活している、いわば、賞金稼ぎである。
俺は、アリスタシティーの中央エリアにあるバイク用の駐車場に愛車のバイクを止め、サイドスタンドを立てて、通信端末に目を下ろしデータを閲覧し、
「ほんとに、この街にこいつがいるのか」とつぶやいた。
街での聞き込みを行いその犯罪者のいる場所を特定できたため、そいつを捕まえるために動き出した。
アリスタシティーの裏路地でヤツを発見して追走し、とあるビルの屋上に犯人の男を追いつめた。
犯人の男は特徴として身長はかなりの大男で頭目は白髪混じりで左頬に深い傷跡があり、つり上がった目をしている、名をアンドリュウー・バリスターといいう。
「さて、アンドリュウー・バリスターさんよ、追い詰めたし抵抗しないでくれると俺が助かる。」
と言うと腰に下げた日本刀を抜刀し構えて言った。アンドリュウーは鼻で笑い
「ふふ、そう言ってわしに返り討ちにあったハンターが何人もいるからな、貴様も返り討ちにしてやるぜぇぇぇぇ。」
言い終わると同時に懐に忍ばせたサブマシンガンを二丁取り出し、レバーをセーフからフルオートに切り替え乱射しだした。
銃弾が発射され、硝煙と土煙で向こうから俺は見えなくなっても撃ち続け薬莢が排出されカラカラと地面に落ちる音と銃弾の発射音がやかましくひびき打ち続けている。
アンドリューは何度も何度もマガジンを変え肉片すら残らないぐらい銃弾を発射しアンドリュウーは勝利を確信しトリガーから指を離しサブマシンガンを下に下ろした。
「ふっ、馬鹿が、わしに挑まなければ肉隗にならなかったのに、がはははっ!」
高笑いのあとに硝煙が徐々に晴れてきた。
このときアンドリューはわからなかったが硝煙が晴れたときに目に映ったのは、マシンガンによって蜂の巣なった死体でなく、傷一付いてないでピンピンしている俺が円形にできる小型シールドを展開していた。
「そ、そんな馬鹿なあれだけの銃弾を食らって無傷だと!!!」
驚愕しているところに追い討ちをかけるように
「残念だったな、お前さんが撃った銃弾はギリギリのとこで回避したし、俺の日本刀、虎鉄で叩き落とさせてもらった。」
足元には大量の弾痕と銃弾での小型シールドが主の変わりに銃弾を数発かすり傷がついているだけで、俺はシールドをたたみ
「さて、ここからはこっちの反撃だ!!」
刀は両手で構えて一気に相手の間合いを詰めて
「く、くるなぁぁぁぁぁ。」とマシンガンを再びトリガーに指をかけた。
乱射したマシンガンの銃弾をかわしつつ相手の銃口が間合いに入り頭を低くして、「せいっ!」と気合を入れ刀身を下から上へ切り上げまず右のマシンガンを、次に左、の順に2丁とも本体を真二つにし
「うぉっつ、わしのサブマシンガンぁぁぁー。」
動揺しているうちに刀を峰側に持ち替え、腰を捻りながら刀を相手のわき腹に峰打ちとはいえ胴薙ぎを直撃させた。
蒼天活殺自在流龍尾返しを当てて相手の肋骨を亀裂骨折させ悶絶させておとなしくさせた。
アンドリューに逃走防止のためロープで縛り上げ通信端末に目を下ろし
「アンドリュウー・バリスター、強盗殺人2件、強盗傷害18件、殺人8件でトータル980万ゲールっと、意外と高く付いたな。」
情報照会も終了し後は警察に引き渡せば終わりだな、アンドリュウーは
「お前ただのハンターじゃないな、一体何者だ?」言い終えて俺の顔を見て青ざめたあとに
「きっ、貴様一体・・・・はっ!!!思い出したぞ。黒髪の短髪に右前髪に青いメッシュを入れてあり、右手が義手で日本刀を使う、蒼天活殺多限刀流の使い手のハンター、ルーキーにしケイオス・ザレン事件を解決した、ケイゴ・シバハラか!」
アンドリューは俺の特徴を言い
「正解、お前さん運が無かったな。」
と短く答えさらに首筋に手刀を入れて気を失わせた。
俺のことを改めて自己紹介するなら、名は芝原恵吾。
AW183年5月30日生まれ。
背は高くもなく低くもなくいわゆる中肉中脊だと思う。
親は二人とも日本人で父親は武宮栄次郎、母は芝原正美、母も父同様にハンターだったが、母は出産をきっかけに引退し、ユージスタ大陸日本国領のコーワシティーにあるアジトを実家としそこで俺は育った。
右腕が義手なのは、またいつか語るとして、外観の特徴を言えば、黒髪短髪に青いメッシュを入れてある。
ロングTシャツにアーミージャケットをはおり、デニムパンツと特徴のない格好に見えるが、このシャツとズボンはカーボン繊維で編みこんであり、実弾や刃物の切り傷を防げるぐらい硬いが普通のシャツやズボンと変わらずに着用できる。
武器は日本刀を5本もっていて専用のバックに入れて携帯し、リボルバータイプの拳銃も所持している。
あくまで犯人威嚇や確保のために殺傷能力ゼロのハードゴム弾や、相手の動きを一時的に電気ショックで封じるスタンブリット弾をシリンダーに装填しているためリボルバー銃では殺さない。
あと実弾も所持いているがあくまで猟銃専用である。
照会が終わり、アンドリューを警察に突き出し懸賞金を受け取る事務手続きをするため、最寄りの警察署の罪人引渡し課に出向した。
ハンターライセンスの提出、指紋、声紋、網膜等のチェックを行い必要書類にサインをして数分後に、事務のお嬢さんからやっと賞金を受け取れるのだ。
今回は高額の為現金の束を確認後、今回の案件で被害の出たビルの保障分を差引いて残りは銀行に直説振り込んでもらった。
あいつが銃弾で風穴開けたビルの屋上の修理代を差し引いてもかなり儲かったな。
実際に振り込まれた額は600万ゲ―ルだったので少し口元が緩み
―さてアリスタシティーでの俺の仕事はこれで終了だな。―
俺は別の仕事を求めるために、たまには日本の大陸領でなく本島にいってみるかと心を決め、本島方面の港へ向かうために愛用のバイクにまたがりエンジンを始動しマシンを走らせてこの街を後にした。
アリスタシティーを去ってバイクで疾走と休憩をくりかえし4日後の夜に日本本島に定期便を出している港町カイジョウシティー(旧上海エリア)の港に到着したが、海路で本島方面に向うための船は1日2便出るが到着した時は夜の8:30 翌日以降の朝9時まで出港しないから最寄りの宿で一泊することになった。
翌日はこの地は出航日和だか、間が悪く台風が近海に居た為2~3日足止めになった為、俺は仕方なく台風が去り波も落ち着くまでだがこのエリアで仕事をこなすことに決めた。
俺はまず情報端末にカイジョウシティー内で起きた事件や、事故の情報をインストして数日以内で解決できそうなのをピックアップして、その中に気になる事件を見つけた。
金貸しを殺した青年。これ位だった俺でなくてもいいかなと思ったが、この青年が殺した人間の身元とそいつの検索をかけたハンターの名前を見てそう言っていられないと思い彼を捕獲する決意を固め、この事件の犯人確保の依頼を受諾した。
俺が受けた仕事は殺しの犯人を確保すること。
容疑者の名はファン・ユン・リョン。
男を捕まえ警察に突き出すだけの仕事なのだが、ただ少し気なったのは被害者となった男が、かなりの悪徳な金貸し頭取で、名をリッキィー・モルガンと言う。
モルガンファミリーの若頭で何時警察やハンターに捕まってもおかしくない奴であった。
リッキー・モルガンを狙っていたハンターリストの中に、逆恨みで加害者や無関係の一般人を巻き添えにしてでも犯人や擁護した一般人も殺すかなり惨酷な奴がリスト閲覧履歴に乗っており、名をダイ・ヴォルドーバといい、ファンを狙い殺そうとしていると情報が入り俺は情報を元に走り出した。
ファン・ユン・リョンの特徴は高身長で頭髪が少々ぼさぼさの黒髪黒眼の気の弱そうなチンピラ風の格好で情報を元に彼の居場所を探し出した。
昼過ぎに俺は、ファン・ユン・リョンのいる飲酒可能な喫茶店を見つけ入店して俺を見ると「いらっしゃい」とママさんが声をかけてきた。
女性にしては背の高いスレンダーボディーで黒髪銀眼のボブショートで白を基調としたワンピースドレスを纏っており、その上にライトブラウンのカーディガンを纏っており、
カーディガンの上からでもわかるぐらい巨乳だが、ママさんは少し暗い表情でせっかくの美人が少しふけて見えた。
ファンから椅子二つ外れた所にかけて、ママさんが「何にします?」と声をかけてきたが「コーヒーで」と一言言った後
「すぐ出しますね」といい奥に引っ込んだ。
コーヒーがカウンターに届き一口飲んだ後に、ファン氏に声をかけた。
「すいません貴方ファン・ユン・リョンさんですね?」
と訊ねると、店長さんと男が同時にビクッとしたが今は無視しておこう。
少し間を空けて
「そうだが・・・・あんたも賞金稼ぎとなんだろ?あんたも俺の賞金が目当てだろ?そんなやつ信じられないね。」
ファンは怯えと怒りを滲ませ俺に罵声を浴びせてきた、やはり初対面の俺を信用するほど楽天家ではなかった、俺は冷静に諭すようにゆっくり語る。
「まぁそこは否定しないが、・・・少し話を聞いてくれないか?あんた、このままじゃ逆恨みで殺される可能性がある。」
「どういうことだ?」
「ファン・ユン・リョンさん貴方が殺した男、リッキィー・モルガンはかなりの賞金が掛かっていたことはしっているね?」
彼は首を否定の方向にふり「いいや」と短く答えたその目は嘘を付いてなかった。
「そのリッキィー・モルガンを捕獲のために動いた奴の1人は、かなりタチの悪い事で有名なハンター ダイ・ヴォルドーバと言ってね、そいつは自分の獲物を横取りした奴を素人、玄人問わずに自分の手で殺すまで追い続ける通称、ブラックハウンドと呼ばれる、元犯罪者のハンターだったが、ここ最近の悪行が多くて最近ブラックリストに逆戻りした本物の悪だ。」
「どうしてそんな奴があいつを?」
聞いてきて俺は答えた。
「それはわからないが、奴がターゲットを選ぶ基準は金と、自分が不快に思う行動した奴らしいからな。奴は500万以下には興味ないはずだ。だが、そのリッキィー・モルガンは金貸しとしては異例な1500万は確実に掛かっているからね。あのヤローなら殺されて大損したのは殺した奴のせいだと苛烈な逆恨みで人をかなり殺しているから、俺はファンさんにお願いがありここに来た。」
「お願いってなんだよ。それにあんた俺にお願いしたいと言っているけどあんた自身名乗出てないじゃないか聞いてほしいなら名をなのれよ!」
怒り交じりに言うと同時にカウンター席に両腕の拳を叩きつけた。
「ああ、失礼。名乗るのを忘れていましたね、自分はケイゴ・シバハラと申します。以後お見知りおきを。」
ハンターライセンスを見せると同時に自己紹介をすませた。
「やっぱり、あんたもハンターだったんだな。そうは見えないけどな。」
と溜め息混じりに言ってきて
俺は、苦笑いをしながら「よく言われる」と返した。
「それで俺にお願いってなんだ。そんなに悪い奴には見えんが、わかったよ、あんたの話しきいてやんぞ?ただし死んでくれはなしで頼む。」
さっきまで怒りと怯えの混じっていた奴が、よくそんな冗談が言えるなと思ったが口には出さずに俺は続けた。
「まず一つ目のお願い、幾つか俺の質問に答えてほしい?」
「ああ。いいぜ」
「まず初めに、リッキィー・モルガンを何故殺した?貴方みたいな人が犯罪に巻き込まれない様に夜の街を歩いている人があんなゴロツキの金貸しに縁があるとは思えないからね。」
俺の質問を言い終わると、少々時間をかけ意を決したようでファン・ユン・リョンはゆっくり語りだした。
「俺は、ここの店長、リリーナさんを助けようとしただけです。」
俺はうんうんと頷き彼は話を続け、
「彼女、リリーナ・ファンタイルさんがこの店の資金繰りに困って居た時に、あの男の会社から借金をして、そのあとから店の経営もわずかでも軌道に乗ったのですけど、ところがあいつら、借りた額の利子以上に別の人の借金すらも上乗せで払えって脅迫してきました。」
「・・・・噂の域でしか聞いてなかったが、まさか第三者の借金を返却可能の奴に上乗せしていたとは、まぁやはりあの会社ならやりかねないな。」
ファンはなるほどとつぶやき。
「じゃあ次の質問、リリーナさんと貴方の関係を教えてくれるかな?ただの常連と言うだけじゃそれだけで危ない橋をわたらないからね。あぁでも答えられる範囲でかまいません。」
また少し間を空けて
「はい、最初は美人の店長のいる店だけで通っていました。そのうち、まずは自分の身の上話をし出してその話で一喜一憂していたら今度はリリーナさんが自らの身の上話してくれる様になりまして、かつて警官の彼氏から自ら飛び出したって話もしてくれて、俺達は似ているなってことから惹かれあっていずれは結婚も考えていました。そのときにここの借金の話を聞いて・・・・・・俺やリリーナさんの稼ぎじゃ全く返せないぐらいに、奴らが次々とほかの不良決済も上乗せされて返済不可能になり、それで・・・それで苛烈な借金返済要求で拉致されて、殺されそうになって・・・・殺した。」
「大体解りました。やはり正当防衛か、それなら話は早いな。」
「それって一体どうゆうことでしょう?」
「話を戻すと君に頼みたいことは、自ら警察に自首しに行くか、俺の保護下で一緒に警察に行くかだ。」
「「!」」
「それって自力で行くか、貴方が引っ張って行く違いだけで、どっちにしても警察に行けってことじゃない。なんでそんなこと言えるのですか!それに犯罪者なんて他にいるでしょ。」
奥からリリーナさんが怒鳴りつつ震えた手で果物ナイフを俺の方に向けて出てきた。
俺は立ち上がり両手をあげつつ
「リリーナさん落ち着いてください。この選択は貴女と彼を守るためです。」
彼女をなだめる様にいいきかせたが、彼女は震えたままでナイフを未だに持ち続け
「ふざけないで、結局はファンを捕まえて貴方が賞金を稼ぎたいのでしょ?」
俺は少し沈黙の後に口を開いた。
「彼の賞金だけが欲しいなら、店に入って人相を確認して失神させてでも問答無用で連れて行きますよ。先ほども申しましたが、ダイ・ヴォルドーバはかなり好戦的な元ハンターの犯罪者から護るためです。」
ファンは頭を抱えつつ俺に
「もし、リリーナさんがここから俺と逃亡しようと言ったら彼女はどうなる?」
俺は少しトーンを落とし
「ここで俺があなた達を見逃した場合、リリーナさんにも逃亡ほう助罪が適用されて二人合わせて賞金首だ。逃走した場合、殺人罪に逃亡罪が追加され、初犯で例え正当防衛でも恩赦なしで20年近くは牢獄生活になる。ここで捕まるか自首した場合、最低でも恩赦があって10年前後だから、さらに正当防衛が認められ罪を犯したものに掛かった懸賞金の半額を保釈金として納めれば、刑期が大幅に短縮されるのですよ。今後の貴方たちを思っての良案です。」
彼女は声を荒げて
「だからと言って素直にファンを貴方のようなハンターに渡すと思う?ハンターなんてあの人以外みんな、簡単に仲間を裏切って民間人を見下して、悪銭を得て私腹を肥やしている奴ばっかりだから。」
「リリーナさん、それはハンター呼べないゴロツキ崩れの類ですよ。とは申しても簡単には信じませんね。」
俺が苦笑しながら答えたがそれでもリリーナは落ち着かなかったので、俺は深々と土下座をしたと同時に
「えっ」「なっ、なんで」二人は驚愕した。
このときカランと金属音したので彼女はナイフを落としたようだ。
「お願いです。ここは私の案に乗って下さい。」
と土下座したまま叫び、更に続けた。
「そうしなければあなた達二人の未来が断たれることになります、ダイ・ヴォルドーバという男はそれほどに凶暴かつ冷酷なのです。いくら奴でも警察や牢獄の敷地内で大暴れするほど馬鹿ではないですが、お願いします!私の言っていることに嘘、偽りがあったら私を恨み、殺しても何の文句も言わずに果てましょう。」
土下座を始めて20秒ほど経ったころにファン氏が
「顔を上げてください、わかりました、あんたの言っていること全てを信じたわけではありませんが、俺を警察に連れていって下さい。」
「フ、ファン貴方どうして?」
「たしかに俺はあんな悪でも人を殺したのは間違いない。このまま全てを捨てて新たな生活をすることも、逃げて、逃げて、逃げ続けることもありだと思うけど、やはり逃げても何も解決しないと俺は思う。」
俺は土下座をやめ立ち上がりリリーナさんは
「私は、この街でバー喫茶店を始めたときから貴方言うゴロツキ崩れのハンターしか見てなかったからね、貴方みたいなハンターもいたのね。・・・でもだめ、やっぱりあなたにファンは渡せない。」
リリーナは近くにあった空のビールビンを手に取り俺に瓶を背後から叩きつけてきたが咄嗟に右腕を上にして両腕つかい頭をかばったと同時にビンの割れる音がした。
幸い右腕は義手なのでビールビンぐらいじゃ腕に傷は付かないが変わりにビンで殴打されたシャツの袖が破れ義手の鉄鋼部分が露になった。
「えっ、右手が義手?」
つぶやくと同時にファンが彼女の肩をもち俺から遠ざけ
「リリーナァァー、一体何しているんだっ!」
ファンが彼女の肩を二、三度揺さぶりリリーナがはっと我に帰り
「わ、私は何を・・・・」
持っていたビールビンをカウンター上に置いたと同時に、俺が左手にグローブを腕から甲に飛散したビンを冷静にパンパンと払い続けて
「ああ、これくらい大丈夫ですよ。自分、右手は義手ですし、仮に生身でもあれ位じゃ傷付かないくらい鍛えていますから。」
「ごめんなさい。私、私・・・どうかしていた。」
彼女は泣き崩れながら謝り続けた。
「お気になさらずに。」
俺が冷静にビンの破片を片付け終わったのを見計らい、ファンが俺に問いかけた。
「この場合彼女はどうなるのですか?」
「普通に考えて犯人逃走幇助と傷害になるけど、これぐらいならどこかのガラスか金属片にシャツを引っ掛けて破けたことにしておくよ。」
俺がさも何も無かったように取り繕うとリリーナさんは涙をこぼしながら
「ありがとうございます。やはり私はハンターと言う人種をひどく勘違いしていました。」
彼女が落ち着いてきたので話を戻し
「この街でそんなハンターしか見てないのでは仕方ないですね、ではファンさんは俺と共に警察に行くと言う方向でいいのだね?」
「はい俺には自首する勇気はありませんから。このまま逃亡して殺されるよりはマシです。」
彼の決意ある目を見て俺は店を出て行くため刀の入っているバッグを肩に掛けて
「わかりました、ではリリーナさんファンさんは、私が責任もって警察まで同行し引き渡します。」
「よろしくお願いします。」
リリーナさんは短く答え、俺が彼を連れ出し店から出ようとした時に、俺が出るのを止めてリリーナさんが
「どうしました?」
「外に禍々しい殺気が蠢いている、二人はここに居てください!」
「さっき言っていた人?」
「分りませんが、どうやら俺以外にも招かれざる客が来店したみたいです。すこし騒がしくなりそうです。念の為、おとなしくしていて下さい。」
「わかりました。」
リリーナさんが答えた後、俺は店から出て外を見たら空は日が落ちかけていた、リリーナさんの店の扉を閉めたときに殺気の主と遭遇した。
その男は30代後半で、身長は高身長であるが痩せ型、染めたような銀髪で肩に掛かる長髪で肌の色は薄い黒で、衣服は黒のジャンパーのしたに鮮血のような赤いTシャツとパンツを装備しており、両腕にアイアンクローを装備していた。
更に腰元にガンホルダーを装備しており、どのタイプかはわからないが拳銃も所持している模様。
ブラックリストに載っているダイ・ヴォルドーバ本人であった。
「ダイ・ヴォルドーバ、やはり現れましたね。残念ながらファン・ユン・リョン氏はすでに私が確保しました。早急にお引取りをお願いしたいですけどね。」
俺が事務的に答えたが
「ふん、貴様がケイゴ・シバハラだな?いろいろご活躍のようで。そこを退いて貰おうか、わたしにはリッキィー・モルガンの恨みを果たす義務があるデス。そこをどいて貰おうか、そうすればおまえは同じハンターのよしみで身体の保証は約束しよう。さもなければ貴様も犯罪者逃亡ほう助の罪で殺す。」
ダイがアイアンクローのカバーを外し斬り掛かる状態にしている。
同時に俺も持ってバックから日本刀を太刀 御柱一文字ともうひとつ小太刀 東雲を取り出し、随時抜刀出来るように腰に挿して、残りの刀の入ったバックを人のいない方に投げた、ただし何時でも使える様に少し口はあけてある。
なんでこいつにライセンスが発行されたかは不明だがあきらかに交渉失敗と同時に切りかかる準備に入ってやがる。
「おいおい、逃走ほう助ぐらいだったらAlive ONLY《生け捕りのみ》程度の低金額だぞ?それでも殺しまくっているからお前さんはハンターライセンス剥奪されたんだろうが。」
「協会のルールのみじゃゆるすぎるデス。だから殺して理解させる必要があるんだよ。それに私には神に与えられた義務があるのデス。」
「何が恨みを果たす義務だぁ?あくどい逆恨みの所業でハンターライセンス没収されても人を殺め続けていて、さらには、いきなり獲物の安全カバーを外して得物を構える方法は世間一般じゃそれは脅迫だ。そんな輩と交渉なんてあり得ないな。」
「やはり話が噛合わないか、ならば貴様と貴様が匿っている罪人には黄泉への片道切符を渡してやるデス。」
「冗談、俺はまだ黄泉には逝かないし、あの二人も殺させないし、お前もしっかり警察に突き出す。」
交渉決裂と同時に俺は抜刀しダイがクローを構え
「ならばまずお前から冥土に招待しよう。」
ダイがいきなりダッシュをかけて俺は、御柱一文字の間合に入ると同時にご自慢のアイアンクローを左、右、と振り下ろしたが俺はあたらない様に左右に小刻みに避けつつ右手に持った御柱一文字を横に構え鈍い音と共ガードしていたが、受け止めたすぐ後に、ダイにローキックを打ち込まれそうになったが、奴のアイアンクローを払い外し、半歩引いて体を右に捻りギリギリの所でかわした。
体制を戻し奴の間合から後ろにジャンプし4~5Mほど離れたと同時に、御柱一文字を鞘に収め居合の構えを取りダイに飛掛かっていき、ダイの間合に入り居合の一閃をお見舞いしようとしたが奴のアイアンクローでガードされた、だがそれは計算の範囲内だ。
もう片方の刀 東雲で相手の峰側に持ち替えて死角から左脇腹に当てたが左肋骨にひびの入る音は聴こえず、奴の衣服内に仕込んであった防具らしき物に当り大して効いてなかった。
ダイの左のクローが俺の胸部に近づいてきたが御柱一文字でガードした、と同時に右のクローを振り下ろしたがこちらも東雲でガードした。
鍔迫り合いをしながら
「ふふ、無駄デスよ。シバハラ・ケイゴ、その程度の実力でこの私を制するなど無理ですね、さっさと命乞いをすれば死なない程度の重傷で済ませてやるデス。」
「へっ、そいつはありがとよ。」
冗談を飛ばしつつも間合いに詰められないように鍔迫り合いで互いに引かない。
俺が奴の間合いを取るためにやつの腹に蹴りいれてダイが僅かによろめき少々、げほげほとむせている時に、後ろに距離をとったが、すぐに詰められ再度鍔迫り合いになった。
こいつとの間合いを空けるために左外腿にローキックをあてて鍔迫り合いが緩んだのを見計らってまた後方に飛んだが、鍔迫り合いが緩んだときに奴のクローが俺の左頬をかすめ少々血がにじみ出る程度切られたみたいだ、少しだが痛みが走った。
「ひゃっはー、てめーのほほをわずかながら切ってやったぜぇ、次はどこを斬ってほしい?」
「馬鹿言って貰っては困るぜ。最初からフルスパートでは戦わないさ、あんたの実力を把握する為に様子を見ていたからな、ほほを少し切ったぐらい大した事無い。」
「ふん。戯言を、まぁよい、どちらにしても狩の時間が少し延びたがけだ、さぁ私に狩られて泣き叫ぶデス。」
こいつはやばい、手合わせして分った、こいつの実力は俺よりはるかに下だが筋金入りの殺人狂だな。
少々本気を出して戦った方がいいと思い俺は、右手の御柱一文字を一度地面刺して左手の東雲を右に持ち替えてすぐに地面に刺した御柱一文字を左に持ち替えた。
実際俺は元々右が利き手だったが、ある事件をきっかけに右腕を無くした後、生身の左を利き腕に矯正した。
それにより左の反応速度は普通だが、右腕のほうは義手装具師の幼なじみから言われたが、斬撃時には一万回に一回ほど反応が鈍るけど、日常生活には問題ない。と言われたが今のところ支障がでてない。
戦闘で僅かな反応の遅れでも死に僅かに反応が至るため、よほど実力拮抗している相手や格上で無い限り俺は、右手を利き腕と見せかけて戦うことが多い。
この前、確保したアンドリュウー・バリスターはかなりの格下だった終始右腕を利き腕に見せて戦い抜いていた。
「くくくっ、刀を持ち替えたぐらいで何ができるデス。」
「さぁて何が起きるかは自分で確かめろ。」
俺が少々馬鹿にした態度で言ったが、奴は激高せずに様子を伺っている、安易に近付こうとはしなかった、さすがに戦闘狂といえども元ハンターだけはある。
勢い任せで切り掛ったりはしない、冷静な思考はあるようだけど、俺は持久戦にさせない為、一気にダイとの間合いを詰めて左に持った刀 御柱一文字を相手の見えない速さで上から下に振り下ろし右側のクローを鈍い音だして切り落とした。
「ばっ、馬鹿な。何があった、剣の軌跡が見えなかったぞ。」
動揺しているヤツに構わず俺は
「悪いな、今はこっちが利き腕なんでな」
ダイ・ヴォルドーバは驚愕しながらも俺からの間合い後ろに退いた。
右のクローをはぎ捨て腰のホルダーに手をかけて、取り出した拳銃は俺の持っているリボルバータイプではなく、一回銃弾を発射した後に薬きょうを排出する、いわゆるオートマティックタイプの拳銃である。
オートマティックタイプの銃とリボルバータイプと、異なる点は銃弾にあったマガジンを幾つか用意しておけば、リボルバータイプに比べ、リロードのタイムラグをはるかに短縮出来るのでこちらのタイプを愛用するハンターが圧倒的に多い。
ちなみに俺の銃は六発撃ちのリボルバータイプなので撃ち終えてからリロードするため、シリンダーを1度開けて廃莢して、その後クイックリローダーを使い一気に装填するか、銃弾を一発ずつ装填するかのどちらかであるが、どちらにしてもタイムラグが生じる。
「近接格闘が駄目なら近接銃撃に変えればいいだけだ、覚悟しろ。」
言いつつセーフティー外し弾込めを済ませハンマーを上げずに渇いた炸裂音が響き銃弾を数発発射したが、俺は奴が撃ったと同時に奴に斬撃の届く間合に近付き金属の鈍い音が二つして左のクローとオートマグナムが双方とも真二つにされていた。
二つの刃を超高速で振り抜き周辺を真空状態にして刀に風を纏わせ鉄すら両断できる技 蒼天活殺自在流の技の一つ。風斬剣二刀式殺陣風である。
「残念、お前さんの獲物二つとも切断させてもらったぜ。」
「ヴぉぉぉぉぉぉああぁぁぁぁ、おのれぇぇ貴様だけはぁぁぁ、キルキルキィィルゥゥウウ!!」
ダイは獲物と冷静さを失い一心不乱に俺を殴ろうとしている。
わざと外しているのか、もう打撃すら当らないほど冷静さを失っているか、のどちらかだがまだ安心できない。
こいつのことを事前に調べてあり、罠使いとしても有名だからな。
ひたすら打撃をかわし続けている間に、俺はいつの間にか壁に追い込まれたが、追い込んだヤツが後ろに飛び大きく間合いをあけた。
奴が間合いを空けてジャンプ中に奴がなにかを引っ張る仕草が見えたから俺は、奴との間合いを詰めるのは諦めた。
「くくくっ、残念だったな、この私を追い込んだつもりだが逆に追い込んでやったぞ、周りを見てみろ!」
周辺を見回したらかなり細い鉄線があっちこっちに張り巡らされている。
やっぱりなにか仕掛けた様子だったからな、様子を見るためわざと追い込まれたふりも楽じゃないな。
罠は俺が刀と五体をある程度動かせる位には余裕がある。
試しにさっき拾った空薬きょうを少し離れた鉄線の一つに投げてみたら、包丁に切られた豆腐がごとく薬きょうは簡単に真二つに切れた。
薬きょうでああなるのなら生身で突っ込んだら死ぬな。
「くっくっく、発狂したのはこんな風にあんたを罠にはめるために一芝居打ってやったデス、私の得物はクローとオートマグナムだけじゃないのだよ、それら全てが駄目になった時はこのようにワイヤー地獄が待っているのさ、これでお前は一歩でも動いたら無条件でミンチだ。ぎゃはは、近付けるなら近付いてみるデス。」
やれやれ、古典的だが理にかなった罠仕掛けたぐらいで勝利宣言とは浅はかとしか言い様が無いな。
「お前の仕掛けたトラップはこれで全部か?これ位ならお前に近付かずともこの張り巡らせた罠をかいくぐり、おまえを倒せるぜ。」
しかし奴は冷静に
「私を挑発しているつもりですか?シバハラ・ケイゴ。残念ながら私の目標はあくまでファン・ユン・リョンとリリーナ・ファンタイルの両名デス。彼らを殺るためにあんたをわざと遠ざけられたことも気付かないとは馬鹿デス。そこでおとなしくあの2人が殺されるのを大人しく見ているデス、そのあとお前をいたぶり殺すデス。」
「残念、さっき言ったお前に近付かなくても倒せるのは冗談なんかじゃねーよ、事実だ、それを見せてやる。」
俺は東雲を鞘に収めるために御柱一文字を再度地に刺して、東雲を鞘に収め御柱一文字を拾い上げ、両手持ちの上段の構えから刀を構えたまま全体の力を少しずつ抜いていった。
「ぶぁーはははっ馬鹿デスかぁお前はぁ、そんな距離から斬撃が当るとでも思ってるデスか、そんなことありえないデス。お前が構えている間に俺はあいつらをころ・・・・・・動けない、馬鹿な、奴の気迫で動けないだとぉー!?」
脱力仕切った状態から、一気に力を込め
「せぇいぃぃ!!」
と気合と共に御柱一文字を一気に振り下ろしたと同時に突風が吹いたような音がした。
脱力し心穏やかに放った刃それは、風斬剣が刃に風の刃を纏った刃なら、風の刃を飛ばし刃の間合いから外れた相手を断つ技 蒼天活殺自在流 風斬剣〆の型空斬剣である。
不可視の刃がダイの仕掛けたワイヤー全てを切り刻み、彼の右肩口から血が噴き出したが腕は切り落とさずにわざと逸らした。
「ぎゃぁぁぁ、私の肩から出血がぁ、くっ、くそっ・・・何をしたデス。」
ダイは何が起こったか分からずに傷口を左手で塞いだが膝をついたと同時に一気に近付き、東雲を鞘ごと抜いて奴に突きを喰らわせて悶絶し気を失い両膝を付いた。
奴の肩からの傷の止血を済ませた後にロープで縛り上げ
「これでよしっと」
その後に警察を呼び足して、数十分後に警察のサイレンの音が近付いてきたのでこれで終わったなと思えた。
「ダイ・ヴォルドーバ、殺人30件、殺人未遂20件、障害は100件オーバーでトータル1057万ゲールか、予想以上に罪状増えているから一気に増額されていますね。」
到着した警察官が端末を観ながら懇切丁寧に説明しダイ・ヴォルドーバはそのまま警察に渡し、リッキー・モルガン殺人罪のファン・ユン・リョンは俺の付き添いで自首したことにした。
もちろん彼に掛かっていた懸賞金180万ゲールの半分90万ゲールを即時納金したので取り調べ期間中は警察署に拘留されるが、裁判が始まるまでは監視付きになるが留置所の外で生活できる。
ファン氏の正当防衛が濃厚で、モルガンファイナンスの若頭リッキー・モルガンはやはり非合法の金利だけでなく、不良債権を別の負債者に上乗せさせてしこたま荒稼ぎしていたことが逮捕から数時間後に警察の強制家宅捜査で分かった。
まぁ最初から被疑者死亡で家宅捜索の予定が本日だったこともあり後に “モルガンファイナンス闇金事件”は電光石火の勢いでファイナンス関係者15名逮捕となり、金融関係では近年稀にみる全員逮捕による組織解体劇となった。
ダイ・ヴォルドーバ逮捕から2日後、俺はリリーナさんに一度会い、彼に掛かっていた懸賞金の残り全部を彼女に渡したあと、ファン氏伝言を頼まれた為にファンに会うため警察署に向かい彼に面会に主も向いた。
事務手続きに時間が掛かったが何とかファン氏に面会できた、彼は警察署での軟禁状態だがバーで会った時より血色もよく、これから裁判終了後には刑に服すような男とは思えない、まるで楔から解き放たれた様にスッキリした顔で迎えてくれた。
「やぁ、ファンさん何とか面会の許可下りたから会いにきたよ。」
「あ、ケイゴさんどうも、おかげで俺もリリーナさんもダイって犯罪者に殺されずに済みました、ありがとうございます。」
「感謝の気持ちだけは受け取るよ。」
俺とファン氏はまるで久々に会った旧友のような取り止めの無い会話からはじまり取調べ中に付き事件のことは聞けないが、今後のことを話した。
俺はファン氏に午後の船便で大陸から本島に行くこと、ファン氏に掛かっていた懸賞金の残額を彼女に渡したことを話した後
「それと、今朝リリーナさんに残額渡したときに彼女から言伝預かってきてな、そのままの言葉で伝えるぞ。」
ファン氏がハイお願いしますと短く答えた。
「(ファン、あなたが戻ってくるまであの店は潰さないから必ず戻ってきてね)という伝言だ。」
言い終わると彼は言葉をまともに言えないほど嗚咽しながら
「わ・・・分かりました。・・か、必ず罪を・・・償って・・か、かのじょの元へ・・・かえりばす・・・けいござん・・・ありがどうございましだ。」
「元気でやれよ。」
「面会時間終了になります。」
係員に言われ、面会室からファン氏が退室後すぐに案内係に誘導され警察署を後にした。
おれはもう一度リリーナさんの前に顔出しして彼の言葉を伝えるために走りたが店の前にきて顔見知りの男にあった。
その男は筋肉質で高身長だがアフロで右眉から頬に切り傷痕があり左腕が義手で、黒いTシャツの上に袖を左だけ破ってあるレザージャンパーにレザーパンツ着用し、懐に二丁ほどオートマティックタイプの拳銃を所持して日常的にたばこを吸っているヘビースモーカーである。
俺と同じハンターで少し前のとある事件で同盟を組んだことのあり、元統一連盟警察機構の警部補 リガート・フォルカスである。
「あれ、リガートさん久しぶりです、こんな所で何しているのですか?」
「おおっケイゴか、久しいな。おまえこそこの店に何か用か?俺はぁ、その・・・なんだ・・・昔の女に返すものが有ってここにきたのだ。」
最初に会ったときは歯に衣着せぬ物言いをするこの人が珍しく歯切れの悪い喋り方している。
その後すぐに思い出した。(ああファン氏が言っていたリリーナさんの前の男ってリガートさんだったか)とおもったが口には出さなかった。
「まぁ立ち話も何からこの店で話そう」
そう言われリリーナさんの店に入りリガートさんに2日前に起きた事件を話した
俺はリリーナさんの店に着いたときにリガードさんにモルガンファイナンスからの借金トラブルからダイ・ヴォルドーバに逆恨みで殺されそうになった事、今回の被害者リリーナ・ファンタイルのところにアフターフォローのためと彼女もとに来たこと俺が関った事件に手をかいつまんで話した。
「そうか彼女と新しい恋人の間にそんなことがあったのか、どちらにしてもひと足遅かったか。」
「・・・それは、モルガンファイナンスの方ですか?それとも、ダイ・ヴォルドーバのほうですか?」
俺は聞いては悪いと思いつつも聞いた。
「強いてあげれば前者のほうかな。警官のときからあの会社はマークしていたが、なかなか奴らの尻尾を掴めなかった俺たちに責があるし、それに、俺はここにこのカイジョウシティーに戻ることを躊躇したから殺さなくていい奴がリッキーを殺したことを少しだけ後悔したよ。」
リガートさんは自分がもっと早くここに戻っていれば早期解決できたのではと嘆いていたが、
「リガートさん、若輩者のおれが言えた事じゃないと思いますけど、事件解決にしても人生にしても動かないより動いたほうが良いのではと思います。」
俺は剣術の師匠から言われた言葉を引用して伝えることしか出来なかった。
「動かないより動いたほうが良いか。・・・・そうだな、今回の案件は動かなかった俺のせいでもあるな、すまなかったケイゴ。」
「俺はただ師匠の言葉を引用しただけです」
「それでも今の俺には十分だ。どうだ、店を変えてでアドバイスの礼も兼ねて一杯どうだ?」
「俺まだ公の場で酒は飲めない歳ですし、この後バイクで港に向いたいので。」
リガート氏のお誘いをお断りしてその後、飲み終わったのを見計らって、リリーナさんに彼からの言葉を伝え、ドリンク代をカウンター上に置いて、ここから先、俺は部外者だから退散した。
さて、天候も海上も穏やかなのを天気予報で確認済み、俺は愛用のバイクの水素イオンのエンジンを回し、港までの道のりを安全運転で走り出しこれからのことを思考していた。
向う日本の本島には少しの休暇の予定としよう。
だが何が起こるか分からないのが面白い、どうなるかは俺の行動しだいだな。
時刻は午後1時、本島ヨコハマシティー行きのホバージェットシップ乗り場に向けて走り出した。
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