第1章1話 『転生』
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「残念じゃがお主、才能がないのぉ。」
白髪に白髭を蓄えた魔術師が俺にそう告げる。
「い、今なんて言いました…?」
恐る恐るといった感じで聞き返す。
「じゃから、才能がない。お主、魔術は使えんよ。
…まぁ、なんじゃ。魔術だけが戦う方法ではない。魔術が使えるから強いというわけではない。他にも強くなる方法はいくらでもある。
儂も若い頃は…。」
魔術師が自分の若い頃の話を長々と始めた頃から、俺の耳には魔術師の言葉が聞こえていなかった。
ふ…ふ…ふざけんなあのクソ女神ィ!
「アンタ死んだから。転生してもらうから。」
「ちょっと、ちょっと待ってくれ。」
真っ白な空間。
俺の前に立つ金髪の美女。
「私は女神。で、これから転生してもらうんだけど、ボーナスって事で1つだけアンタの願いを叶えるわ。」
「待て、待ってくれ。話が急すぎる、意味がわからん。」
女神と名乗った女は呆れた様子で俺を見ている。
「だから、アンタは向こうの世界、地球て言うんだっけ?で死んだの。で、こっちにも少し不手際があったというか…まぁぶっちゃけるとこっちの不手際で原因でアンタは死にました。
だからアンタにお詫びとして私が一つだけ願いを叶えます。」
「ふざけんな!」
それで納得するとでも思ってるのか。
「だからお詫びとして願いを叶えるって言ってんの。アンタら日本人が好きなチートってやつよ。」
「…ここで俺がごねても日本に戻れたりはしないんだよな?」
俺の言葉に女神は少し申し訳なさそうな顔をする。
「…無理ね。死んだ事実はもう変えられない。私たちの力でも時間を戻すことはできない。
だから少しは申し訳なく思ってるのよ。向こうの神の不手際ではあるけども。だから私が出てきてお詫びをしてるのよ。」
そういう態度には見えなかったんだが。
だが女神の表情からもなんとなくは伝わってくる。
「すまん。そういうことならしょうがないよな。
ちなみに今までもこういうことはあったのか?」
「何度かはね。だから私の世界でも転生者とか転移者の逸話は残ってるわ。
魔術とか冒険者とか勇者とか、そういうものがある世界だからアンタの世界の人間にはたまらないのかもね。」
俺もよく転生とかそういうジャンルの小説とか漫画とか読んだことがある。
「で、どんな願いを叶えて欲しい?」
「魔術があるなら膨大な魔力が欲しい。」
色々な物語の中で魔術チート物は多かった気がする。であれば、魔術チートに頼って冒険者とかになるのも悪くないだろう。
「わかった。それでいいのね?じゃあ今から私の世界に転生してもらうから。
…アンタの次の人生がいいものであるといいわね。」
女神がそう言ってからだんだんと意識がはっきりしなくなってきた。




