969:開門
書籍版マギカテクニカ13巻、1/19(月)に発売となりました。
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『レベルが上昇しました。ステータスポイントを割り振ってください――』
発動の時間切れと共に餓狼丸の纏う黒が消え、その刀身も白刃へと戻る。
刃の攻撃力を高め続ける【三位一体】の性質は、攻撃力を倍率で上昇させる餓狼丸の完全解放とはかなり相性のいいものであった。
故にこそ、ぎりぎりまで攻撃力を高めてからの【餓狼呑星】だったのだが……どうやら、正解であったらしい。
腕と首を斬り飛ばされたヴァルフレアは、そのままぐらりと前のめりに倒れ――地面に崩れ落ちる瞬間に、光となって消滅した。
「……ドラグハルトの時も思ったが、相手に合わせようとするのは悪い癖だな、ヴァルフレア」
ヴァルフレアは、竜の姿に変身していれば容易く俺たちを蹂躙することができただろう。
或いは、あの黒い炎をもっと活用していれば、話は別だったはずだ。
にもかかわらず、ヴァルフレアは基本的に肉弾戦で俺たちに対応してきた。
それは、相手の土俵に乗った上で勝利するというヴァルフレアの信条によるものか。
何にせよ――そのおかげで勝てたという事実は受け止めなくてはなるまい。
「どんな手を使おうが最後に立っていた側が勝者だ、なんて言っていたくせに……お前の方が、勝ち方にこだわるのか」
嘆息し、餓狼丸を鞘に納める。
何にせよ、勝利できたことに変わりはないのだ。
ならば、大手を振って帰還することとしよう。
「先生、空が――」
「……今度は、こういう演出か」
緋真の指差した先、黄昏に染まる空へと視線を向ける。
橙色の夕日によって照らされていたその空は、徐々にではあるが目に見えて、日が落ち始めていた。
まばゆい光はその力を弱め、空は少しずつ紫に、そして黒へと染まってゆく。
照らす光のない周囲は完全なる闇へと閉ざされてゆき――気が付いた時には、俺たちは揃ってこのダンジョンの入り口まで戻されていた。
「便利ではあるが、俺たちのやったことは隠せんだろうに」
思わず、嘆息を零す。
四つ目のダンジョンでもそうだったが、俺たちがこのダンジョンを攻略したことは周囲にも丸わかりであった。
ダンジョンの入り口部分から伸びた光の筋は、中央にある巨大な門、そこに嵌った宝玉へと繋がり、注ぎ込まれてゆく。
どうやら、俺たちが攻略した以外の残る二ヶ所についても、攻略は完了しているようだ。
「門が開くぞっ!」
「よっしゃ! 一番乗りだ!」
そして、巨大な門は鈍い音を響かせながら、ゆっくりと奥へと向けてその道を解放してゆく。
当然ながら、門の前で待ち構えていたプレイヤーたちは、我先にとその内部へ踏み込んでいった。
あいつらを突き動かしているのは功名心か、はたまた別の何かか――
「……クオン、アイツら、放置していていいのかしら?」
「構わんさ。どのみち、今日はこれ以上戦えんからな」
ありとあらゆるスキルを出し切ってしまった現状、あの先の戦いに向かうための準備は不十分だ。
何だかんだで結構な数のアイテムを消費してしまったし、成長武器を発動させる程度の経験値は溜めておかなければならない。
まあ、漁夫の利を得ようとしている様を見るのは、アリスとしては納得いかないものだろうが。
だが、その功績を得られるかどうかは、また別の問題だろう。
「そもそも、アイツらが先に進めるとは思えんからな」
「……まあ、あそこには門番がいますからね」
薄ら笑いで納得した表情を浮かべる緋真の声には、我先にと進んでいった者たちへの同情すら込められていた。
これについては、久遠神通流のメンバー全員の共通認識だろう。
ただの人間に、あの先に待つ化け物を討つ術など無いだろうから。
「ともあれ、先に進むのは休んで準備を整えてからだ。放っておいても、先に進める連中はいないさ」
「……随分な信頼ね。でも、それなら私たちで何とかなるのかしら?」
「ああ……」
軽く、嘆息を零す。
そう問われることは、わかり切った内容であった。
だからこそ、俺もわかり切っている答えを返す。
それだけは、この世界に踏み込んだ時から変わることのない、一つの事実であるのだから。
「あのジジイに勝てる者がいるとすれば、俺だけだよ」
* * * * *
夜、最早誰もいない道場にて。
その中央で正座をした俺は、傍らに一振りの刀を置いて静かに瞑想を続けていた。
決戦は明日。そこで、全てが決まることとなる。
ジジイを乗り越え、マレウスの居城まで到達し、そしてあの魔女という脅威を取り除く。
だが――
「……」
迷いがあるわけではない。答えは既に見えている。
考えているのは、今の俺がジジイを上回れるのかというその一点だけだ。
他の誰にも、あのジジイを倒すことはできない。だが、ジジイが以前の戦いから更に変わっているのなら、俺とて確実に勝てるとは断言できないのだ。
それは、実際に剣を向け合ってみないことには、判断することはできないだろう。
何にせよ、事実は明日確かめることとなる。この精神統一も、結局のところは緊張を解すための行為に過ぎないのだ。
と――そんな自嘲気味な思いを抱いていたちょうどその時、俺はふと、こちらに近づいてくる気配を感じ取った。
「明日香か。もう寝る時間じゃないのか?」
「それはこっちの台詞ですけど、先生?」
道場の戸を開けて入ってきたのは、襦袢姿の明日香であった。
どうやら、俺がここにいることを察してやって来たらしい。
何がどうしてそんなことに気づくのかと問いたいところだが、どうせいつも通りの直感だろう。
「なに、少し振り返っていただけだ。お前は何か、話したいことでもあったのか?」
「そうですね……まあ、色々と」
気づかわしげにこちらを見てくるその視線に、思わず苦笑を零す。
俺が普段しないようなことをしているのだから、そう見られてしまうのも仕方のない話だろう。
尤も、今更迷いがあるわけではないのだが。
明日香は、僅かに逡巡したのちに、俺の隣へと腰を降ろす。
そして、しばしの沈黙ののち、明日香はゆっくりと声を上げた。
「今更ですけど……こんなことになるなんて、思いもしなかったですね」
「ゲームとしての話か?」
「はい。私は本当に、ただ単純に、先生と一緒に戦ってみたかっただけだったんですけど」
今更と言えば今更の話に、俺は小さく笑みを零した。
ゲームを始めた当初は、このような状況になるとは露ほども考えていなかった。
それがまさか、世界をかけた戦いになろうとは。予想などできる筈のない話だ。
「思いがけずにこんなことになって、気が付いたら状況がどんどん進んでて……ごめんなさい、先生」
「謝る必要はない。ゲームとしても楽しんでいたことは事実だし、それ以上にこの戦いに参加できたことに満足しているんだからな」
マレウスとの戦いは、俺にとっても他人事ではない。
自らの手で決着をつけたいという思いは、何年も燻り続けてきたのものだ。
むしろ、この状況になったことを感謝するべきだろう。
「それにな、もう一度ジジイと戦いたいと思っていたのも事実だ」
「先代と……確かめるために、ですか?」
「そうだ。俺は、今の俺の力を確かめたい。その確認ができる相手は、ジジイ以外に存在しないのさ」
ジジイがここを離れ、アルトリウスの祖父と接触したのも、あの戦いがあってからだろう。
俺はジジイに勝利した。それがただの偶然ではなかったことを、己の手で確かめたい。
俺自身の、理を以って。
「だからこそ、明日香。ジジイとの戦いは、よく見ておけよ」
「……はい」
神妙な表情で頷く明日香に、こちらも小さく笑みを向ける。
全ての結末は、明日決まる。他でもない、俺自身の手で――その先を、掴み取るとしよう。
■アバター名:クオン
■性別:男
■種族:羅刹族
■レベル:154
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:110
VIT:60
INT:77
MND:40
AGI:67
DEX:40
■スキル
ウェポンスキル:《刀神:Lv.75》
《武王:Lv.47》
マジックスキル:《昇華魔法:Lv.89》
《神霊魔法:Lv.59》
セットスキル:《致命の一刺し:Lv.81》
《MP自動超回復:Lv.59》
《奪命剣:Lv.100》LIMIT
《練命剣:Lv.100》LIMIT
《蒐魂剣:Lv.100》LIMIT
《テイム:Lv.100》LIMIT
《HP自動超回復:Lv.59》
《生命力操作:Lv.100》LIMIT
《魔力操作:Lv.100》LIMIT
《魔技共演:Lv.80》
《レンジ・ゼロ:Lv.26》
《回復特性:Lv.85》
《超位戦闘技能:Lv.52》
《剣氣収斂:Lv.100》LIMIT
《血戦舞踏:Lv.28》
《空歩:Lv.33》
《会心破断:Lv.77》
《再生者:Lv.57》
《オーバーレンジ:Lv.28》
《三魔剣皆伝:Lv.28》
《天与の肉体:Lv.32》
《抜山蓋世:Lv.28》
《鑑識:Lv.4》
《刀鬼の武辺》
サブスキル:《採掘:Lv.18》
《聖女の祝福》
種族スキル:《夜叉業》
《獄卒変生:黒縄熱鎖》
称号スキル:《剣鬼羅刹》
■現在SP:20
■アバター名:緋真
■性別:女
■種族:羅刹女族
■レベル:154
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:105
VIT:50
INT:93
MND:50
AGI:60
DEX:40
■スキル
ウェポンスキル:《刀神:Lv.75》
《武王:Lv.51》
マジックスキル:《灼炎魔法:Lv.65》
《昇華魔法:Lv.62》
セットスキル:《武神闘気:Lv.54》
《オーバースペル:Lv.51》
《火属性超強化:Lv.55》
《回復特性:Lv.77》
《炎身:Lv.90》
《致命の一刺し:Lv.69》
《超位戦闘技能:Lv.58》
《空歩:Lv.60》
《術理掌握:Lv.65》
《MP自動超回復:Lv.52》
《省略詠唱:Lv.44》
《蒐魂剣:Lv.87》
《魔力操作:Lv.100》LIMIT
《並列魔法:Lv.61》
《魔技共演:Lv.56》
《燎原の火:Lv.92》
《二天一流:Lv.42》
《賢人の智慧:Lv.77》
《曲芸:Lv.32》
《臨界融点:Lv.31》
《剣技:絶景倒覇:Lv.30》
《抜山蓋世:Lv.28》
《鑑識:Lv.4》
《炎熱の魔人》
サブスキル:《採取:Lv.7》
《採掘:Lv.19》
《聖女の祝福》
種族スキル:《夜叉業》
《獄卒変生:焦熱烈火》
称号スキル:《緋の剣姫》
■現在SP:34
■モンスター名:ルミナ
■性別:メス
■種族:ヴァルハラガーディアン『破邪剣精』
■レベル:68
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:100
VIT:56
INT:100
MND:56
AGI:93
DEX:60
■スキル
ウェポンスキル:《刀神》
《神槍》
マジックスキル:《天光魔法》
《大空魔法》
スキル:《光属性超強化》
《戦乙女の神翼》
《魔法抵抗:極大》
《物理抵抗:大》
《MP自動超回復》
《超位魔法陣》
《ブーストアクセル》
《空歩》
《風属性超強化》
《HP自動超回復》
《光輝の戦鎧》
《戦乙女の大加護》
《女神の霊核》
《精霊の囁き》
《吶喊》
《大霊撃》
《戦乙女の騎行》
《精霊進化》
《戦術指揮》
《神霊化》
《神域の智慧》
称号スキル:《精霊王の眷属》
■モンスター名:セイラン
■性別:オス
■種族:ワイルドハント『嚆矢嵐征』
■レベル:68
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:120
VIT:80
INT:73
MND:54
AGI:110
DEX:54
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《天嵐魔法》
《大空魔法》
スキル:《風属性超強化》
《天征》
《騎乗》
《物理抵抗:極大》
《痛恨撃》
《剛爪撃》
《覇王気》
《騎乗者大強化》
《天歩》
《マルチターゲット》
《神鳴魔法》
《雷属性超強化》
《魔法抵抗:大》
《空中機動》
《嵐属性超強化》
《吶喊》
《雷電降臨》
《亡霊召喚》
《剛嵐》
《亡霊操作》
《亡霊分身》
《麻痺耐性:超》
《一番槍》
《轟雷疾駆》
称号スキル:《嵐の王》
■アバター名:アリシェラ
■性別:女
■種族:闇月族
■レベル:154
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:60
VIT:49
INT:60
MND:49
AGI:90
DEX:80
■スキル
ウェポンスキル:《闇殺刃:Lv.75》
《連弩:Lv.48》
マジックスキル:《深淵魔法:Lv.54》
《闇月魔法:Lv.46》
セットスキル:《致命の一刺し:Lv.80》
《姿なき侵入者:Lv.59》
《超位毒耐性:Lv.28》
《フェイタルエッジ:Lv.54》
《回復特性:Lv.66》
《闇属性超強化:Lv.49》
《ピアシングエッジ:Lv.60》
《トキシックエッジ:Lv.52》
《静寂の鬨:Lv.43》
《真実の目:Lv.63》
《パルクール:Lv.56》
《パリスの光弓:Lv.38》
《血纏:Lv.41》
《ミアズマウェポン:Lv.95》
《空歩:Lv.51》
《魔技共演:Lv.56》
《闇月の理:Lv.49》
《ブリンクアヴォイド:Lv.74》
《死神の手:Lv.64》
《光神の槍:Lv.40》
《超直感:Lv.30》
《天上の舞踏:Lv.28》
《リサイクル:Lv.39》
《透き通る殺意》
サブスキル:《採取:Lv.23》
《調薬:Lv.28》
《偽装:Lv.27》
《閃光魔法:Lv.1》
《聖女の祝福》
種族スキル:《闇月の魔眼》
《月光祭壇:闇月》
称号スキル:《天月狼の導き》
■現在SP:20
■モンスター名:シリウス
■性別:オス
■種族:ブレイドドラゴン・デュランダル
■レベル:28
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:143
VIT:130
INT:70
MND:95
AGI:70
DEX:80
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《昇華魔法》
スキル:《断爪撃》
《絶鋭牙》
《吶喊》
《ブラストブレス》
《物理抵抗:極大》
《不毀》
《鋭斬鱗》
《鋭刃翼》
《斬尾撃》
《魔法抵抗:極大》
《龍覇気》
《移動要塞》
《研磨》
《変化》
《龍王気》
《バインドハウル》
《急速再生》
《鱗魔弾》
《不毀の絶剣》
《ディフェンシング》
《魔力蓄積》
《リフレクトインパクト》
称号スキル:《真龍》
■モンスター名:ベル・ワイス
■性別:メス
■種族:ルミナスドラゴン・ヘルヴォル『勝利の光輪』
■レベル:67
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:100
VIT:96
INT:145
MND:120
AGI:100
DEX:99
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《天光魔法》
スキル:《断爪撃》
《絶鋭牙》
《光属性超強化》
《レーザーブレス》
《物理抵抗:極大》
《聖光輪》
《MP自動超回復》
《超位魔法陣》
《天光翼》
《魔法抵抗:極大》
《龍王覇気》
《聖域展開》
《光輝の鱗》
《変化》
《龍王気》
《ホーリーハウル》
《瞬間再生》
《霊気収束》
《軍勢の守り手》
《極烈煌刃》
《魔力蓄積》
《ラグナロク》
称号スキル:《真龍》





