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786/938

780:鉱石の効果

申し訳ありません、何故かこの話が779話として投稿されていましたが、実際はこちらが780話でした。

779話が抜けていたため、7/30の更新で割り込み投稿という形で追加となります。











 目的のアイテムを発見し、坑道の外まで戻ってきた俺たちであるが、流石に外に出ただけで何かが起こるということは無かった。

 持ち出し厳禁とはされていたが、流石にそこまでの危険物ではなかったらしい。

 さて、このアースグロウ鉱石であるが、『メタリックビーストを呼び寄せる』ということは分かっているものの、どのように使うのかは定かではない。

 流石に、そこまでの情報は記載されていなかったのだ。



「ふむ……どうやって使えばいいのかね、これは」

「使い方はなんにも書いてありませんでしたからね」

「って言うか、本来はそう使っちゃいけないものだしね」



 拳大の茶色い鉱石。他の使い道があるのかどうかは知らないが、今のところはそれしか情報が無い。

 さて、果たしてどう使ったものか。参考にできそうなものは何も無いため、予想で使ってみるしかないだろう。



「とりあえず、奴らは地面から出てくるわけだし、地面に置いてみるか」

「確かに、無難な感じですかね」



 特に思いつくものもないし、とりあえず地面に置くことを試してみよう。

 置くと言っても、ご丁寧に置くための場所があるわけではない。

 特に目標となるものもないため、俺はアースグロウ鉱石を適当にその辺へと放り投げた。

 普通の石ころと大差ない見た目の鉱石は、特に何か起こるわけもなく地面を転がる。

 しばし無言でその様子を眺め――特に何かが起こるわけでもないその様子に、思わず顔を見合わせる。



「……何も起きんな」

「やっぱり何か必要だったんですかね? 火で炙るとか」

「匂いを出すわけじゃないだろうに」

「……いえ、待って。来てるわ」



 一度回収するべきかと悩み始めた、ちょうどその時だった。

 鋭い声で武器を抜いたアリスが、重心を落としながらそう告げたのは。

 それと共に、一瞬遅れて俺も気づく。ほんの僅かながら、地面から振動が響いてきていることに。



「成程、正解だったか。タイムラグがあるんだな」

「貴方が気付くのに遅れるなんて、珍しいわね」

「言い訳をするつもりは無いが、こいつらはこちらに意識を向けていないようだからな。本当に、エサへと向かってまっしぐらってわけだ」



 こちらへと敵意を向けているならともかく、そうでもない相手を察知するのは、《超直感》を持つアリスの方が優秀だ。

 相変わらずのティエルクレスのスキルだが、その恩恵には素直に感謝しておくとしよう。

 地面の揺れは集中せずとも察知できるほどに大きくなり、やがてボコボコと地面が盛り上がり始める。

 その中から出現するのは、言うまでもなくメタリックビーストであった。

 もつれ合うように地面の下から飛び出してきたゴーレムの群れは、一つしか転がっていないアースグロウ鉱石へと我先に群がり――やがて、大きな体格を持つ一体が、地面に転がっていた鉱石を口の中へと放り込んだ。

 瞬間――硬いはずのメタリックビーストの体が、風船のように膨張する。



「んなっ!?」

「何だアレは……?」



 突如として膨張したメタリックビーストは、その体から金属の棘を生やし、周囲にいた他の個体たちを刺し貫いて行く。

 そして、貫かれた個体たちはそのまま膨張したメタリックビーストの元へと引き寄せられ、そのまま奴の体の中へと吸収されていった。

 この状況になることを知っていたのか、離れた位置の個体はすぐさま地面に潜って消えて行ったが、近場にいた奴らは全滅だったらしい。

 引きずり込まれ、巨大な金属と岩の塊となったメタリックビーストは、元々の数倍以上の大きさとなったところでようやく動きを止めた。



「ええ……ゴーレムだからグロくは無いですけど、何ですかアレ……?」

「分からんが、流石にぼんやりと見ていられる状況ではなくなってきたみたいだな」



 残ったのは巨大な塊だけで、他の個体は全て逃げ去った。

 だが、この場に残ったあの塊は、確実にこちらへと牙を剥いてくることだろう。

 餓狼丸を改めて構えながら、俺はその動きを注視する。

 巨大な塊と化したメタリックビーストは――やがて、その形状を変貌させ始めた。

 手足が生え、流動するように胴が伸び、尾と頭が形成される。

 元々、小型の恐竜のような姿をしていたが、それが今では大型の恐竜の如き姿へと変貌していたのだ。



「……『メタリックディノス』、やっぱり上位種ね」

「成程、これが上位種を呼び出すための手段だったってわけか」



 さて、ここまで手間をかけなければ呼び出せない上位種とは、果たしてどの程度の強さなのか。

 全身を岩と金属で構成された恐竜――普通に戦えば、それなりに苦戦は免れない怪物だろう。

 尤も、その力が全身金属に包まれたシリウスに及ぶほどであるとは、流石に思えなかったが。

 地を踏みしめたメタリックディノスは、昂る魔力を吐き出しながら音のない咆哮を放つ。

 ただ魔力ばかりのその気配に、俺は笑みと共に刃を向けた。



「折角でかくなったんだ、いい物を落としてくれよ」



 魔力を滾らせたメタリックディノスはこちらへと飛び掛かり――その体当たりを、シリウスが迎撃する。

 重量級の攻撃ではあるが、その点においては体格で勝るシリウスの方が上だろう。

 鋭い爪と剛腕による攻撃に、メタリックディノスは大きくではないが弾き飛ばされる。

 それを確認した瞬間、俺は怪物へと向けて刃を振り下ろした。



「《奪命剣》、【咆風呪】!」



 見るからに物理防御力に長ける相手、通常の攻撃はあまり効果が無いだろう。

 魔法による攻撃力増強を掛けた上で放つ【咆風呪】は、この怪物にとっては最も効果が高い攻撃の筈だ。

 黒い風に包まれたメタリックディノスは、その体力を頑丈さに関係なく削り取られる。

 だが、その体力の減少をまるで意に介した様子もなく、金属の恐竜は恐れを知らずにシリウスへと襲い掛かった。



「グルルルッ!」



 対し、シリウスもまた正面から迎撃を選択する。

 噛みついてくるメタリックディノスの攻撃を正面から受け止め、逆に敵の動きを拘束してみせたのだ。

 奴の攻撃はあくまでも物理攻撃。どれほど強力であったとしても、《不毀》を持つシリウスの鱗を貫けるわけではない。

 尤も、相手もシリウスの鱗によるダメージは受けていないようで、このままでは千日手になるところだ。



「複数体いたら面倒なところだが、この様子じゃ一体しか出んのだろうな」



 俺たちの場合、シリウスが一体を封じ込めることができる。

 力任せに拘束されたメタリックディノスは、アリスによって胴に弱点を付与され、そこに緋真たちの魔法を撃ち込まれている状況であった。

 ゴーレムであるため魔法は通じている様子で、少しずつではあるがその頑丈な胴が削り取られている。

 まあ、緋真たちの高い魔法攻撃力があってもなお、その程度ずつしか削り取れない事実は驚嘆すべきことだろう。

 真っ当に戦っていたら、大層面倒臭い敵であった。



「シリウス、そのまま押さえつけておけよ――『練命破断』!」



 餓狼丸に生命力を纏わせ、アリスの刻んだ刻印へと向けてその刃を走らせる。

 まるで抵抗もなく金属の体に沈んだ刃は、頑丈極まりないはずの胴体へと深い傷跡を刻みつけた。

 しかし、同時に察知する。メタリックディノスの体に刻まれた傷跡が、少しずつ塞がって行っていることに。

 どうやら、コイツはこの頑丈さに加えて再生能力まで持ち合わせているらしい。



「全く、ますますシリウスと被るな……まあいい、長引かせる必要もない。シリウス!」

「グルァアアアッッ」



 メタリックディノスを拘束していた腕を外したシリウスは、巨大な拳でその巨体を殴り飛ばす。

 ダンプカー同士が正面衝突したかのような、圧倒的な衝撃と音が迸り、メタリックディノスは大きく仰け反った。

 そして、僅かに距離が開いたその直後、シリウスは尾に魔力を昂らせながら強く地面を踏みしめる。


 ――《不毀の絶剣デュランダル》。


 空間を断ち切るシリウスの尾は、その刃そのものの攻撃力も圧倒的だ。

 削り取られた胴へと叩き込まれたその刃は、空間ごとメタリックディノスの体を引き裂き――その体は、両断されたまま地面へと崩れ落ちた。



『レベルが上昇しました。ステータスポイントを割り振ってください――』

「……ふむ、片付いたか」



 流れてくるレベルアップの情報に、軽く溜め息を吐き出しながらそう呟く。

 もう少し粘ってくるかと思ったが、案外あっさりと片付いてしまった。

 とはいえ、中々に経験値効率は良い様子だし、レアな鉱石も手に入りそうだ。

 これならば、もう何度か試してみるのもいいだろう。



「くぉルああァッ! 『地荒らし』を持ち出したんはどこのどいつじゃあああッ!?」

「おん?」

「えっ!?」



 ――ガラガラと酒焼けした怒声が響き渡ったのは、その直後のことであった。











■アバター名:クオン

■性別:男

■種族:羅刹族

■レベル:135

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:100

VIT:60

INT:70

MND:40

AGI:48

DEX:38

■スキル

ウェポンスキル:《刀神:Lv.56》

 《武王:Lv.27》

マジックスキル:《昇華魔法:Lv.70》

 《神霊魔法:Lv.41》

セットスキル:《致命の一刺し:Lv.62》

 《MP自動超回復:Lv.38》

 《奪命剣:Lv.91》

 《練命剣:Lv.91》

 《蒐魂剣:Lv.91》

 《テイム:Lv.100》LIMIT

 《HP自動超回復:Lv.38》

 《生命力操作:Lv.100》LIMIT

 《魔力操作:Lv.100》LIMIT

 《魔技共演:Lv.68》

 《レンジ・ゼロ:Lv.7》

 《回復特性:Lv.68》

 《超位戦闘技能:Lv.34》

 《剣氣収斂:Lv.87》

 《血戦舞踏:Lv.7》

 《空歩:Lv.12》

 《会心破断:Lv.60》

 《再生者リジェネレイター:Lv.44》

 《オーバーレンジ:Lv.6》

 《三魔剣皆伝:Lv.13》

 《天与の肉体:Lv.11》

 《抜山蓋世:Lv.7》

サブスキル:《採掘:Lv.15》

 《聖女の祝福》

 《見識:Lv.36》

種族スキル:《夜叉業》

称号スキル:《剣鬼羅刹》

■現在SP:38






■アバター名:緋真

■性別:女

■種族:羅刹女族

■レベル:135

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:91

VIT:50

INT:90

MND:40

AGI:50

DEX:33

■スキル

ウェポンスキル:《刀神:Lv.56》

 《武王:Lv.31》

マジックスキル:《灼炎魔法:Lv.47》

 《昇華魔法:Lv.44》

セットスキル:《武神闘気:Lv.34》

 《オーバースペル:Lv.32》

 《火属性超強化:Lv.36》

 《回復特性:Lv.59》

 《炎身:Lv.71》

 《致命の一刺し:Lv.53》

 《超位戦闘技能:Lv.39》

 《空歩:Lv.40》

 《術理掌握:Lv.46》

 《MP自動超回復:Lv.32》

 《省略詠唱:Lv.25》

 《蒐魂剣:Lv.68》

 《魔力操作:Lv.99》

 《並列魔法:Lv.42》

 《魔技共演:Lv.43》

 《燎原の火:Lv.73》

 《二天一流:Lv.22》

 《賢人の智慧:Lv.59》

 《曲芸:Lv.6》

 《臨界融点:Lv.14》

 《剣技:絶景倒覇:Lv.11》

 《抜山蓋世:Lv.6》

サブスキル:《採取:Lv.7》

 《採掘:Lv.15》

 《聖女の祝福》

 《見識:Lv.35》

種族スキル:《夜叉業》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:54






■モンスター名:ルミナ

■性別:メス

■種族:ヴァルハラガーディアン

■レベル:49

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:90

VIT:40

INT:90

MND:40

AGI:76

DEX:44

■スキル

ウェポンスキル:《刀神》

 《神槍》

マジックスキル:《天光魔法》

 《大空魔法》

スキル:《光属性超強化》

 《戦乙女の戦翼》

 《魔法抵抗:極大》

 《物理抵抗:大》

 《MP自動超回復》

 《超位魔法陣》

 《ブーストアクセル》

 《空歩》

 《風属性超強化》

 《HP自動超回復》

 《光輝の戦鎧》

 《戦乙女の大加護》

 《半神》

 《精霊の囁き》

 《吶喊》

 《大霊撃》

 《戦乙女の戦列》

 《精霊強化》

 《戦闘指揮》

称号スキル:《精霊王の眷属》






■モンスター名:セイラン

■性別:オス

■種族:ワイルドハント

■レベル:49

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:110

VIT:70

INT:62

MND:40

AGI:91

DEX:40

■スキル

ウェポンスキル:なし

マジックスキル:《天嵐魔法》

 《大空魔法》

スキル:《風属性超強化》

 《天駆》

 《騎乗》

 《物理抵抗:極大》

 《痛恨撃》

 《剛爪撃》

 《覇王気》

 《騎乗者大強化》

 《天歩》

 《マルチターゲット》

 《神鳴魔法》

 《雷属性超強化》

 《魔法抵抗:大》

 《空中機動》

 《嵐属性超強化》

 《吶喊》

 《帯電》

 《亡霊召喚》

 《剛嵐》

 《亡霊操作》

 《デコイ》

 《麻痺耐性:中》

称号スキル:《嵐の王》






■アバター名:アリシェラ

■性別:女

■種族:闇月族エクリプス

■レベル:134

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:60

VIT:33

INT:60

MND:33

AGI:90

DEX:80

■スキル

ウェポンスキル:《闇殺刃:Lv.56》

 《連弩:Lv.26》

マジックスキル:《深淵魔法:Lv.34》

 《闇月魔法:Lv.27》

セットスキル:《致命の一刺し:Lv.61》

 《姿なき侵入者インビジブル:Lv.39》

 《超位毒耐性:Lv.10》

 《フェイタルエッジ:Lv.36》

 《回復特性:Lv.46》

 《闇属性超強化:Lv.30》

 《ピアシングエッジ:Lv.41》

 《トキシックエッジ:Lv.33》

 《静寂の鬨:Lv.25》

 《真実の目トゥルースサイト:Lv.47》

 《パルクール:Lv.37》

 《パリスの光弓:Lv.21》

 《血纏:Lv.20》

 《ミアズマウェポン:Lv.78》

 《空歩:Lv.31》

 《魔技共演:Lv.44》

 《闇月の理:Lv.28》

 《ブリンクアヴォイド:Lv.56》

 《死神の手:Lv.47》

 《光神の槍:Lv.19》

 《超直感:Lv.11》

 《天上の舞踏エアリアルダンス:Lv.6》

サブスキル:《採取:Lv.23》

 《調薬:Lv.28》

 《偽装:Lv.27》

 《閃光魔法:Lv.1》

 《聖女の祝福》

 《リサイクル:Lv.20》

種族スキル:《闇月の魔眼》

称号スキル:《天月狼の導き》

■現在SP:32






■モンスター名:シリウス

■性別:オス

■種族:ブレイドドラゴン・デュランダル

■レベル:9

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:136

VIT:128

INT:65

MND:80

AGI:70

DEX:65

■スキル

ウェポンスキル:なし

マジックスキル:《昇華魔法》

スキル:《断爪撃》

 《絶鋭牙》

 《吶喊》

 《ブラストブレス》

 《物理抵抗:極大》

 《不毀》UP

 《鋭斬鱗》

 《鋭刃翼》

 《斬尾撃》

 《魔法抵抗:極大》

 《覇気》

 《移動要塞》

 《研磨》

 《変化》

 《龍王気》

 《バインドハウル》

 《自己再生》

 《鱗魔弾》

 《不毀の絶剣デュランダル

 《ディフェンシング》

称号スキル:《真龍》

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書籍化情報や連載情報等呟いています。
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― 新着の感想 ―
[一言] あらやだイベントが
[一言] ただの誘引剤じゃなくて上位種のトリガーでしたか。 シリウスの居るパーティだったからあっけなく片付いたけど、 真正面から受け止めてくれる存在が居なかったら苦戦したでしょうね 上位種らしく経験…
感想一覧
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