表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
426/943

422:雷鳴の亜竜

ガンガンオンライン様のアプリにて、漫画版最新話が更新されております。

是非ご確認ください!











「『生奪』」



 まずは小手調べに、動きを止めているトニトルスドラゴンの足へと一閃を放つ。

 しかし、その一閃は体を覆う体毛の下、生え揃う鱗によって受け止められてしまった。

 どうやら、鱗の隙間から長い毛が出ているようで、獣のような毛に覆われた姿ながら、きちんと鱗による防御も固めているらしい。

 そして、この体毛自体もかなり頑丈であり、今の一閃ではほとんど傷もついていない。

 全く、ドラゴンという生き物はどうしてこうも頑丈なのか。



「《奪命剣》、【命喰牙】」

「《術理掌握》、《スペルエンハンス》【ファイアエクスプロージョン】」



 こちらが手に出現させた【命喰牙】をトニトルスドラゴンの足に突き刺している間に、緋真の方は新たに魔法を発動して己の体に取り込んでいた。

 姿は先ほどとさほど変化はないが、内に秘めた魔力の量は明らかに大きい。

 やはり、強力な魔法であるほど、能力の上昇幅は大きいということか。

 炎を纏う緋真の一閃は、俺が狙った方とは反対側の足へと突き刺さり、そこで小規模な爆発を巻き起こした。

 大きなダメージになることはないが、その衝撃によってトニトルスドラゴンの体が揺れる。



「ふむ……《奪命剣》、【咆風呪】!」



 若干ながら怯んだ相手へと向けて、漆黒の風を巻き起こす。

 流石に防御力を無視する攻撃は通用するようで、トニトルスドラゴンのHPは僅かながらに減少する。

 手応えからして、HPの総量はフォレストドラゴンよりも低いだろう。

 あちらのように回復能力を備えている様子もないし、地道に削って行けば倒せるだろう。



「シィイッ!」



 しかし無論のこと、トニトルスドラゴンとて無防備にこちらの攻撃を受けてくれるわけではない。

 俺たちの攻撃を喰らったトニトルスドラゴンは、地を蹴り後方へと着地して、体勢を低く構える。

 その姿は敵へと飛び掛かろうとする狼そのものであり、その運動能力の高さを窺うことができた。



「《練命剣》、【命輝一陣】」



 そのトニトルスドラゴンの顔面へと向け、生命力の刃を撃ち放つ。

 奴にとっては大した威力ではない一撃だろうが、それでも顔面に攻撃が飛んで来れば反応せざるを得ない。

 俺の一撃に対し、トニトルスドラゴンは顔を背けて肩口で攻撃を受け止める。

 やはり大したダメージにはならなかったが――それでも、僅かに動きを止めることができた。

 刹那、吹き荒れる嵐が亜竜の巨体へと向けて襲い掛かる。



「ケェエエエエエッ!」

「ガッ……!?」



 それは、全身に嵐を纏い突撃してきたセイランであった。

 振り下ろした前足による一撃は、顔を背けていたトニトルスドラゴンの横っ面へと直撃する。

 純粋なパワーに限って言えば、シリウスにすら匹敵するセイランの一撃だ、その威力は決して伊達ではなく、砕けた鱗と血が飛び散る。

 その様を見ながら、俺と緋真は両側から挟むようにトニトルスドラゴンへと接近した。



「《練命剣》、【煌命閃】!」

「『術式解放』!」



 斬法――剛の型、白輝。


 俺が全力で生命力を注ぎ込んだ一閃と、込められた魔力を解放した緋真の一撃。

 それら二つの攻撃は、セイランによって動きを止められたトニトルスドラゴンの両前足へと突き刺さった。

 俺と緋真にとっては、最大級の攻撃力を誇る一撃。成長武器の解放を使っていないとはいえ、十分な威力を持つ俺たちの攻撃は、トニトルスドラゴンの両前足に確かな傷をつけた。



「ギィ……ジャアアアアアアアアッ!」

「っとぉ!」

「危なっ!?」



 次いで、付けた傷跡へと追撃を放とうとするが、それよりも早くトニトルスドラゴンの魔力の高まりを察知し、その場から退避する。

 それとほぼ同時、トニトルスドラゴンは先ほどと同じく、全身から雷光を放出して周囲を無差別に攻撃した。

 シリウスでも大きくダメージを受けるほどなのだ、俺たちの場合は一発で行動不能になっても不思議ではない。

 放電を終えたトニトルスドラゴンは全身の毛を逆立たせ、怒りを顕わにしながら俺たちのことを睥睨している。

 青白い雷光は全身に纏わりつき、血の滴る前足を振るい俺へと向けて襲い掛かる。

 先ほどの放電で若干距離は離れたが、トニトルスドラゴンにとってこの程度の距離などあって無いようなものだろう。

 若干動きが鈍っている様子こそあったものの、それでも十分すぎるほどに動きは速い。だが、それでも俺は回避に動くことは無かった。何故なら――



「ガアアアアアッ!!」

「ギィイッ!?」



 ――横合いから、ルミナによって回復を施されたシリウスが迫ってきていたからだ。

 シリウスは《研磨》を施した尾の一閃を相手の脇腹へと叩き付け、その巨体を斬り裂きながら弾き飛ばす。

 そして着地したシリウスは、そのまま横倒しになったトニトルスドラゴンへと向けて容赦なく襲い掛かった。

 再び放電を使われるよりも前にダメージを与えようと、俺もまたそちらへ近づき――それよりも僅かに早く、小さな影が姿を現す。

 これまで姿を見せることのなかったアリスは、その一瞬でトニトルスドラゴンの右前脚へと刃を突き立てた。



「ほら、クオン!」

「……成程、感謝する!」



 急所に対してのダメージ補正の高いアリスが、何故急所以外の場所を攻撃したのか。

 その理由は、トニトルスドラゴンの足に浮かび上がった赤いマーキングで明らかになった。

 アリスの持つスキルの一つ、《肉抉》。攻撃した箇所に弱点属性を付与し、ダメージの倍率を高めるスキルだ。

 それはつまり、相手の自由な位置に弱点部位を作れるということに他ならない。

 そして、そこが弱点であるならば――



「『練命破断』!」



 弱点部位に対する防御無視――《会心破断》の効果が適用される。

 シリウスによって押さえつけられ、暴れ回るトニトルスドラゴンではあるが、それでも攻撃を外すことなどない。


 斬法――剛の型、輪旋。



「グギィイイイイイイイイッ!!」



 生命力を纏う刃が、暴れ狂うトニトルスドラゴンの足を捉える。

 防御力を無視する一閃はその前足の深くまで突き刺さり、その足を半ばまで斬り裂いた。

 さしものドラゴンといえど、骨まで断ち斬られればその足を使うことなどできはしない。

 そして、押さえつけるシリウスもまた、それを好機と見るや畳み掛けるように攻撃を繰り出した。

 鋭い左前脚の爪でトニトルスドラゴンの顔を押さえつけ、その牙で切断されかけた前足へと食らいつく。

 そして右前脚も使いながら、強引にトニトルスドラゴンの右前足を引き千切ってしまった。



「そのコンボ、本当に凶悪ですよね……考えた私が言うのもなんですけど!」

「ぶつくさ言ってないで、お前もさっさとやれ」

「勿論、分かってますよ!」



 その声を上げたのは、シリウスの背を駆け上がった緋真だ。

 炎を纏う緋真はシリウスの肩から大きく跳躍、トニトルスドラゴンの頭へと向けて飛び降りる。

 そして緋真は、炎を纏う刃をトニトルスドラゴンの眼球へと向けて容赦なく振り下ろした。

 灼熱の炎を纏う紅蓮舞姫の刃は、鱗に覆われたドラゴンの瞼を貫き、眼窩にまでその刃を届かせる。

 想像を絶するであろう激痛に、トニトルスドラゴンは身を捩ろうとして――それよりも、僅かに早く。



「『術式解放』!」



 緋真の体に取り込まれていた炎の魔法が、刃を伝ってトニトルスドラゴンの体内で炸裂した。

 くぐもった爆発音と、びくりと揺れる巨大な竜の体。

 そして――トニトルスドラゴンは横倒しになった姿勢のまま、ついにそのHPの全てを散らしたのだった。



『《格闘術》のスキルレベルが上昇しました』

『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』

『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《エンゲージ》のスキルレベルが上昇しました』

『《剣氣収斂》のスキルレベルが上昇しました』

『《背水》のスキルレベルが上昇しました』

『《走破》のスキルレベルが上昇しました』

『《会心破断》のスキルレベルが上昇しました』



 インフォメーションが響き渡り、息を吐き出す。

 厄介な能力を持った亜竜だったが、何とかその持ち味を生かさせることなく倒すことができたと言えるだろう。

 真っ向から殴り合えるシリウスがいたからこそであるが、これが無かったらどれだけ苦戦していることか。

 だが逆に言えば、シリウスがいれば真っ向から渡り合うことも可能であるということだ。

 フォレストドラゴンと並んで、それなりに狙い目な相手であると言えるだろう。



「うむ、いい感じだな……今のうちにフィノには連絡を入れておけ。今日中に成長武器のレベルアップまで終わらせるぞ」

「はいはい。今回もハードワークですね」

「時間はいくらあっても足りない。暢気にレベル上げを出来るタイミングなんて、今後来るかどうかわからんからな」



 障壁の解除まで、あまり時間はない。今は、時間の許す限り強化を続けなくては。

 遠景に映る障壁を見つめ、決意を新たにしながら、俺は次なる獲物へと向けて歩き出したのだった。











■アバター名:クオン

■性別:男

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:81

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:51

VIT:36

INT:51

MND:36

AGI:23

DEX:23

■スキル

ウェポンスキル:《刀神:Lv.3》

 《格闘術:Lv.23》

マジックスキル:《昇華魔法:Lv.18》

 《降霊魔法:Lv.44》

セットスキル:《致命の一刺し:Lv.7》

 《MP自動大回復:Lv.34》

 《奪命剣:Lv.44》

 《練命剣:Lv.44》

 《蒐魂剣:Lv.43》

 《テイム:Lv.58》

 《HP自動大回復:Lv.34》

 《生命力操作:Lv.62》

 《魔力操作:Lv.63》

 《魔技共演:Lv.39》

 《エンゲージ:Lv.29》

 《回復特性:Lv.11》

 《高位戦闘技能:Lv.23》

 《剣氣収斂:Lv.37》

 《識別:Lv.48》

 《背水:Lv.27》

 《走破:Lv.27》

 《会心破断:Lv.4》

サブスキル:《採掘:Lv.15》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《剣鬼羅刹》

■現在SP:48






■アバター名:緋真

■性別:女

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:81

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:53

VIT:30

INT:47

MND:30

AGI:30

DEX:30

■スキル

ウェポンスキル:《刀神:Lv.3》

 《格闘術:Lv.31》

マジックスキル:《火炎魔法:Lv.46》

 《強化魔法:Lv.45》

セットスキル:《練闘気:Lv.38》

 《スペルエンハンス:Lv.35》

 《火属性大強化:Lv.29》

 《回復特性:Lv.3》

 《炎身:Lv.20》

 《致命の一刺し:Lv.4》

 《高位戦闘技能:Lv.34》

 《立体走法:Lv.36》

 《術理掌握:Lv.1》

 《MP自動大回復:Lv.28》

 《多重詠唱:Lv.23》

 《蒐魂剣:Lv.18》

 《魔力操作:Lv.47》

 《遅延魔法:Lv.38》

 《魔技共演:Lv.11》

 《燎原の火:Lv.24》

 《二刀流:Lv.25》

 《賢人の智慧:Lv.4》

サブスキル:《採取:Lv.7》

 《採掘:Lv.15》

 《識別:Lv.47》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:42






■アバター名:アリシェラ

■性別:女

■種族:魔人族ダークス

■レベル:81

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:40

VIT:20

INT:40

MND:20

AGI:54

DEX:54

■スキル

ウェポンスキル:《闇殺刃:Lv.3》

 《短弓術:Lv.21》

マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.34》

 《月魔法:Lv.27》

セットスキル:《致命の一刺し:Lv.7》

 《隠密行動:Lv.40》

 《上位毒耐性:Lv.13》

 《アサシネイト:Lv.34》

 《回復適性:Lv.46》

 《闇属性大強化:Lv.34》

 《スティンガー:Lv.40》

 《ベノムエッジ:Lv.29》

 《無影発動:Lv.24》

 《真実の目トゥルースサイト:Lv.3》

 《曲芸:Lv.39》

 《投擲術:Lv.23》

 《肉抉:Lv.19》

 《ミアズマウェポン:Lv.33》

 《立体走法:Lv.24》

 《魔技共演:Lv.12》

 《月属性強化:Lv.22》

 《ブリンクアヴォイド:Lv.3》

サブスキル:《採取:Lv.23》

 《調薬:Lv.28》

 《偽装:Lv.27》

 《閃光魔法:Lv.1》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《天月狼の導き》

■現在SP:33

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギカテクニカ書籍版第12巻、7/18(金)発売です!
書籍情報はTwitter, 活動報告にて公開中です!
表紙絵


ご購入はAmazonから!


  https://x.com/AllenSeaze
書籍化情報や連載情報等呟いています。
宜しければフォローをお願いいたします。


― 新着の感想 ―
>それとほぼ同時、トニトルスドラゴンは先ほどと同じく、全身から雷光を放出して周囲を無差別に攻撃した。 ニフラムやめい(属性は違うけれど)
[一言] 時間との競走ですねw 本当にこの凪の時間がどれだけ強化できるか、今後の対悪魔戦にはとても重要なことです。 プレイヤーの全体のレベルもね……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ