420:フォレストドラゴン
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フォレストドラゴンに痛打を与えたわけではあるが、それだけで仕留め切れるほど甘い相手ではない。
首から血を流してはいるものの、そのHPは十分すぎるほどに健在であった。
しかも、そのHPは徐々にではあるが回復を続けている。これが、木属性の持つ回復能力ということだろう。
金龍王の目を疑うような回復能力とは異なるが、これでも十分に厄介な代物だ。
フォレストドラゴンは葉のような翼を広げ、構える。木々がざわめくような音が広がり――刹那、足元に違和感を感じた。
「ッ……!」
瞬間、背筋を這い上がった悪寒に、俺は即座に後方へと跳躍した。
それとほぼ同時、俺たちの足元から、木の根でできたと思われる鋭い槍が突き出したのだ。
どうやら、地属性と同じく地面から攻撃を行う魔法を持っているらしい。
(厄介なんだよな、これが)
何しろ、どのタイミングで発生するのかが読みづらい。
正面から向かってくる魔法であれば《蒐魂剣》で対処しやすいのだが、足元からの攻撃は迎撃しづらいのだ。
まあ、今のように予備動作はあるため、決して回避が難しいというわけではないのだが。
攻撃を回避せざるを得ない俺や緋真と違い、空中を移動するルミナやセイランは根による攻撃は受けない。
しかしそんなルミナたちは、翼より放たれた木の葉による攻撃に晒されていた。
「……あっちはあっちで厄介だな」
翼から放たれれる木の葉は、刃のように鋭く、命中すれば身を斬り裂かれることになるだろう。
高速で飛翔するルミナたちは上手いこと回避しているが、フォレストドラゴンには接近しづらい状況だ。
魔法による攻撃は加えているものの、それほど大きなダメージにはならないだろう。
しかし――
「ガアアアアアアアアアアッ!」
「カロロロ……ッ!」
頑丈極まりないシリウスからすれば、その程度の攻撃は気にするほどのものではなかったらしい。
強固な鱗で木の葉による攻撃を弾き返しながら、シリウスはフォレストドラゴンへと向けて吶喊する。
振りかざす腕には鋭利な鉤爪が構えられ、その一撃はフォレストドラゴンの頭へと向けて振り下ろされる。
だが、相手もそれを素直に受けるようなことはなく、大きな翼によってその攻撃を防御した。
鋭い刃は枝葉のような翼を傷つけはするものの、大きなダメージにはつながらない。
そしてお返しとばかりにフォレストドラゴンが地を踏みしめれば、巨大な木の杭が地面から突き出し、シリウスの胴を突き刺した。
「グルルルル……ッ!」
だが、強化されているシリウスの鱗は、そう簡単に貫けるようなものではない。
多少刺さりはしたものの深手には至らず、シリウスはそのまま後方へと押しやられた。
とはいえ、一時的にフォレストドラゴンの動きを止めてみせたのは値千金だ。
その間にフォレストドラゴンの視界から離れ、左右に展開した俺と緋真は、両側からフォレストドラゴンへと攻撃を放つ。
「《奪命剣》、【咆風呪】!」
「《術理装填》、《スペルエンハンス》【ファイアエクスプロージョン】!」
放たれた黒い風と爆裂する炎が、フォレストドラゴンの体力を削る。
属性的にダメージが通りやすい緋真の攻撃は特に効果的であるようで、『炎上』状態が発生したことにより継続的なダメージを与えているようだ。
緋真の持つスキル《燎原の火》は、『炎上』状態の効果を高めると共に、その継続時間を伸ばす効果も持っている。
燃えやすいフォレストドラゴンは、緋真にとってはダメージを与えやすい相手でもあるのだ。
「カロロロッ!」
二つの攻撃に晒されたフォレストドラゴンであるが、やはり危険であると判断したのは緋真の方であるらしい。
そちら側へと注意を向けたドラゴンは、魔力を放ちいくつもの根の槍を緋真へと向けて放つ。
だが、その攻撃動作は読めていたのか、緋真はあっさりと退避してその攻撃を躱す。
そしてそれと同時、何の小細工も無く突撃してきたシリウスの、角を前面に出した体当たりがフォレストドラゴンに直撃した。
重量においてはフォレストドラゴンを上回るシリウスだ。その一撃はフォレストドラゴンを後方へと押しやり、その身を横倒しにする。
それと同時にブチブチという音が響き、何かと視線を向ければ、どうやらフォレストドラゴンの足から伸びていた根が引きちぎられた音らしい。
(まさか、これで自動回復していたのか?)
そういえば先程から、フォレストドラゴンは翼や魔法で攻撃はしていたものの、手足を利用しようとはしていなかった。
恐らくは、根を張っている間は手足による攻撃は行えないのだろう。
それによって得られる効果が自動回復であるならば、あまり高い効果には思えないのだが――まあいい、何にせよ、厄介な効果が消えたことは事実だ。
フォレストドラゴンが横倒しになった瞬間、シリウスは躊躇うことなくマウントポジションを取り、フォレストドラゴンを押さえ込みにかかる。
手足は自由になっているため、フォレストドラゴンの抵抗は激しく、シリウスもダメージを受けてはいるが、致命傷には程遠い。であれば、今ここで全力で叩くほかあるまい。
「《練命剣》、【煌命閃】!」
「《術理装填》、《スペルエンハンス》【フレイムストライク】!」
「……クオン、緋真さん、喉元を狙って」
攻撃を叩きつけようとしたその瞬間、アリスの声が耳に届く。
それを耳にして、俺と緋真は刃を交差させるようにフォレストドラゴンの喉笛へと刃を振り下ろした。
斬法――剛の型、白輝。
輝く一閃が、フォレストドラゴンの喉笛を斬り裂く。
そして、喉を覆っていた樹木が焼き尽くされ――中から、緑色に輝く鱗が現れる。
それを目にした瞬間、今まで姿を隠していたアリスが、緑色の鱗へと向けて刃を突き立てた。
その瞬間、フォレストドラゴンの体がびくりと痙攣し、脱力して動きを止める。
「逆鱗って奴か……シリウス、やれ!」
「グルアアアッ!」
俺の指示に従い、シリウスはその大口を開き、フォレストドラゴンの喉笛へと鋭利な牙を突き立てた。
そのまま強く噛みついたシリウスは、強引に引き千切ろうとするかのように力を籠める。
フォレストドラゴンは苦悶の声を上げながら逃れようと力を籠めるが、この体勢では最早逃れられるようなものではない。
暴れるフォレストドラゴンだが、最早抵抗できる状態ではない。これ以上は必要ないと、俺は刃を構え直した。
「『練命破断』」
シリウスによって引かれ、伸びきったその首へと刃を振り下ろす。
防御力を無視する効果を付与した一閃はフォレストドラゴンの首を深く斬り裂き、同時にその逆鱗を真っ二つに断ち斬る。
瞬間、フォレストドラゴンの全ての抵抗が止まり――シリウスは、敵の首を引き千切ったのだった。
『《昇華魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《降霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《致命の一刺し》のスキルレベルが上昇しました』
『《MP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《奪命剣》のスキルレベルが上昇しました』
『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』
『《エンゲージ》のスキルレベルが上昇しました』
『《回復特性》のスキルレベルが上昇しました』
『《高位戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』
『《剣氣収斂》のスキルレベルが上昇しました』
『《背水》のスキルレベルが上昇しました』
『《走破》のスキルレベルが上昇しました』
『《会心破断》のスキルレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《シリウス》のレベルが上昇しました』
インフォメーションが入り、フォレストドラゴンが完全に息絶えたことを確認する。
シリウスのお陰である程度楽に戦えたが、シリウスが進化する前だったらかなり苦戦していたかもしれない。
やはり、大きさで相手の動きを止められるのは大きな要素だ。
シリウスは多少ダメージを受けているが、致命傷には程遠い。これならば、ある程度安定して戦うことができるだろう。
「ふむ……ある程度倒しやすいし、経験値もある。こいつは中々狙い目かもしれないな」
「格としてはディノタイラントと同格ぐらいですけど、属性的に相性がいいですね」
「私も狙い目の弱点があって助かるわ。倒れてくれないと当てられないけど」
どうやら、こいつはディノタイラントと比べて好評であるようだ。
まあ、あちらはあの暴れっぷりだったからな、正直あまり何度も相手にしたくはない。
確かに今なら、シリウスで押さえ込めば戦い易いかもしれないが、それでも相応の被害を受けることになるだろう。
それに比べれば、フォレストドラゴンはまだまだ楽なものだ。
「よし、もう少し時間もあるし、次の個体を探すとするか。ここでどんどんレベルを上げてやるとしよう」
「了解です、やりましょう。ちょうどスキルも成長限界になりましたから」
どうやら、緋真の《術理装填》もレベルが上がったらしい。
果たしてどのようなスキルになったのか、確かめさせて貰うとしよう。
■アバター名:クオン
■性別:男
■種族:人間族
■レベル:81
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:51
VIT:36
INT:51
MND:36
AGI:23
DEX:23
■スキル
ウェポンスキル:《刀神:Lv.3》
《格闘術:Lv.22》
マジックスキル:《昇華魔法:Lv.18》
《降霊魔法:Lv.44》
セットスキル:《致命の一刺し:Lv.7》
《MP自動大回復:Lv.34》
《奪命剣:Lv.44》
《練命剣:Lv.44》
《蒐魂剣:Lv.43》
《テイム:Lv.57》
《HP自動大回復:Lv.33》
《生命力操作:Lv.62》
《魔力操作:Lv.63》
《魔技共演:Lv.39》
《エンゲージ:Lv.28》
《回復特性:Lv.11》
《高位戦闘技能:Lv.23》
《剣氣収斂:Lv.36》
《識別:Lv.48》
《背水:Lv.26》
《走破:Lv.26》
《会心破断:Lv.3》
サブスキル:《採掘:Lv.15》
《聖女の祝福》
称号スキル:《剣鬼羅刹》
■現在SP:48
■アバター名:緋真
■性別:女
■種族:人間族
■レベル:81
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:53
VIT:30
INT:47
MND:30
AGI:30
DEX:30
■スキル
ウェポンスキル:《刀神:Lv.3》
《格闘術:Lv.31》
マジックスキル:《火炎魔法:Lv.45》
《強化魔法:Lv.45》
セットスキル:《練闘気:Lv.37》
《スペルエンハンス:Lv.34》
《火属性大強化:Lv.29》
《回復特性:Lv.3》
《炎身:Lv.20》
《致命の一刺し:Lv.4》
《高位戦闘技能:Lv.34》
《立体走法:Lv.36》
《術理装填:Lv.50》MAX
《MP自動大回復:Lv.27》
《多重詠唱:Lv.23》
《蒐魂剣:Lv.18》
《魔力操作:Lv.47》
《遅延魔法:Lv.37》
《魔技共演:Lv.11》
《燎原の火:Lv.24》
《二刀流:Lv.25》
《賢人の智慧:Lv.3》
サブスキル:《採取:Lv.7》
《採掘:Lv.15》
《識別:Lv.47》
《聖女の祝福》
称号スキル:《緋の剣姫》
■現在SP:54
■アバター名:アリシェラ
■性別:女
■種族:魔人族
■レベル:81
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:40
VIT:20
INT:40
MND:20
AGI:54
DEX:54
■スキル
ウェポンスキル:《闇殺刃:Lv.3》
《短弓術:Lv.21》
マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.34》
《月魔法:Lv.26》
セットスキル:《致命の一刺し:Lv.7》
《隠密行動:Lv.39》
《上位毒耐性:Lv.13》
《アサシネイト:Lv.34》
《回復適性:Lv.46》
《闇属性大強化:Lv.34》
《スティンガー:Lv.39》
《ベノムエッジ:Lv.29》
《無影発動:Lv.24》
《真実の目:Lv.3》
《曲芸:Lv.38》
《投擲術:Lv.23》
《肉抉:Lv.18》
《ミアズマウェポン:Lv.33》
《立体走法:Lv.24》
《魔技共演:Lv.12》
《月属性強化:Lv.22》
《ブリンクアヴォイド:Lv.2》
サブスキル:《採取:Lv.23》
《調薬:Lv.28》
《偽装:Lv.27》
《閃光魔法:Lv.1》
《聖女の祝福》
称号スキル:《天月狼の導き》
■現在SP:33
■モンスター名:シリウス
■性別:オス
■種族:ソードドラゴン
■レベル:8
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:53
VIT:53
INT:40
MND:40
AGI:42
DEX:41
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《強化魔法》
スキル:《爪撃》
《鋭牙》
《突撃》
《ブレス》
《物理抵抗:大》
《硬質化》
《斬鱗》
《刃翼》
《尾撃》
《魔法抵抗:中》
《威圧》
《堅牢》
《研磨》
《小型化》
称号スキル:《真龍》