360:湖の畔
『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』
『《刀術》のスキルレベルが上昇しました』
『《格闘術》のスキルレベルが上昇しました』
『《降霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《MP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』
『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』
『《エンゲージ》のスキルレベルが上昇しました』
『《高位戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』
『《剣氣収斂》のスキルレベルが上昇しました』
『《背水》のスキルレベルが上昇しました』
『《走破》のスキルレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《シリウス》のレベルが上昇しました』
目的地に到着するまでに戦闘を繰り返し、再びレベルが上がった。
そこまでにいくつか街に寄って石碑を解放したが、正直あまり使う気はしない。
というより、この国では正直帝都以外の石碑は滅多に使うことが無い気がする。
各地を巡って悪魔を倒すわけでもないし、今のところ帝都ぐらいにしか用は無いのだ。
精々、青龍王と接触できる港町ぐらいなものだろう。
「ふぅ……ようやく着いたか」
「結構な数戦いましたね」
街道を外れていたため、魔物との遭遇確率はそれなりに高い状態だった。
しかしながら、魔物の陣容はあまり変化がない。この国の中では、やはり亜竜か恐竜しか出現しないのだろう。
亜竜は基本的に特定の属性に特化しており、その能力は名前からして分かり易い。
そして恐竜については大小様々、姿もそれぞれ異なるのだが、全て物理攻撃しか行ってこない。
どちらも、初見であってもある程度対処できてしまう相手なのだ。結構な数の戦闘をこなしはしたが、それほど苦戦するということは無かった。
まあ、レベルは十分に高いため、経験値稼ぎにはなっているのだが。
「呑竜のような、特殊な亜竜ももう少しいればいいんだがな」
「傾向からして、僻地にしか出現しないのでしょうか?」
「少なくとも、今のところ遭遇していないからな……恐竜の方がまだ新鮮味があるぐらいだ」
あいつらは物理攻撃しかしてこないが、姿かたちは本当に多彩だ。
トリケラトプスのような恐竜やプテラノドンのような恐竜など、聞き覚えのある恐竜が出現する様は何とも興味深い。
まあ、俺も恐竜に詳しいわけではないため、その辺りの有名な恐竜ぐらいしか知らないのだが。
幼い時分、恐竜に興味を持ったとしても、図鑑を手に入れたり博物館を見に行ったような経験はない。ただひたすら、ジジイに挑むための修行を続けるばかりだったのだ。
恐竜に対する興味が無かったと言えば嘘になるが、そんなことを気にしている余裕が無かったこともまた事実である。
(感傷……と言うよりはジジイに対する怨念だな)
そういう生き方を選んだのは俺自身であるし、それ自体を否定することはない。
だが、原因となったジジイに対しては思う所が大量にあるというだけの話だ。
今となっては別段何の意味もないことでしかないし、ルミナに悟られる前に忘れてしまうこととしよう。
「さてと……呑竜を探すとするか」
「上空から探しますか?」
「いや、話を聞く限り、面倒そうな相手だからな。ワイバーンが寄ってきても困るし、とりあえず地上で痕跡を探すとしよう」
穴を掘って逃げるという話も聞いたし、地中にいる可能性も否定はできない。
でかい蛇である以上、動けばその痕跡は残るだろうし、探せないということはないだろう。
正直な所、出会うか云々よりも出会った後に逃さないかどうかの方が気になる所だ。
高速で逃げ回る程度ならまだしも、地中に逃げられてしまったら対処のしようがない。
むしろ、地中からの奇襲を気にして積極的に動くことも難しくなってしまうのだから。
「湖の周辺と言っていたが、流石に穴を掘るなら湖の傍ってことはないだろうな……いや、水中を移動できる可能性もあるか?」
何しろ、蛇そのものではなく亜竜だ。真龍が水生生物のように活動していた例もあるわけだし、どのように動くかは想像の域を出ない。
とりあえず、湖の周りをぐるりと一周し、見つからなかったら少し離れて探すこととしよう。
幸い、この湖はそこまで大きいというわけではない。多少時間はかかるが、周囲を巡ることは不可能ではないだろう。
「お父様の新しい魔法で何とかできたらいいのですが……」
「あれはなぁ……正直、もっと検証しないと何とも言えん」
《昇華魔法》のレベルが10に到達したことにより、新たな呪文を習得することができた。しかし、これがまた随分と特殊な効果だったのだ。
ただ言葉の上だけで言えば単純で、選択したスキルの効果を高めるという能力を持っている。
《強化魔法》が単純に武器や防具の能力を向上させるしかできなかったのに対し、《昇華魔法》は魔法やスキルの効果を向上させているようだ。
《エンハンス》については単純に魔法威力を向上させるだけであったが、この新たな魔法は果たしてどの程度の効果を発揮するのか。
正直、全てのスキルに試してみた訳ではないので、その効果を把握し切れてはいないのだ。
(対象にできるのはセットスキルのみ、ウェポンスキルとマジックスキルには効果なし。単純に効果が上がるだけのスキルもあれば、特殊な性能を発揮するスキルもあり。しかもテイムモンスターのスキルにも効果はありか。しっかり検証しないことには分からんな)
とりあえず、使うにしても分かっている範囲で使うしかあるまい。
差し当って、呑竜を相手にはどのような運用が向いているのか。
色々と考えを巡らせてはいるのだが、結局まだ遭遇していないため、どんなスキルが効果的なのかは想像の域を出ない。
何にしても、まずは呑竜を見つけなくてはならないだろう。周囲の気配に気を配りながらも、俺はテイムモンスターたちを連れ立ってのんびりと湖の周りを歩き回った。
「……いませんね」
「お前はせっかちだな。まだ探し始めたばかりだろうに」
少々気が逸っているのか、ルミナは周囲を見渡しながらそう口にする。
そんな彼女の様子に苦笑しつつ、俺は周囲の気配に加えて地面も気にしながら歩くこととした。
流石に地中の気配を感じ取ることは困難だが、地面を掘り進んでいるとなれば、流石に振動ぐらいは感じることだろう。
そう思いつつ歩いているのだが、今のところでかい魔物どころか普通の魔物の気配すらない状況であった。
「動物ぐらいの気配はあるんだがな」
「……それは気づきませんでした」
「まあ、魔物とはちょっと勝手が違うからな」
動物の気配を察知できずに落ち込むルミナの様子に、思わず苦笑しながらそう告げる。
動物は魔物とは違い、こちらを警戒していたとしても敵意を持っているわけではない。故に、感じる気配の鋭さがかなり異なるのだ。
まあ、俺が動物の気配になれているのは、山の中での修行の際に獲物を捕まえる必要があったからなのだが。
流石にあんな修行をさせるわけにはいかないし、気にしないようにとなだめておくことにする。
と――
「クェ!」
「ん? どうした、セイラン?」
響いた鳴き声に視線を巡らせると、少し離れた所を歩いていたセイランが、こちらへと視線を向けて声を発し、呼んでいる姿があった。
その巨大な翼をバサバサと動かして、俺のことを急かすような仕草すらある。
どうやら、よほど重要な何かを発見したらしい。とは言え、まだ周囲には魔物の気配は無いのだが。
それでも警戒は絶やさぬようにしながらセイランの元へと向かえば、彼は翼を畳んで満足そうに頷き、その前足で地面を叩いた。
どうやら湖から若干離れた、奥にある森の方を示しているようだが――
「……これは」
「草が倒れていますね」
背が高い草が、まるで何かに押し潰されたように倒れている。
そんな倒れた草が、森の奥の方へと向けて続いているのだ。
少なくとも、自然にできるような状態ではない。これはまるで――
「何か、巨大なものが這いずったような跡、ってことか」
「なら、これを辿って行けば――」
「ああ、呑竜が見つかるかもしれないな」
しかし、この草の倒れ方であるが、細い路地ぐらいの太さはある。
これがもし呑竜の痕跡であるならば、果たしてどれほど巨大な蛇となるのだろうか。
少なく見積もっても人を丸呑みできる大きさになるのだが――
「蛇にはいい思い出が無いんだよな」
ディーンクラッドの巨体を思い返しながら独りごちる。
さて、この痕跡を残したのは何者なのか、その後を辿ってみることとしよう。
■アバター名:クオン
■性別:男
■種族:人間族
■レベル:75
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:48
VIT:34
INT:48
MND:34
AGI:22
DEX:22
■スキル
ウェポンスキル:《刀術:Lv.46》
《格闘術:Lv.16》
マジックスキル:《昇華魔法:Lv.10》
《降霊魔法:Lv.37》
セットスキル:《致命の一刺し:Lv.1》
《MP自動大回復:Lv.27》
《奪命剣:Lv.38》
《練命剣:Lv.38》
《蒐魂剣:Lv.39》
《テイム:Lv.52》
《HP自動大回復:Lv.25》
《生命力操作:Lv.55》
《魔力操作:Lv.57》
《魔技共演:Lv.35》
《エンゲージ:Lv.20》
《回復特性:Lv.1》
《高位戦闘技能:Lv.15》
《剣氣収斂:Lv.29》
《識別:Lv.41》
《背水:Lv.14》
《走破:Lv.14》
サブスキル:《採掘:Lv.15》
《聖女の祝福》
称号スキル:《剣鬼羅刹》
■現在SP:44
■モンスター名:ルミナ
■性別:メス
■種族:ヴァルハラリッター
■レベル:23
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:55
VIT:26
INT:60
MND:26
AGI:37
DEX:26
■スキル
ウェポンスキル:《刀術》
《槍術》
マジックスキル:《閃光魔法》
《旋風魔法》
スキル:《光属性大強化》
《戦乙女の戦翼》
《魔法抵抗:大》
《物理抵抗:大》
《MP自動大回復》
《高位魔法陣》
《ブーストアクセル》
《空歩》
《風属性大強化》
《HP自動大回復》
《光輝の鎧》
《戦乙女の加護》
《半神》
《精霊の囁き》
《突撃》
称号スキル:《精霊王の眷属》
■モンスター名:セイラン
■性別:オス
■種族:ストームグリフォン
■レベル:23
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:67
VIT:40
INT:40
MND:30
AGI:51
DEX:30
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《嵐魔法》
《旋風魔法》
スキル:《風属性大強化》
《天駆》
《騎乗》
《物理抵抗:大》
《痛恨撃》
《剛爪撃》
《覇気》
《騎乗者大強化》
《空歩》
《マルチターゲット》
《雷鳴魔法》
《雷属性大強化》
《魔法抵抗:大》
《空中機動》
《嵐属性大強化》
《突撃》
称号スキル:《嵐王の系譜》
■モンスター名:シリウス
■性別:オス
■種族:ソードドラゴン・レッサー
■レベル:11
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:38
VIT:38
INT:27
MND:27
AGI:31
DEX:30
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《強化魔法》
スキル:《爪撃》
《牙》
《突進》
《ブレス》
《物理抵抗:中》
《硬質化》
《斬鱗》
《刃翼》
《尾撃》
《魔法抵抗:小》
《威圧》
称号スキル:《真龍》





