356:水龍の園
『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』
『《刀術》のスキルレベルが上昇しました』
『《格闘術》のスキルレベルが上昇しました』
『《昇華魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《降霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《死点撃ち》のスキルレベルが上昇しました』
『《MP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《奪命剣》のスキルレベルが上昇しました』
『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』
『《蒐魂剣》のスキルレベルが上昇しました』
『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』
『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』
『《エンゲージ》のスキルレベルが上昇しました』
『《回復適性》のスキルレベルが上昇しました』
『《高位戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』
『《剣氣収斂》のスキルレベルが上昇しました』
『《背水》のスキルレベルが上昇しました』
『《走破》のスキルレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《シリウス》のレベルが上昇しました』
魔物を倒しながら、ひたすら西へと移動する。
途中でいくつかの大きな街を経由しながら向かった先は、帝国の最西端にある大きな港町だ。
シェンドラン帝国の西側は海に面しており、そこにある港町はこの国にとって貿易の要となるのだろう。
俺たちは今のところ、この大陸の外に出る予定は無いのだが、大陸内の流通においても港は重要な要素だ。
とはいえ、俺たちが気になっているのは、港町そのものよりも――
「この街にも龍育師がいるのか……」
「帝都に集まっているものではないんですね」
「それぞれの属性に応じて、育てやすい場所に集まってるんだろうよ」
西端の街コルドラス。この地は帝国最大の港湾であると同時に、水属性の龍育師が拠点としている場所でもあるのだ。
水属性の真龍は、空だけではなく水中での活動も得意としている。
そのため、彼らはこの港湾を狩場として成長し、同時に港を護っているのである。
どの程度育ったら青龍王の元まで送り出すのかは知らないが、ドラゴンに守護された港はさぞ堅牢であることだろう。
俺たちが街に近づいていくと、案の定と言うべきか、街も周囲もざわつき始める。
原因は言うまでもなく、ギラギラと悪目立ちするシリウスだ。
戦闘時以外は基本的に暢気であるため、周囲の視線など全くといって良いほど意に介していないが、周囲の人間はあまり見たことのない姿のドラゴンに興味津々だ。
「見ろよ、アイスドラゴンか?」
「いや、冷気が漂ってないぞ……見たこともない姿だ」
やはり、この国の人間はドラゴンに慣れているらしい。
とはいえ、銀色の龍は銀龍王の眷属というイメージが強いようではあるが。
何にせよ、現地人たちの反応は好意的だ。ドラゴンは味方であるという認識が強いのだろう。
特に、ドラゴンに守護されたこの街では、その意識も特に強まっているはずだ。
注目されてはいるものの、中にはいるのには特に呼び止められることもなく、俺たちはあっさりとコルドラスの中に足を踏み入れた。
「港……懐かしいですね、お父様」
「お前が精霊に進化した時のことか? 懐かしいというほど古い話でもあるまい」
確かに、ルミナが妖精から精霊に進化した時、妖精郷に足を踏み入れた場所は港町の一角だった。
そういう意味では、ルミナにとっても思い出深い場所なのだろう。
尤も、小国であるアルファシアと比べれば、港の規模は明らかに違っているわけだが。
「さてと……とりあえず石碑に行くか」
とはいえ、別段この街に何か特別な用事があるというわけではない。
石碑の解放ついでに、ここにいる龍育師と話ができればいいと思っていたのだ。
だが、龍育師は仮にも国の重要人物。高い戦闘能力が無ければなれない職業であるとはいえ、安易に会える相手であるとは思えない。
顔合わせができたら運がいい、という程度に考えておいた方がいいだろう。
そう考えながら街の中央へと足を運び――石碑の前に仁王立ちする、赤髪の女の前で足を止めることとなった。
「よう、お前が異邦人の龍育師か!」
「……色々とツッコミ所は多いが、間違ってはいない」
上半身はさらし一枚、下はジャージのようなラフな格好だ。
およそ見た目には頓着していない服装ではあるのだが、不思議と彼女には似合って見えた。
その立ち姿からして、かなり武術に通じている様子ではある。筋肉の付き方から観察すれば、恐らく棒術の類だろうと推察できる。
そんな彼女は、俺の返答に対して心底愉快そうに破顔した。
「そうかそうか、やっぱりそうだよな! ソードドラゴンなんて珍しいドラゴン連れてるぐらいだしな!」
「それで、何となく想像はつくが、あんたは?」
「おっと、悪い悪い。アタシはヴァネシア。水属性の龍育師さ!」
そう言って彼女――ヴァネシアは胸を張ってそう宣言する。
さらし一枚であるのだが、その胸は中々に豊満だ。ぶるんと揺れる胸部に周囲の男たちの視線が集まっているが、当の本人は一切気にした様子が無い。
これは気づいていないのではなく、気にしていないのだろう。であれば、わざわざ指摘するような話でもないか。
「龍を育ててきた先達にお会いできて光栄だ。しかし、わざわざ待ち構えていたということは、俺に何か用事でも?」
「おう、そうなんだよ。このあとちょっと時間はあるか?」
今日はここでログアウトしようとしていたし、多少時間を使う程度であれば特に問題はない。
しかし、ただの顔合わせ以外に、一体何の用事があるというのか。
困惑しつつも頷けば、ヴァネシアは上機嫌な様子で俺の手を取り、引っ張って歩き出した。
「よしよし、ありがたい! じゃあこっちだ!」
「ちょっと待て、引っ張らなくても付いていくから」
「……大丈夫なんでしょうか」
不安げな様子のルミナに内心で同意する。
この女、事情を説明することもなく、即決で俺たちのことを引っ張ってきたのだ。
話すことができないというより、ただ説明が面倒だから無理やり連れてこようとしているようにしか思えない。
しかも、かなり力も強い。少し相手の重心をずらして力を分散させ、腕を外させることはできたが、素人であれば腕を振り払うこともできなかっただろう。
腕を外されたことに、ヴァネシアは驚いた様子でこちらに振り返る。
だが、その表情はすぐさま、楽しそうな笑みへと変化した。
「成程、ドラゴンを育てるだけはあるってことか」
「大したことはしてないだろう。それより、俺への用事ってのは何なんだ? どうも、港の方に向かっているみたいだが」
手を払いはしたものの、進む足は止めていない。
ヴァネシアは俺たちを連れて、コルドラスの港へと進んでいるようだった。
ちょっとと言われていたが、まさか海まで出るということはないだろうな?
流石に、そこまで長時間になるような拘束は勘弁してほしいのだが。
「ああ、アタシの友達にあってほしいんだよ」
「友達? 一体何の用事だ?」
「まあまあ、ほら来てくれよ」
どうやら、まともに説明するつもりは無いようだ。
果たして、何をさせるつもりなのか――そう思いつつも、俺はヴァネシアに連れられて港へと足を踏み入れた。
現代の港はいくつか目にしたことがあるが、流石にこうして帆船がいくつも並んでいる姿は中々見ない。
これはこの時代の軍船なのだろうか。アルファシアではあまりしっかりとは見れなかったし、中々に興味深い光景である。
と――
「っ……!?」
ふと、近づいてくる気配に、俺は思わず息を飲んだ。
尋常ではない、凄まじい魔力の気配。それが、目の前の海中から近づいてきているのだ。
思わず刃に手をかけ、それをヴァネシアに制された。どうやら、警戒する必要はないということのようだ。
だが、流石に全て警戒を抜くことはできずに待ち構え――港の岸に、巨大な蒼い手がかかった。
「これは……」
「紹介するよ、彼女は青龍王。水属性の龍王だ」
岸に手をかけ、そのドラゴンはゆっくりと姿を現す。
それは、全身を蒼い鱗に包まれた巨大なドラゴン。シリウスとは違ってその鱗は滑らかで、体全体のラインが流線形になるようになっているらしい。
シリウス以外の真龍を間近で見る機会は無かったが、どうやら本当に、属性ごとに姿がかなり変わってしまうもののようだ。
何の脈絡もなく姿を現した龍王は、麗しく響く人の声でこちらへと語りかけて来た。
「初めまして、人の子よ。どうか、私の話を聞き届けて欲しい……我らと人類、その未来のために」
これもまた、イベントの続きなのだろうか。
思わずルミナと顔を見合わせつつも、話を聞くために青龍王の声へと耳を傾ける。
まさか銀龍王と会う前に他の龍王と顔を合わせることになるとは思わなかった。
さて、果たして何を頼まれるのか――若干の期待を込めて、青龍王の言葉を待ったのだった。
■アバター名:クオン
■性別:男
■種族:人間族
■レベル:74
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:47
VIT:34
INT:47
MND:34
AGI:22
DEX:22
■スキル
ウェポンスキル:《刀術:Lv.45》
《格闘術:Lv.14》
マジックスキル:《昇華魔法:Lv.10》
《降霊魔法:Lv.36》
セットスキル:《死点撃ち:Lv.49》
《MP自動大回復:Lv.25》
《奪命剣:Lv.37》
《練命剣:Lv.37》
《蒐魂剣:Lv.39》
《テイム:Lv.51》
《HP自動大回復:Lv.24》
《生命力操作:Lv.54》
《魔力操作:Lv.56》
《魔技共演:Lv.34》
《エンゲージ:Lv.19》
《回復適性:Lv.49》
《高位戦闘技能:Lv.14》
《剣氣収斂:Lv.28》
《識別:Lv.40》
《背水:Lv.11》
《走破:Lv.12》
サブスキル:《採掘:Lv.15》
《聖女の祝福》
称号スキル:《剣鬼羅刹》
■現在SP:52
■モンスター名:ルミナ
■性別:メス
■種族:ヴァルハラリッター
■レベル:22
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:54
VIT:26
INT:60
MND:26
AGI:36
DEX:26
■スキル
ウェポンスキル:《刀術》
《槍術》
マジックスキル:《閃光魔法》
《旋風魔法》
スキル:《光属性大強化》
《戦乙女の戦翼》
《魔法抵抗:大》
《物理抵抗:大》
《MP自動大回復》
《高位魔法陣》
《ブーストアクセル》
《空歩》
《風属性大強化》
《HP自動大回復》
《光輝の鎧》
《戦乙女の加護》
《半神》
《精霊の囁き》
《突撃》
称号スキル:《精霊王の眷属》
■モンスター名:セイラン
■性別:オス
■種族:ストームグリフォン
■レベル:22
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:66
VIT:40
INT:40
MND:30
AGI:50
DEX:30
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《嵐魔法》
《旋風魔法》
スキル:《風属性大強化》
《天駆》
《騎乗》
《物理抵抗:大》
《痛恨撃》
《剛爪撃》
《覇気》
《騎乗者大強化》
《空歩》
《マルチターゲット》
《雷鳴魔法》
《雷属性大強化》
《魔法抵抗:大》
《空中機動》
《嵐属性大強化》
《突撃》
称号スキル:《嵐王の系譜》
■モンスター名:シリウス
■性別:オス
■種族:ソードドラゴン・レッサー
■レベル:8
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:36
VIT:36
INT:26
MND:26
AGI:31
DEX:30
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《強化魔法》
スキル:《爪》
《牙》
《突進》
《ブレス》
《物理抵抗:中》
《硬質化》
《斬鱗》
《刃翼》
《尾撃》
《魔法抵抗:小》
称号スキル:《真龍》