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Magica Technica ~剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録~  作者: Allen
MG ~Miniature Garden~

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335/987

332:行き先は未だ遠く












 ぐらりと、ディーンクラッドの体が傾ぐ。

 これまでひたすらに戦い続けてきたこの悪魔も、今回ばかりは終わりだろう。

 俺が放った一撃により、ディーンクラッドの胸には大穴が開いている。

 致命傷どころか、即死してしかるべき傷だ。しかし、致命傷を負って仰向けに倒れて尚、ディーンクラッドはただ楽しそうに笑みを浮かべていた。



「は、ははは……! 何だ、今のは……見えなかった。気づいたら、君の剣に貫かれていたよ」

「そりゃそうだ……そうでなけりゃ困る」



 餓狼丸の刃は、既に普段の白刃へと戻っている。

 片膝をつき荒い息を吐き出した俺は、その刀身を横目に見ながら、倒れ伏すディーンクラッドを睨み据えた。

 斬法、剛の型が奥伝……甕星みかぼし天穿あまうがち。久遠神通流に伝わる秘奥の一つだ。

 正眼の構えから、最小最速の動作で繰り出す刺突は、相手が攻撃を行った後から繰り出し、先に相手を穿つことを可能とする。

 後の先を狙うこの一撃は、回避不可能な魔剣とすら称された。

 ――しかし、それは本来の奥伝、甕星の話だ。



「甕星・天穿は俺とジジイにしか扱えない大業だ。どうせ知ってるんだろう」

「ああ……もう一人の英雄、君の師か。君たちにしか使えぬ業に敗れるというなら、それも悪くない……心から称賛しよう、久遠神通流のクオン。君の勝利だ」

「俺たちの、だ。間違えるな」

「……ああ、そうだったね」



 甕星・天穿とは、奥伝の甕星に風林火山の術理を組み合わせた一撃だ。

 白影での意識加速、寂静での意識潜航、鬼哭での身体強化、不動での衝撃吸収――これらを組み合わせることにより、更なる速さを突き詰めた一撃こそが甕星・天穿なのである。

 つまり、風林火山全ての術理を使えなければならず、久遠神通流合戦礼法の全てを修めた者に道が開かれる、最後の奥伝に当たるものだ。

 これは確実に相手を殺すための業であるため、修練においては使用したことは無かった。

 故に、門下生たちも誰一人として、これを見たことがある者はいなかっただろう。



「嗚呼、本当に……人間は素晴らしい。どれほど高い壁があろうとも、必ずそれを乗り越える存在が現れる。この地の戦いに参加して、君と戦うことができて、本当に良かった」

「チッ……だから俺は、テメェらが嫌いなんだ」



 人間というものの価値を謳いながら、本当に気に入ったもの以外を見ていない。

 今回の戦いでも、俺たちにはある程度視線を向けていたが、それ以外のプレイヤーは一切気にすることは無かった。

 そして、俺たちと戦うことばかりを気にかけて、一般人を殺すことを作業程度にしか考えていなかった。

 《払暁の光デイブレイク》のクソ共と同じ、唾棄すべき性質だ。

 俺は震える体に喝を入れて立ち上がり、地面に突き刺していた餓狼丸を抜き放つ。



「価値があるのは俺たちのような人間じゃない。護り、育む人々だ。それらを足蹴にしてきたテメェが、人間の価値を語るな」

「僕は君のような、前に歩み続けた人間にこそ価値があると信じる。残念ながら……君とは、その点についてわかり合うことはできないようだ」

「ああ、俺も、テメェらの考えなんぞ理解したくもない」



 永遠の平行線だ。俺はMALICE共の考え方を一切許容しない。

 こいつらは唾棄すべき邪悪、滅ぼすべき害悪だ。故に殺意を込め、俺は最後の刃を振り上げる。



「さらばだ、ディーンクラッド。テメェは地獄で、悪魔共が駆逐される様を眺めていろ」

「ああ……君の活躍を、心より期待しているよ」



 ディーンクラッドは晴れやかな笑みを浮かべ――その顔面に叩き付けるように、俺の一閃はディーンクラッドの首を斬り飛ばした。

 その瞬間、ディーンクラッドの体は塵となって消滅する。

 舞い散る黒い塵は空気に溶けて消え去り、俺は深く息を吐き出して――刹那、強い鳴動が響き渡った。



「ッ、何だ!?」



 崩れそうになる体を何とか支えながら、俺は周囲へと視線を走らせる。

 異常は、すぐさま発見できた。この場所から見れば遥か北――恐らく、北の都市よりも更に向こう側。

 その先に天を衝くほどに高い、赤黒い魔法障壁が発生していたのだ。

 明らかに異常な状況に、生き残ったプレイヤーたちがざわめいているのを感じる。

 そんな俺たちに答えるかのように、天より声が響き渡った。



『――見事だった、異邦人の諸君』

「……!」



 出どころの知れない、女の声。

 インフォメーションのようでもあるが、これまでに聞こえていた音声とは明らかに違う。

 無機質ではない、粘つくような感情を感じる声だ。



『私の名はマレウス――悪魔たちの王』

「ッ、マレウス・チェンバレン……!?」



 魔王、悪魔たちの支配者――即ち、この世界におけるMALICEを操る者。

 その存在がいることは悪魔共にも示唆されていたが、まさかそれがマレウス自身であるとは露ほども思っていなかった。

 理屈としては分からなくはない。ウチの一族や逢ヶ崎竜一郎のように、自身をAI化させることで箱庭計画のサーバ内に潜んでいたのだろう。

 MALICEの動きについても、マレウス自身が制御していたと考えた方が納得できる点も多い。

 だが何にせよ、倒すべき敵ははっきりした。マレウス・チェンバレン――奴自身を討つ。それですべてのMALICEが止まるのかどうかは知らないが、確実に殺さねばならない敵だ。



『君たちは見事に、我らの侵攻を防いで見せた。公爵級までもを打ち倒すのは、流石に予想外だったよ』



 淡々と、しかしどこか喜色を滲ませたその声。

 どうやら、この女もやはりディーンクラッドと同じ――否、ディーンクラッドがこの女と同じ思考をしていたのだろう。

 人間の価値を勝手に定め、それを他者に押し付ける在り方。ああ、本当に気に入らない。



『我々の侵攻は一段落した。現状、攻撃を仕掛けている国は存在しない。故に、私はここに休戦協定を提案する』



 提案、と言ってはいるが、そもそもこちらの意見など聞いている様子はない。

 ただ一方的な宣告と何ら変わらないものでしかないようだ。

 だが、休戦協定というのであれば、俺たちにとっても決して都合の悪いものではない。

 ここまで崩壊したアドミス聖王国の国力を立て直すには、ある程度の時間が必要になるのだ。

 この状況で再び悪魔に攻められれば、護り切ることは至難の業となってしまう。

 一度、体勢を立て直すための時間は必要だろう。



『この世界の基準で三か月の間、我らが支配した領域に足を踏み入れることはできない。同時に、我らも君たちの領土に足を踏み入れることはできない』

「……相互不可侵の休戦協定か」

『戦いを再開するのは、その後としよう。君たちの戦いを間近で見られる機会を、私はとても楽しみにしている』



 思わず、舌打ちを零す。

 マレウスにとって、俺たちの戦いは娯楽に過ぎないのだろう。

 ――必ず吠え面をかかせてやる。その決意と共に、俺は空を睨み据えた。

 それが見えているのかどうかは知らないが、マレウスの声は僅かな笑みを零す。



『――では、さらばだ。三か月後、また会うとしよう』



 一方的に言葉を告げて、マレウスの声は消える。

 北方に見える赤黒い壁は消えることは無いようだが、あれが消えるまでは悪魔からの攻撃は無いということだろう。

 とりあえず、これで一段落かと、深く息を吐き出し――



『ワールドクエスト《人よ、祈りと共に輝きを示せ》を達成しました』

『グランドクエスト《人魔大戦》が進行し、準備段階に入りました』

『イベント中の戦闘経験をステータスに反映します』

『イベント報酬アイテムを各プレイヤーのインベントリに格納します』

『イベント成績集計中です。ポイント交換は後日実施可能です』

『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』

『《刀術》のスキルレベルが上昇しました』

『《格闘術》のスキルレベルが上昇しました』

『《昇華魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《降霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《死点撃ち》のスキルレベルが上昇しました』

『《MP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《奪命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《蒐魂剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』

『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』

『《エンゲージ》のスキルレベルが上昇しました』

『《回復適性》のスキルレベルが上昇しました』

『《高位戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』

『《剣氣収斂》のスキルレベルが上昇しました』

『《救国の英雄》の称号を取得しました』

『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』



 立て続けに響いたインフォメーションに、苦笑を零す。

 どうやら、これで本当に、今回の戦いは終わりとなったようだ。

 安堵の吐息を吐き出して、俺はその場に仰向けに倒れる。

 そして駆け寄ってくる緋真やルミナたちの気配を感じ取りながら、ようやく餓狼丸を握る手を緩めたのだった。











■アバター名:クオン

■性別:男

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:69

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:45

VIT:32

INT:45

MND:32

AGI:21

DEX:21

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.40》

 《格闘術:Lv.10》

マジックスキル:《昇華魔法:Lv.4》

 《降霊魔法:Lv.31》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.45》

 《MP自動大回復:Lv.21》

 《奪命剣:Lv.33》

 《練命剣:Lv.34》

 《蒐魂剣:Lv.33》

 《テイム:Lv.48》

 《HP自動大回復:Lv.21》

 《生命力操作:Lv.51》

 《魔力操作:Lv.51》

 《魔技共演:Lv.33》

 《エンゲージ:Lv.14》

 《回復適性:Lv.45》

 《高位戦闘技能:Lv.10》

 《剣氣収斂:Lv.23》

 《聖女の祝福》

サブスキル:《採掘:Lv.15》

 《識別:Lv.33》

称号スキル:《剣鬼羅刹》

■現在SP:48






■アバター名:緋真

■性別:女

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:69

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:47

VIT:30

INT:41

MND:30

AGI:24

DEX:24

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.40》

 《格闘術:Lv.24》

マジックスキル:《火炎魔法:Lv.32》

 《強化魔法:Lv.37》

セットスキル:《練闘気:Lv.25》

 《スペルエンハンス:Lv.22》

 《火属性大強化:Lv.20》

 《回復適性:Lv.45》

 《炎身:Lv.2》

 《死点撃ち:Lv.44》

 《高位戦闘技能:Lv.23》

 《立体走法:Lv.23》

 《術理装填:Lv.42》

 《MP自動大回復:Lv.15》

 《多重詠唱:Lv.13》

 《蒐魂剣:Lv.3》

 《魔力操作:Lv.34》

 《遅延魔法:Lv.29》

 《聖女の祝福》

サブスキル:《採取:Lv.7》

 《採掘:Lv.15》

 《識別:Lv.42》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:49






■モンスター名:ルミナ

■性別:メス

■種族:ヴァルハラリッター

■レベル:17

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:50

VIT:26

INT:56

MND:26

AGI:34

DEX:26

■スキル

ウェポンスキル:《刀術》

 《槍》

マジックスキル:《閃光魔法》

 《旋風魔法》

スキル:《光属性大強化》

 《戦乙女の戦翼》

 《魔法抵抗:大》

 《物理抵抗:大》

 《MP自動大回復》

 《高位魔法陣》

 《ブーストアクセル》

 《空歩》

 《風属性大強化》

 《HP自動大回復》

 《光輝の鎧》

 《戦乙女の加護》

 《半神》

 《精霊の囁き》

称号スキル:《精霊王の眷属》






■モンスター名:セイラン

■性別:オス

■種族:ストームグリフォン

■レベル:17

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:63

VIT:40

INT:40

MND:28

AGI:50

DEX:25

■スキル

ウェポンスキル:なし

マジックスキル:《嵐魔法》

 《旋風魔法》

スキル:《風属性大強化》

 《天駆》

 《騎乗》

 《物理抵抗:大》

 《痛撃》

 《剛爪撃》

 《威圧》

 《騎乗者大強化》

 《空歩》

 《マルチターゲット》

 《雷鳴魔法》

 《雷属性大強化》

 《魔法抵抗:大》

 《空中機動》

 《嵐属性大強化》

 《突撃》

称号スキル:《嵐王の系譜》






■アバター名:アリシェラ

■性別:女

■種族:魔人族ダークス

■レベル:69

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:32

VIT:20

INT:32

MND:20

AGI:50

DEX:50

■スキル

ウェポンスキル:《暗剣術:Lv.40》

 《短弓術:Lv.7》

マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.23》

 《月魔法:Lv.7》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.44》

 《隠密行動:Lv.27》

 《上位毒耐性:Lv.7》

 《アサシネイト:Lv.24》

 《回復適性:Lv.40》

 《闇属性大強化:Lv.23》

 《スティンガー:Lv.25》

 《ベノムエッジ:Lv.20》

 《無影発動:Lv.10》

 《聖女の祝福》

 《曲芸:Lv.26》

 《投擲術:Lv.15》

 《肉抉:Lv.5》

 《ミアズマウェポン:Lv.22》

 《立体走法:Lv.10》

サブスキル:《採取:Lv.23》

 《調薬:Lv.26》

 《偽装:Lv.27》

 《閃光魔法:Lv.1》

 《看破:Lv.43》

称号スキル:《天月狼の導き》

■現在SP:38

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