表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magica Technica ~剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録~  作者: Allen
MG ~Miniature Garden~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

276/987

273:三つの標的

書籍2巻発売記念、連続更新中です。

書籍版マギカテクニカ2巻、9/19(土)に発売となります。

情報は順次、活動報告とツイッターにアップしていきますので、ご確認ください!


HJノベルズ紹介ページ

http://hobbyjapan.co.jp/hjnovels/lineup/detail/263.html


Twitter

https://twitter.com/AllenSeaze












『まさか、ログインして早々そんな報告を聞くとは思わなかったわよ』

「まあ、色々とあったんでな」



 石碑を解放した後、俺はフレンド機能のチャットでエレノアと連絡を繋いだ。

 ブラッゾを倒したことの報告もそうだが、それ以上に成長武器の次なる必要素材を知るためだ。

 レベル上げついでに、成長武器の段階を上げる。これが、戦力を上げるための効率的な手順であると言えるだろう。

 対し、俺がそこまで進むとは思っていなかったらしいエレノアは、通話越しに深く溜め息を零しながら声を上げる。



『街の状況は分かったけど、まだそちらまでは行けないわ。精々、調査員を派遣する程度でしょうね』

「そうなのか? お前さんならさっさと乗り込んで活動を開始するかと思ったんだが」

『まだウィーラルド……西の都市が解放されていないからよ。詰めているのは子爵級だし、他のプレイヤーでも何とかなるレベルだとは思うけど、それでもまだ時間はかかるわ』



 アナウンスは来ていなかったからそうだろうとは思っていたが、やはり西の都市はまだ解放されていなかったようだ。

 そうなると、確かに戦闘能力の低い生産職だけでは、こちらまで移動してくることは難しいだろう。

 街道を通れば余裕もあるのだろうが、流石に魔物が出現しやすい場所を通ることは困難であるらしい。

 まあ、それに関しては時間の問題だし、あまり気にする必要もないのかもしれないが。



「ところで、アルトリウスはどうしてるんだ? 一応、あいつにも報告は入れた方がいいかと思っていたんだが」

『忙しそうにしてたわね。私たちに色々と教えたことも原因なのかもしれないけど……とりあえず、連絡は折を見て私からしておくわ。貴方たちはその近辺でレベル上げをするんでしょう?』

「それも目的の一つではあるんだが……エレノア、俺たちの成長武器をもう一段階強化させたい。素材を落とす魔物の位置は分からないか?」

『成長武器の強化素材……ああ、この報告ね。ええ、魔物については『MT探索会』に問い合わせて確認済み。基本的にはこの国で出現する魔物ばかりみたいね』

「……たまに思うが、彼らも色々とおかしいよな」

『趣味人はどこにでもいるものよ』



 その筆頭であるプロフェッサーの姿を思い浮かべながら苦笑する。

 攻略やら生産そっちのけで調査して回っている彼らこそ、ある意味では最もこのゲームを楽しんでいる存在なのだろう。

 だが、何だかんだと彼らの調査能力は優秀だ。彼らの調べ上げた情報であるなら、信用できるレベルだろう。



『一応、殆どの素材については素材回収依頼に出してあるから、程なくして集まる筈よ。ただ……それぞれ一つずつ、難しい素材があるみたいね』

「ほう……強敵ってことか?」

『ええ。正直、現状のプレイヤーでは倒すことは難しいだろう、って教授のお墨付きね』

「成程、そいつは面白そうだ」

『……まあ、貴方ならそう言うと思ったけど』



 通話越しに嘆息を零すエレノアの様子に、思わず笑みを噛み殺す。

 現状では倒すことの難しい標的――それは即ち、俺の求めるような強敵である可能性が高いということだ。

 つまり、レベル上げをするにもちょうどいい相手であり、俺たちにとってはまさに願ったりかなったりの相手となるだろう。



『それらの素材は、要するにカイザーレーヴェ……例えば群れのボスのような強力な魔物に当たるみたいね。ただし、あっちみたいに殲滅スローターをしないと出現しないようなものではなく、拠点エリア内に一匹だけ出現するようなタイプよ』

「……良く分からんが、エリアボスみたいなもんか」

『ええと……まあ、そんなイメージでいればいいわ』



 エレノアの声が若干呆れたような調子になったが、間違っていないならばそれでいいだろう。

 要するにボスのような強い魔物がいて、そいつを倒せば成長武器の強化素材が手に入る、ということだ。

 であれば話は単純だろう。そいつらが拠点としているエリアに侵入し、倒してくる。それだけである。



「それで、どんな魔物なんだ?」

『餓狼丸の素材は『暴食悪鬼の心臓』。対象の魔物は『暴食の悪鬼ブラッディオーガ』……オーガ種の群れのボスである魔物らしいわね。生息区域は南西部の山中にある盆地。大量のオーガ種の魔物を従えているわ』

「あいつらか。そりゃ確かに厄介だな」



 オーガという魔物は、確か鬼のような姿をした、筋骨隆々の魔物だ。

 攻撃力や身体能力の高さもさることながら、高い自己修復能力を有しており、放置しているとすぐにダメージを回復されてしまう。

 あの魔物の群れとなると、確かに厳しい相手であるだろう。しかもそのボスともなればかなり強力な魔物のはずだ。腕が鳴る、という物だろう。



「ところで、名前の前に二つ名みたいなのがついていたが、それでフルネームなのか?」

『ええ、ネームドモンスターと呼ばれる魔物ね。言ってしまえばプレイヤーの二つ名称号みたいなものだけど、特に強力な魔物にはこういったものが付くのよ。しかも、ネームドモンスターはさっき言ったように、エリアに一体しかポップしないわ』

「倒したらそのうち復活するんだろう?」

『ええ、でも総数は常に一体。こういうゲームの場合には取り合いになるような相手だけど……まあ、現状で挑むようなプレイヤーは貴方たちぐらいよ』



 群れというだけでも厳しいのに、さらに上位種までいるとなれば確かに厳しくもなるだろう。

 しかし、ネームドモンスターか……面白い相手になりそうだ。

 そんな俺の内心を知ってか知らずか、エレノアは調子を変える様子もなく続ける。



『次、緋真さんの紅蓮舞姫ね。必要素材は『獄炎蝶の赤翅』、対象の魔物は『獄炎纏いのプシュケー』。蝶の姿をした魔物のようね。これは群れているわけではないけれど、個体が非常に強力なタイプよ。これは北西部の山岳地帯に出現するわ』

「プシュケー? 聞いたことのない名前だな」

『ギリシャ語ね、魂とかそういう意味もあるわ。それが地獄の炎だなんて、何とも皮肉な話だけど。こいつは一メートルぐらいはある、巨大な蝶の魔物。常に炎を纏っている上に、振りまいた鱗粉が爆発する、なんて報告があるわ。翅には気を付けて』

「……了解。おっかない魔物だな」



 何となくイメージはついたが、何とも攻め辛そうな相手だ。

 甲虫でないなら耐久力はそれほど高くはなさそうだが、爆発する鱗粉というのが何とも厄介である。

 近づきづらいし、攻撃を当てたとしてもリスクがある。

 遠距離から攻めるのが無難だろうが、相手も何かしらの攻撃手段があるだろうし、油断はできないだろう。

 正直な所、結構相性が悪そうだし、何かしら対策を考えておいた方がいいかもしれない。



「で、アリスの分はどうなんた?」

『ネメの闇刃の素材は、『闇月狼の月牙』。これを落とす魔物も、ネームドモンスターである『闇月狼マーナガルム』ね。東部の森林地帯の奥で、夜にだけ出現する魔物らしいわ』

「……時間帯指定か。しかも、夜で森の中とはまた、中々に意地の悪い組み合わせだな」

『これも群れを作る魔物ではないみたいだけど、情報が殆ど無いわ。闇夜の中から襲って来るってことだけは分かったのだけど、分析する前に全滅してるみたいだから』

「そりゃまた……」



 戦闘系のクランではないとはいえ、『MT探索会』は大きな規模を持つクランである。

 その規模と相応に、彼らはそれなりの数の戦闘員を抱えており、下手なクランよりはよほど戦闘ができるタイプなのだ。

 むしろ、情報を武器として戦う彼らは、力押しの連中よりは遥かに優秀な戦力となるだろう。

 そんな彼らが、成す術無く敗北した。恐らく、追加で調査員を送ったのだろうが、それも成果を上げることができなかったのだろう。

 精々、名前と出現場所が割れた程度ということか。



「何も分かってることはないのか?」

『現地人からも話を集めていたみたいだけど、はっきりとした話は何もないわね。まあ、出会ったら死ぬみたいな扱いで名前は伝わっているようだけど……ああ、闇属性であることだけは分かってるわよ』

「何もないよりはマシだが……それだけ分かってもな」

『一応、継続して情報は調べさせておくわ。だから、コイツに関しては後回しの方がいいと思うわよ』

「……成程、了解した。それなら、教えて貰った順番に向かうとするかね」



 オーガについても厄介な相手ではあるのだが、奴らはまだ動きのイメージがあるためある程度戦い易い。

 まあ、群れというだけで厄介ではあるのだが、それはそれで戦いようがあるという物だ。

 プシュケーについては正直相性が悪いのだが、全く対処法が思い浮かばないというわけでもない。

 ある程度対策を取っていれば、一方的にこちらが攻められるということもないだろう。

 一応、この辺りからならばプシュケーの方が近いのだが、石碑で移動できるようになったから場所にこだわる必要は無いな。



「何かしら、面白そうな素材があればそちらに流す。情報についてはよろしく頼むぞ」

『ええ、了解。気を付けてね』



 とりあえず、聞くべき話は聞けた。後は俺たちなりに動いても問題はないだろう。

 北の伯爵級悪魔については……まあ、その内アルトリウスから声がかかるだろうしな。

 気にはなるものの、あちらも対策なしに突っ込むのは危険な相手だ。

 素直にアルトリウスの作戦に便乗する形で戦うべきであろう。



「強敵が三体、か……さて、どこまで成長させられるかね」



 一気にブラッゾを倒したことで、ある程度の時間的余裕ができた。

 残りの日数は全力で強化に回し、ディーンクラッドとの戦いに備えるとしよう。

 










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギカテクニカ書籍版第13巻、1/19(月)発売です!
書籍情報はTwitter, 活動報告にて公開中です!
表紙絵


ご購入はAmazonから!


  https://x.com/AllenSeaze
書籍化情報や連載情報等呟いています。
宜しければフォローをお願いいたします。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ