272:解放された霧の街
書籍2巻発売記念、連続更新中です。
書籍版マギカテクニカ2巻、9/19(土)に発売となります。
情報は順次、活動報告とツイッターにアップしていきますので、ご確認ください!
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『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』
『《刀術》のスキルレベルが上昇しました』
『《格闘》のスキルレベルが上昇しました』
『《強化魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《降霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《MP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《蒐魂剣》のスキルレベルが上昇しました』
『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』
『《エンゲージ》のスキルレベルが上昇しました』
『《回復適性》のスキルレベルが上昇しました』
『《戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』
『伯爵級悪魔ブラッゾを倒し、アドミス聖王国北西の都市ラビエドを解放しました。以降、石碑の効果を使用できます』
急激に晴れてくる霧の中、深く息を吐き出す。思った以上にあっさりではあったのだが、戦闘の疲労感については今までの悪魔以上だった。
やはり、達人が相手となると一筋縄ではいかないものだ。ゲーム的な面倒臭さもあったのだが、奴と直接相対していた俺はそれ以上の疲労感だった。
とはいえ、あまり経験のない剣術を有する相手に、満足いく戦いができたとも言える。
特に寂静を使ったのは久しぶりだ。鈍っていないかどうかも不安だったが、どうやら杞憂であったらしい。
「追い付いた、と思ったのだけど……まさか一人で片づけているとは思わなかったわ」
「アリスか。そっちは問題なかったか?」
「ええ、大丈夫だったわ。というか、私は今回あまり役に立たなかったわね」
「仕方あるまい。ブラッゾ自身と言うより、この街そのものがボスだったようなものだ」
アリスは乱戦や襲撃戦ならばともかく、正面切って一対一で戦うような状況には向いていない。
まあ、彼女の実力であればそれも不可能ではないのだが、ブラッゾ相手には厳しいと言わざるを得ないだろう。
他の悪魔もいなかったし、彼女には活躍しやすい場面が無かったのだ。
「正直な所、今回の相手は全てのプレイヤーの中で俺が最も相性が良かったかもしれないな」
「そこまで言うほど?」
「間違いなく技量は高かった。だが数で押そうとすれば、それだけ奴にHP回復の手段を与えることになってしまう。つまり、可能な限り少数で抑え込むことが必要な相手だったってわけだな」
もしもアルトリウスが戦う場合であれば、最精鋭のパーティ一組だけで戦闘を行うべきであろう。
いかなアルトリウスとて、大規模なレイドとなれば、末端まで指示を飛ばすのに時間がかかってしまう。
そうしているうちにブラッゾはHPを回復し続け、結局は戦闘が長引くこととなってしまうのだ。
対等に相手をし、抑え込むことが可能な俺は、奴相手には最適解の一つであったのだろう。
「切り札を切ったとはいえ、あっさり行けたのは幸運だった。まあ、お前さんにとっては消化不良かもしれんが」
「流石にそんな文句をつける気はないわよ。そもそも、私じゃ勝てなかったでしょうし」
肩を竦めながら返してくるアリスの言葉に笑いながら首肯し、報酬の確認を行う。
どうやら奴の言っていた夜叉なる魔物の素材が多いようであるが、奴の言葉の通りであれば、この大陸にはいない魔物ということになる。
確か、ここから遥か東にもう一つ大陸があるらしいが……そうなると、手に入るのはかなり先になるということか。
というか、他の大陸の状況はどうなっているのだろう。一応、その辺はアルトリウスに聞いておいた方が良いだろうか。
「……ふむ?」
「何かあったの?」
「ああ、またスキルオーブが入っていた」
どうやら、伯爵級悪魔を倒すとスキルオーブが手に入るらしい。
ヴェルンリードの時は……まあ、あれはワールドクエストだったからな。他の誰かが手に入れていたのかもしれない。
その後のポイント交換で色々と手に入ったわけだし、そこはあまり気にすることでもないか。
というか、悪魔から手に入るドロップアイテムは、果たして誰が設定しているのか。
どうも、MALICEは主義主張こそアレだが現代の戦争的……決まりごとを決め、その上で戦うような印象がある。
ひょっとしたら、この辺りの設定も奴らが勝手に決めているのかもしれない。
(……そういう意味なら、素体って言葉も何となく納得できるんだがな)
とはいえ、確認する手段はない。
そもそも、確認した所で何か役に立つ情報というわけでもないしな。
何にせよ今は新たに手に入ったスキルオーブだ。
ディーンクラッドとの戦いに備え少しでも力が欲しい現状、伯爵級から手に入るスキルオーブは重要だ。
果たして、どのような効果があるのか――確認するために内容を確認し、俺は思わず眼を見開いた。
■《剣氣収斂》:補助・アクティブスキル
発動中、武器の攻撃力が上昇する。
習得すると専用のゲージが表示され、発動中はゲージが徐々に減少する。
ゲージが切れると効果が消滅するが、時間経過かHPを変換してゲージを増加できる。
ゲージ総量および攻撃力の上昇率はスキルレベルに依存する。
「……ほほう、成程な」
「何か使えるものでもあったの?」
「ステータスではなく、武器攻撃力のブースト系スキルだな。これなら俺にも使える」
効果が切れた時のステータス変化を嫌い、どうにもブースト系には手を出せずにいたが……武器攻撃力強化ならば問題ない。
まあ、何やら専用のゲージなどと気になることが書いてあるが、これなら順当に扱うことができるだろう。
と――そこで、上空から響く翼の音が耳に入った。どうやら、セイランたちが戻ってきたらしい。
「先生!」
「おう、緋真。よくやってくれた、お前のお陰で勝てたぞ」
「それは光栄ですけど……先生、寂静使ってたんですよね? 見たかったのに……」
「合戦礼法は見たからって真似できるものでもなかろうに」
ルミナ、セイランと共にペガサスで降下してきた緋真は、俺の言葉に笑みを浮かべ、次の瞬間には唇を尖らせるという器用な表情を見せた。
どうやら、セイランを戦闘に参加させなかったという点で、俺が寂静を使うつもりであるということに気づいたらしい。
まあ正直な所、合戦礼法は外から見ているだけで習得できるようなものは殆ど無い。
外見からある程度仕組みが分かるのは、精々が不動程度のものだろう。
鬼哭と白影の脳の働きは感覚的なものであるし、寂静の肝となるのは観察眼だ。
緋真は確かに、寂静とはそれなりに相性がいいかもしれないのだが、それにしたところで目で見て参考になるようなものではない。
「むぅ……まあ、私もちょっとは進歩しましたけど、そこは先生には秘密にしておきます」
「あん? 何か面白いことでもしたのか?」
「秘密ですー」
したり顔で声を上げる緋真に半眼を向けつつも、俺は手に入ったスキルオーブを取り出した。
こいつは近接戦闘職であればだれでも利用できるタイプのスキルだ。
ディーンクラッド対策の一環として欲しいことは事実だが、一応二人にも聞いておきたい所である。
「武器攻撃力のブースト系スキルが手に入ったんだが、二人はどうする?」
「私はいいわよ、この間スキルオーブを貰ったし……まだ枠の追加は先だけど、覚えておこうかしらね。ちょっと色々あって忘れてたけど」
「それは先生が使うべきですよ。ディーンクラッドとの戦いでメインになるのは先生なんですから、今のうちにレベルを上げておきましょう」
「ふむ……まあ、それでいいなら使っておくが」
今までは、基本的にスキル枠が追加されてから新たなスキルを覚えていた。
しかし、今回はディーンクラッドとの戦いまでに、できる限りスキルレベルを上げておきたい。
あまり戦闘には寄与しないスキルをサブに回し、先にスキルを覚えておくべきだろう。
これに関しては、アリスも同様だ。《ミアズマウェポン》は強いスキルであるし、覚えておいて損はない。
「では、ありがたく使わせて貰うとする。これで、三体目の伯爵級を片付けられたな」
「思ったよりあっさり進んでますけど……まだいるんですよねぇ」
「しかも『キャメロット』のパーティがあっさり崩壊したような相手でしょう? 流石に、適当に当たるような敵じゃないわね」
「分かってる、そこはアルトリウスと足並みを合わせるさ。まあ、向こうの準備が整うまでは、レベル上げに集中するかね」
「後は成長武器の素材かしら。次のレベルまでは上げておきたいでしょう?」
つまり、しばらくは独自に動いて強化に専念するということになる。
他の子爵級悪魔の存在も気になることは事実だが、あまり獲物を取りすぎると他のプレイヤーに迷惑がかかると言われてしまったし、そこは自重しておこう。
奴らは徹底的に狩り尽くしたい所ではあるのだが、他のプレイヤーの強化は全体の戦線に影響する。
俺ばかりが獲物を奪うわけにもいかないのだ。
「それなら、この辺りで獲物を狩ることにするか。『エレノア商会』で手に入らない素材があったら、それを優先的に狙うのも込みで」
「そうですね。日数的にはまだ余裕がありますし……ギリギリまで強化しましょう」
「だな、しかしその前に……まずは、この街の石碑を解放するとしようか」
敵に機能を奪われていた石碑を元に戻し、街の結界を再生させる。
そうすることでようやく、街の人々も外に出てくることができるようになるだろう。
この霧の中、衰弱死している人間も多いかもしれない。
だが、それでも地下にいた人々のように、生き残った人間も多い筈だ。
まずは彼らに、街を取り戻したことを知らせることとしよう。
■アバター名:クオン
■性別:男
■種族:人間族
■レベル:56
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:38
VIT:28
INT:38
MND:28
AGI:19
DEX:19
■スキル
ウェポンスキル:《刀術:Lv.27》
《格闘:Lv.21》
マジックスキル:《強化魔法:Lv.42》
《降霊魔法:Lv.17》
セットスキル:《死点撃ち:Lv.38》
《MP自動大回復:Lv.10》
《奪命剣:Lv.21》
《練命剣:Lv.21》
《蒐魂剣:Lv.22》
《テイム:Lv.37》
《HP自動大回復:Lv.13》
《生命力操作:Lv.40》
《魔力操作:Lv.40》
《魔技共演:Lv.26》
《エンゲージ:Lv.2》
《回復適性:Lv.32》
《戦闘技能:Lv.20》
《剣氣収斂:Lv.1》
サブスキル:《採掘:Lv.13》
《識別:Lv.32》
《聖女の祝福》
称号スキル:《剣鬼羅刹》
■現在SP:36
■アバター名:緋真
■性別:女
■種族:人間族
■レベル:56
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:42
VIT:26
INT:36
MND:26
AGI:20
DEX:20
■スキル
ウェポンスキル:《刀術:Lv.27》
《格闘術:Lv.12》
マジックスキル:《火炎魔法:Lv.23》
《強化魔法:Lv.19》
セットスキル:《練闘気:Lv.11》
《スペルエンハンス:Lv.12》
《火属性大強化:Lv.10》
《回復適性:Lv.36》
《識別:Lv.35》
《死点撃ち:Lv.35》
《高位戦闘技能:Lv.9》
《立体走法:Lv.12》
《術理装填:Lv.32》
《MP自動大回復:Lv.3》
《高速詠唱:Lv.29》
《斬魔の剣:Lv.21》
《魔力操作:Lv.20》
《遅延魔法:Lv.18》
サブスキル:《採取:Lv.7》
《採掘:Lv.13》
《聖女の祝福》
称号スキル:《緋の剣姫》
■現在SP:38
■モンスター名:ルミナ
■性別:メス
■種族:ヴァルハラリッター
■レベル:4
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:43
VIT:23
INT:50
MND:23
AGI:31
DEX:22
■スキル
ウェポンスキル:《刀術》
《槍》
マジックスキル:《閃光魔法》
《旋風魔法》
スキル:《光属性大強化》
《戦乙女の戦翼》
《魔法抵抗:大》
《物理抵抗:大》
《MP自動大回復》
《高位魔法陣》
《ブーストアクセル》
《空歩》
《風属性大強化》
《HP自動回復》
《光輝の鎧》
《戦乙女の加護》
《半神》
称号スキル:《精霊王の眷属》
■モンスター名:セイラン
■性別:オス
■種族:ストームグリフォン
■レベル:4
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:55
VIT:34
INT:37
MND:25
AGI:46
DEX:23
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《嵐魔法》
《旋風魔法》
スキル:《風属性大強化》
《天駆》
《騎乗》
《物理抵抗:大》
《痛撃》
《剛爪撃》
《威圧》
《騎乗者大強化》
《空歩》
《マルチターゲット》
《雷鳴魔法》
《雷属性大強化》
《魔法抵抗:中》
《空中機動》
《嵐属性強化》
《突撃》
称号スキル:《嵐王の系譜》
■アバター名:アリシェラ
■性別:女
■種族:魔人族
■レベル:56
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:25
VIT:20
INT:25
MND:20
AGI:44
DEX:44
■スキル
ウェポンスキル:《暗剣術:Lv.27》
《弓:Lv.17》
マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.12》
《光魔法:Lv.17》
セットスキル:《死点撃ち:Lv.36》
《隠密行動:Lv.13》
《毒耐性:Lv.28》
《アサシネイト:Lv.13》
《回復適性:Lv.35》
《闇属性大強化:Lv.11》
《スティンガー:Lv.13》
《看破:Lv.36》
《ベノムエッジ:Lv.9》
《無音発動:Lv.27》
《曲芸:Lv.13》
《投擲術:Lv.3》
《傷穿:Lv.17》
《ミアズマウェポン:Lv.1》
サブスキル:《採取:Lv.23》
《調薬:Lv.26》
《偽装:Lv.27》
《走破:Lv.28》
《聖女の祝福》
称号スキル:なし
■現在SP:42