234:激しき空戦
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あれから幾度か戦闘を繰り広げた結果、ドラゴン共が西寄りの領域でしか出現しないことが判明した。
要するに、帝国とやらの領土に近ければ近いほど、ドラゴンたちは出現しやすくなるのだろう。
あの真龍のこともあったし、やはり帝国はドラゴンに所縁のある土地なのだろうか。
まあ、それについてはこの国の問題を解決し、移動した際に確かめる程度でいいだろう。
しかし――
「ちょっと近寄り過ぎたのは拙かったか」
「言ってる場合ですか!」
検証のため、一度西の方へと大きく接近してみたのだが、その結果出現したのは二体のエアロワイバーンであった。
空中戦に秀でたこのドラゴンが二体、流石にこれは容易い相手ではない。
一度後退して距離を取りつつ、慎重に攻める必要があるだろう。
だが問題は、エアロワイバーンが空中における機動力に秀でている点だ。
(風属性は速い印象があるのは確かだが……空戦となると厄介だな)
放たれる風の刃や砲弾をセイランを操って回避しながら、胸中で毒づく。
《戦乙女の戦翼》というスキルを手に入れたルミナ、そしてストームグリフォンへと進化したセイランは、エアロワイバーンの機動力に劣ることはない。
特にセイランの場合、重武装の俺を乗せていても尚、奴らよりも高い機動力を保持していた。
問題は、安定性はあるものの機動力には欠けるペガサス――緋真の騎獣の方だ。
ペガサスだけで飛んでいればまだマシだっただろうが、緋真とアリスの二人乗りの状態では流石に厳しいと言わざるを得ない。
今はルミナが魔法によって牽制しているおかげで何とかなっているが、このままではあいつらを地面に叩き落すこともままならないだろう。
「このままではジリ貧か……ならば」
手綱を引いてセイランを誘導し、俺は緋真のペガサスの横に付ける。
とりあえず、現状では緋真は機動力を発揮できない状況だ。
であれば、まずはその問題を解決してやるしかあるまい。
「アリス、こっちに移れ!」
「はっ!? ちょっと、本気で言ってる!?」
「今のままじゃ勝てん、さっさと来い!」
「っ……ああもう、分かったわよ!」
普段冷静なアリスでも、流石にこの高度での無茶な行動はプレッシャーがあったようだ。
しかし、今はそれに構っている余裕はない。今はこの状況を改善しなければ先に進まないのだ。
伸ばされたアリスの手を掴んで引っ張り上げ、抱えるようにしてセイランの上に乗せる。
アリスの体重は元々軽い、この程度ならばセイランへの影響はそこまで大きくは無いだろう。
「緋真、とりあえず回避を優先しろ。状況に応じて魔法を当てていけ」
「まあ、その位なら何とか行けると思いますけど……」
「気張れよ。ルミナ、お前もそろそろ自由に動け! 行くぞ!」
強く叫び、散開する。
それとほぼ同時、俺たちがいた場所を風の刃が貫いていく。
空中であれを喰らっては、こちらが墜落させられてしまう。空中戦はこれが厄介なのだ。
「アリス、しっかりと捕まってろよ!」
「言われなくてもそうさせて貰うわ」
鞍についている取っ手にしがみついたアリスを確認し、セイランに合図を送る。
俺の合図とともに全身に嵐を纏ったセイランは、一気に加速して旋回を開始する。
二体のエアロワイバーンのうち、一体に対して雷を飛ばして挑発しつつ、引き離すように移動。
まず、二体同時に相手をすることは避けたい。エアロワイバーンはスピードでこそセイランに及んでいないが、身体能力だけで見れば奴らの方が上だ。
「《練命剣》――【命輝一陣】」
セイランの旋回を利用し、生命力の刃を撃ち放つ。
だが、エアロワイバーンはその翼を羽ばたかせて身を翻し、俺の一撃を見事に回避してみせた。
やはり、機動性も高い。適当な遠距離攻撃では当てることは難しいだろう。
だが――
「【ライトバースト】!」
片腕を伸ばしたアリスが、光属性の魔法を発動する。
眩い閃光が迸り、エアロワイバーンの身を光で包み込む。
まだレベルは低い光属性の魔法だが、相手の視界を奪うという意味では十分だ。
その瞬間を狙い、セイランは後方へと風を噴出させて加速する。沈み込むように下降しつつ、そのまま宙返りするように上空へ――下方より野太刀の刃で斬り上げる。
「《練命剣》――【命輝閃】」
眩く輝く刃で、エアロワイバーンの翼を斬りつける。
だが、それを断つには至らず。流石に、不安定な体勢からでは十分な威力を発揮することはできないか。
相手が振り返り反撃しようとしてくるが、それよりも早くセイランは上空へと舞い上がっている。
当然、奴もそれを追ってこちらへと向かってくるが――
「《奪命剣》――【咆風呪】」
一閃によって繰り出した黒い風が、エアロワイバーンの体を包み込む。
上から撃ち降ろすこの状況ならば、容易には回避できないだろう。
先ほど《練命剣》で削れたHPを回復しつつエアロワイバーンの様子を観察するが、それほど大きくは体力を削れた様子はない。
やはり、急所に刃を当てねば有効なダメージは与えられないか。
「……盲目の異常がかかった様子はないわね。異常耐性も高いのかしら」
「ま、仮にもドラゴンだからな……矢はどうだ?」
「私の攻撃力じゃ、あの防御力相手には刺さらないと思うわよ」
半ば予想はしていた回答に、軽く肩を竦める。
アリスの弓の攻撃力はまだまだ低い。スキルレベルが高くない以上はそれも仕方のないことであるが、もう少し何かしらの手札が欲しい所だ。
とは言え、今現在の所、もう一体は緋真とルミナで引き付けて時間を稼いでくれている。
緋真のペガサスも、アリスを退かしたことである程度早く動けるようになったのか、エアロワイバーンによる追撃をなんとか躱すことができている。
あの様子であれば、ある程度は時間を稼ぐことが可能だろう。
「さてと……しかしどうしたもんかね」
一体を引き離すことには成功したが、やはり有効打を与えるのが難しい。
とくに、魔法攻撃力には秀でていない俺たちでは、奴の防御力の上からダメージを与えることは難しいだろう。
こいつらを地面に向けて叩き落すにはもう少し何かしらの手札が必要になる。
果たしてどうしたものかと頭を悩ませていた、ちょうどその時。離れた場所から波紋のように広がった光が、俺たちの体を包み込んだ。
「これは……!」
「《戦乙女の加護》か。ルミナめ、自分の意志で使うとはな」
くつくつと笑いながら、俺は改めてエアロワイバーンの姿を睥睨する。
このおかげで、攻撃力はかなり上昇したはずだ。であれば――
「セイラン、突撃しろ」
「クアアアアアアアアアアアッ!」
嵐の暴風を纏い、セイランが正面から突進する。
それを目にして、エアロワイバーンは待ち構える形で魔力を昂らせた。
口の部分に集中する魔力――あれは間違いなく、ブレス攻撃の予兆だ。
例え嵐を纏うセイランとは言え、正面からブレスを受ければ押し返されかねない。
エアロワイバーンは大きく仰け反るように息を吸い――その魔力を、一気に解放した。
そしてその瞬間、セイランは翼を畳み、下へと落下するように降下した。
「《蒐魂剣》――【因果応報】」
そして、手綱を放しながら野太刀を八相の構えへ。
エアロワイバーンの放ってきているブレスの中へ刀身を突っ込むようにしながら、足だけで体を支えつつ前へと進む。
直撃を避けたことに気づいたエアロワイバーンは、ブレスの向きを変えるために顔を下に向けようとする。
俺はそれに合わせてセイランに指示を出そうとしたが、それよりも先にアリスが動いた。
「【ライトバースト】!」
アリスが発動させた光が、エアロワイバーンの視界を塞ぐ。
例によって状態異常にはかからなかったが、視界を塞ぐには十分だった。
エアロワイバーンの動きが止まり、俺たちはブレスの下を掻い潜るようにしながら相手へと向けて肉薄する。
「《練命剣》――【命輝閃】!」
「グ、ガアアアアアアアアッ!?」
エアロワイバーンのブレスを吸収して風を纏い始めた野太刀へ、生命力を更に纏わせる。
ブレスの威力は、通常の《蒐魂剣》では消し切れないほどの強力なものだ。
それを加えた上での【命輝閃】は、エアロワイバーンの翼に食い込み――その骨を、半ば以上断ち斬った。
完全に翼を断ち切るには至らなかったが、ワイバーンの翼は自らの体重に耐え切れず、骨が折れて地面へと墜落してゆく。
「ふむ、流石にいい威力だな」
「風のブレスだからいいけど、炎だったら死ぬわよこれ」
「流石に状況は読むさ。さて、向こうの加勢に行くか」
緋真とルミナはエアロワイバーンにダメージを与えているが、まだ堕とせてはいない。
一方で、俺が今墜落させた方は、翼の骨を半ばまで断ち斬っている状況だ。
あいつは魔法で攻撃してくることがあったとしても、これ以上飛ぶことはできないだろう。
であれば、もう一体をさっさと叩き落してやるまでだ。
「アリス、下の方のやつの監視を頼む。魔法で狙撃されると厄介だからな」
「了解……攻撃に当たらないでよ?」
「誰に言ってる。さ、行くとするか」
セイランに合図を送り、空を駆ける。
こいつを倒せば、恐らくスキルレベルも溜まるだろう。
油断はせずに、最後まで詰めていくこととしよう。
■アバター名:クオン
■性別:男
■種族:人間族
■レベル:54
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:37
VIT:28
INT:37
MND:28
AGI:18
DEX:18
■スキル
ウェポンスキル:《刀術:Lv.25》
《格闘:Lv.17》
マジックスキル:《強化魔法:Lv.39》
《降霊魔法:Lv.13》
セットスキル:《死点撃ち:Lv.37》
《MP自動大回復:Lv.8》
《奪命剣:Lv.19》
《識別:Lv.32》
《練命剣:Lv.19》
《蒐魂剣:Lv.19》
《テイム:Lv.37》
《HP自動大回復:Lv.8》
《生命力操作:Lv.38》
《魔力操作:Lv.36》
《魔技共演:Lv.25》
《インファイト:Lv.29》
《回復適性:Lv.26》
《戦闘技能:Lv.17》
サブスキル:《採掘:Lv.13》
《聖女の祝福》
称号スキル:《剣鬼羅刹》
■現在SP:38
■アバター名:緋真
■性別:女
■種族:人間族
■レベル:53
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:40
VIT:25
INT:34
MND:25
AGI:20
DEX:20
■スキル
ウェポンスキル:《刀術:Lv.24》
《格闘術:Lv.9》
マジックスキル:《火炎魔法:Lv.19》
《強化魔法:Lv.15》
セットスキル:《練闘気:Lv.8》
《スペルエンハンス:Lv.12》
《火属性大強化:Lv.9》
《回復適性:Lv.34》
《識別:Lv.32》
《死点撃ち:Lv.35》
《高位戦闘技能:Lv.9》
《立体走法:Lv.10》
《術理装填:Lv.30》
《MP自動大回復:Lv.1》
《高速詠唱:Lv.28》
《斬魔の剣:Lv.16》
《魔力操作:Lv.17》
《遅延魔法:Lv.15》
サブスキル:《採取:Lv.7》
《採掘:Lv.13》
《聖女の祝福》
称号スキル:《緋の剣姫》
■現在SP:32
■モンスター名:ルミナ
■性別:メス
■種族:ヴァルハラリッター
■レベル:2
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:41
VIT:23
INT:48
MND:23
AGI:31
DEX:22
■スキル
ウェポンスキル:《刀術》
《槍》
マジックスキル:《閃光魔法》
《旋風魔法》
スキル:《光属性大強化》
《戦乙女の戦翼》
《魔法抵抗:大》
《物理抵抗:大》
《MP自動大回復》
《高位魔法陣》
《ブーストアクセル》
《空歩》
《風属性大強化》
《HP自動回復》
《光輝の鎧》
《戦乙女の加護》
《半神》
称号スキル:《精霊王の眷属》
■モンスター名:セイラン
■性別:オス
■種族:ストームグリフォン
■レベル:2
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:54
VIT:33
INT:36
MND:25
AGI:45
DEX:23
■スキル
ウェポンスキル:なし
マジックスキル:《嵐魔法》
《旋風魔法》
スキル:《風属性大強化》
《天駆》
《騎乗》
《物理抵抗:大》
《痛撃》
《剛爪撃》
《威圧》
《騎乗者大強化》
《空歩》
《マルチターゲット》
《雷鳴魔法》
《雷属性大強化》
《魔法抵抗:中》
《空中機動》
《嵐属性強化》
《突撃》
称号スキル:《嵐王の系譜》
■アバター名:アリシェラ
■性別:女
■種族:魔人族
■レベル:53
■ステータス(残りステータスポイント:0)
STR:25
VIT:20
INT:25
MND:20
AGI:41
DEX:41
■スキル
ウェポンスキル:《暗剣術:Lv.24》
《弓:Lv.13》
マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.12》
《光魔法:Lv.13》
セットスキル:《死点撃ち:Lv.36》
《隠密行動:Lv.11》
《毒耐性:Lv.27》
《アサシネイト:Lv.12》
《回復適性:Lv.33》
《闇属性大強化:Lv.10》
《スティンガー:Lv.12》
《看破:Lv.35》
《ベノムエッジ:Lv.8》
《無音発動:Lv.26》
《曲芸:Lv.10》
《投擲術:Lv.1》
《走破:Lv.25》
《傷穿:Lv.14》
サブスキル:《採取:Lv.23》
《調薬:Lv.26》
《偽装:Lv.27》
《聖女の祝福》
称号スキル:なし
■現在SP:36





