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Magica Technica ~剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録~  作者: Allen
MG ~Miniature Garden~

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236/987

233:地上にて












 地面へと墜落していくエアロワイバーン。

 その姿を見下ろしながら、俺はセイランの背の上から飛び降りた。

 この高度では、俺も流石に無事に着地することは困難だが……空中で身を翻したルミナが、俺の左腕を取って体を支えてくれた。

 そして、俺という重石を失ったセイランは、全身に嵐を纏いながら地面へと向けて一直線に降下してゆく。



「ルミナ、準備しておけ」

「はい、お父様」



 俺の言葉に頷き、ルミナは徐々に降下しつつも背中に多数の魔法陣を展開し始める。

 重装備の俺を片手だけで支えられるようになってきた辺り、コイツも中々に成長してきたようだ。

 俺たちが上空で見守る中、落下していくエアロワイバーンに追いついたセイランは、その胴へと剛腕を振り下ろしながら地面へと叩き付けた。

 瞬間、纏う嵐が解放され、地面を砕き巻き上げながらすり鉢状に陥没させる。

 一瞬だけ粉塵が巻き上がるが、それも解放された暴風によって吹き散らされ、陥没した地面に埋まるワイバーンの姿が明らかとなった。

 相手を地面へと叩き付けたセイランは、しかし追撃を加えることなく、翼を羽ばたかせてその場から離脱する。

 瞬間――



「光の槍よ!」



 鋭い掛け声と共に、ルミナは背後に展開した魔法陣より光の槍を撃ち放った。

 十本に達する光の槍は、尾を引く残光を残しながらエアロワイバーンへと殺到し――その瞬間、相手は大きく口を開いて咆哮を発した。



「ルァ――――ッ!」



 叫び声のようにも聞こえるそれは、強大な魔力を伴い、風の渦となって上空へ――殺到してくる光の槍へと放たれる。

 騎獣についての説明で、話には聞いていた。あれはブレス、ワイバーンの持つ切り札であり強力な攻撃スキルだ。

 エアロワイバーンのブレスはどうやら強力な気流を発生させるもののようであり、その一撃はルミナの魔法を纏めて消し飛ばして見せた。

 成程、確かに大した威力のようだ。が――



「ブレスは連発できない、だったな」

「ですね……《スペルエンハンス》、【フレイムピラー】!」



 俺の言葉に頷きながら、緋真が魔法を発動する。

 瞬間、陥没していた地面が丸ごと炎の柱に包まれ、エアロワイバーンの身を焼き焦がす。

 その間に地面に着陸した俺は刃を構え――膨れ上がった魔力の感覚に、すぐさまスキルを発動させた。



「《蒐魂剣》!」



 刹那、緋真が発動していた炎の柱が、内側から膨れ上がるようにしながら破裂する。

 それを成したのは、エアロワイバーンが体の周りに展開していた渦を巻く気流だ。

 どうやら、これを使って緋真の魔法を防いでいたらしい。

 周囲へと強引に押し広げるかのように放たれた風の渦へと、俺は深く重心を落としながら刃を振り下ろした。

 瞬間、俺たちへと押し寄せてきていた風の渦が霧散する。

 魔法による現象であれば、《蒐魂剣》で斬り裂けぬ道理はない。まあ、流石にブレスほどの密度を正面から斬るのは危険であるため避けたい所だが。



「クアアアアアアアアアアアッ!」



 魔法が消えたところで、地へと降り立ったセイランの体当たりが炸裂する。

 ワイバーンは翼を横に開いた前傾姿勢であるため、それだけで横倒しになるようなことは無かったが、それでも僅かながらに体勢が崩れたようだ。

 その隙を逃さず、俺たちは刃を構えてエアロワイバーンへと接近する。



「『生魔』」



 斬法――剛の型、輪旋。


 大きく旋回させて振り下ろした刃は、エアロワイバーンの首へと食い込み、鱗を断ち割りながら傷を刻む。

 ダメージとしてはまだ浅いが、一部鱗を剥がせただけでも効果としては十分だ。

 傷を受けたエアロワイバーンは、怒りに燃えながらこちらへと大口を開き――その瞬間、俺の背後から飛び出してきたアリスが、ワイバーンの首筋に取り付いた。



「さっきのに比べればマシだけど、ドラゴンって頑丈なのね……それなら、こうさせて貰うわ」



 言いつつ、アリスは短剣に赤いエフェクトを纏わりつかせながら、その切っ先を俺が付けた傷口へと振り下ろす。

 その瞬間、刃に纏わりついていた赤い靄のようなエフェクトは、ワイバーンの首筋へと移り、その存在を主張し始めた。


 今アリスが使ったスキルは《傷穿》という物だ。このスキルは、それ自体には攻撃力の上昇効果などはない。

 だが、今のようにこの赤いエフェクトを纏わりつかせた場所に対するダメージを増やす効果があるのだ。

 簡単に言えば、その場所を弱点部位に変えてしまうのである。これを当てた場所には《死点撃ち》の効果が乗るし、元より弱点で在った場所ならば更にダメージが増加する。

 二度刺す必要がある、という意味ではアリスらしからぬスキルであるが……パーティプレイを前提とするならば、かなり有用なスキルであると言えるだろう。

 尤も、その一撃自体は大したダメージにはならないため、エアロワイバーンの注意はこちらに向いたまま、鋭い牙で噛みついてきたのだが。



「おっと」



 歩法――虚影。


 だが、そんな大振りな攻撃に当たるほど油断はしていない。

 寸前で半歩後退してワイバーンの攻撃を回避しつつ、首筋の傷へと刃を添える。



「『生奪』」



 【命輝閃】を使いたい所であるが、今回は《奪命剣》も育てたい。

 スキルを併用して攻撃力を高め、振るうのは密着状態から放つ一閃だ。


 斬法――柔の型、零絶。


 地面を踏みしめた脚と、腰から連なる回転運動。

 それによって推進力を得た一閃は、浅かった首の傷を深く抉ることとなった。



「ガアアアアアアアッ!?」



 先ほどとは比べ物にならぬダメージだったのだろう、エアロワイバーンは悲鳴を上げながら体を仰け反らせる。

 それはつまり、前傾姿勢であったこいつの重心が後ろにズレたということであり――その隙を見逃すわけがないということだ。

 まるで待ち構えていたかのようにするりと前に出てきたのは、刃を下段に構える緋真だ。



「《スペルエンハンス》、《術理装填》【フレイムストライク】――【炎翔斬】!」



 魔導戦技マギカ・テクニカを発動させた緋真の体は、あり得ないほどに大きく飛び上がりながら刃を振り上げる。

 その一閃はエアロワイバーンの顎を捉え、その身をさらに大きく仰け反らせた。

 後ろへと倒れかけたその巨体、そこへと追撃を仕掛けるのは、今まさに空中に飛び上がっている緋真と、横合いから飛び込んできたルミナだ。



「光よ、刃と成せ!」

「はあああッ!」



 ルミナが振るう一閃は強い魔力を伴い、鱗による防御を無視してワイバーンにダメージを与える。

 そしてその直後に振り下ろされた緋真の一閃は、解放した魔法による爆裂でワイバーンの身を後方へと押し倒すこととなった。

 金と紅、二色の剣閃は×字を描き、ワイバーンの身は仰向けに倒れて動きを止める。

 そして次の瞬間、頭上から飛び降りてきたセイランが、その剛腕でワイバーンの首を押さえつけた。



「グッ、ガアアアアッ!」



 仰向けに押さえつけられたワイバーンは、その拘束から強引に抜け出そうと身を捩り、更に魔力を昂らせる。

 どうやら風を利用してセイランを押しのけるつもりであるようだが、生憎とそうはいかない。

 小さく笑みを浮かべた俺は、発現しようとしている魔法へと向けて蒼い刃を振るった。



「『生魔』」



 セイランを押しのけようとする風の砲弾、それが着弾するよりも早く割り込ませた一閃が、放たれた魔法を霧散させる。

 そして次の瞬間、セイランは強大な雷を発し、エアロワイバーンにダメージを与えながらその体を痺れさせた。

 麻痺の状態異常がかかったらしく、ほんの僅かな時間ではあるが、動けないタイミングが発生する。

 であれば――その大きな隙を逃す理由などありはしない。

 そして、このタイミングで真っ先に動くことができたのは、あらかじめ退避して《隠密行動》を発動させていたアリスだ。

 いつの間にかワイバーンの頭側まで移動していた彼女は、動きを止めた相手の首筋、赤い霧のようなエフェクトの纏わりつく傷口へと向けて、その黒い刃を振り下ろす。

 元より防御力を無視するその一撃は、首の深くまで潜り込み――エアロワイバーンの命脈を、確実に断ち切っていた。



『《蒐魂剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』

『《インファイト》のスキルレベルが上昇しました』

『《戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』



 完全に弛緩したエアロワイバーンの体を見下ろし、俺は深く息を吐き出す。

 地上でさえこれほど暴れるのであれば、空中でまともに戦うのは中々に困難だっただろう。

 早々に叩き落して地上戦に移ったのは正解だった。

 しかし魔法を多用する様子であるし、《蒐魂剣》を鍛える相手としては中々に向いているように思える。

 それに、コイツであればアースドラゴンほど探すのに苦労することは無いだろう。



「……もう少しコイツを探すか」

「またこれと戦うんですか……面倒過ぎません?」

「そう言うな、地面に堕としてやれば大した相手じゃないだろう」



 まあ、セイランの負担が大きいことは気にしなければならないだろうが。

 後の問題は、ワイバーンの切り札であるブレスに対してどのように対処するかということだ。

 今回は相手が防御のために使用してくれたが、今後も同じ展開になるとは限らない。

 流石に正面切って《蒐魂剣》で対応するのも難しそうであるし、そこは考えなければならないだろう。



「中々珍しそうだし、すぐに会えるかは分からんが……そこまでは羊を探すとしよう。目指すスキルレベルはあと少しだしな、さっさと稼いでしまうとしよう」

「私も魔法のスキルレベル上げたいな……」



 そう言えば、緋真の《火炎魔法》もそろそろレベルの節目だったか。

 新たな魔法がどの程度の戦力強化になるかは分からんが、ここは期待させて貰うとしよう。

 優先的にレベルを上げるスキル、その効果について相談しつつ、俺たちは更に北北西へと向けて移動を開始した。











■アバター名:クオン

■性別:男

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:54

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:37

VIT:28

INT:37

MND:28

AGI:18

DEX:18

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.25》

 《格闘:Lv.15》

マジックスキル:《強化魔法:Lv.39》

 《降霊魔法:Lv.12》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.37》

 《MP自動大回復:Lv.8》

 《奪命剣:Lv.19》

 《識別:Lv.32》

 《練命剣:Lv.19》

 《蒐魂剣:Lv.19》

 《テイム:Lv.36》

 《HP自動大回復:Lv.7》

 《生命力操作:Lv.37》

 《魔力操作:Lv.36》

 《魔技共演:Lv.25》

 《インファイト:Lv.29》

 《回復適性:Lv.25》

 《戦闘技能:Lv.15》

サブスキル:《採掘:Lv.13》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《剣鬼羅刹》

■現在SP:38






■アバター名:緋真

■性別:女

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:53

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:40

VIT:25

INT:34

MND:25

AGI:20

DEX:20

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.24》

 《格闘術:Lv.9》

マジックスキル:《火炎魔法:Lv.18》

 《強化魔法:Lv.13》

セットスキル:《練闘気:Lv.8》

 《スペルエンハンス:Lv.12》

 《火属性大強化:Lv.9》

 《回復適性:Lv.34》

 《識別:Lv.32》

 《死点撃ち:Lv.35》

 《高位戦闘技能:Lv.8》

 《立体走法:Lv.10》

 《術理装填:Lv.30》

 《MP自動大回復:Lv.1》

 《高速詠唱:Lv.28》

 《斬魔の剣:Lv.15》

 《魔力操作:Lv.16》

 《遅延魔法:Lv.14》

サブスキル:《採取:Lv.7》

 《採掘:Lv.13》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:32






■アバター名:アリシェラ

■性別:女

■種族:魔人族ダークス

■レベル:53

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:25

VIT:20

INT:25

MND:20

AGI:41

DEX:41

■スキル

ウェポンスキル:《暗剣術:Lv.24》

 《弓:Lv.12》

マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.12》

 《光魔法:Lv.12》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.36》

 《隠密行動:Lv.11》

 《毒耐性:Lv.27》

 《アサシネイト:Lv.12》

 《回復適性:Lv.32》

 《闇属性大強化:Lv.10》

 《スティンガー:Lv.12》

 《看破:Lv.35》

 《ベノムエッジ:Lv.8》

 《無音発動:Lv.26》

 《曲芸:Lv.10》

 《投擲:Lv.29》

 《走破:Lv.25》

 《傷穿:Lv.13》

サブスキル:《採取:Lv.23》

 《調薬:Lv.26》

 《偽装:Lv.27》

 《聖女の祝福》

称号スキル:なし

■現在SP:40

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マギカテクニカ書籍版第13巻、1/19(月)発売です!
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― 新着の感想 ―
[良い点]  多種多様な術理や、魅力的で個性溢れるキャラクター達、特に戦闘シーンは他作品を凌駕する(私的意見)ほど迫力満点でした! クオンが無双するところが凄く格好良くて、緋真の「マジですか!」も大好…
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