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229:加護の輝き

発売前連続更新中!


書籍版マギカテクニカ第1巻、5/23発売です!

現在、表紙及びキービジュアルを公開中です。

詳しくは活動報告、ツイッターをご確認ください。

ツイッターでは書店ごとの特典SS情報も公開しております!












 進化したからには、検証が必要になるだろう。

 というわけで、先程のエリアより若干西に移動した場所、上空から見てまた多くの羊が存在する場所に着陸する。

 俺たちの姿に気づいた牧羊犬たちはすぐさま身を翻し、羊たちの誘導を開始した。

 相変わらず凄まじい数であるが、それだけに手に入る経験値も期待できるというものだろう。



「よし、頼むぞルミナ」

「はい、お任せください!」



 気合十分な様子であるルミナは、シャープな形状になった光の翼を大きく広げる。

 それと共に、ルミナを中心として光のリングが現れ、光る羽を撒き散らしながら大きく周囲へと広がって行った。

 そして次の瞬間、ルミナが広げた光が俺たちの体に宿り、淡く輝きを発し始める。

 これは、味方全体を強化するスキルである《戦乙女の加護》か。

 ただ掛かっているだけではあまり実感がないが――



「ま、斬ってみれば分かるだろ」



 大群で向かってくる羊たちに対し、意識を集中させながら重心を落とす。

 やることは変わらないが――まずは、先制攻撃をしておくべきだということは既に学んでいるのだ。



「《奪命剣》――【咆風呪】」

「《スペルエンハンス》、【フレイムストライク】!」

「連なれ、光の鉄槌よ!」

「【ダークネスストライク】」

「クアアアアアッ!」



 まずは、全員で範囲攻撃を叩き込む。

 何体かの羊はそれだけで体力を削り斬られ、その場で崩れ落ちることとなったが――生憎と、それだけで倒し切れるほど容易い相手というわけではない。

 羊たちは数がいる割には体力が多い。これだけの攻撃を全て受ければ沈むだろうが、今回はある程度分散させて、敵の体力を削ることを優先した。

 こうしておけば、ある程度倒しやすくなるという物だ。

 後は――



「先ほどと同じ流れで行くぞ」

「了解、上空から狙うわ」

「お父様、お気をつけて」



 羊たちの勢いがある程度衰えたことを確認したルミナやセイランたちは、すぐさま上空へと舞い上がる。

 前回と同じく、牧羊犬たちを片付けるためだ。

 あいつらがいなくなれば、羊たちは完全に烏合の衆。容易く片付けられるようになるのだから。

 空へと飛んでいく姿を見ると、やはりルミナの機動力は増しているように見える。

 元々小回りが利くタイプであったのだが、それに加えて力強さが増しているようだ。

 空を飛んでいる感覚というのは正直良く分からないのだが、あれなら多少踏ん張りがきくだろうか。

 まあ、それをどの程度活かせるかはルミナ次第だろう。



「さてと――」



 歩法――間碧。


 覚悟を決めて、前へと踏み出す。

 突進してくる羊たちの動きを全体で捉え、その隙間を縫うようにしながら更に先へと進む。

 だが、ただ避けるだけでは芸がない。ここは、ルミナによる強化の程を試してみるべきだろう。


 斬法――柔の型、筋裂。


 突進してきた羊へと、擦れ違い様に刃を合わせる。

 相手の前進の勢いと体重だけを利用する攻撃であるが、果たしてその一撃は、見事にランドシープの体に一筋の傷を負わせて見せた。

 魔法による強化はかけているものの、今回は《練命剣》は使っていない。

 つまり、ルミナがかけた《戦乙女の加護》は、それだけの強化能力を有しているということだ。



「成程、大したもんだ……! こいつは都合がいい!」



 流石、一時間に一度しか使えないというだけはある。この強化能力はかなりのものだ。

 これは間違いなく、伯爵級悪魔と戦う時の切り札となり得るだろう。

 強化の持続時間も結構長いようであるし、伯爵級が相手でも一度の戦闘であれば持つ筈だ。

 無論、この戦闘も、ということである。



「く、ははは!」



 あの刃を通しにくい毛を容易く斬り裂けることに笑みを浮かべながら、俺は刃を振るいつつ羊たちの間を抜ける。

 体力が減っていた一部のランドシープは俺の攻撃を受けただけで倒れ伏し、それに引っかかる形で他の羊も転倒する。

 そんな姿を目にすることなく捉えながら、俺は回避と共に刃を横薙ぎに振り払った。



「《練命剣》、【命輝一陣】!」



 放たれた生命力の刃が、こちらに近づいてきていた羊たちを纏めて薙ぎ払う。

 これで倒れなかったとしても、その勢いを落とすには十分だ。

 バランスを崩して地面を転がった羊たちを踏み越え、跳躍。その先から突っ込んでくる羊の背へと足を付ける。


 歩法――渡風。


 駆ける羊たちの背を足場にして、その群れの突進を躱し切る。

 そして俺は、その先から向かってくるブラックハウンドの頭上から踵を振り下ろした。


 打法――天月。


 犬の背骨を叩き折りながら地面に押し付け、滑るように着地する。

 そんな俺の横を、上空から降り注いだ光の槍が貫いて行った。

 ルミナが展開する魔法陣は五つだが、その展開速度が以前とは段違いだ。

 準備には相応の時間を有していたこれまでとは異なり、五個程度であれば速攻で展開できるようになったようである。

 魔法陣から放たれた光の槍は、高速で走っていた犬の正面を塞ぐ。そして犬が反射的に左右へと避けた瞬間、その場所を狙った槍によって貫かれた。



「ほう……!」



 どうやら、純粋な魔法威力、そして魔法を扱う技量についても成長しているようだ。

 一つ一つの伸びが目に見えて分かるだけに、ルミナの総合力はかなり向上していることだろう。

 三度目の進化は、どうやら現状の問題を解決するためにかなりの力となってくれるようだ。


 ルミナの魔法による狙撃、セイランが巻き起こした風の渦による拘束、アリスの毒矢――それに加え、俺と緋真の攻撃によって倒れた犬は七匹。

 今回は全部で十五匹であったようだし、約半数は倒せただろうが、それでもまだ羊たちは残っている。



「《奪命剣》――【咆風呪】」



 振り返り様に放つ、黒いオーラの波。

 その一撃で、隊列を乱され立ち往生していた羊たちのHPを纏めて吸収していく。

 それだけで、【命輝一陣】で消費したHPを丸ごと回復することができた。

 相変わらず、このテクニックは集団相手に恐ろしいほどの効果を発揮するものだな。


 歩法――烈震。


 残りの犬については上空のルミナたちに任せておいていいだろう。

 まるで戦闘機のように急降下しながら魔法を放ち、地上を刀で斬り払っていく姿は中々見物ではあるが、今はのんびりと観察している場合ではない。



「『生奪』」



 斬法――剛の型、鐘楼。


 膝で蹴り上げて振り上げた一閃で、立ち往生していた羊の首を薙ぐ。

 崩れ落ちる羊を尻目に、更に先へと足を踏み出し、次なる標的へと刃を振り下ろす。


 斬法――剛の型、鐘楼・失墜。


 反転させた刃は、こちらに気づいた羊を頭から斬り裂く。

 元より、毛が無ければ斬ることに困りはしない相手なのだ。

 骨を断つこととて、俺にとってはそう難しい話ではない。

 事切れた羊の巨体を蹴り転がして、さらに前進。これだけの数となると、やはり【咆風呪】や餓狼丸の解放を使いたくなる所ではあるが、前者はまだクールタイム中、後者はそもそも使うつもりがない。

 流石に、このような場所で成長武器の経験値を浪費してしまうつもりは無かった。



(そういや、緋真たちの成長武器も強化してやらんとな)



 緋真たちの成長武器はまだ★3、伯爵級との戦いを考慮するならば、★4への強化は必要になるだろう。

 俺もできれば★5まで強化したい所ではあるが、まだ見かけない素材も多いため、とりあえずは保留するしかない。

 ルミナの槍の件もあるし、この羊たちの毛も預けてしまいたい。

 今日のレベル上げが終わったら、一度エレノアたちの所に向かうべきだろう。

 尤も――今は、そんなことを気にしている場合ではないのだが。小さく苦笑しながら、俺は血を拭った刃を鞘に納める。



「《練命剣》――【命輝一陣】」



 斬法――剛の型、迅雷。


 居合と共に煌めく刃が飛び出し、広範囲を薙ぎ払う。

 その一撃は、体勢を整えて再び突進してこようとしていた羊たちの出鼻を挫く形となった。

 先頭の連中が足を詰まらせれば、当然ながらそれに続いていた羊たちも動きを鈍らせることになる。

 ケツに頭突きをされてバランスを崩す先頭の羊たち、そしてそれに阻まれて前に進めなくなった羊たち。

 間を抜けて出てこようとはしているが、それでも動きは鈍い。

 そして、そうやって密集しているならば――



「《奪命剣》、【咆風呪】」

「《スペルエンハンス》、【フレイムストライク】!」



 その集団へと向けて、俺と緋真で範囲攻撃を解き放つ。

 元より体力を削られていた羊たちは、その攻撃によって数多くが倒れることとなった。

 無論、羊の群れ全てに攻撃が届いたわけではない。だが、後方で立ち往生していた羊と犬たちへは、ルミナとセイランによる魔法が降り注ぐこととなった。

 多めに展開された魔法陣からは、それぞれ爆裂する光弾が発射され、薙ぎ払うように魔物たちを蹂躙する。



「……今の所、ヴァルキリー系と敵として遭遇したことはないが、悪夢みたいな存在だな」



 凄まじい機動力で空中を駆け、強力な魔法を操る。

 その上、近接戦闘能力も高く、飛行騎獣でも安易に近付けばあっさりと撃墜されてしまうだろう。

 遭遇する前にその能力を知れたことは幸運と考えるべきなのか。

 思わず嘆息を零しつつ、俺は刃を拭って鞘に納めた。最早手を出す余地もない。ルミナの放った魔法の中で、生き残った魔物は皆無であった。



『《格闘》のスキルレベルが上昇しました』

『《強化魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』











■アバター名:クオン

■性別:男

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:53

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:37

VIT:27

INT:37

MND:27

AGI:18

DEX:18

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.24》

 《格闘:Lv.12》

マジックスキル:《強化魔法:Lv.38》

 《降霊魔法:Lv.9》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.37》

 《MP自動大回復:Lv.7》

 《奪命剣:Lv.17》

 《識別:Lv.31》

 《練命剣:Lv.18》

 《蒐魂剣:Lv.17》

 《テイム:Lv.36》

 《HP自動大回復:Lv.7》

 《生命力操作:Lv.36》

 《魔力操作:Lv.36》

 《魔技共演:Lv.24》

 《インファイト:Lv.28》

 《回復適性:Lv.23》

 《戦闘技能:Lv.11》

サブスキル:《採掘:Lv.13》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《剣鬼羅刹》

■現在SP:36






■アバター名:緋真

■性別:女

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:52

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:40

VIT:24

INT:34

MND:24

AGI:20

DEX:20

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.23》

 《格闘術:Lv.8》

マジックスキル:《火炎魔法:Lv.17》

 《強化魔法:Lv.11》

セットスキル:《練闘気:Lv.7》

 《スペルエンハンス:Lv.10》

 《火属性大強化:Lv.8》

 《回復適性:Lv.33》

 《識別:Lv.31》

 《死点撃ち:Lv.35》

 《高位戦闘技能:Lv.7》

 《立体走法:Lv.7》

 《術理装填:Lv.29》

 《MP自動回復:Lv.29》

 《高速詠唱:Lv.28》

 《斬魔の剣:Lv.15》

 《魔力操作:Lv.13》

 《遅延魔法:Lv.12》

サブスキル:《採取:Lv.7》

 《採掘:Lv.13》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:34






■アバター名:アリシェラ

■性別:女

■種族:魔人族ダークス

■レベル:52

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:25

VIT:20

INT:25

MND:20

AGI:40

DEX:40

■スキル

ウェポンスキル:《暗剣術:Lv.23》

 《弓:Lv.10》

マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.11》

 《光魔法:Lv.11》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.36》

 《隠密行動:Lv.10》

 《毒耐性:Lv.27》

 《アサシネイト:Lv.11》

 《回復適性:Lv.32》

 《闇属性大強化:Lv.9》

 《スティンガー:Lv.11》

 《看破:Lv.35》

 《ベノムエッジ:Lv.7》

 《無音発動:Lv.26》

 《曲芸:Lv.9》

 《投擲:Lv.28》

 《走破:Lv.24》

 《傷穿:Lv.11》

サブスキル:《採取:Lv.23》

 《調薬:Lv.26》

 《偽装:Lv.27》

 《聖女の祝福》

称号スキル:なし

■現在SP:38

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マギカテクニカ書籍版第12巻、7/18(金)発売です!
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