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Magica Technica ~剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録~  作者: Allen
MG ~Miniature Garden~

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226/987

224:シェーダン貧民街

書籍版マギカテクニカ第1巻、5/23発売です!

現在、表紙及びキービジュアルを公開中です!

詳しくは活動報告、ツイッターをご確認ください!












 しばし街道を進み、幾度か襲ってきた悪魔を撃退したが、南の時のように人間を引き連れた悪魔と遭遇することは無かった。

 そうして見えてきたのは、アイラムと同程度の規模を誇る巨大な都市。

 あれこそが、この南西の領地の領都であるシェーダンだろう。

 街の規模についてはアイラムとそれほど変わりはないが、ここから見た限りでは外壁が破損しているような様子もない。

 だが、あの街にはアイラムとは明らかに異なる点があった。



「あれが貧民街、ですか?」

「そのようだな。また、見るからにごちゃごちゃとした様子だが」



 外壁の外、そこに付け足すようにして建てられている、無数の木造の建物。

 あれこそが、シェーダンの貧民街。あの街から排斥された者たちが住まう場所。

 そんな人々が悪魔の支配から逃れているという事実は、何とも皮肉なものであるが。



「よし、あそこに寄せるぞ。とりあえず、情報収集だ」

「分かってますよ」



 騎獣を操り、貧民街の方へと接近する。

 それなりの規模を誇る貧民街は、地上からではその全容を把握することはできない。

 だが、言ってしまえばスラムのようなものなのだろう。この街の様子は、とてもではないが『裕福』という言葉とはかけ離れたものだ。

 ちらほらと見える人々の格好は薄汚れており、あまり活気もない様子である。

 いや、活気のなさに関しては、悪魔の影響によるものであるかもしれないが。

 さて――どこから手を付けたものかな。



「……とりあえず、様子を見て回るとするか」

「分かりました」

「いいけど、セイランは戻しておいた方が良いんじゃない?」

「確かに、それもそうだな」



 この雑然とした街並みではセイランの巨体は邪魔であるし、見た目からして中々の威圧感がある。

 セイランを連れたままでは、少々行動しづらいことは事実だろう。

 セイランには一言断って従魔結晶に戻って貰い、改めて貧民街へと足を踏み入れた。

 酷く雑然とした、あばら家の連なった街並み。現代は勿論、このゲームの中ですらお目にかかったことのないような光景だ。



「何と言うか……ここの領主は、こういう支配方針だということか?」

「税金を納められない連中は壁の内側で暮らす権利はない、ってトコ? 何とも自分勝手な話よね」

「具体的な条件は知らんが……まあ、見ていて気持ちのいいものではないな」



 どのような理由でかは知らないが、彼らはこの外壁の外でしか暮らすことができない。

 それは即ち、街を覆う結界の守りや、外壁による防御の恩恵を受けられないということだ。

 元より街の周辺にはあまり魔物は出現しないが、それでも決して皆無ではない。

 その時、彼らは自分で自分の身を守らなければならないのだ。

 ロクに事情も知らぬまま同情するなど失礼な話であるが、彼らの住まう環境は決して良くないものであることは事実だろう。



(尤も、今はそれが功を奏しているわけではあるが)



 見受けられる人々の数はそれなりに多い。

 だが、それはこの街の規模に比して中々に多いようにも思える。

 そして同時に――



「聞いていた通り、女子供と老人しかいないな。若い男は皆やられたのか?」

「――違うよ、連れて行かれたんだ」



 と――ふと、横合いから声がかかる。

 その言葉にそちらへと視線を向けてみれば、そこにいたのは乱雑に置かれた木箱に腰かける少年の姿があった。

 年の頃は十代前半ぐらいと言った所か。まだまだ子供と言っていい姿の少年は、生意気そうな表情でこちらのことを見つめていた。

 どうやら、この街の住人であるようだが……声を掛けてくるものがいるとは考えていなかった。

 だが、ある意味では好都合だ。わざわざ、情報源が向こうから来てくれたのだから。



「連れて行かれた、とはどういうことだ?」

「そのまんまだよ。戦える連中とかは、皆あの壁の向こう側に連れて行かれた。それから、回復魔法を使える人もな」



 少年は、忌々しそうにそう付け加える。

 どうやら、何かしら事情がある様子だ。こちらに声を掛けてきたのはその事情からか、或いは単なる興味か。

 だが何にせよ、彼はある程度の事情には通じている様子である。

 その上で、この少年は俺たちに声を掛けてきたのだ。それも――俺たちの素性を察した上で、である。



「なあ、アンタたち、異邦人だろう?」

「その通りだが、それがどうかしたか?」

「他の異邦人たちは皆いなくなった。悪魔に勝てないとか、レベルを上げるとか……アンタたちもその口か?」

「さてな。敵の戦力を確認していない以上、はっきりとしたことは言えんが――壁の向こうにいる悪魔は、一匹残らず殺し尽くすつもりだぞ」



 視線を合わせ、逸らすことなく、俺はそう宣言する。

 その言葉に、少年は目を見開いて息を飲んだ。

 どうやら、軽く零した殺気を敏感に感じ取ったようだ。

 だが、それでもなお怯むことなく、少年は若干身を乗り出しながら声を上げた。



「アンタ、情報が欲しいんだろ?」

「ほう? 何が望みだ?」



 ストリートチルドレンの扱い方については、ある程度馴染みがある。

 金を渡してもいいのだが、どちらかといえば食料を渡した方が良いだろう。

 まあ、俺たちが持っている食料は大体保存食しか無いわけだが。

 しかし、少年は首を横に振り、声を上げた。



「頼みたいことがあるんだ。その代わり、情報を渡す。それでいいか?」



 その言葉に、俺は僅かに視線を細める。

 正直、取引としてはあまり旨味のないものだろう。

 情報を手に入れる方法は他にもあるし、わざわざ依頼を受けてまで情報を手に入れる理由は無い。

 だが――



「……ひとまず、受ける方向で検討したい。案内してくれ」

「……! 分かった、こっちだ」



 喜色を浮かべた少年は、手招きしながら街の奥の方へと歩いていく。

 俺たちは軽く顔を見合わせてから、その背中を追って街中へと足を進めた。

 街の住民からはある程度視線が集まってきているが、こちらへと声を掛けてくるものはいない。

 尤も、視線には二つほど種類があるようだが。一つは、こちらを警戒しているもの。そしてもう一つは、助けを求めるように縋っているものだ。

 後者の方については、どうにもこの街に馴染んでいないような印象を受ける。

 これは――



「……周囲の町や村から集められた人々も、一部はここにいるのか?」

「ああ、そうだよ。悪魔共が連れ去ってきた連中だ。余所者だけど、外に放り出すわけにもいかないだろ」



 こういった街の連中は、そこそこ連帯感が強い傾向にある。

 外から連れて来られた人々は、異物以外の何物でもないのだろう。

 だが、それでも外で野垂れ死ねばいいと考えるほどではないようだが。

 周りの様子を見つつも前方へと視線を向ければ、徐々にシェーダンの外壁が近付いてきた。

 どうやら、街がある方向に向かって行っているようだ……そろそろ聞いておいた方が良いだろう。



「一応、あらかじめ言っておく。依頼の内容を確かめていない内から受けるつもりは無い。失敗すると分かっているものを受けるわけにはいかんだろう?」

「それは……俺だって分かってるさ」



 少年は、くるりとこちらに振り返り、俺のことを見上げてくる。

 その瞳の中にあるのは、覚悟と決意の色だ。

 目的のためならば最早手段は選ばぬという、身を擲つ覚悟を決めたものに見える決意。

 このような幼い少年が、そんな決意を抱かねばならぬことに歯噛みしながら、俺は彼の言葉を待った。



「どうか、俺の姉ちゃんを助け出して欲しいんだ」


『《シェーダン壁外区画の姉弟》のクエストが発生しました』



 やはり、これはクエストの一つであるらしい。

 それに関してはある程度予想はできていたが、問題は内容だ。

 どのようなクエストであるのか、それを確認せねばなるまい。



「……具体的に、どういうことだ?」

「俺の姉ちゃんは、回復魔法が使える。だから、悪魔に壁の内側に連れ去られちまったんだ」



 回復魔法という単語に、ピクリと眉を上げる。

 確かに、話は聞いていた。街の中で魔物と戦わされ、傷ついた人間が癒されていると。

 回復魔法を扱える人間は、その回復役として利用されているのだろうか。



「……聞きたいことはいくつかあるが、その前に条件を確認しておこう。あの街中から連れ出し、お前の所まで連れてくるということでいいか?」

「ああ、その通りだ」

「だがその場合、また悪魔に見つかれば連れ戻されてしまうんじゃないのか?」

「それは……隠れてやり過ごすさ」



 どうやら、その辺りは無計画であるようだ。

 この辺り、強かなのか考えなしなのか、良く分からない子供だな。

 俺は軽く嘆息し、押し黙る少年へと告げた。



「お前の姉は、回復魔法を使えるから連れて行かれた。つまり、利用価値があるから連れ去られたわけだ。であれば、殺される可能性は低いだろう」

「けど……」

「心配なのは分かるが、変に刺激する方が危険という可能性もある。根本的な解決には、この街の悪魔を倒す必要があるわけだが……」

「……そんなこと、できるのかよ」

「やるさ。悪魔を斬るのが俺の仕事だ」



 とは言え、伯爵級が暴れるとなるとかなり危険だ。

 その時は、周囲に人がいない状況にしておきたいものだが――まだ、情報が足りないな。



「とりあえず、内部の状況だけでも確認したい。こちらに連れて来たってことは、侵入できる場所があるんだな?」

「あ、ああ……こっちに、資材搬入用の入口がある……って言っても、今はもうそうは使われていないけどな。あそこからなら、内部に入れる」



 指し示した先にあるのは、両開きの鉄の扉だ。どうやら、鍵はかかっていない様子である。

 彼の言う通り、あそこからならば内部に侵入できるだろう。



「成程な。アリス、とりあえず内部の偵察と、この小僧の姉とやらの捜索をお願いしたい。回復魔法を扱える人間なら、一塊にされている可能性が高いだろうさ」

「了解。貴方、それとお姉さんの名前は?」

「お、俺はユウ。姉ちゃんの名前はモニカだけど……」

「分かったわ。じゃ、一時間ほどで戻るから」



 そう告げると、アリスはさっさと扉を潜り、街の中へと消えて行った。

 少年、ユウは不安そうな表情をしているが、アリスであれば心配は要らないだろう。

 それより、アリスが働いている間、俺たちもただ待っているだけでは意味がない。

 少しでも、情報は集めなければならないのだ。



「で、だ。小僧、お前、悪魔共の目的は分かるか」

「そんなもん、分かるわけないだろ」

「……まあ、そりゃそうだな。なら、奴らは何故人間を魔物と戦わせているんだ?」

「……噂で聞いた話だけど、強くするためらしい」

「何だと?」



 ユウの告げた言葉を反芻し、疑問符を浮かべる。

 言葉の通りであれば、悪魔共は人間に魔物を殺させ、レベルを上げさせているということになる。

 確かに、人間を強くすることが目的であるのなら、魔物と戦わせることも、傷ついたら癒すことも理解できる。

 だが、その根本的な理由が分からない。一体、奴らは何故、人間を強くしようとしているのか。

 ――その答えを、ユウはゆっくりと口にした。



「週に一度、悪魔共の親玉に挑むんだ。その悪魔に勝てたら、街は解放される……そう言ってたらしい」



 成程――反吐が出るような理由だ。

 悪魔共の設定した条件を理解し、俺は胸中でそう呟いたのだった。





















■アバター名:クオン

■性別:男

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:52

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:37

VIT:26

INT:37

MND:26

AGI:18

DEX:18

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.23》

 《格闘:Lv.10》

マジックスキル:《強化魔法:Lv.38》

 《降霊魔法:Lv.8》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.37》

 《MP自動大回復:Lv.7》

 《奪命剣:Lv.16》

 《識別:Lv.31》

 《練命剣:Lv.16》

 《蒐魂剣:Lv.16》

 《テイム:Lv.35》

 《HP自動大回復:Lv.6》

 《生命力操作:Lv.36》

 《魔力操作:Lv.35》

 《魔技共演:Lv.23》

 《インファイト:Lv.28》

 《回復適性:Lv.23》

 《戦闘技能:Lv.8》

サブスキル:《採掘:Lv.13》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《剣鬼羅刹》

■現在SP:34






■アバター名:緋真

■性別:女

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:51

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:39

VIT:24

INT:33

MND:24

AGI:20

DEX:20

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.22》

 《格闘術:Lv.7》

マジックスキル:《火炎魔法:Lv.15》

 《強化魔法:Lv.9》

セットスキル:《練闘気:Lv.6》

 《スペルエンハンス:Lv.10》

 《火属性大強化:Lv.8》

 《回復適性:Lv.33》

 《識別:Lv.31》

 《死点撃ち:Lv.34》

 《高位戦闘技能:Lv.7》

 《立体走法:Lv.7》

 《術理装填:Lv.28》

 《MP自動回復:Lv.27》

 《高速詠唱:Lv.27》

 《斬魔の剣:Lv.15》

 《魔力操作:Lv.11》

 《遅延魔法:Lv.9》

サブスキル:《採取:Lv.7》

 《採掘:Lv.13》

 《聖女の祝福》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:32






■モンスター名:ルミナ

■性別:メス

■種族:ヴァルキリー

■レベル:23

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:38

VIT:22

INT:44

MND:22

AGI:28

DEX:22

■スキル

ウェポンスキル:《刀術》

マジックスキル:《閃光魔法》

スキル:《光属性強化》

 《光翼》

 《魔法抵抗:大》

 《物理抵抗:中》

 《MP自動大回復》

 《旋風魔法》

 《高位魔法陣》

 《ブーストアクセル》

 《空歩》

 《風属性強化》

称号スキル:《精霊王の眷属》






■アバター名:アリシェラ

■性別:女

■種族:魔人族ダークス

■レベル:51

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:25

VIT:20

INT:25

MND:20

AGI:39

DEX:39

■スキル

ウェポンスキル:《暗剣術:Lv.22》

 《弓:Lv.8》

マジックスキル:《暗黒魔法:Lv.11》

 《光魔法:Lv.8》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.36》

 《隠密行動:Lv.10》

 《毒耐性:Lv.27》

 《アサシネイト:Lv.11》

 《回復適性:Lv.31》

 《闇属性大強化:Lv.7》

 《スティンガー:Lv.11》

 《看破:Lv.34》

 《ベノムエッジ:Lv.5》

 《無音発動:Lv.26》

 《曲芸:Lv.8》

 《投擲:Lv.27》

 《走破:Lv.22》

 《傷穿:Lv.8》

サブスキル:《採取:Lv.23》

 《調薬:Lv.26》

 《偽装:Lv.27》

 《聖女の祝福》

称号スキル:なし

■現在SP:36

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マギカテクニカ書籍版第13巻、1/19(月)発売です!
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表紙絵


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