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Magica Technica ~剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録~  作者: Allen
RC ~Running Cavalry~

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138/987

137:避難民の護衛












『《収奪の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《斬魔の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』



 避難民を狙って襲い掛かってきた魔物を蹴散らしたところ、すぐにスキルのレベルが上がった。

 どうやら、ヴェルンリードを相手にかなりの経験値を稼いでいたらしい。

 まあ、倒せてはいないのでキャラクターレベルの上昇には足りなかったようだが、何度も奴に攻撃を当てていたため、その経験がスキルの経験値として反映されたようだ。

 倒せてもいないのにここまで経験値を稼げたのは僥倖だったが――



「こりゃまた、気の滅入りそうな雰囲気だな」

「仕方ないですよ。街を捨てての避難なんて、不安になるのは当然です」

「分かってるさ、愉快なことじゃない」



 かつての戦争の時は、ここまで大規模な避難というものは無かったが、それでも一般市民の避難誘導をした経験はある。

 あの時も似たような雰囲気ではあったのだが、今回は数による相乗効果もあるように思える。

 あれほどの巨大な街を一つ、落とされたのだ。未来に対する不安の大きさは計り知れまい。

 とは言え、それに対して俺たちにできることは少ない。

 この世界の住人ではない俺たちでは、彼らに共感することは難しいだろう。



「セイラン、接近してくる相手を警戒してくれ。だが、上空のマイナーグリフォンを刺激する必要はないぞ」

「クェ」



 俺の言葉に頷き、セイランは翼を羽ばたかせて上空へと上がる。

 列を成している避難民に対し、俺や緋真は殿を務める形で進んでいる状態だ。

 いつあの街から悪魔共が追撃を仕掛けてくるか分からないし、最悪ヴェルンリードが追いかけてくる可能性もある。

 あの女に対抗できるのは、現状俺だけだ。とは言え、餓狼丸の強化状態が解除されている以上、今の俺の攻撃ではまず通じないであろうが。



「今後どうするかだな……『キャメロット』の連中から何か聞いているか?」

「さあ、ここに来ているのは斥候部隊の人たちがメインですからね。ただ、戻ってくる場所は指定されていたみたいですけど」

「あん? 何だ、牧場に戻るんじゃないのか?」

「位置的には違うらしいですけど、どうするんですかね」



 確かに、あの牧場は最低限の防衛設備こそあったものの、悪魔の軍勢を相手にするには向いていない。

 そもそも、避難民を受け入れる場所としては不適切だろう。

 最終的にはより前線から離れた大きな街へと移動させるとしても、ひとまず安全な拠点に送らねばなるまい。

 しかし、俺の知る限りそれに適した拠点は近場には無かったはずなのだが。



「……まあ、『キャメロット』の連中が指示を受けているというのなら、何かしら対策があるんだろう」

「アルトリウスさんですしね。位置的にはちょっと遠いですけど……」

「徒歩にはちょいと厳しいか?」

「どうでしょう。馬車の人たちには先行して貰いましたけど……送り届けたらどんどん戻ってきて欲しいですね。この数の護送は流石に大変ですし」

「流石に、様子を見なけりゃならんエリアが広いからな」



 街中の人間を逃がしているだけあり、その数はかなりのものだ。

 だが、それに対して護衛を行っているプレイヤーの数は少ない。

 尤も、現地人の騎士たちも数多く存在しているため、完全に人数不足というわけではないのだが。

 列を成す避難民たちの周囲を囲むようにしながら、プレイヤーや騎士たちは護衛を続けている。

 時折周囲から魔物が襲い掛かってくるのだが、こちらの数が多いせいか、その頻度はあまり高くはない。

 まあ、それも決して皆無というわけではなく、今も後方から馬が数頭こちらに向かってきていた。



「この状況で馬は面倒だな……緋真」

「了解です。《スペルチャージ》、【フレイムウォール】」



 緋真は頷きつつ、馬の眼前を塞ぐように炎の壁を展開する。

 加速していた所を急には止まれず、炎に包まれたバトルホースたちは悲鳴のような嘶きと共に動きを鈍らせた。

 そして、動きの鈍った馬どもの中心に、ルミナの放った光の爆発が発生する。

 その衝撃により馬どもの足が止まり――それに合わせて、俺は馬へと肉薄する。



「『生奪』」



 まずは一刀、その首を刎ねる。

 残る数は二体、閃光に目を潰されている状況であれば、仕留めることは容易い。

 残る二体の内の一体へと接近し――同時に、もう一体の方へと向けて緋真が駆けた。

 そちらの方については緋真に任せることとして、再び《生命の剣》と《収奪の剣》を発動する。


 斬法――剛の型、穿牙。


 放った刺突はバトルホースの胴を貫き、その内臓を破壊する。

 正直、こいつら相手にはHPを削る必要もあまりないのだが、そこは経験値稼ぎだ。

 HPを完全に削り切ったことを確認し、ついでに後ろで燃え盛っていた緋真の魔法へと向けて《斬魔の剣》を放つ。

 真っ二つになった炎の壁はそのまま消滅し、それと同じタイミングで緋真もバトルホースを倒し終えていた。



『《収奪の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《斬魔の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』


「……本当にあっさりスキルレベルが上がるな。どれだけ経験値を稼いでいたんだ?」

「子爵でも丸ごと全部スキルレベルが上がるような相手なのに、いきなり伯爵で、しかも結構ダメージも与えていたんでしょう?」

「あれだけ殴ったのに、結局一割も削れなかったがな」



 魔法使い系だというのに、本当に頑丈な相手だった。

 これが近接系になったら一体どうなってしまうのか。正直な所、今後の悪魔共の相手について、不安を覚えずにはいられなかった。

 と、それはともかくとして、俺は己のスキルレベルについて確認する。


 《生命の剣》を多用していることもあってか、かなり伸びてきている。

 もうすぐレベル30ということは、《刀》と同じようにスキルを進化させられるのだろうか。

 だが、《生命の剣》の上位のスキルとなれば、やはりあの《練命剣》となるだろう。

 あのスキルは、果たしてレベルが上がっただけで覚えられるスキルなのだろうか。

 剣聖オークスは、己が三魔剣を授けると口にしていた。ただ既定のレベルになっただけで進化させられるのならば、あのような言葉は発さなかっただろう。

 何かしらのイベントでも発生するのか、或いは――



「あ、先生。向こう見てください」

「あん? あれは……」



 スキル画面を凝視していた俺を促すように、緋真が軽く袖を引く。

 その言葉に視線を上げれば、どうやら列の前方に馬車の一団が接近してきたようだ。

 馬車には何やら紋章が刻まれており、それを目にした住人たちが歓声を上げている。

 どうやら、見覚えのあるものであったようだ。



「そういえば、この国の騎士団の紋章に少し似ていたな」

「ベーディンジアの馬車ってことですか。お迎えですかね?」

「全員は乗れんだろうが、かなりの数を運べるだろうな。それに随伴する騎士たちもいるようだし」



 当然ながら、ベーディンジアも要塞都市ベルゲンを落とされたことは重く見ているようだ。

 このタイミングで動いているということは、多くの避難民が出ることを想定していたのだろう。

 状況からすれば好都合だ。いつ後方からの追撃があるか分からない以上、馬車で運んでもらえるのはありがたい。

 紋章が付いている馬車は先頭付近の馬車ばかりで、それ以外は不揃いな、それこそ幌馬車すら含まれているほどだ。

 どうやら、集められるだけの馬車をかき集めて来たらしい。

 と――そんな馬車の一団の中から、馬に乗ってこちらに近づいてくる男の姿が一人。

 見覚えのあるその姿に、俺は僅かに視線を細めつつ到着を待った。



「失礼……やはりご無事でしたか、クオン殿」

「デューラック、か。アルトリウスはいないのか?」

「ええ、アルトリウスは現地の騎士団との折衝中です。少々、無茶を通すことになったもので」

「無茶、だと? アルトリウスが無茶をせざるを得ないような状況か」



 あの男は基本的にスマートに仕事を進める印象があるのだが……まあ、この状況ではそうも言っていられないか。

 悪魔の軍勢によって大都市が攻め落とされた状況。

 前に言っていた世界情勢図の悪化は、間違いなくこの敗戦によるものだろう。

 この国も、俺たちも、不利な状況に追い込まれつつあることは事実だ。



「我々は、『エレノア商会』と合同で前衛拠点を築くことにしました。一夜城、とまでは言いませんが……軽い砦程度にはなる筈です」

「砦って……そんなもん造れるのか?」

「大工系のスキルらしいですが、流石に生産職の事情までは詳しくないですね。とりあえず、建築の許可と人員の確保についてベーディンジア王国に取りつけました。そのため、アルトリウスはこの国の王都に向かったのです」



 このゲームのスキルは一体どこまで網羅しているのやら。

 まあ、こいつらができると言うのであればできるのだろうが、まさか砦を自作するとは思わなんだ。



「そのため、クオン殿にはこの護衛クエストの後、王都に向かって頂きたいのです」

「王都へ? 国のお偉いさんとの話ってか?」

「ええ、クオン殿は我らプレイヤーの最大戦力。それを確認したいとのことです」

「……仕方ない、か」



 街の移動登録のため、結局一度は王都に向かわなくてはならない。

 そのついでというには少々面倒な仕事だが、クエストに関わる以上は贅沢を言っていられないだろう。

 小さく嘆息し――上空から吹き付けてきた風に、俺は眉根を寄せる。

 見上げれば、そこには風を纏って加速するセイランの姿があった。

 どうやら、マイナーグリフォンが向こうから襲ってきたらしい。

 とは言え、相手は二体。グリフォンに成長したセイランならばそう苦戦する相手ではないが――



「デューラック、済まんが少し離れてくれ。セイラン、一体はこっちに叩き落とせ!」

「ケェエッ!」



 俺の言葉に鋭い声を上げながら、セイランは交錯の瞬間にその剛腕を振るう。

 風を纏う爪の一撃は擦れ違ったマイナーグリフォンの翼を斬り裂き、こちらへと向かって墜落させる。

 それを見上げ、俺は笑みと共に刃を構えた。



「『生魔』」



 相手はまだ風の障壁を纏っている。

 墜落するマイナーグリフォンは、しかし戦意を消さぬままこちらへと向けて腕を振りかぶり――振り上げた蒼い燐光を纏う餓狼丸は、その障壁を容易く斬り裂きながら敵の体に一筋の傷を負わせていた。

 バランスを崩し、地面に叩き付けられるマイナーグリフォン。

 その体へと向けて、俺は刃を旋回させながら振り下ろした。



「『生奪』」



 二つの魔剣を纏う一刀が、マイナーグリフォンの首を斬り裂く。

 瀕死の状況での急所の一撃には耐えられるはずもなく、その一太刀で相手は事切れていた。

 周囲には被害が無く、俺は小さく息を吐き出して――



『《収奪の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《斬魔の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命の剣》と《生命力操作》が規定レベルに到達しました。特定エリアにて、特殊クエスト《魔剣の継承:練命剣》を受注できます』



 ――突如として耳に届いたその声に、俺は大きく目を見開いていた。






















■アバター名:クオン

■性別:男

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:36

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:28

VIT:22

INT:28

MND:22

AGI:15

DEX:15

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.7》

マジックスキル:《強化魔法:Lv.22》

セットスキル:《死点撃ち:Lv.23》

 《MP自動回復:Lv.22》

 《収奪の剣:Lv.27》

 《識別:Lv.21》

 《生命の剣:Lv.30》MAX

 《斬魔の剣:Lv.22》

 《テイム:Lv.20》

 《HP自動回復:Lv.19》

 《生命力操作:Lv.23》

 《魔力操作:Lv.18》

 《魔技共演:Lv.9》

 《インファイト:Lv.5》

サブスキル:《採掘:Lv.10》

称号スキル:《剣鬼羅刹》

■現在SP:37






■アバター名:緋真

■性別:女

■種族:人間族ヒューマン

■レベル:35

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:30

VIT:20

INT:25

MND:20

AGI:17

DEX:16

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.6》

マジックスキル:《火魔法:Lv.27》

セットスキル:《闘気:Lv.23》

 《スペルチャージ:Lv.23》

 《火属性強化:Lv.23》

 《回復適正:Lv.16》

 《識別:Lv.21》

 《死点撃ち:Lv.21》

 《格闘:Lv.19》

 《戦闘技能:Lv.20》

 《走破:Lv.20》

 《術理装填:Lv.15》

 《MP自動回復:Lv.11》

 《高速詠唱:Lv.10》

サブスキル:《採取:Lv.7》

 《採掘:Lv.10》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:34

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