表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magica Technica ~剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録~  作者: Allen
RC ~Running Cavalry~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/987

131:次なる作戦












 取得したアイテムを確認しながら牧場へと戻る。

 基本的には、バトルホースを始めとした、この周囲に生息する魔物たちの素材だろうか。

 変わり種として見受けられるのは、騎獣購入の割引券だろうか。

 騎獣を購入する際に少しだけ割引を受けられるチケット、ということらしい。

 ちなみに、既に購入している場合は、使用するとその分だけの金額を即座に入手できるようだ。

 尤も、割合の大きい割引を受けている場合は割引チケットの効果を加えることはできないようだが。

 これに関しては、俺にはあまり意味が無い。セイラン以外の騎獣を手に入れるつもりも無いしな。



「後は……これか」



 恐らくレアドロップ――というか、爵位悪魔を倒した報酬だと思われるのは、特殊な装備アイテムだ。

 他にそれらしいアイテムも無いし、恐らく間違いは無いだろう。


■《装備:騎獣》翡翠飾りの手綱

 魔力の篭った翡翠によって装飾されている騎獣用の手綱。

 騎獣に装備させることにより、騎獣の移動速度を微増させる。


 特殊効果の付いた手綱、ということだろう。

 俺が牧場で購入した手綱は普通のものであったし、このような効果はついていなかったはずだ。

 果たしてどの程度の効果があるのか……少々期待しながら、俺はセイランの手綱を交換する。

 口の両脇の部分に丸い翡翠の装飾が輝く、綺麗な手綱だ。

 しっかりと装着できたことを確認してセイランの背に乗り、牧場へと向けて走らせる。



(……ふむ、確かに少しだけ速くなっているか)



 と言っても、体感的に明確に分かるようなレベルのものではない。

 きちんと測定すれば変わるのだろうが、そこまで極端な効果ではないようだ。

 まあ、それでもマイナスの効果はないわけだし、翡翠の色も風属性のセイランには似合っている。

 しばらくはこれを使用していくこととしよう。



「戻るぞ、セイラン。ゆっくりでいい」

「クェェ」



 俺の言葉に頷き、セイランは真っ直ぐと牧場へ向かって歩き出す。

 遠目に見れば、多くのプレイヤーたちの姿でごった返しているようだ。

 急いで戻るとアレに巻き込まれそうであるし、どうしたものか。

 そう考えていた所で、途中にいた緋真がこちらへと近づいてきた。



「先生、お疲れ様です」

「おう、そっちもな。問題はなかったか?」

「数が多かっただけですしね。程なくしてKさんたちとも合流できましたよ」



 どうやら、緋真はさっさとあの群れを突っ切り、『キャメロット』と合流していたようだ。

 まあ、俺という戦力が外れた状態で、しかも後方からは騎兵が迫ってきていた。

 判断としては間違ってはいないだろう。

 俺自身、あの騎兵共を完全に抑えられる自信はなかったわけだしな。



「で、そのKたちはどうした?」

「アルトリウスさんと合流するために戻っていきましたよ。向こうも上手いこといったようです」

「ふむ。まあ、アイツなら何とかするだろうとは思っていたが、作戦も成功したか」



 馬上の敵を狙って狙撃する、というのも中々難しい話だと思うのだが、果たしてどこまで成功したのやら。

 俺はこのゲームにおける弓や攻撃魔法の性質をあまり理解できていない。

 魔導戦技マギカ・テクニカやら、俺の知らないスキルやらで、狙い撃つ方法があるのだろう。

 何にせよ、成功したのであればそれに越したことはない。

 経過についてはアルトリウスに直接尋ねればいいだろう。



「まあいい、ゆっくりと戻るとするか」



 緋真も、この距離でわざわざ騎獣を出すのも億劫だろう。

 翡翠飾りの手綱の効果も確かめたわけだし、無理に乗っていく必要もあるまい。

 セイランの背から飛び降り、軽く肩を回しつつ、セイランの胴を軽く叩く。

 セイランは、俺が下りたことに少々不満げな様子ではあったが、この距離で乗せるのも面倒だと考えたのだろう。

 軽く鼻息を零した後、俺たちを先導するように歩き出した。

 その様子に緋真と共に苦笑しつつ、牧場へと向けて歩き出す。



「それで、この後はどうするんですか、お父様?」

「さあな? とりあえず、アルトリウスに話を聞いてからでもいいだろう。この国の奴とも話をしているだろうからな」



 この国でどのように活動するかについては、色々と決めておかなければならないだろう。

 とはいえ、現地人との折衝については、アルトリウスの領分だろう。

 あいつならば、今後の展開についてもある程度考えているはずだ。

 今後どうするかについては、それを聞いてからでもいいだろう。


 徒歩でのんびりと戻っていけば、いい加減入口で固まっていたプレイヤーたちの姿も少なくなっていた。

 騎獣を購入しに走ったか、あるいは他の用事か――何にせよ、入りやすくなったのならば好都合だ。

 まあ、セイランが視線を集めているため若干居心地は悪くはあるが、別段話しかけてくるわけでもないし、無視しておけばいいだろう。

 飛行可能な騎獣は貴重であるし、視線を集めることはある程度予測できていたからな。



「さて……アルトリウスの奴はどこにいる?」

「流石に知らないですけど……たぶん、防衛していた辺りでは?」

「確か東側だったか? まあ、アイツの周囲なら『キャメロット』の連中も集まってるだろうし、探せば見つかるか」



 尤も、メッセージなりを利用すればさっさとわかるのだが、そこまでせんでも見つけられるだろう。

 周囲の視線を集めつつ、街の東側へと向けて移動する。

 周囲を見渡してみても、やはり飛行可能な騎獣を持ったプレイヤーはいないようだ。

 もしかしたらいるのかもしれないが、かなり少数派なのだろう。

 更に言えば、セイランほど育った騎獣もほぼいない筈だ。



「これ、また先生のテイムモンスターに憧れる人が増えそうですね」

「そんな連中がいるのか?」

「妖精を育てているプレイヤーの内、結構な数がヴァルキリーを狙ってますし……グリフォンの強さはここに来たプレイヤーなら誰もが知っていることですしね」

「グリフォンはともかく、ヴァルキリーはそんなことになっているのか」

「まだ誰も成功していないみたいですけどね」



 確かに、女性体のテイムモンスターというものも珍しいし、その反応も理解できないわけではないが。

 とはいえ、ヴァルキリーに進化させるのはそこまで難しいものなのだろうか?

 単純に、剣を教えながら育てたというだけの話なのだが。

 そんな俺が抱いている疑問に気付いたのか、緋真は苦笑交じりに続けていた。



「あんまりパワーレベリング……一気に育てちゃうと条件から外れるらしいですね。レベル1からゆっくり興味を持たせていかないとダメなんじゃないかと言われています」

「そりゃまた、中々手間がかかるな。面倒なこった」

「それをやったのが先生ですけどね」



 俺の場合は、レベルが低い内にフェアリーを捕まえられたから自然とそうなっただけだ。

 改めて時間をかけて育てろと言われると、正直面倒でしかない。

 運が良かったということだろう――まあ、ルミナが魔法を鍛えていきたいと言っていたならば、それはそれで構わなかったのだが。

 別に、何かを目指してゲームをしているわけではない。テイムモンスターたちが望むものがあるならば、それを叶えてやるつもりだ。



「ん……あそこにいたか」



 人ごみの中、特に人が密集している地帯を探し出し、そちらへと向かう。

 俺が近づいていけば、周囲のプレイヤーたちは何やら驚いた表情で道を空けた。

 さながら海を割ったモーゼの如き情景だが、その理由は俺に対する恐れだろう。

 尤も、特に気にすることでもないし、無視して先に進むだけなのだが。

 人ごみの中心地では円形に空白地帯が生まれており、その中央には予想通り、現地人の騎士ザンティスと、それに相対するアルトリウスの姿があった。

 遠目から見ても、揉めているようには見えない。とりあえずは安心しながら、俺は周囲の視線を無視しつつ二人の方へと接近した。



「よう、上手くやったようだな」

「クオンさんの方もですね。お疲れ様です」



 俺の言葉に、アルトリウスは爽やかな笑みを浮かべて振り返る。

 どうやら、ザンティスの表情を見るに上手いこと片付けたようだが――何故か、アルトリウスの表情はあまり晴れない。

 さて、とりあえず敵を退けることはできた筈なのだが、一体何を気にしているのか。



「何かあったのか?」

「世界勢力図を確認した仲間から連絡がありました。どうやら、勢力図に変化があったようです」

「ほう。悪魔を退けたから好転したのか?」

「いいえ、逆です。この国の黒い色が濃くなりました……どうやら、要塞都市の攻防に変化があったようです」



 アルトリウスの言葉に、俺は視線を細める。

 どうやら、厄介な状況になってきているらしい。

 現在のところ、悪魔の軍勢との戦いは要塞都市ベルゲンとやらで行われているという話だった。

 あの勢力図が黒に傾いたということは、戦況が悪化したか――或いは、既に落とされたか。

 気にはなるが、今日はこれ以上ログインすることは難しい。



「次は要塞都市に向かうわけか?」

「ええ、そうなります。と言っても、僕らもまだすぐには動けませんが」

「そうなのか?」

「僕らも強行軍でここまで来ましたからね……騎獣の購入もありますし、ログアウトしなければならないようなメンバーも多いです」

「ということは、実際に向かうのはまた明日か?」

「ええ、斥候程度は出しておきますが」



 正直、状況は気になる所ではあるが、時間についてはどうしようもない。

 とりあえず、明日要塞都市に向かってみるしかないだろう。

 流石に、不利になった戦場を行き当たりばったりでどうにかできるとは思えないが、座して静観するよりは遥かにマシだ。



「情報が来たら教えてくれ。俺も明日動くことにする」

「ええ、お願いします、クオンさん」



 さて、悪魔と現在進行形で戦っている最前線。果たしてどうなっていることやら。

 状況は良いとは言えないが、動くほかに道はあるまい。

 ザンティスには一度礼をし、今日はログアウトすることにする。


 民間人が戦いに巻き込まれているという状況は、俺としても許容しがたいものだ。

 ならば――全力を振るうのも、悪くはないだろう。






















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギカテクニカ書籍版第13巻、1/19(月)発売です!
書籍情報はTwitter, 活動報告にて公開中です!
表紙絵


ご購入はAmazonから!


  https://x.com/AllenSeaze
書籍化情報や連載情報等呟いています。
宜しければフォローをお願いいたします。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ