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プロローグ8 リリーの過去4

深夜の公園で出会ったのは、深紫色のフードを深く羽織った錬金術士を名乗る人物であった。


「れんきんじゅつし…?」

「そうそう、錬金術士錬金術士。ほら、もっと近くに寄らないと声は聞こえないよ?」


その錬金術士は、リリーの問いを雑に答えると、地面をぽんぽんと叩きリリーを促す。


リリーは錬金術士の近くに寄り、促されるまま草花に耳を傾けるが。


「…やっぱり何も聞こえない。」

「おや、それはどうしてだい?」

「どうしてもなにも…相手は草花じゃない……わからないよ」

「それは相手を理解しようとしてないからだ。あの日の公園の時みたいに。」

「あの日の公園の時って…まさか!!」


鼓動が早まる。まさかアンジェがここにいるわけない!そう思い振り向くとそこには。


「やっとこちらを見てくれたね。でも残念、私はアンジェじゃないよ、お嬢さん。」


深いローブから覗かせた顔は、薄紫の口紅に、吸い込まれそうな濃紺の瞳の

妖艶な雰囲気を纏った綺麗な女性であった。


「君はわからないわからないと言い、理解する前に諦めているんだ。そんな状態ではわかるものもわからないさ。きちんと相手の気持ちになって考え、理解してあげないと。そうすれば、この草花達の声も自然と聞こえるはずさ。」


そうだ、あの時、私はアンジェのことを考えられていなかった。

いや、考えたくなかったんだ。

考えることを最初から諦めて、逃げて…

アンジェは私のことを考えて…必死に、伝えてくれようとしたのに!私は!!私は!!!!


私は感情が溢れ出してきた。

この気持ちはもはや抑えられるものではない。


結局、夜が明けるまで、リリーはその場で泣きじゃくるのであった。

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