4-ネームドニクマーン
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あなたにニクマーンのご加護がありますよーに。
ホカホカ~ン(*´ー`*)
スライムモドキングならぬニクマーンの王様がようやく機嫌を直してくれたので、俺は不思議に思っていたことを聞いてみた。
「あの、王様?」
「なんじゃ~い♪」
どうも、王様って呼ぶと機嫌がどんどん良くなるっぽい。単純な生き物で良かった……
「おい、坊主!今、なんか失礼なこと考えてたやろ?」
「い、いえ別に」
あわてて話を戻す。
「あの、ここにいるのが“ニクマーン”だっていうのは、わかったんだけど、」
「ふむふむ」
「でも、他のみんなはどこにいるの?」
「他のみんな?他のニクマーンのことか?」
「うん」
「ここにおるで」
「えっ!?どこ!?」
驚いてきょろきょろすると、王様が大きくぶるんっ!」と震えた。
次の瞬間、辺り一面に色とりどりのチビニクマーン達があふれかえる。
「な、おるやろ?可愛えやろ?」
そういう王様の体は、さっきよりだいぶちんまりしている。って言っても俺よりは大きいから、並みのスライムなんかより全然大きいけど。
「あの、王様、なんかちょっとだけちっちゃくなった?」
「ちゃうねん、これがホントの大きさや」
「そーなの!?」
「こいつらその辺に遊ばしとったら危ないやんけ?だから取り込んで守ってんのや」
「へ~!」
ただのガラの悪いオヤジみたいな生き物だと思ったら、けっこう責任感があるんだ。
「おい、坊主!以下略」
「い、いえ以下略」
「おいおいおいおーーーーい!お前まで省略せんでええねん!しかも元より長くなってるちゅーねん!」
「あ、ホントだ」
「まったくふざけた坊主やな?……けど、わしは嬉しい!」
「?」
「坊主、そのニクマーンのこと大切や、思うてくれてんやろ?」
「う、うん」
腕の中に戻ったスラゾーを撫でる。
「きゅる~~~ん!」
「さっきな、そいつを取り込んだ時に、坊主がどれだけ可愛がってくれてたか、わしにもわかったんや」
「そうなの?」
「ああ、わしはここからほとんど動かん代わりに、こいつらが戻ってくると取り込んで、見たり聞いたりしたものを吸収してるんじゃ」
「そうだったんだ」
「ああ、そいつ名前貰ろて、えらい喜んどったで」
「スラゾー、気に入ってくれてたんだ?」
「きゅる~~~ん!」
「そりゃそうや、名前がもらえるのはほんの一握りの魔物だけやしな」
「そうなの?でも、村で喧嘩スライムに出てるスライムは、みんな名前ついてるよ?」
「あいつらな……ふん!まあ、そういうこともあるわな」
あ、そこは触れて欲しくなかったんだ。あわてて話を変える。
「あ、でも、王様もスライムモドキングって名前があるんだよね?」
「……それは名前やない」
「え、でも」
「あんなあ、名前って言うのは、その生き物への愛情の表れや」
「うん、そうかも」
「きゅる~~ん」
スラゾーが嬉しそうに鳴く。
「スライムドモキングっていうのは、見た目がスライムっぽくてデカいからついた通称やな。いつの間にかなんとなーくそう呼ばれただけや」
「ふ~ん」
「まあ、この森は魔物もおるし、奥まで入り込んでくる奴なんて、ほっとんどおらんかったしな」
「そうなんだ」
「きゅる~ん」
「でも、俺ここまで入ってこられたよ?」
「せやな。何か強く想うことでもあったんちゃう?」
「強く想うこと?」
「せや。何かを強く想うと、森が受け入れてくれることがある。必ずやないけどな」
「俺……」
――スラゾーと森の奥でお別れするために来たんだっけ
「あれやろ?坊主も強いスライム探しとっらんやろ?」
「俺、本当はスラゾーと……」
「きゅる~ん」
何も言えなくなった俺に、王様が重ねて聞いてくる。
「強いスライムは手なずけるんが大変やで~?」
「……」
「あ、でも、名前つけて呼ぶうちにだんだん慣れてくるんやけどな」
「……俺」
「あ~、まあ、坊主がどうしてもっちゅーんなら、わしが名前つけられてやってもええで?」
あれ?なんか知らないうちに話が変な方へ進んでる。
「せやから、坊主に名前つけさせてやるて、わしの!」
「えっと?」
なんで俺が王様に名前つける流れになってるんだろう?
「しゃあないなあ。まあ、坊主がどーーーしても名前つけたいってんなら、付けさしたるわ!」
「あ、いや、別に」
「付けたいんやろ?付けたいんやろ?!なっ?!」
よくわかんないけど、王様がグイグイくる。
「きゅる~ん!」
スラゾーもお願いって言う風に見てくるしなあ。
「……はい、つけたい、です(たぶん)」
「よっしゃあーーーっ!」
スライムモドキングが子どものように澄んだ目で、命名を待っている。期待感が半端ない。どうしよう。やたらな名前を付けたら一生恨まれそうだ。って言うか、期待に押し潰されるかも。物理的な意味で……
あきらめたらそこで試合終了ですよ、
ぼぶよ~~~~ん!




