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ボクは悪いスライムじゃないよ、ニクマーンだよ!(ただ今改稿中ぽよよ~ん)  作者: ゆー


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29-1ミリも付き合ってません!

 その日の夜、俺たちは三人と四匹で王都の下町にある井戸端に集まっていた。ホーオー様が、どうしても水場のそばじゃないと嫌だって言ったからね。以前、キリの村でマリリンとリューと話した時のように、今は三匹で井戸の中ではしゃいでいる。でも、ジョーだけは井戸の中に入るか、ポッポさんのそばにいるか迷っているようだった。トレードマークのトンガリが、井戸の方を向いたりこっちを向いたり忙しい。


「ジョーは水場はあまり好きじゃないんだ?」

 俺がたずねると、ポッポさんは首を横に振った。

「いや、ジョーも水場は大好きさ。ただ……」

 どうやらジョーは俺たちの話の行方を気にしているらしい。パートナー思いなんだな。どこかのオヤジニクマーンに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいよ。

「坊主、ジョーには爪なんてあらへんで!!」

「だから読まないで!井戸の中から首突っ込んでこないで!!」

 さっきまではしゃいでたんじゃないのかよ!?相変わらず油断も隙もないないな、ホーオー様は。


「それで、話ってなんだい?」

 ポッポさんがちょっと緊張気味に聞いてくる。強面がさらに強面化してるよ。でも、こっちはもっと緊張してるんだ。

「あ、あのさ」

 俺が話しだそうとした時だった。

「待って、あたしから話すよ」

 マリリンが俺を止めた。


 マリリンの真剣な表情を見て、ポッポさんがゴクッとつばを飲み込む音がした。

「あたしたち、ポッポに内緒にしてきたことがあるんだ」

「う、うん」

 ポッポさんがギュッと拳を握り締める。俺も手の平が汗でビショビショしてきてズボンで拭いた。ポッポさんはニクマーンのことを聞いても、今まで通りに接してくれるだろうか。


「ごめんね。本当はもっと早くに言おう言おうと思ってたんだけど」

「そっか。いや、なんかさ、俺も二人はそうなんじゃないかな?って思ってたんだ」

「えっ!そうなの!?気付いてた?」

 まさかポッポさんが気づいてるなんて、意外だな。


「うん。なんか、俺よりジェイムズの方がマリリンのことよくわかってるっていうか」

「は?わかってる?コイツが?」

 おいおい、マリリン、目つきがハンター化してるぞ。木綿のハンカチを送った可愛いロミィの顔が脳裏をよぎる。


「うん。なんか俺の知らない二人の世界があるって言うか」

「いや、二人の世界なんてないけど。3匹の世界ならあるけど」

 マリリンが小首を傾げながらつぶやくと、それを聞いて今度はポッポさんが首をかしげる。

「三匹の世界?」

「うん。あのね、クコとホーオーサマとスラゾーのこと、話そうと思ってたんだ」

「……?スライムの、話?」

「そう、そこなの!“スライム”っていうところなの!」

 マリリンがグッとポッポさんに詰め寄る。


「えっと、二人が付き合ってるっていう話じゃ?」

「はあーーーーーーっ!?」

 思わず俺とマリリンの声が重なる。お互いに、こんなの違いますけど?という目で見つめあう。


「えっと、じゃあ付き合ってない……のかな?」

「もちろん!!」

 また二人で同時に答える。しっかしマリリンの態度ムカつくなー。

「ブププーーーーッ!!」

 あ、もっとムカつく存在が井戸の中に居た。


「違うよ!1ミリも付き合ってない!全然付き合ってない!!」

 なに、マリリンそのきっぱりした否定ぶりは。っていうか、マリリンとポッポさんが見つめ合ってるよ。


「やだ、そんなこと、心配してたの?」

「だってさ、二人から話があるって言われたら、そういうことなのかな?って」

「もう、そんなの絶対に違うから」

「そっか、そっかあ」

 ポッポさんが笑顔になる。それを見上げてマリリンが頬を染めてる。はあ、これじゃあまるで「恋する二人やなあ」

「ちょ、ホーオー様、話に首突っ込んでこないで!」

「わし、首なんてあらへんで」

「だから!そういう問題じゃないんだよ!!」

 俺とホーオー様がボケと突っ込みを繰り広げている間にも、マリリンとポッポさんの二人の世界で見つめ合ったままだった。


「あのー、マリリン、肝心のスライムの話は……」

 俺のつぶやきは井戸の中に空しく吸い込まれていった。

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