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ボクは悪いスライムじゃないよ、ニクマーンだよ!(ただ今改稿中ぽよよ~ん)  作者: ゆー


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26-今更だけど『ハロルド』です

 マリリンと別れた場所に戻ると、座長への報告から戻ってきていた。でも、若い男がマリリンに熱心に話しかけてる。スラッとしていて顔もなかなか整ってる、都会派お洒落男子だ。


「すぐそこの店なんだ。君みたいに可愛い子が来てくれれば良い宣伝になるよ!どうかな?お代はボクが持つからさ!」

「う~ん、どうしよっかなあ?」

 マリリンが可愛く首をかしげてる。


「どしたのさ?」

 俺が話しかけると、マリリンが男に向かって笑顔でたずねる。

「これから知り合いのオープンカフェに連れて行ってくれるんだよね?おごりだよね?」

「え、いや、一人じゃなかったんだ、きみ」

「この二人、あたしの連れなの。一緒でも良いよね?」

「いや、ごめん、多分席がいっぱいだと思うから……」

「え、さっきはお店ガラガラだから、是非来てくれって言ったじゃない?」

「あ、ごめん、ちょっと知り合いがいたから、またねっ」

 マリリンから逃げるようにお洒落男子が雑踏にまぎれて消えて行った。


「なに?今のどういうことだ?」

 ポッポさんがわけがわかんないって顔で聞いてくると、マリリンがニッコリ微笑んで教えてくれた。

「ゴロツキよ、田舎出の女の子ねらって、食事をたかったりお金せびったり」

「えっ!?でもおごるって言ってたんだろ?」

「店で食事したり買い物してから『あ、財布忘れたっ』て言うのよ。それまでさんざん女の子に甘い言葉ささやいて、良い気分にさせておいてね」

「えー!そんなのありかよ!?」

「田舎から出て来たばかりの女の子は、ああいうのに弱いんでしょ?困ってる姿を見せられて、仕方なく払っちゃうって寸法よ」

 マリリンがふんっ!と鼻息を飛ばす。

「もっともあたしはご馳走になるだけのつもりだったけどね。払う義理ないもん」

 すっげえな、俺やポッポさんは騙される側だけど、マリリンはその上を行く感じだ。俺達おのぼりさんが叶うわけない。


「きゅる~~ん」

 スラゾーもマリリンに羨望の眼差し(多分)を向けている。なんか、王都に来てからマリリンの凄腕に磨きがかかっているように見えるもんな。


「あ、そうだ、座長に話してきたんだけど、まだ会場は外からしか見られないって」

「え、そうなんだ?」

「なんかね、バトルは1週間後に予選が始まって、本戦自体は2週間後くらいになるんじゃないかって」

「え、そんなにかかるんだ?」

「初めてのことだし、まさかこんなに参加者が集まるとは予想してなかったみたいね」

「そっかあ。一座はその間、王都に居てくれるのかな?」

「それは大丈夫よ!これだけ人出があるんだもん、稼いで稼いで稼ぎまくるよ!!」

 マリリンが目を輝かせながら元気良く宣言する。クコもマリリンの肩でピカピカとグラデーションを光らせていた。

「お、俺も、がんばるよ」

 ポッポさんが少し赤くなりながらマリリンにうなずいて見せる。ジョーも一生懸命トンガリをクコに向けていた。またクコにキレられるんじゃないかと心配したけど、クコは自分のトンガリでちょんとジョーのトンガリをそらす。

「もう、あぶないやん、気ぃつけてぇなぁ」

 え、なに、そのアメ対応!?


「アカーーーッむぐっ」

 ホーオー様(やきもちオヤジ)が何か叫ぼうとしていたのでギュッとにぎって静かにさせた。

「これだけスライム連れが居るんだもん、四匹でフル回転よ!」

 マリリンが当然のように、ホーオー様やスラゾーに言い聞かせる。ジョーはクコの方を見てボーっとしたままだ。

「じゃ、とりあえず、一座のところに戻ろうか?」

 ここでの大会が終わるまでは、俺たちも一座と行動を共にするつもりだ。


「うちら、稼いで鍛えて、勝ち抜くでーーーーっ!!」


 クコがマリリンの肩の上からポーンと弾んで高らかに宣言する。周りのスライム連れの人たちが一斉にこっちを見た。

「おっ!クコ、良い宣伝になったわよ!」

 マリリンが不敵に笑う。おいおいなんか睨んでる人いっぱいいるよ、大丈夫なのかな、これ?


 マリリンがバトル用のベルを鳴らしながら歌うように周りに向かって声をかける。

「さあさあさあさあ!スライムバトルだよ~!可愛いスライム、強いスライム、変幻自在な技と色!見なきゃ損だよ!戦わなきゃ大損だよ~~~!」

 ガランガランとベルを鳴らすマリリンの後について、俺たちは一座のところまで戻ってきた。テントの設営はほぼ完了していた。

「あ、そういえば全然手伝わなかったな、俺達」

 気まずそうにポッポさんが言うと、マリリンが得意そうにちっちっちと指を振った。

「あたしたちはスライムバトルの宣伝してたんだもん。座長にもちゃんと了解とってあるから大丈夫!」

「え、そうなのか?でも宣伝なんてマリリンとクコしか……」

「あれ見て」

 ポッポさんの言葉をさえぎって、マリリンがテントそばの掲示板みたいなのを指差す。


 近くに行って見てみた。


『まもなく開催!バトルスライム大会、初代チャンピオンはどのスライムか?大予想!!』


 これは一座の手書きじゃないな、ちゃんと印刷されたポスターだ。

「大会の関係者が街中に貼り出してるのをわけて貰ったんだ。大衆に見える場所に貼り出すって条件でね」

 良く見りゃこれ一座の看板の上に紙貼ってるじゃん。座長さん、本気で稼ぐ気だな、ここで。

 肝心の予想を見てみると、トップ集団の中にホーオー様が描かれていた。

「えーーー!?ホーオー様優勝候補なのかよ?すっごいよ!!」

 確かに強いとは思ってたけど、優勝候補になるほど話題になってるとは思わなかった。


「道中で戦った相手がけっこういたでしょ?負け無しだったのが話題になってたらしいのよ」

「へえ~、そうだったんだ」

 それにしても、なんかえらく格好良く描かれてないか?美化しすぎだろ。

「ほお!わかってるやないか、ま、実物には遠く及ばんけどな。遠ーく遠ーく及ばんけどな!」

 そう言いながらホーオー様がめちゃくちゃ嬉しそうに弾んでる。まったく、すぐ調子に乗るんだから、このオヤジニクマーンは。

「おい、坊主、「きゅる~ん!きゅる~ん!」

 良い感じでスラゾーがホーオー様の前に飛び出してきた。一生懸命弾んでポスターにポムポムぶつかって「見て!見て!」ってやってる。スラゾーが体当たりしてる部分を見たら白い丸と紺青の丸、赤紫の丸が描かれている。

『注目の若手レアスライムトリオ!人気急上昇!!ハロルド一座所属』と書かれている。

「わっ!すごいじゃん、でもずいぶんな略画だな」

 でも、スラゾーは嬉しいみたいで何度も何度もその部分にポムってた。今更だけど、座長さんハロルドって言うんだ。なんかハーさんとか呼ばれてたもんな、みんなから。



ハーさんとか

ローさんとか

ルーさんとか

ドーさんとか 呼ばれてたな


「まんまやん」

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