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ボクは悪いスライムじゃないよ、ニクマーンだよ!(ただ今改稿中ぽよよ~ん)  作者: ゆー


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19-ニクマーンはアンジー派

 

 安心してくれ、ロミィ。

 井戸のそばで可愛いマリリンと長いこと喋っていたけど、リューもホーオー様たちも居たんで、良い雰囲気になんてなるはずもなく、俺はいまだにフッサフサだよ。



 マリリンと話したおかげで、色々なことがわかった。隣の国では、ニクマーン狩りが行われていて、捕まったニクマーンは極寒の雪国ノーラとの国境に捨てられてしまうこと。ただし、魔力の強い個体は『スライム館』と呼ばれる場所へどんどん送られているんだって。その館でニクマーンがどういう扱いを受けているかはわからない。そして、どうやら隣の国のニクマーン狩りを含むスライム至上主義は、あのシルバースライムと魔術師のコンビから広がってきてるらしいという話だった。一番驚いたのは、隣の国の影響を受けて、この国でも魔術師を中心にニクマーン排斥の動きが出始めているってこと。

「なんや、それ!?なんでわしらが肩身の狭い思いせなあかんのや!」

 ホーオー様が膨らんで怒っている。スラゾーもきゅるきゅる言ってるから、多分同じように抗議してるんだろう。

「あの、よくわからないんだけど……スライムの純粋な、は、繁殖をさまたげるって」

 言いながらマリリンがちょっと赤くなった。

「な、な~に言っとんねん!!奴らこそ可愛えニクマーンを根こそぎ連れて行きよってからに!」

 ホーオー様が膨らんで猛烈に怒っている。スラゾーもきゅるきゅる頭をとがらせて、えあろぱ攻撃の真似をしている。


「あ、やっぱりニクマーンもスライムも、メスとオスがいるの?」

「あったり前やないか!!」

 俺がホーオー様に尋ねると、呆れたように即答された。

「じゃあ、やっぱり、エリザベスって……」

「ああーっ!あーあーあーああーっ!!!」

「ちょっ、なんだよ、ホーオー様?!、いきなり耳元で大声出さないでよ!」

「うっさいわ!今忙しいねん!ニクマーンの一大事や!!」

「なんだよ、都合が悪くなるとすーぐごまかすんだから。これだから大人って嫌だよな」

 いつの間にか肩に乗っていたホーオー様を、ずずっと遠ざける。


「なーに傷つきやすい十代みたいなことぬかしてんねん!」

「実際、俺は十代だよ!!」

「お前か!!お前が盗んだバイク乗りまわして校舎のガラス割ったんか!?」

 ホーオー様が遠ざけた以上に戻ってきて、頭の上に陣取って怒鳴っている。

「はっ!?なに?ばいく?こうしゃ?」

「謝れ!!ガラスの破片かたづけた教頭せんせに謝れ!!」

「ちょ、なんだよ?急にわけわかんないよ、ちょっと!顔の方に圧し掛かってこないで!!」

「わしはアンジー派やで!さっさと手紙書かんかい!!」

 誰、それ?わっ、ホーオー様に顔面包まれて息が苦しい!!



「あの、そろそろ話をニクマーンに戻しても良いかな?」


 マリリンが俺とホーオー様に生ぬるい視線を向けながら聞いていきた。あわててホーオー様を顔から剥がす。

「ったく、ホーオー様のせいで俺まで変な目で見られちゃったじゃん」

「そうやってすーぐに人のせいにするんが、ガキの証拠やねーん」

 ホーオー様がしたり顔でもっともらしいこと言ってる。まったく、腹の立つニクマーンだよな。

「こっちのせりふや!」

「だから読まないで!心読まないで!!」


「お前らちょっと黙れ!」

 ホーオー様と俺はリューから拳骨をもらい、再びマリリンの話を聞くことになった。


「なんだかね、旅で回ってる間にもどんどんニクマーン排斥の考え方が広まってるのを感じたんだ」

 マリリンが不安そうに言った。以前は堂々とニクマーンを飼ってる人もたまには見かけたらしい。そりゃそうだよな、性格的にはニクマーンの方がずっと人と共存しやすいしな。

「でも、最近は本当に見かけなくなっちゃったの。たまにニクマーンを飼ってる人がいても、スライムだと思って飼ってたり」

 ここ最近みかけたニクマーンは、みんなスライム化とんがりしていたらしい。多分、賢いニクマーンのことだから、そうしなければ危ないって感じたんだろう。


「いったい、何がおこってるんだろうな?」

 黙って聞いていたリューが不審そうにつぶやく。


 俺はホーオー様やスラゾーと顔を見合わせた。

「……行ってみるしかない……かな。隣国バルドへ」

「でも、お前隣の国に行けるほどの金持ってんの?」

 そうだった。今回は初めての旅だし、とりあえず1週間か10日くらいで村へ一度戻るつもりだった。


「どうしようか、一度村に戻るか……」

 まだ一日目だし、村に戻るのは別に大変じゃない。

「でも、旅立ったばかりで戻るって、カッコつかないよな」

「きゅる~ん」

 スラゾーも同じ気持らしい。どうやら残してきたチビニクマーン達に「代表して行ってくる!!」みたいな別れの挨拶しちゃったらしい。

「そやなー」

 ホーオー様も浮かない顔だ。鼻で笑うオランジェーヌが目に浮かんでいるんだろう。


「あのね、もしこのまま進むんだったら、王都でスライムバトルに出てみない?」

 そう言いながら、マリリンがズボンのポケットから、折りたたまれた紙を取り出した。

「これ、あたしも一座の都合が合えば出てみたかったんだけど」

 広げられた紙には「第一回スライムバトル大会開催!集え、強きスライムよ、王者を決めよう!!」と書かれていた。

「スライムバトルって、喧嘩スライムのこと?」

「うん。大会は色々と細かいルールとかあるみたいだけど。それより、ここ見て!」

 マリリンが指差した部分を見てみる。

「優勝スライムには、王者の称号と……パートナーには賞金50万ロー!?」

 思わず声が裏返った。50万て言ったら働き盛りの大人が3ヶ月働いてようやく稼げる金額だ。俺の村だったら半年くらいの稼ぎと同じだ。それを喧嘩スライムで稼げる!?

「すっげえな!出ろよ!ジェイムズ!!」

 リューが興奮して肩をガクガク揺すぶってくる。

「どうする?ホーオー様、スラゾー」

「ふっ、それを聞くか?」

 ホーオー様がニヒルに笑った(多分) まーた、若い娘(クコ)が見てるからってカッコつけちゃって。

「うおーい、坊主、「よし!決まり!!行こう!王都へ!王者の称号と50万ローゲットだぜ!!」

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