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ボクは悪いスライムじゃないよ、ニクマーンだよ!(ただ今改稿中ぽよよ~ん)  作者: ゆー


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10-ルードとロミィ

なんだろう?ホーオー様の動揺っぷりが半端じゃない。


 ふと周りを見回すと、ルードやランディ、同じくらいの年齢の子どもたちがみんな気まずそうに目線を逸らせた。良くわからないけど、とにかく「皮」の話はしちゃいけないらしい。あとでこっそりスラゾーにでも聞いてみよう。


 とにかく、この状況だとホーオー様がバッタもん(スラキング)をケチョンケチョンにするって言うのは無理みたいだ。

結局、ランディ含め普段はやんちゃなルードたちがすっかり大人しくなっちゃって、喧嘩スライムの雰囲気が盛り下がっちゃったのでその日はそのままお開きになった。


 翌日、ホーオー様を連れて喧嘩スライムに参加するため一人で広場へ行った。今日は、ランディは父さんの仕事の手伝いで朝から出かけちゃったんだ。


 広場に向かいながらホーオー様に話しかけた。

「ホーオー様、まだスラキング…じゃなかった、ニクマーンクイーンのこと怖い?」

「アホぬかせ!誰が怖がっとんじゃい!?わしは誰の事も怖がっとらんで!」


いや、でも、あの後、かなりブルブルして落ち込んでたじゃん。


「う、うん、そうだよね。ホーオー様は最強ニクマーンだもんね」

「そや!昨日はいきなりやったから、心の準備が出来てへんかっただけや!」

「うん。そうだよね」


そういうことにしておこう、めんどくさいから。


「おい、坊主、今何か……」

「いいえ!」



 そんな話をしているうちに、広場に着いた。喧嘩スライムのバトル台の周りには、何人かの子たちが集まっていた。よ~し、今日こそはホーオー様にがんばってもらうんだ!

 張り切って近づいていったのに、良く見ると集まっているみんなの表情がなんだか冴えない。

「どうしたの?喧嘩スライム始めないの?」

ランディやルードと同い年の子に話しかけて見ると、浮かない顔でこう言ってきた。

「なんかさ、今日はルードが来ないんだよ。強いスライムがいなきゃ面白くないだろ?」

スラキングを倒すことが村の子どもたちの目標になっていた。スラキングが参加するのとしないのとでは、盛り上がり方が全然違うんだ。


「誰かルードの家に行ってみたの?」

「俺がさっき呼びに行ったんだけど、今日は行けない!の一点張りで……」

「そう……ランディみたいにお父さんの仕事手伝うのかな?」

「違うよ、多分。手伝いならそう言うもん、いつもはさ。なんか今日は変だったんだ」

「変?」

「なんか、部屋の奥からロミィの泣きわめく声が聞こえてきてて。ルードもすごくイライラしててさ」


 あのロミィが泣きわめくって言うと、もしかしてスラキングのことかな?

 ↓

 ひょっとして昨日スラキングがみんなの前で初めてしゃべっちゃったことと関係あるのかも。

 ↓

 もしかして、スラキングがスライムじゃないって、ルードが気付いたとか!?

 ↓

 そうすると当然ホーオー様がスライムじゃ無いこともバレて……


「お、俺、ちょっとルードんちに見に行ってみるよ!」


「行っても無駄だと思うけどなあ」

「でも、とりあえず行ってみる!」

腕の中に抱えるホーオー様をぎゅっとすると、俺は急いでルードの家に向かった。


 ルードの家は俺の家とは広場を挟んで反対側だ。家に行って声をかけてみると、困り切った顔のルードがドアから顔を出した。


「ルード、おはよう!今日は喧嘩スライム行かないの?俺、ホーオー様連れて来たんだよ?」

「それどころじゃないんだよ!っていうか、ジェイムズ!丁度良い、お前さ、ロミィのこと説得してくれよ!」

「ロミィ、どうかしたの?」

「とにかく、とにかく頼むよ、来てくれ!」

そのままルードに引っぱられて家の中に入ると、奥の部屋からすすり泣きが聞こえてきた。


「なんや、昨日の嬢ちゃん泣いとるんか?」

ホーオー様が腕の中でつぶやいた。


「ロミィ?いるの?」

俺が声をかけると一旦すすり泣きが止んだ。と思ったら、今まで以上に泣き声が大きくなった。部屋を覗いてみると、隅に置かれたベッドの下から聞こえてくる。ロミィったら、潜りこんで何をやってるんだろう?

 しゃがみ込んでベッドの下を覗いて見た。

「ジェムちゃああん!」

ロミィがスラキングを抱きしめて泣きながら、こっちへずるずる移動してくる。

「おっ!やった!さすがジェイムズ!」

ルードが部屋の入り口でガッツポーズを取っている。でも、部屋の中には入ってこない。ロミィがすごい目つきでベッド下からルードのことを睨んだからだ。

「ジェムちゃん、ジェムちゃん、ジェムちゃん……」

ロミィは泣いてばかりで話しにならない。さっぱりわけがわからなかった。ホーオー様がスラキングに話しかける。

「自分、どないしたん?嬢ちゃんえらい泣いてるやんか」

スラキングは昨日と打って変ってロミィの腕の中で困り切った顔をしていた(多分)

「うち、昨日この子としゃべっとって、ついゆーてしまったんや、ホンマはスライムやのうて、ニクマーンやってこと」

「それでこれか?ふんっ、そないな柔な絆しか無かったんやろ?しゃあないな!」

ホーオー様がポムンッと膨らむと、スラキングがドンッとぶつかって弾き飛ばした。

「アホか!?嬢ちゃんはそんな子ぉや無い!」

スラキングが膨らんでホーオー様を威嚇してる。


「ちょ、ちょと待って、とりあえずベッドの下からみんな出よう!」

狭いベッド下の空間で膨らんで威嚇しあう二匹のニクマーンのせいで、俺とロミィは窒息しそうだった。


 ベッドの下から這い出してくると、ルードがロミィに駈け寄ろうとした。

「ダメッ!」

ロミィはしっかりとスラキングを抱きしめて、ルードのことを睨んでいる。

「ロミィ~」

ルードが情けない声を出した。


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